福島県には福島県域をほぼカバーするリオンドール(1)とヨークベニマル(2)との大きなスーパーチェーンがあります。福島県内のチラシを見ると戦略の違いがありそうです。
リオンドール ―汚染が酷い福島盆地を避けた福島産をチラシに載せる
ヨークベニマル―なるべく福島産は載せない
一方で、両スーパーチェーンとも福島県外では「フクシマ産」は載せません。
福島原発事故によって福島は放射能に汚染され、多くのセシウム汚染食品を生み出しました。原発事故から4年8ヶ月が経過した今も野菜、シイタケ等のキノコ類、柚子なんどの果物や大豆などの穀類等で出荷制限が続いています(3)。
福島の方は福島を正しく恐れているようで、福島の方の47.8%は健康に不安を感じ(4)、福島県の最大の市の郡山市(5)では208人中89人(43%)が、第二位のいわき市(5)では291人中142人(49%)が福島産米を避けているとの調査結果もあります(6)。福島産米を避けていない場所では葬式(死者数)が増えているのに、避けている場所では増えいない等の結果もあり(7)、当然の行動です。
一方、福島県は福島産は安全であり福島産を正しく恐れ避ける行為を「風評被害」としています(8)。このような事態はスーパーの方を悩ませると思います。消費者のニーズに合わせ福島産をチラシに掲載しなければ「風評被害」と批判されかねなし、載せてれば売り上げ増に結びつかないムダ金を使います。福島のスーパーがどのような判断をするか(=^・^=)には興味があります。
福島県には福島県域をほぼカバーするリオンドール(1)とヨークベニマル(2)との大きなスーパーチェーンがあります。リオンドールは福島県内に34店舗、隣県(新潟、栃木)を含め47店舗の店舗を展開しています(9)。ヨークベニマルは福島原発事故によって休止にに追い込まれた5店舗を除き(10)、福島県内に69店舗、隣県を含め197店舗を展開しています(11)。以下に店舗展開をしめします。

※1(9)(11)にて作成
※2休止中の店舗(10)を除く
※3(12)の数値データを元に(13)に示す手法で11月1日時点に換算
※4 避難区域は(14)による
※5 福島県の区域分けは(5)(15)による。
図―1 リオンドールとヨークベニマルの店舗展開
図に示す通り中通りでは、国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルト(16)の所に店舗が集中しています。言い換えれば中通りの生活圏は中通りのなかでも汚染が酷い場所にあると言えます。
どのような戦略を取るか隣県の店舗と福島市内の店舗の11月6日のチラシを比較してみました。
リオンドール新津店は新潟市にある店舗で、外国産を除き産地名が明記されたものが16品目あり、うち6品目(ニンジン、柿、キャベツ、エノキ、カブ、キュウリ)が新潟産で福島産はありません(17)。鎌田店は福島市にある店舗で、外国産を除き産地名が明記されたものが11品目あり、うち5目(柿、キャベツ、ホウレンソウ、キュウリ)が福島産でした(18)。ただし柿は福島産でなく「会津産」と表記されています。以下に福島県の柿の生産量を示します。

※(19)にて作成
図―2 福島県の柿の生産量
図に示す通り福島県で柿が最も多く取れるのは福島盆地にある伊達市(15)です。福島県は福島産の柿の「安全」を主張していますが(20)、伊達市産の柿を買ってきて干柿に加工するのは危険です。以下に伊達市産干柿のセシウム濃度を示します。

※(21)を集計
図―3 伊達市産干柿のセシウム濃度
基準値の1キログラム当たり100ベクレル(22)を確り超えています。柿を生で食べるなら基準値以下かもしてませんが、干柿に加工すれば危険なセシウム汚染食品です。およそ安全とは言えません。福島産でなく会津産にしたようです。
福島ではリンゴのPRイベントが行われるなど(23)、今がシーズンです(24)。福島市のリンゴの出荷額は40.5億円でモモの36.5億円を超えます(25)。福島市にとってリンゴは大事な農産物です。リオンドール鎌田店のチラシにリンゴがあったのですが、福島産でなく「青森産」でした。図―1に示すように福島盆地は福島県内でも避難地域を除けば汚染の酷い場所です。こうした場所を避けた福島産を避けてチラシに載せていく戦略の様です。
ヨークベニマル米沢店は山形県米沢市にある店舗で、外国産を除き産地名が明記されたものが20品目あり、うち3品目(豚肉、ラフランス、米)が山形産で福島産はありません(26)。西福島店は名前の通り福島市にある店舗ですが、外国産を除き産地名が明記されたものが20品目あり、うち1品目(会津産米)が福島産です(27)。両店のチラシは米や山形産か福島会津産かの違いはありますがほぼ同じです。
福島県は現在、福島産米のテレビCMを流しています(28)。福島県にとって今、売り出したい福島産は「米」のようです。なんか福島県の方針に合わせアリバイ作りの為に1点だけ福島・会津産を入れた感じです。
以下に11月5日時点の福島産米全袋検査数を示します。

※(29)を集計
図―4 福島産米全袋検査数
福島のお米は会津産だけではありません。福島盆地を除く中通り地方の方が生産量は多くなっています。特に福島県郡山市は同市の米の「あさか舞」とのブランドを付け売り出しています(30)。さすがに郡山ではこれを無視するわけには行かないようです。

※(31)を引用
図―5 ヨークベニマル日和田店(郡山市)のチラシ
ヨークベニマルの郡山市の店舗には「あさか舞」(郡山市の米)が載っていました。なんとか穏便に可能か限り福島産は載せない。これがヨークベニマルの戦略のようです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
「あさか舞」の評判はいまいちのようです。図―5に表示されている価格を5kg当たりに直すと
会津産 ひとめぼれ―1480円
郡山産 こしひかり―1390円
で郡山産コシヒカリが△6%安くなっています。会津産が安全かどうかは別にして、会津は郡山に比べ汚染が少ないのでまだマシとだと思います。郡山市の方は郡山産を低く評価しています。(=^・^=)も福島県郡山市の皆様も見習い低く評価し、「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
リオン・ドールコーポレーション - Wikipedia(2)
ヨークベニマル - Wikipedia(3)
食品中の放射性物質の検査結果について(第954報) |報道発表資料|厚生労働省中の「PDF 原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限等(PDF:67KB)
」
(4)
県政世論調査「健康に不安」47.8% 前年比3.5ポイント減 | 県内ニュース | 福島民報(5)
めげ猫「タマ」の日記 福島県について(6)
研究報告|ひらた中央病院 | 医療法人 誠励会 | 福島県 医療 介護 リハビリ(7)
めげ猫「タマ」の日記 「福島米」避けていないと所では葬式が9%増、避けた所は増えていない。(8)
「おいしい ふくしま いただきます!」キャンペーン - 福島県ホームページ(9)
リオン・ドール スーパーマーケット お得情報満載(10)
ヨークベニマル/お店ガイド(11)
ヨークベニマル/お店ガイド(12)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成26年9月1日~11月7日測定) 平成27年02月13日 (CSV)」
(13)
めげ猫「タマ」の日記 福島避難区域再編3年目―放射線量はこれからどうなる―(14)
区域見直し等について - 福島県ホームページ(15)
福島盆地 - Wikipedia(16)
国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について(17)
リオン・ドール スーパーマーケット お得情報満載(18)
リオン・ドール スーパーマーケット お得情報満載(19)
統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103中の「10 果樹⇒福島県」
(20)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ中の「くだもの編 [PDFファイル/138KB]」
(21)
報道発表資料 |厚生労働省(22)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(23)
ミスピーチキャンペーンクルーのブログ 10月25日 わくわく市場まつり、10月31日、11月1日 羽村市産業祭★(24)
食べ頃カレンダー(25)
統計データ(26)
ヨークベニマル/お店ガイド(27)
ヨークベニマル/お店ガイド(28)
TVCM(ふくしまプライド。「お米 15秒」篇) | ふくしま 新発売。(29)
ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報を11月6日に閲覧
(30)
郡山の味自慢「あさか舞」/郡山市(31)
ヨークベニマル/お店ガイド
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- 2015/11/06(金) 19:50:10|
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