めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(11月2週)―外洋からトリチウム―

 福島第一原発汚染水の11月2週(11月2日から8日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、過去最高濃度(新記録)の放射性物質が見つかっています。
 ①外洋からは相変わらずトリチウム等の放射性物質
 ②港湾内海水から去年より高い全ベータ、海側遮水壁の効果が見られず。
 ③地下水バイパス井戸や山側井戸からは排水基準を超える放射性物質
 ④海岸付近の井戸から過去最高濃度(新記録)の放射性物質
 ⑤サブドレンからとトリチウム放出量は53億ベクレル突破

1.外洋からトリチウム
 原発事故から4年8ヶ月になりましたが、外洋からは相変わらずトリチウム等の放射性物質が見つかっています。
 4年8ヶ月経っても外洋から見つかる放射性物質
  ※1 (4)(5)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(6)
 図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度

以下に5,6号機放水口北側のトリチウム濃度を示します。
上昇傾向に見える外洋のトリチウム濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―2 5,6号機放水口北側のトリチウム濃度

 (=^・^=)目には上昇しているように見えます。そして今週は外洋の2地点で見つかっています。
 東京電力の11月5日の発表(7)の引用だと思いますが、福島県の地方紙の福島民友は
「福島第1原発の港湾内に壁を造り、汚染地下水が海に流出するのを防ぐ「海側遮水壁」の完成前後で測った、港湾内の海水の放射性物質濃度の平均値を発表した。1~4号機の取水口周辺を調べた数値で、ストロンチウム90は1リットル当たり140ベクレルから同1.9ベクレルまで減少した。東電は『海側遮水壁の効果が表れ始めている』としている。」と(8)、東電の汚染水流出対策(9)の効果が表れ始めているような報道をしていますが、肝心の外洋は別の様です。

2.港湾内海水から去年より高い全ベータ、海側遮水壁の効果が見られず
 港湾内からはもっと高濃度の汚染水が見つかっています。
排水基準を超えた放射性物質が見つかる港湾内
  ※1 (5)(10)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値  
 図―3 福島第一港湾内の放射性物質濃度

 東京電力は福島第1原発の港湾内に壁を造り、汚染地下水の海への流出を防ぐ「海側遮水壁」の工事を10月26日に完成させました(11)。東京電力は11月5日に海側遮水壁完成後に放射性物質濃度が下がったと広報し(7)、さも効果があったような発表をしています。効果があれば汚染水の流れが悪くなり、全体の汚染水濃度が下がっていいはずです。以下に港湾口の2014年と15年9~11月の全ベータ濃度を示します。
去年より高い港湾口の全ベータ濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―4 港湾口の全ベータ濃度

 港湾口は港湾と外洋の境界に当たる場所です。ここでの放射性物質濃度が低減されなれば外洋への流出が防止できたことになりません。図―4に示す通り、海側遮水壁ができる前の2014年は全ベータは見つかっていません。でも海側遮水壁が完成した10月26日以降を見ると10月28日、29日と11月1日に全ベータが見つかっています。去年より海側遮水壁が完成した今年の方が全ベータ濃度が高くなっています。現時点では海側遮水壁の効果は見えません。
 そして(=^・^=)には心配なことがあります。以下に海側遮水壁と近傍の地下水位を示します。
陸側地下水位より高くなった海側遮水壁内側水位
 ※1(12)(13)にて作成
 ※2 色違いは観測点(複数)の違いによる
 図ー5 海側遮水壁と近傍の地下水位

 10月28日以降は海側遮水壁と地下水位が逆転しているので、海側遮水壁に溜まった汚染水が陸側に流れ場合によってはサイド側から漏れ出し海に流れ出す事態が想定されまず。以下に物揚場前のセシウム濃度を示します。
上昇傾向も見て取れる物揚場前のセシウム濃度
 ※(5)を集計
 図―6 物揚場前セシウム濃度

 地下水位と海側遮水壁水位が逆転した10月28日前後から上昇しているように見えます。
 東電がこのような事態を放置する理由は想像するしかありませんが、図ー3に示すように海側遮水壁内側のトリチウム濃度が1リットル当たり約3100ベクレルでこれは排水基準(2)の倍以上で、トリチウムは浄化できなので(14)、溢れ出すことが分かっていても汲み上げた汚染水を浄化した後に海に流すことができなので放置するしかないのかもしれません。
 以下に地位水位の観測点を示します。
海岸付近の地下水位観測点
 ※(13)にて作成
 図―7 地下水位観測点

3.地下水バイパス井戸や山側井戸からは排水基準を超える放射性物質
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(15)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(16)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(17)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超えた汚染地下水が見つかる地下水バイパスと山側井戸
 ※1 (14)(15)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―8 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。

4.海岸付近の井戸から過去最高濃度(新記録)の放射性物質
 東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。
高濃度の汚染地下水が見つかる福島第一海岸
 ※1 (5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―9 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

 このうち以降は1リットル当たりでNo1井戸の全ベータ10,000ベクレル、No3-4のトリチウム3,100ベクレルが過去最高(新記録)です。
No2-5の全ベータ濃度は1リットル当たりで
 10月5日     930ベクレル
 11月2日 130、000ベクレル
 11月3日  96、000ベクレル
で一ヶ月で100倍以上に上昇しました。以下にNo1-6の全ベータとストロンチウム90濃度の推移を示します。
上昇が続くNo1井戸の全ベータ
※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―10 No1井戸の放射性物質濃度

 どんどん上昇いています。

5.サブドレンからとトリチウム放出量は53億ベクレル突破
 サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(14)。サブドレンの運用は9月3日から始まったので(17)ほぼ2ヶ月以上が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(19)(20)、濃度×排出量で累積のトリチウム累積の排出量を求めてみました。
53億ベクレルを超えたサブドレントリチウム排出量
 ※(19)(20)(21)を集計
 図―11 サブドレンの累積排出量

 累積で53億ベクレルを超えました。10月1日以降11月7日までの37日間の排出量は約36億ベクレルなので1日1億ベクレルを超えるトリチウムがサブドレンによって福島の海に流されています。
 そしてもう一つ気になることがあります。以下にサブドレイン放流水のトリチウム濃度を示します。
他所より低く出る東京電力のサブドレントリチウム測定結果
 ※1(19)を集計
 ※2 10月10日放出分まで
 図ー12 サブドレンのトリチウムの測定結果

濃度は東京電力と他の機関(東電は第三者機関と呼ぶ)で二重に測定されています。東電の測定が低く出ています。これについて東京電力は
「サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクFの当社および第三者機関による分析結果[採取日10月27日]については同等の値であり、運用目標値を満足していることを確認したことから、11月7日午前10時3分より海洋への排水を開始。」(21)とコメントして低く出る事を無視しています。(=^・^=)は東電に不信感をもっています。

<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
福島第一原発の汚染水流出対策についてはマスコミや東電は色々と喧伝しているようです(7)(8)(22)。でも東電のデータを検討すると効果を明確に確認するのは無理です。これでは福島の方は不安だと思います。まして福島では
福島産米を避けない所では葬式(死者数)が増えている
等の現象が起きています(23)。それでも福島県は福島産は安全であり、福島産を避ける行為は「風評被害」と主張しています(24)。でも福島県民の受け止めは違うようです。
 福島県は福島産米のCMを流しています(25)。福島県棚倉町の全袋検査数は約15万件に達しました(26)。棚倉町や周辺のお米は天然由来のミネラル成分を含んだ資材を使用し健康に育った稲。美味しい味わいのあるお米だそうです(27)。福島県はお米も含め福島産は安全だと主張しています(28)。でも福島県棚倉町のスーパーのチラシには米を含め福島産はありません。
他県産はあっても福島産が無い福島県棚倉町のスーパーのチラシ
 ※(29)を引用
 図―13 福島産が無い福島県棚倉町のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県棚倉町の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(11月1週)―海側遮水壁の効果が見られず―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を8月30日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(7)2015年11月5日福島第一原子力 発電所海側遮水壁閉合前後の海水モニタリング状況(PDF 588KB)
(8)放射性物質濃度が減少 東電「海側遮水壁の効果」:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(9)海側遮水壁|東京電力
(10)(3)中の「1~4号機タービン建屋東側および港湾のモニタリング」
(11)2015年10月26日福島第一原子力発電所 海側遮水壁閉合作業完了について(PDF 501KB)PDF
(12)2015年11月5日 「平成27年度第8回 福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会」における当社資料のご説明について
(13)2015年11月6日タービン建屋東側における地下水及び海水中の放射性物質濃度の状況等について(PDF 2.25MB)
(14)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(15)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(16)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(17)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(18)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(19)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(20)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(21)2015年11月8日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】
(22)めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘報道―海側遮水壁で汚染流出問題は解決?―
(23)めげ猫「タマ」の日記 「福島米」避けていないと所では葬式が9%増、避けた所は増えていない。
(24)「おいしい ふくしま いただきます!」キャンペーン - 福島県ホームページ
(25)TVCM(ふくしまプライド。「お米 15秒」篇) | ふくしま 新発売。
(26)ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報を11月7日に閲覧
(27)みりょく満点米 【コシヒカリ・ひとめぼれ】 | JA東西しらかわのブログ
(28)検査体制について | ふくしま 新発売。
(29)エコス/棚倉店のチラシと店舗情報|シュフー Shufoo! チラシ検索
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  1. 2015/11/08(日) 19:45:05|
  2. -
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

貴重な情報の整理と解説をありがとうございます。
海側遮水壁が出来たんだって、と少しは良くなるのではと思っていました。
全くそうではなかったんですね。読み進むにつれ、顔と体が硬くなることを感じました。かなり、ショックでした。
  1. 2015/11/08(日) 22:34:18 |
  2. URL |
  3. なお #-
  4. [ 編集 ]

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