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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(11月4週)―港湾内の放射性物質濃度・再上昇、海側遮水壁の効果見えず―

福島第一原発汚染水の11月4週(11月16日から22日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、過去最高濃度(新記録)の放射性物質が見つかっています。
 ①外洋からはストロンチウム90・トリチウム等の放射性物質
 ②港湾内の放射性物質濃度・再上昇、海側遮水壁の効果見えず
 ③地下水バイパス井戸からは過去最高の放射性物質
 ④海岸付近の井戸からも高濃度の放射性物質
 ⑤福島第一原発の排水路からは法令限度を超えた汚染水は「海」へ
 ⑥サブドレンからとトリチウム放出量は62億ベクレル超
 ⑦港湾口アイナメから1、340ベクレルのセシウム、下がる気配なし

1.外洋からはストロンチウム90・トリチウム等の放射性物質
 原発事故から4年8ヶ月以上になりましたが、外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。
原発事故から4年8ヶ月以上経ても放射性物質が見つかる福島第一沖外洋
  ※1 (4)(5)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(6)
  ※5  ストロンチウム90はSR90と略し、採取日は10月14日
 図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度

 東京電力は9月から、海側遮水壁は福島第一の海岸の傍に、海水を通さない壁を作り海に流れ込んだ汚染地下水をブロックして海に広がらないようにする海側遮壁(7)の最終の工事を進めてきました(8)。以下に海側遮水壁内側の水位を示します。
11月13日以降は遮水効果が見えてきた海側遮水壁
 ※1(8)より作成
 ※2 T.P.は海抜
 ※3 色違いは観測点(複数)の違い
 図ー2 海側遮水壁の水位

 9月20日以降に水位の変動がみられ海側遮水壁の影響が出てきました。10月12日位からは水位が単調に上昇し、汚染水の流れをブロックしだしたと思います。5,6号機放水口北側のストロンチウム90濃度を見ると、1リットル当たりで
 海側遮水壁の影響がない  9月14日 0.028ベクレル
 ブロックの効果が出ている10月14日 0.087ベクレル
で(5)逆に3倍以上も高くなています。外洋のストロンチウム90濃度で見る限り海側遮水壁の効果は見えません。
 以下に5,6号機放水口北側の放射性物質濃度の推移を示します。
下がる気配がみられない5,6号機放水口北側の放射性物質濃度
以下に5,6号機放水口北側の放射性物質濃度の推移を示します。
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―3 5,6号機放水口北側の放射性物質濃度

 事故から4年8ヶ月以上が経過しましたが下がる気配がありません。

2.港湾内の放射性物質濃度・再上昇、海側遮水壁の効果見えず
 港湾内からはもっと高濃度の汚染水が見つかっています。
高濃度の放射性物質が見つかる福島第一港湾内
  ※1 (5)(9)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値  
 図―4 福島第一港湾内の放射性物質濃度

 10月26日に海側遮水壁の工事が完了しました(10)。NHKはこれで福島第一から海への放射性物質漏れがなくなると大々的な嘘放送を流しました(11)。そして東電は11月6日に海側遮水壁の完成によてあたかも港湾内の放射性物質濃度が下がったかのような広報をしました(12)。東電が広報ン使用したのは「1~4号機取水口内南側」の濃度です。以下に過去2ヶ月の濃度を示します。
再上昇した港湾内1~4号機取水口内南側北側の放射性物質濃度 
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―5 1~4号機取水口内南側北側の放射性物質濃度 

 確かに海側遮水壁が完成した10月下旬から東電が下がったと広報した11月上旬の間は低くなっています。しかし再び上昇しています。以下に福島第一原発近くのアメダス観測点の浪江の降水量を示します。
放射性物質濃度と同じようなパターンを示す福島第一近くの浪江の降水量
※(13)にて作成
 図―6 福島第一原発近くの「浪江」の降水量

11月14日と18日に日量40mm程度の雨が降りました。そしたら放射性物質濃度は再上昇です。そして海側遮水壁完成直後は雨が降っていないので、たまたま放射性物質濃度が下がっただけです。海側遮水壁は完成しましたが、雨が降ると放射性物質が海に流される福島第一の体質は変わっていません。

3.地下水バイパス井戸からは過去最高の放射性物質
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(14)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(15)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(16)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超えた放射性物質が見つかる地下水バイパスと上流側井戸
 ※1 (15)(16)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―7 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。このうち地下水バイパスNo10井戸のトリチウム、1リットル当たり3,100ベクレルは過去最高(新記録)です。以下に推移をしめします。
どんどん上昇し過去最高を記録した地下水バイパスNo10井戸のトリチウム
 ※1(16)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―8 地下水バイパスNo10井戸のトリチウム濃度

 一時は上昇が止まっていたのですが、再び再上昇し過去最高を記録しました。この井戸のトリチウム濃度は排水基準を超えていますが、他の井戸の水と混ぜて海に流すそうです(17)。

4.海岸付近の井戸からも高濃度の放射性物質
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。
高濃度の汚染地下水が見つかる福島第一の海岸の井戸水
 ※1 (5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―9 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

このうち以降は1リットル当たりでNo2-3井戸のトリチウム3,800ベクレルとNo3-4のトリチウム3,300ベクレルが過去最高(新記録)です。以下にNo2-3井戸のトリチウムの推移を示します。
上昇し過去最高を記録したNo2-3井戸のトリチウム
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―10 No2-3井戸のトリチウム濃度

 今年の7月位から上昇傾向になりいったんは高止まりしたのですが、再上昇し過去最高(新記録)です。これからが心配です。

5.福島第一原発の排水路からは法令限度を超えた汚染水は「海」へ
  福島第一原発構内には幾つもの排水路があります。
福島第一原発排水路
 ※(18)を転載
 図―11 福島第一原発内の排水路

 当然ながら福島第一構内は放射性物質で汚染されており、排水路に流れ込みます。1リットル当たりでセシウム137の法令限度は90ベクレル、ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルです(2)。全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(6)、、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。このうちK排水路では法令限度を超えた汚染水の流れが確認されています。 
 以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。
法令限度を超えた汚染水が流れるK排水路
※(19)を集計
 図―12 K排水路の放射性物質濃度

 法令限度を超えた放射性物質を含む汚染水が度々流れています。東電の発表(20)を見ると排水路は遮水壁を超えて海に繋がっているので、「海側遮水壁」が完成しても排水路の汚染水はブロックされません。

6.サブドレンからとトリチウム放出量は62億ベクレル超
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(21)。サブドレンの運用は9月3日から始まったので(22)ほぼ2ヶ月半が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(23)(24)、濃度×排出量で累積のトリチウム累積の排出量を求めてみました。
62億ベクレルを超えたサブドレンの累積のトリチウム排出量
 ※(23)(24)を集計
 図―13 サブドレンの累積排出量

 累積で約62億ベクレルを超えました。
 そしてもう一つ気になることがあります。以下にサブドレイン放流水のトリチウム濃度を示します。
他より低く出る東電のトリチウム測定結果
 ※(23)を集計
 図―14 サブドレンのトリチウムの測定結果

濃度は東京電力と他の機関(東電は第三者機関と呼ぶ)で二重に測定されています。東電の測定が低く出ています。

6.港湾口アイナメから1、340ベクレルのセシウム、下がる気配なし
 今週、10月中に港湾内で採れたお魚のセシウム濃度が発表になりました(25)。港湾口で採れたアイナメから1キログラム当たりで1,340ベクレルのセシウムが見つかっています。以下に港湾内で採れたアイナメのセシウム濃度をしめします。
下がらなくなった港湾内アイナメのセシウム濃度
 ※(26)を集計
 図―15 福島第一港湾内のアイナメのセシウム濃度

このところ下がる様子がありません。
 汚染水対策の目的は生物への放射性物質汚染を減らすなど環境負荷をへらすことです。アイナメのセシウム濃度は下がっていないので、上手く行っているとは言えないと思います。


<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表①)とこちら(ブログ図表②)をを参照ください。
 9月、10月にサブドレンや海側遮水壁などの対策が実施されましたが、サブドレンも含め(27)あまり上手く行っていません。福島の方は不安だと思います。福島の被災者で体調不良を訴えいる方が増えているようです(28)。しかたが無い事です。まして福島では福島市や郡山市で葬式が増えています。一方で福島市や郡山市にくらべれば汚染がマシな会津地方や8割近い方が福島産米を避けている相馬や南相馬市ではこのような事はありません(29)(30)。
 東京駅では福島産で作った駅弁が売られたそうです(31)。福島も実りの秋です。福島県郡山市産米の全袋検査数が124万件を超え福島随一です(32)。福島県郡山市のお米は「あさか舞」といって安全で美味しいそうです(33)。福島県は福島産はお米も含め「安全」だと主張しています(34)。でも福島県郡山市のスーパーのチラシにはお米も含め福島産はありません。
他県産はあっても福島産が無い福島県郡山市のスーパーのチラシ
 ※(35)を引用
 図―16 福島産が無い福島県郡山市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県郡山市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(11月3週)―排水路から法令限度を超える全ベータ―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」および「南放水口・排水路」を11月322日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(7)海側遮水壁|東京電力
(8)「平成27年度第8回 福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会」における当社資料のご説明について|東京電力中の「・サブドレン他水処理施設の状況について(PDF 1.13MB)PDF」
(9)(3)中の「1~4号機タービン建屋東側および港湾のモニタリング」
(10)2015年10月26日福島第一原子力発電所 海側遮水壁閉合作業完了について(PDF 501KB)
(11)めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘報道―海側遮水壁で汚染流出問題は解決?―
(12)2015年11月6日(福島県漁業協同組合連合会 説明資料)海側遮水壁閉合前後の海水モニタリング状況(PDF 1.35MB)
(13)気象庁|過去の気象データ検索
(14)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(15)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(16)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(17)2015年11月18日地下水バイパス揚水井のくみ上げにおける一時貯留タンクに対する評価結果について(その2)(PDF 78.5KB)
(18)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―2週連続で下請けさんがケガ―
(19)(3)中の「福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果」
(20)"2015年11月18日福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて(PDF 255KB)
(21)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(22)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(23)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(24)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(25)2015年11月18日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>(PDF 98.8KB)
(26)(3)中の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>(PDF」
(27)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(11月3週)―地下水バイパス止まる―
(28)被災者相談体の不調最多 心のケアセンター24~26年度実績公表 | 県内ニュース | 福島民報
(29)めげ猫「タマ」の日記 福島県郡山市の死者数は10.2%増(対2010年3-10月)、でも相馬・南相馬市は別
(30)めげ猫「タマ」の日記 福島市の死者数8.3%増(対2010年3-10月)、会津は別
(31)"福島の味"全国に 東京駅で福島県産食材の「駅弁」発売:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(32)ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報を11月22日に閲覧
(33)郡山の味自慢「あさか舞」/郡山市
(34)「おいしい ふくしま いただきます!」キャンペーン - 福島県ホームページ
(35)ザ・ビッグ 郡山店のチラシ・特売情報 [クックパッド] スーパーの情報とレシピで賢く節約!
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  1. 2015/11/22(日) 19:46:16|
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