めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(12月1週)―港湾口から全ベータ、海側遮水壁の効果は疑問―

福島第一原発汚染水の12月1週(11月30日から12月6日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、過去最高濃度(新記録)の放射性物質が見つかっています。
 ①外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。
 ②港湾の出口にあたる港湾口からは昨年は見つかっていない全ベータが。海側遮水壁の効果は疑問です。
 ③地下水バイパス井戸からは排水基準を超えた放射性物質
 ④海岸付近の井戸からは過去最高濃度の放射性物質
 ⑤サブドレンからとトリチウム放出量は73億ベクレル超

1.外洋からは相変わらず放射性物質
 原発事故から4年9ヶ月以上になりましたが、外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。
事故から4年9ヶ月経ても放射性物質が見つかる外洋
見つかっています。
  ※1 (4)(5)(6)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
 図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度

 以下に5,6号機放水口北側の放射性物質濃度の推移を示します。
下がる気配が無い5,6号機放水口北側の放射性物質濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―2 5,6号機放水口北側の放射性物質濃度

 事故から4年9ヶ月以上が経過しましたが下がる気配がありません。

2.港湾口から全ベータ、海側遮水壁の効果は疑問
 港湾内からはもっと高濃度の汚染水が見つかっています。
外洋に比べ高い濃度の放射性物質が見つかる福島第一港湾内
  ※1 (5)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値  
 図―3 福島第一港湾内の放射性物質濃度

 10月26日に海側遮水壁の工事が完了しました(8)。NHKはこれで福島第一から海への放射性物質漏れがなくなると大々的な嘘放送を流しました(9)。効果があれば汚染水の流れが悪くなり、全体の汚染水濃度が下がっていいはずです。以下に港湾口の2014年と15年9~12月の全ベータ濃度を示します。
海側遮水壁完成前の昨年より高い今年の港湾口の全ベータ濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―4 港湾口の全ベータ濃度

 港湾口は港湾と外洋の境界に当たる場所です。ここでの放射性物質濃度が低減されなれば外洋への流出が防止できたことになりません。図―4に示す通り、海側遮水壁ができる前の2014年は全ベータは見つかっていません。でも海側遮水壁が完成した10月26日以降を見ると全ベータが見つかっています。去年より海側遮水壁が完成した今年の方が全ベータ濃度が高くなっています。現時点では海側遮水壁の効果は見えません。

3.地下水バイパス井戸からは排水基準を超えた放射性物質
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(10)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(11)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(12)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超えた放射性物質が見つかる地下水バイパスと山側井戸

 ※1 (11)(12)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―5 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。このうち地下水バイパスNo10井戸のトリチウム、1リットル当たり2,900ベクレルで排水基準を超えています。これについて東京電力は他の井戸から汲み上げた水で薄めて(混ぜて)海に流します(13)。

4.海岸付近の井戸からは今週も過去最高濃度の放射性物質
 東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。
高濃度の放射性物質が見つかる福島第一の海岸
※1 (5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―6 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

このうち以降は1リットル当たりでNo2-3のトリチウム4,200ベクレルとNo2-6のセシウム516ベクレルは過去最高(新記録)です(14)(15)。先週も別の井戸で記録更新しているので(1)、海岸付近の井戸は記録更新ラッシュです。
 No2-6井戸の放射性物質濃度は1リットル当たりの値で
  12月2日採取
    セシウム  1.94ベクレル
    全ベータ 92ベクレル
  12月4日採取
    セシウム   516ベクレル
    全ベータ 1,200ベクレル
で、僅か2日間でセシウムが約260倍、全ベータが13倍に急上昇です。以下に2-3井戸のトリチウム濃度を示します。
上昇が続くNo2-3井戸のトリチウム
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―7 No2-3井戸のトリチウム

 今年の7月位から上昇に転じ、一直線で急上昇しています。
 原発事故から4年9ヶ月が過ぎて、汚染水が海にどんどん迫っている感じです。

5.サブドレンからとトリチウム放出量は73億ベクレル超
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(16)。サブドレンの運用は9月3日から始まったので(17)ほぼ3ヶ月が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(18)(19)、濃度×排出量で累積のトリチウム累積の排出量を求めてみました。
73億ベクレルを超えた福島第一サブドレンのトリチウム累積排出量
 ※(18)(19)を集計
 図―8 サブドレンの累積排出量

 累積で約73億ベクレルを超えました。
 そしてもう一つ気になることがあります。以下にサブドレイン放流水のトリチウム濃度を示します。
他より低く出る東電サブドレン中のトリチウム測定結果
 ※(18)にて作成
 図―9 サブドレンのトリチウムの測定結果

濃度は東京電力と他の機関(東電は第三者機関と呼ぶ)で二重に測定されています。東電の測定が低く出ています。こんなことが偶然に起こるとはとても思えなので、おかしな測定結果です。東電はおかしな測定を放置しています。


<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
 原発事故から4年9ヶ月が過ぎても、福島第一原発の汚染水漏れは続いています。それでも治またかのような「嘘」が平気で喧伝されています(9)。まして福島産米を避ける人が多い相馬や南相馬市では葬式(死者数)が増えていないのに、避ける人が半数以下の郡山市・三春町では増えています(20)。これでは福島市の方は心配だと思います。
 12月に入り、これからは福島も冬野菜のシーズンだと思います。福島を代表する冬野菜にネギがあるそうです。福島県いわき市は福島県最大のネギの産地です(21)福島県は福島産ネギは「安全」だと主張しています(22)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島ネギはありません。
福島産ネギが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
 ※(23)を引用
 図―10 福島産ネギが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(11月5週)―排水路から法令限度を超える汚染水が海へ―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を12月6日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)2015年12月4日福島第一原子力発電所 地下水バイパス排水に関するサンプリング結果(南放水口付近)(PDF 117KB)
(7)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(8)2015年10月26日福島第一原子力発電所 海側遮水壁閉合作業完了について(PDF 501KB)
(9)めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘報道―海側遮水壁で汚染流出問題は解決?―
(10)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(11)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(12)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(13)2015年12月2日地下水バイパス揚水井のくみ上げにおける一時貯留タンクに対する評価結果について(その2)(PDF 78.1KB)
(14)2015年12月4日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 831KB)
(15)2015年12月5日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 197KB)
(16)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(17)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(18)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(19)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(20)めげ猫「タマ」の日記 「福島米」避けていないと所では葬式が9%増、避けた所は増えていない。―原発事故5年目―
(21)栄養と美味しさ満点!ふくしまの冬野菜たち! | ふくしま 新発売。
(22)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(23)ヨークベニマル/お店ガイド
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  1. 2015/12/06(日) 21:59:51|
  2. -
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

放射能について

 貴ブログ初めて拝見、ブログ上ででもご教授いただきたく存じます。
 広島の原爆は1Kgのウランが核爆発をし800万テラベクレルの各種放射性物質が放出、チェルノブイリは広島の40倍の規模32000万テラベクレルとの事、福島はこれまでに30000兆ベクレル強が拡散されているとの事。

 数値だけを見ると莫大な量に思われるが、選択的に放射性物質を吸着するプルシアンブルーの吸着資材が産総研などから発表され、当方でも、閉鎖水域でのリン酸吸着剤の開発時に並行し,軟性活性炭にプルシアンブルーを含浸し、プルシアンブルーの流亡担持させるため、透水性がある酸化鉄被膜を施し、カラムを作成し、安定セシュウムによる吸着試験を近隣の大学に依頼した結果。
 PB担持活性炭 1g/4.4mg {0.44%} 150GBqベクレル
の吸着処理能力が確認された経緯があります。

 この度の原発事故で飛散した30000兆Bq強も、すべて吸着することが出来るとしたら、多寡だか3トン強のPB担持活性炭で出来ることではないだろうか?産総研などで開発されたPB吸着資材などはアルプスなどの処理プラントでどのように使われているか知りたい処です。

 破損原発よりの水蒸気、いか程のベクレルの放射性物質がでているのか?
豆腐凝固などに使う、海水より製塩の際取れる「にがり」を加湿器の水に1%程度入れ、稼働すると室内空間が霧がかかった情況になり、目がシバシバ痛くなります、「にがり」は主にMgイオンですが、海水中にふくまれる90種以上の無機イオン{ウラン、ルビジュウムなどの放射性イオンも含む}があるためと思われる、
 上記のような情況が福島ではとの懸念があります。

 素人考えですが、問題ある破損原発にカバーをし、強制換気システムに放射性物質吸着カラムで簡単に処理できるように思えますが?

3110億ベクレルが1g、福島で飛散した30000兆ベクレルは96Kg強の放射性物質でしょうか?
大気拡散による汚染より、 地球規模の 海水に含まれる核種のボリュウムから言えば,極々小さな数値ですが,海洋投棄拡散の方が地球規模の環境にベストではないかと考えますが?

大方の世論は、政府、それなりの専門家集団が真摯に事故処理に取り組まれているように見られているように感じられますが、この度の事故もふくめ、「もんじゅ」「六ヶ所村」その他原子力に関わる事に不信感が拭えません、官僚を含め責任所在のわかる透明性のある現況開示を求めたく思いますが?
  1. 2015/12/07(月) 13:39:27 |
  2. URL |
  3. 70越えの若者 #-
  4. [ 編集 ]

Re: 放射能について

70越えの若者様

 コメントをありがとうございます。吸着材で放射性物質を吸着させて処理すれば良いとのご提案だと思いますが、吸着は「二つの異なる物質相が接するとき、その界面で、それぞれを構成している成分が濃縮される現象。」であり、放射性物質と接触させる必要があります。このためには撒くなどして放射性物質のある場所に配置しなくてはなりません。吸着させても放射性物質が無くなるわけではないので、後で回収する必要があります。これだったら直接回収る方が、吸着材を撒く手間がないだけ簡単だと思います。
  1. 2015/12/07(月) 20:35:15 |
  2. URL |
  3. mekenekotama #-
  4. [ 編集 ]

分かりづらかったようで

回答有難う御座います。
少々説明が上手くなかったかもしれません。
おっしゃるとおり、吸着剤は放射性物質と接触させる事によりその能力を発揮します。
また、最終的には吸着剤を地下に埋めたり、焼却して体積を減量するなどの処理が必要です。
その事は充分承知しております。
今回ご提案したかったのは、破損した原子炉建屋から上がる水蒸気の除染についてです。
現状は、何も対策せず大気中に放出し放題に感じられます。
そこで、建屋を覆い吸着剤を詰めたカラムに蒸気を通してから大気中に開放するなどの対策は如何なものか?といった話です。
汚染水の処理にもこの手の対策は使われてたと記憶しております。
アルプスなるプラントが稼動していましたね。
勿論、吸着剤ですから、最終的には今度は吸着剤を処分する必要があります。
アルミナなどを使用した吸着剤は焼却できませんからそのままの体積で残ります。
今回提案した活性炭をベースとした吸着剤であれば焼却することにより体積を減らす事が可能であると考えております。
いすれにしても、現状どのような対策を誰がどのような形で行なっているのか?
官僚を含め責任所在のわかる透明性のある現況開示をして頂きたいと切に願っていると言う事です。
  1. 2015/12/09(水) 15:08:58 |
  2. URL |
  3. 70越えの若者 #-
  4. [ 編集 ]

Re: 分かりづらかったようで

70越えの若者様

コメントありがとうございます。貴殿コメントに対する下名の考えを記したいと思います。
「建屋を覆い」⇒使用済核燃料の取り出しができなくなると思います(http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/removal-reactor/index-j.html
 なにを優先させ、何を後回しするかは極めて困難な問題だと思ってます。最近の議論を見ていると3者三様のような気がします。
 ・安倍出戻り内閣-原発は事故っても「安全」との世論を喚起すること。
 ・東京電力-原発賠償の最小化
 ・福島県-福島に対する不安の払しょく(安全であろうがなかろうが)
なお(=^・^=)はこれ以上の犠牲者を出さないことを願っています。
  1. 2015/12/09(水) 20:50:57 |
  2. URL |
  3. mekenekotama #-
  4. [ 編集 ]

如何にして関心を持続させるか

丁寧な回答有難う御座います。
これ以上の犠牲者を出さない!
まさにその通りであると思います。

今まさに建屋から立ち上る水蒸気が心配で今回投書致しましたが
使用済核燃料の取出しが最優先だと私も思います。
元を断たないといつまでも放射性物質を撒き散らす人災が作った
マシーンを黙らせる事は出来ませんから。
その後で、今回投書したような対策をしっかり取ってもらい今以上の
汚染環境にならないように政府が陣頭指揮を執り復興していくべきだと
考えます。
おっしゃるとおり世論の喚起も重要であると思います。
ニュースで流れないと世論の関心は薄れていきます。
ご紹介頂いたサイトをどれくらいの国民が見ているのでしょうか?
些細な内容でも構わないので毎日何処かでニュースとして流し続ける
事を切に願います。
我々のような企業もあると言うことを御記憶に留めてくだされば幸いです。
  1. 2015/12/10(木) 12:05:28 |
  2. URL |
  3. 70越えの若者 #-
  4. [ 編集 ]

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