福島県伊達地区を中心に生産されているあんぽ柿の出荷が今年もはじまりました(1)。これついてNHKは農協の組合長の言葉として「あんぽ柿は栄養価も高く
健康的です。」と報じていましたが(2)、福島県の事前検査では基準値(3)の倍以上の1キログラム当たり240ベクレルのセシウムが見つかっています(4)。これについて福島の農協は全数検査をしていると主張していますが、検査の正当性を担保するデータは掲載されておらず(5)、およそ安全を担保できる訳ではありません。
福島県は果樹王国と言われますが(5)、果物は福島県全体で採れる訳ではありません。概ね福島県のごく一部の福島盆地に集中しています(6)。

※1(8)の数値データを元に(9)に示す手法で12月1日時点に換算
※2 避難区域は(10)による
※3 福島盆地の範囲は(11)による。
図―1 福島盆地と会津
福島盆地は避難区域に隣接し、原発事故後4年9ヶ月経過した今も大部分が国が除染を必要とする毎時0.23マイクロシーベルト(12)を超えており、避難地域を除けば福島のなかでも汚染が酷い場所です。
以下に各年3-10月の福島盆地の死者数を示します。

※(13)を集計
図ー2 福島盆地の死者数
図ー2に示す通り鼻血は知りませんが(14)、葬式は確実に増えています。原発事故前年と5年目を比較すると、死者数は
原発事故前年 (2010年3-10月) 2,492人
原発事故5年目(2015年3-10月) 2,734人
で約10%増えています。偶然に起こる確率を計算すると1.8%なので偶然とも思えません。一方で、福島盆地に比べれば放射能汚染が少ない会津では
原発事故前年 (2010年3-10月) 2,623人
原発事故5年目(2015年3-10月) 2,672人
で少し増えていますが、統計的な差はありません。
以下に福島盆地での偶然に起こる確率の計算結果を示します。計算方法は(=^・^=)の過去の記事(15)によります。
表―1 偶然に起こる確率の計算結果(死者数)

福島盆地の果物のシーズンは長く6月のサクランボに始まり、モモ⇒ブドウ⇒ナシ⇒リンゴ⇒あんぽ柿と翌年の2月くらいまで続きます(16)。
昨日(12月8日)に福島盆地の果物のフィナレーとなるあんぽ柿の出発式が行われました(1)(17)。

※(18)をキャプチャー
図-3 あんぽ柿を試食して見せる勇気あるリポーター
あんぽ柿は加工再開モデル地区を設定して出荷されるそうですが(17)、以下にモデル地区を示します。

※1(8)の数値データを元に(9)に示す手法で12月1日時点に換算
※2地区は(19)による
図-4 あんぽ柿加工再開モデル地区
図に示す通り福島盆地の中でもセシウム汚染の酷い場所が選ばれています。これでは汚染が心配です。10月の厚生労働省の発表では(4)、基準値(3)の倍以上の1キログラム当たり240ベクレルのセシウムが見つかっています。これについて福島の農協は
「全量検査し、安全性を確認して出荷しています。」
と説明しています(5)。ただし検査は福島原発事故後に開発された簡易検査装置です(20)。当然ながら簡易装置が正常に機能しているかの具体的なデータがなかれば「安全」は担保されません。しかし、福島の農協さんは仕様のみ記載するだけで装置が仕様通りに動作しているかのデータを記載していません(19)。これでは心配です。
以下に福島の農協産が発表したあんぽ柿の簡易検査結果を示します。

※(20)を抜粋・加筆
図―5 あんぽ柿の簡易検査結果
1キログラム当たり25ベクレルを超えた割合は全体の1%程度で、50ベクレルを超えたものはないと主張しています。以下に精密検査結果を示します。

※(4)を集計
図―6 あんぽ柿の精密検査結果(福島盆地)
図に示す通り精密検査では検査50件中の全体の40%に当たる20件が1キログラム当たり25ベクレルを超えています。福島の農協さんの簡易検査と全く合いません。偶然に起こる確率を計算したらほぼ0です。福島あんぽ柿は精密検査より大幅に低くでるデタラメな検査で「安全」され出荷されます。およそ健康的とは思えません。それでもNHKは福島あんぽ柿について農協の組合長の言葉として
「あんぽ柿は栄養価も高く
健康的です。」
と報じていましす(2)。
NHKは「『あんぽ柿』がことしも出荷の最盛期を迎え、伊達市で出荷を祝う式典が行われました。」とも報じていますが、行われたのは「出発式」(1)(17)であって、出荷の最盛期はこの後です。あからさまな「嘘」報道です。
以下にこのような検査結果が偶然に生じる確率の計算結果を示します。
表―2 偶然に起こる確率の計算結果(検査結果)

福島では簡易検査で安全され出荷されているものが別にあります。米です。こちらも簡易検査を担保する精密検査結果は福島県のHPには記載されていません(22)。福島県の発表などから福島産米の全数検査の測定誤差を(=^・^=)なりに推計すると、1キログラム当たり75ベクレル以上になり(23)、およそ基準値の1キログラム当たり100ベクレルに対応できるものではありません。
福島産はいい加減な「全数検査」で安全とされ出荷されます。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
・原発事故後に葬式(死者数)が増えた福島
・セシウム汚染リスクが高くても「健康的」と喧伝される福島産
・精度が疑われる簡易検査で「安全」とされる福島産
これでは福島の方は不安だと思います。
12月に入り福島は冬野菜のシーズンにもなりました。福島を代表する冬野菜に春菊があります。冬春期の福島の春菊は、葉が柔らかく、栄養が豊富でおいしいとされています(24)。福島県は福島産は春菊も含め「安全」だと主張しています(25)。福島県福島市のスーパーのチラシには春菊を含め福島産はありません。

※(26)を引用
※(26)を引用
図―7 福島産が無い福島県福島市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
あんぽ柿全国へ JA伊達みらいで出発式 | 県内ニュース | 福島民報(2)
あんぽ柿の出荷最盛期 - NHK福島県のニュース(3)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(4)
食品中の放射性物質の検査結果について(第950報) |報道発表資料|厚生労働省(5)
冬 | ふくしまの果物 | JA全農福島(6)
果樹王国 - Wikipedia(7)
PDF]くだものづくりがさかんな福島盆地(8)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成26年9月1日~11月7日測定) 平成27年02月13日 (CSV)」
(9)
めげ猫「タマ」の日記 福島避難区域再編3年目―放射線量はこれからどうなる―(10)
区域見直し等について - 福島県ホームページ(11)
福島盆地 - Wikipedia(12)
国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について(13)
福島県の推計人口(平成27年11月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(14)
神戸新聞NEXT|医療ニュース|福島の鼻血「内部被ばくか」 神戸の医師、学会で発表(15)
めげ猫「タマ」の日記 偶然に起こる確率の計算方法について(16)
ベジフルカレンダー - JA伊達みらいのホームページ(17)
伊達であんぽ柿の出発式 産地復興、消費拡大誓う:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet(18)
福島のニュース 福島テレビ(12月8日ひる放送) FTV8(19)
スイッチ20151208 TUFchannel (20)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(12月3週)―デタラメ福島・伊達あんぽ柿検査ー(21)
あんぽ柿検査情報 | 冬 | JA全農福島(22)
水田畑作課 - 福島県ホームページ(23)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(10月)―福島全袋検査はデタラメ満開ー(24)
栄養と美味しさ満点!ふくしまの冬野菜たち! | ふくしま 新発売。(25)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(26)
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- 2015/12/09(水) 19:43:27|
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| コメント:2
以前福島の干し柿を食べて見せた石原大臣最近すがたを見かけませんがお元気なのでしょうか!?
- 2015/12/10(木) 00:09:44 |
- URL |
- ぶぶ #-
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国の基準内って言っても、フクシマ前は0.1~1ベクレルだった訳で、、。
そこを言って初めて、基準がどうなの?という話になるんだよなぁ、、。
- 2015/12/10(木) 01:22:12 |
- URL |
- 武尊43 #mWyI0ZzU
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