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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(12月3週)―去年より高い港湾内シロザケのセシウム濃度―

 福島第一原発汚染水の12月3週(12月14日から20日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、過去最高濃度(新記録)の放射性物質が見つかっています。
 ①事故から4年9ヶ月超、外洋からは放射性物質
 ②港湾の出口にあたる港湾口からは昨年は見つかっていない全ベータが。海側遮水壁の効果は疑問です。
 ③地下水バイパス井戸からは排水基準を超えた放射性物質
 ④海岸付近の井戸からは過去最高濃度の放射性物質
 ⑤サブドレンからとトリチウム放出量は90億ベクレル超
 ⑥去年より高い港湾内シロザケのセシウム濃度

1.事故から4年9ヶ月超、外洋からは放射性物質
 外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。
事故から4年9ヶ月たっても放射性物質や高濃度の汚染魚が見つかる福島第一外洋と近傍
  ※1 (4)(5)(6)(7)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
 図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度

このうち気になったのが5,6号機放水口北側です。以下に推移を示します。
事故から4年9ヶ月経っても下がらい5,6号機放水口北側の放射性物質濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―2 5,6号機放水口北側の放射性物質濃度

 事故から4年9ヶ月以上が経過しましたが下がる気配がありません。

2.港湾口から全ベータ、海側遮水壁の効果は疑問
 港湾内からはもっと高濃度の汚染水が見つかっています。
事故から4年9ヶ月経っても高い濃度の放射性物質が見つかる福島第一港湾内
  ※1 (5)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値  
  ※4  SR90はストロンチウム90を示し採取日は11月中旬
 図―3 福島第一港湾内の放射性物質濃度

10月26日に海側遮水壁の工事が完了しました(9)。NHKはこれで福島第一から海への放射性物質漏れがなくなると大々的な嘘放送を流しました(10)。効果があれば汚染水の流れが悪くなり、全体の汚染水濃度が下がっていいはずです。以下に港湾口の2014年と15年10~12月の全ベータ濃度を示します。
去年は見つからない全ベータが今年は見つかる港湾口
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―4 港湾口の全ベータ濃度

 港湾口は港湾と外洋の境界に当たる場所です。ここでの放射性物質濃度が低減されなれば外洋への流出が防止できたことになりません。図―4に示す通り、海側遮水壁ができる前の2014年は全ベータは見つかっていません。でも海側遮水壁が完成した10月26日以降を見ると全ベータが見つかっています。去年より海側遮水壁が完成した今年の方が全ベータ濃度が高くなっています。現時点では海側遮水壁の効果は見えません。

3.地下水バイパス井戸からは排水基準を超えた放射性物質
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(11)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(12)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(13)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超えた汚染地下水が見つかる地下水バイパスと山側井戸
※1 (12)(13)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―5 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。このうち地下水バイパスNo10井戸のトリチウム、1リットル当たり2,900ベクレルで排水基準を超えています。これについて東京電力は他の井戸から汲み上げた水で薄めて(混ぜて)海に流します(14)。

4.海岸付近の井戸からは過去最高濃度の放射性物質
 東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下に放射性物質濃度を示します。
高濃度の汚染地下水が見つかる海岸付近の井戸
 ※1 (5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 ※4 SR90はストロンチウム90を示し採取日は11月3日
 図―6 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

このうち以降は1リットル当たりでNo1の全ベータの71,000ベクレル、ストロンチウム90の12,000ベクレル、No1-14のトリチウム34,000ベクレル、No2-5の全ベータ23万ベクレル、No3-3のトリチウム3,800ベクレルは過去最高(新記録)です。事故から4年9ヶ月が経過しましたが、海岸付近の井戸は記録更新ラッシュです。No1井戸の放射性物質濃度を示します。
急上昇するNo1井戸の放射性物質濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 SR90はストロンチウム90を示す。
 図―7 No1井戸の放射性物質濃度

 一時は上昇が止まったかにも見えたのですが、再び上昇傾向に転じました。これからが心配です。

5.サブドレンからとトリチウム放出量は90億ベクレル超
 サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(15)。サブドレンの運用は9月3日から始まったので(16)ほぼ3ヶ月が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(17)(18)、濃度×排出量で累積のトリチウム累積の排出量を求めてみました。
90億ベクレルを超えたサブドレンのトリチウム累積排出量
 ※(17)(18)を集計
 図―8 サブドレンの累積排出量

 累積で90億ベクレルを超えました。9月14日にサブドレン汚染水(トリチウム入り)の排水が始まってから96日ですので、概ね1日約1億ベクレルのペースでしょうか?


6.去年より高い港湾内シロザケのセシウム濃度
 図-1に示すように福島第一原発港湾口で採れたシロメバルから1キログラム当たりで基準値(19)の124倍の1キログラム当たり12、400ベクレルのセシウムが見つかりました。福島は安全で福島産を避ける行為は「風評被害」なんて主張がありますが(20)、福島に危険な物があるのは事実です。
 これが今も汚染され続けて起こったのか、過去の汚染を引きずっているのか気になるところです。鮭は回遊性の魚で(21)、福島沿岸にいる時間が少ないので福島で採れた鮭のセシウム濃度をみれば、福島の海が今もお魚を汚染する能力を持っているか無いかが分かると思います。以下に福島第一原発港湾口で採れた鮭のセシウム濃度を示します。
去年より上昇した港湾口の鮭のセシウム濃度
 ※(22)を集計
 図-9 福島第一原発港湾口の鮭のセシウム濃度

 図に示すように港湾口で採れた鮭のセシウム濃度は2014年に比べ15年が高くなっています。数値は1キログラム当たりの値で
  2014年 平均5ベクレル、最大17ベクレル
  2015年 平均8ベクレル、最大24ベクレル
です。福島第一港湾口付近のセシウム汚染能力は昨年に比べパワーアップしています。


<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表①)とこちら(ブログ図表②)を参照ください。
 福島からの報道によると放射線リスクについて、インターネット調査の結果によると、国や県などの情報源が信頼できないとして「放射能」に過度な不安を抱く傾向があるとの報道が流れてきまいた(22)。国や県などの情報源が信頼できないのはこと原発や放射能について言えば当然です。安倍出戻り総理も福島県も原発事故前は原発は安全で事故らないと言っていました(23)(24)。その事に関し事故から4年9ヶ月経ちますが、一切の釈明がありません。まして福島県の野生鳥獣を除く農林水産物の検査は厚生労働省の発表を見ると(25)、福島県農林水産部に所属する福島県農業総合センター(26)が一手に実施しています。ここが過失または故意によって低い値を出す検査を実施してたとしても、これを見つけることが困難です。そして止まる事のない福島第一原発からの汚染水漏れです。これでは福島の方は不安だと思います。
 今年もあと少しとなりました。福島も冬野菜のシーズンだと思います。福島を代表する冬野菜にニラがあるそうです(27)。福島県は福島産ニラは「安全」だと主張しています(28)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産ニラはありません。
他県産はあっても福島産ニラが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(29)を引用
 図―10 福島産ニラが無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(12月2週)―外洋1地点から過去最高のトリチウム―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を12月6日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(2)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング⇒南放水口・排水路」
(7)2015年12月17日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>(PDF 96.2KB)
(8)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(9)2015年10月26日福島第一原子力発電所 海側遮水壁閉合作業完了について(PDF 501KB)
(10)めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘報道―海側遮水壁で汚染流出問題は解決?―
(11)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(12)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(13)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(14)2015年12月16日地下水バイパス揚水井のくみ上げにおける一時貯留タンクに対する評価結果について(PDF 77.7KB)
(15)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(16)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(17)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(18)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(19)食品中の放射性物質への対応|厚生労働省
(20)「おいしい ふくしま いただきます!」キャンペーン - 福島県ホームページ
(21)サケ - Wikipedia
(22)放射線リスクへの心理メカニズム 研究結果を報告 大学教授ら福島で意見交わす | 県内ニュース | 福島民報
(23)安倍晋三 - Wikipedia
(24)福島第一原子力発電所3号機におけるプルサーマル実施に係る安全確認 - 福島県ホームページ
(25)報道発表資料 |厚生労働省
(26)農林水産部 - 福島県ホームページ
(27)栄養と美味しさ満点!ふくしまの冬野菜たち! | ふくしま 新発売。
(28)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(29)ザ・ビッグ 福島大森店のチラシ・特売情報 [クックパッド] スーパーの情報とレシピで賢く節約!
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  1. 2015/12/20(日) 19:41:39|
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