めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島・廃炉工程表4年目、できた事、できない事、遅れた事

 2011年12月21日に福島第一原発の廃炉工程表が示されました(1)。それから4年、できた事、できていない事、遅れた事などを纏めてみたら2015年末までに期限を迎える12項目中で実現できたのは2項目で、このうち予定通りできたのは1項目です。また、基本方針4項目中の3項目は遵守されていません。以下に、(=^・^=)の評価を示します。
 表―1 2015年中に期限を迎える12項目と進捗
 ※1 工程表の表現が曖昧なので1Q,2Q,3Q、4Qとの表記を使用し、それぞれは
  1Q:1-3月
  2Q:4-6月
  3Q:7-9月
  4Q:10-12月
 とします。
 ※2 色分けは進捗によります。
   緑:予定通りできたもの
   青:遅れて実現できたもの
   白:2015年末までに期限を迎えたが実現できていないもの
 ※3(1)(2)等で作成
期限が来ても殆んど終わっていない福島第一廃炉工程

 福島原発事故後の2011年12月16日に福島第一原発は冷温停止に至ったとしてステップ2の完了が宣言されました(3)。そして12月21日に最初の廃炉へ向けての工程表とも言うべき「廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」が示されました(1)。今日(2015年12月21日)で4年になります。そこで、できた事、できない事、遅れたこと事などを(=^・^=)なりに纏めてみました。

1.4つの基本方針のうち3つは遵守されず
 最初の中長期ロードマップでは4つの原則がしめされました。この原則が守られているのか(=^・^=)なりに纏めてみました。
①「地域の皆さまと作業員の安全確保を大前提に、取組を計画的に実現していく。」
 今年も福島第一では下請けさんのトラブルが続発しています。福島第一、第二を合わせ(=^・^=)なりに東電の発表を集計すると17件あり、うち6件で下請けさんが亡くなっています。このうち3件は作業に直接かかわる事故です(4)。これだけ下請けさんのトラブルがあるのに、東電社員様のトラブルを(=^・^=)は知りません。すくなくとも「下請けさん」の「安全確保」はできていません。
②「透明性を確保し、地域や国民の皆さまのご理解をいただきながら進める。」
 およそ「透明性を確保」などできていません。
 2013年7月22日に東京電力は福島第一原発から海への汚染水漏れがいまもつづいていると発表しましたが、資料を見ると相当以前から分かっていたのに発表が遅れたようです(5)。発表したのは参議院選挙(6)の翌日なので、意図を感じた人も多数いたと思います。
 2015年2月24日に福島第一原発構内K排水路から高濃度の放射性物質に汚染らは排水が海に流れ出た旨を発表しました。発表データを見ると2014年4月からあり(7)、御社は10ヶ月以上もこの事実を秘匿していました。
 近々の例としては、サブドレン・地下水ドレンの効果について今年(2015年)12月17日に開催された第28回廃炉・汚染水対策現地調整会議では原子炉やタービン建屋への地下水流入量が減った旨が喧伝されましたが(8)、翌日の12月18日に開かれた第38回特定原子力施設監視・評価検討会では地下水ドレンからくみ上げた水をタービン建屋戻す必要が生じ1日当たり約400トンの汚染水が新たに発生してると発表しました(9)(10)。担当の原子力規制委員会委員には「現状は悪い方にいっている」と評されました(11)。このような朝令暮改ぶりはおよそ透明性があるとは言えません。
③「今後の現場状況や研究開発成果等を踏まえ、継続的に本ロードマップを見直していく。」
 一応、見直しはされているようです(12)。ただし、実現可能なレベルまで見直されているかと言えば(=^・^=)は多いに疑問があります。表―1に示すように2015年末までに期限を迎えた多くの項目が実現できていません。
④「本計画に示す目標達成に向け、東京電力、資源エネルギー庁、原子力安全・保安院は、各々の役割に基づき、連携を図った取組を進めていく。」
 現状では原子力安全・保安院が廃止され原子力規制員会ができたので(13)、現状では「東京電力、資源エネルギー庁、原子力規制委員会は、各々の役割に基づき、連携を図った取組を進めていく」になると思います。この3者が一堂に会し公開されている会議に「特定原子力施設監視・評価検討会 」があります(14)。この議論を聞いていると少なくとも資源エネルギー庁と原子力規制委員会では目指すものが違うようです。
 資源エネルギー庁(安倍出戻り内閣):経済的な損失の最小化
 原子力規制委員会:環境負荷、下請けさん事故、放射能漏れ事故等のリスクの最小化
との印象を持っています。目指す方向が違えば連携は無理でしょう。

2.原子炉の冷却・滞留水処理
 福島第一では原発事故で溶け落ちた核燃料があるあたりに水をかけ冷やし続けています(15)。原子炉やタービン建屋に地下水が侵入したり、廃炉作業で生じた汚染水はそのまま捨てらないので、タービン建屋に戻しています(10)(11)(12)。放置すればあふれるのでタービン建屋から汲み上げ、これをタンクに保管しています(16)。この項目し以下の4つが期限を迎えています。
①格納容器内の部分的観察(当初予定2014年3月末)
 溶け落ちた核燃料(デブリ)に確り水が届き冷やされているか確認する項目だとおもいます。現状は想像であり、確認はできていません。現状も格納容器内を観察する努力は続けられていますが(17)、終了時期は明示されていません。いつ終わるか分からない作業として継続中です。

②水処理施設の信頼性向上(当初予定2013年3月末)
 現状ではタービン建屋からくみ上げた汚染水は「水処理設備」を通し1部は原子炉の冷却に使われ、残りは汚染水タンクに送られます。
福島第一汚染水処理の流れ
 ※(18)を転載
 図―1 福島第一原発の汚染水処理の流れ
 
 水処理設備は度々、汚染水漏れなどのトラブルを起こしています(18)(19)(20)。最近では11月15日にRO淡水化装置から汚染水漏れを起こしています(18)。この装置は高い圧力を汚染水に加えて汚染水から「淡水」を絞り出す装置ですが(19)、高い圧力を加えるので原理的に汚染水漏れを起こしやすい装置です。原発事故後に大急ぎで作られた装置でもあります(18)。でも見直しが行われた様子はありません。

③多核種除去設備(当初予定2012年12月末)
 多核種除去設備は図―1に示す様ように前段の処理設備にはない放射性物質を汚染水と汚染水から分離した廃棄物に分ける装置ですが(20)、トリチウムとウラン238は対象外です(21)。当初の予定では2012年末には完成するはずでした(1)、3年たった2015年末の現在も「試験運転中」(22)で完成はしてません。

④循環ループの縮小(当初予定2013年3月末)
 図-1に示す汚染水処理は1周4km近い配管によってなされています。
brg130328c.gif
 ※(23)にて作成
 図―2 原子炉冷却のための配管引き回し

 これだけ長いとトラブルが心配です。そこでこのループを縮小することが計画されました。当初予定2013年3月末です。期限から3年以上も経過しましたが、縮小はしていません(23)。汚染水タンクが広範囲に広がっているので(23)、それにあわせ汚染水を送る配管は必要です。現状では縮小の見込みはありません。

3.海洋汚染拡大防止
 福島第一原発事故によって、福島の海に大量の放射性物質が流れ込み福島の海を汚染しました。現状も汚染が続いています。福島第一原発の港湾口でとれたシロメバルからは基準値の124倍の1キログラム当たり12,400ベクレルのセシウムが見つかっています(24)。これに関し二つの項目が期限を迎えています。以下に詳細を記載します。
①海側遮水壁(当初予定2014年9月末)
 海側遮水壁は福島第一原子力発電所の1~4号機側の敷地から港湾内に流れている地下水をせき止め、海洋汚染を減らす為に計画されたものです。
海側遮水壁と地下水ドレン
 ※(25)にて作成
 図―3 海側遮水壁の概要 

 当初の完成予定は2014年9月末ですが、完成したのは約1年以上遅れた2015年10月26日です。

②港湾内海水を告示濃度限度未満(当初予定2013年3月末)
 告示限度は実質は排水の放射性物質濃度の上限を規定するものです(26)。ストロンチウム90は1リットル当たり30ベクレルと定められています(27)。全ベータ濃度は概ねストロンチウム90濃度の倍になるので(28)、これを全ベータにに当てはめれば1リットル当たり60ベクレルになります。当初の計画では福島第一港湾内海水の濃度を2013年3月末までに「告示限度未満」にするとの目標が定められました。以下に港湾内の1地点の港湾中央の放射性物質濃度を示します。
海側遮水壁が完成しても告示限度を超えた放射性物質が見つかる港湾中央
 ※1(29)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す。
 図-4 港湾中央の放射性物質濃度

 図に示す通り2015年にも告示限度以上の全ベータが見つかっています。海側遮水壁完成後の2015年11月18日は、1リットル当たりで
  セシウム134  9ベクレル
  セシウム137 41ベクレル
  全ベータ    65ベクレル
(30)と、告示限度を超える全ベータが見つかっています。海側遮水壁が完成しても達成できておらず今後は見通せません。

4.放射性廃棄物管理等
 福島第一原発内の放射性物質を管理して敷地外に放射線が漏れないようにする計画がたてられました。目標として「敷地境界・線量 1mSv/年未満(当初予定2013年3月末)」です。
 福島第一原発から外に漏れる放射線の量を年間で1ミリシーベルト以下にする目標で、当初は2013年3月末を目標としていましたが、現状では敷地境界の放射線量は最大で年1.34ミリシーベルトで達成されていません。達成されるのは2016年3月の見込みだそうです(31)。


5.使用済み核燃料取り出し
 使用済み核燃料プールに放置された使用済み核燃料(32)を取り出す計画で3号(当初予定2014年12月)と3号(当初予定2014年3月)が期限を迎えています。このうち4号機からの使用済み核燃料取り出しは2013年11月に始まり2014年12月に終了し予定より少しだけ早く終わりましたが、3号機では始まっておらず現状の計画では4年以上遅れの2018年3月までには取り出しを始める計画です(5)。計画作成から4年しかたってないのに4年以上の遅れです。

6.燃料デブリの取り出し
 福島第一原発の廃炉作業のマイルストーンの一つは溶け落ちた核燃料、すなわち燃料デブリの取り出しです。いまの所は2018年9月までに取り出し方法を決め、2022年から開始する計画です(5)。これについて3つの準備作業が期限が来ています。以下、詳細に記載します。
①遠隔による除染(当初予定2014年3月末)
 現在も除染が続けられており、終了見込みが明示されていません(33)。
②建屋内アクセス性を確保(当初予定2014年3月末)
 除染が終わらないと実現しないので、見込みは明示されていません(33)。
③原子 炉格納容器漏えい箇所調査(当初予定2014年3月末)
 現状調査が行われているのが原子炉格納容器の側面で(33)、おおきな穴が開いているであろう底(5)の調査計画は明示されていません(33)。いつになったらできるのかは不明だと思います。

<余談>
福島第一原発の廃炉は当初計画に比べて大幅に遅れています。それでもデブリの取り出しは当初計画の2012年からや廃炉期間の30~40年は見直されていません(5)。この通りに行くとはおよそ思えません。これでは福島の方は不安だと思います。
 もうすぐクリスマスです。イチゴケーキを楽しみにしている方も多いと思います。12月に入り福島もイチゴのシーズになりました(34)。福島は全国有数のイチゴの産地であり、福島のイチゴは甘さと酸味のバランスは抜群だそうです(35)。でも福島県相馬市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。
他県産はあっても福島産イチゴが無い福島県相馬市のスーパーのチラシ
 ※(36)を引用
 図―5 福島産イチゴが無い福島県相馬市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県相馬市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)東京電力福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ|TEPCOニュース|東京電力
(2)中長期ロードマップ|東京電力
(3)「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」の進捗状況(12月16日)について|TEPCOニュース|東京電力
(4)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(12月1週)―サブドレン3ヶ月、効果は見えず―
(5)2013年7月22日海側地下水および海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策(PDF 1.43MB)
(6)参議院議員通常選挙 - Wikipedia
(7)2015年2月24日2号機原子炉建屋大物搬入口屋上部の溜まり水調査結果(PDF 960KB)
(8)建屋内流入量1日100トン減 サブドレン計画効果:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(9)第38回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(10)「汚染水」新たに400トン 第1原発、海側遮水壁完成で増加:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(11)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(12月3週)―サブドレン稼働・現状は悪い方にいっている―
(12)東京新聞:核燃料取り出し遅れ 東電追認 実体なき「廃炉工程」鮮明:福島原発事故(TOKYO Web)
(13)原子力規制委員会 (日本) - Wikipedia
(14)特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(15)(2)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2015年11月26日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第24回事務局会議)⇒【資料2】中長期ロードマップの進捗状況(概要版)(14.0MB)」
(16)(2)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2015年11月26日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第24回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(9.14MB)」
(17)2015年10月20日福島第一原子力発電所 3号機原子炉格納容器(PCV)内部調査の実施結果について(速報:10月20日実施分)(PDF 930KB)
(18)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(11月3週)―地下水バイパス止まる―
(19)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月3週)―作業中止もトラブル―
(20)めげ猫「タマ」の日記 勝手に福島原発十大トラブル
(21)汚染水の浄化処理|東京電力
(22)多核種除去設備による除去効果が見込まれる核種(PDF 20.4KB)
(23)福島第一原子力発電所の現況|東京電力中の「滞留水の処理・貯蔵状況」
(24)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(12月3週)―去年より高い港湾内シロザケのセシウム濃度―
(25)海側遮水壁|東京電力
(26)廃液中または排水中の濃度限度 (09-04-02-07) - ATOMICA -
(27)サンプリングによる監視|東京電力
(28)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(29)報道配布資料|東京電力中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(30)2015年11月20日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 681KB)
(31)(9)中の「「資料7 敷地境界における線量評価の現状と年度末に向けた取り組みについて【PDF:2MB】」
(32)燃料取り出し|東京電力
(33)(2)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2015年11月26日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第24回事務局会議)⇒【資料3-3】燃料デブリ取り出し準備(3.86MB)」
(34)ベジフルカレンダー - JA伊達みらいのホームページ
(35)甘酸っぱい幸福感!赤くてかわいい、イチゴ! | ふくしま 新発売。
(36)Webチラシ情報 | フレスコキクチ
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  1. 2015/12/21(月) 19:47:26|
  2. -
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