食品中の放射性物質の検査結果を厚生労働省は発表しています(1)。また、厚労省以外の発表もあります(2)。2015年中の食品中の放射性セシウムの検査結果が発表も終わったので(3)、まとめてみました。お買い物のの参考になればいいかなと思います。昨年に続き今年も昨年に続き、多くのセシウム汚染食品が、一部は市場に流出しています(4)。
①検査数69,538件中433件の基準値超え(全体の1%)
②平均は、1キログラム当たり6ベクレル、最大30,000ベクレル(福島県産イノシシ)。
③基準超の食品が岩手、山形、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、新潟、長野、山梨、静岡で見つかっています。

※1 牛肉を除く
※2 単位については(5)を参照
※3 販売も含む
図―1 食品中の放射性セシウム検査結果のまとめ(2015年)
色分けは以下の通りです。
赤基準超の汚染食品を市場に流出させた県
桃基準超の汚染食品がみつかったが、今年年末時点で出荷制限されていない物がある県。出荷制限品目は(3)による。
橙出荷制限対象外の地域・品目から基準値超えの食品が見つかった県
黄基準値超えの食品が見つかった県
1.福島県、他所で測れば10倍に!
昨年の記事で(=^・^=)は福島産を福島県県外の検査すると値が10倍に跳ね上がる旨の記事を書きました(4)。今年も品目毎の平均値で比較してみました。

※1(1)の2015年発表分を集計
※2 NDは検出限界未満を示す
図-2 福島産の福島県検査と福島県外検査の相関(2015年)
今年も福島産の福島県の検査結果は福島県外の検査の1割程度です。福島産を福島県県外で検査すると10倍になります。
以下に(=^・^=)が昨年作成した2014年の福島産の福島産と福島県外産の相関を示します。同様に平均で比較したものです。

※1(4)を転載
※2 NDは検出限界未満を示す
図―3 福島産の福島県と福島県外の検査結果の比較(2014年)
去年も同じような結果が出ています。
厚生労働省の発表(1)を見ると野生鳥獣を除く福島産農林水産物は福島県農林水産部に所属する福島県農業総合センターで実施されています(7)。中立性を懸念する人もいると思います。一方で加工食品は福島県保健福祉部に所属する福島県衛生研究所(8)が実施しています。以下に今年のハチミツの検査結果を示します。

※1(1)の2015年発表分を集計
※2 NDは検出限界未満を示す
※3 福島県農業総合センターは農業総合センターと福島県衛生研究所は衛生研究所と略す。
図-4 福島産ハチミツの検査結果
ハチミツを加工食品に変更したのでしょうか?福島県衛生研究所に検査が移た感じがします。福島県衛生研究所が検査を実施する前は福島産のハチミツの検査結果は検出限界未満(ND)か1キログラム当たりで10ベクレル以下です。ところが福島県衛生研究所検査した突然に1キログラム当たり69ベクレルです。これとは別に検査した国立医薬品食品衛生研
究所は35ベクレルです。福島県総合センターとの検査結果と全く合いません。
宮城県亘理町は宮城県沿岸部の南部にある町で、福島県境からそう遠くいない所に位置します(9)。以下に宮城県が検査した宮城県亘理町、茨城県が検査した茨城産、福島県が検査した福島産スズキの検査結果を示します。
表ー1 茨城県、宮城県亘理町、福島県のスズキの2015年の検査結果まとめ
(1)を集計

表に示し通り、平均値でみると福島県がこの中で一番低くなっています。検査結果から見ると、汚染源のある福島県の検査結果が周辺(茨城県、宮城県亘理町)より低くなっています。あり得ない話です。
以上を纏めると
①福島産の検査を福島県と福島県外で検査で比較すると、福島県外の検査は福島県の検査の約10倍である。
②野生鳥獣を除く福島県の農林水産を一手に実施いている福島県農林水産部所属の福島農業総合センター以外の検査機関が福島産ハチミツを検査すると、値が突然に跳ね上がる。
③本来であれば汚染源のある福島産スズキの値が周辺に比べ高くなるはずなのに、周辺(宮城県亘理町、茨城県)に比較して福島県の検査結果が低い。
以上の3点は福島産農林水産物の検査を福島県農林水産部に所属し中立性に疑問がある福島県農業総合センターで実施しているが、同センタ―の検査が他に比べ相当に低くでる検査である事で説明がつきます。
以下に図-2の元となった今年(2015年)の福島産の福島県外と検査と福島県の検査のまとめを示します。
表―2 福島産の福島県外検査結果まとめ(2015年発表分)
※(1)を集計

表ー3 福島産の福島県検査結果まとめ(2015年発表分)
※1(1)を集計
※2 あんぽ柿、玄米等の事前スクリーニング検査がある物は除く
※3 ユズは出荷制限のある福島市、伊達市、桑折町、南相馬市およびいわき市を除く4)
※4 大豆は出荷制限のある本宮市を除く(3)

2.突然にセシウム濃度が上がる福島産
福島第一原発では1号機のカバー解体を進めています。カバー解体による放射性物質飛散を心配に答える為でしょうか、福島県では福島第一原発周辺の放射線や放射性物質の状態を
「福島第一原子力発電所1号機建屋カバー解体作業と大気モニタリング結果について」との
表題で掲載しています。
(=^・^=)も心配してデータをチェックしています。福島県産農産物に突然の上昇がないかです。以下に福島県福島市産のユズのセシウム濃度の推移を示します。

※1(11)を転載
※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す。
図-5 福島市産ユズのセシウム濃度
12月に入りぐいぐい上昇です。他に上昇している物も直ぐに見つかりました。以下に福島産乾し椎茸のセシウム濃度を示します。

※1(1)を集計
※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す。
図-6 福島県産乾し椎茸のセシウム濃度
突然に上昇しています。最高の1キログラム当たり74ベクレルを記録したのは福島県南相馬市産の乾し椎茸です(1)。そこで南相馬産のブロッコリーついても調べてみました。

※1(1)を集計
※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す。
図-7 福島県南相馬市産ブロッコリーのセシウム濃度
こちらも突然の上昇です。
今年は福島県南相馬産の稲の葉からセシウムの付着物が見つかったそうです(12)。

※(12)を引用
図-8 2015年産米の稲に付着した放射性物質
これについて福島県は稲の葉についたもので、米に着いたものではないと説明しているようですが(12)、稲の葉に着くなら野菜の葉についてもおかしくありません。以下に南相馬市産キャベツのセシウム濃度示します。

※1(1)を集計
※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す。
図-9 福島県南相馬市産キャベツのセシウム濃度
ブロッコリーと同様に12月に入り急上昇です。
野菜の検査結果を見る限り福島第一原発は今もフォールアウトを継続しており福島の野菜
を汚染しているとしか思えません。
3.セシウム汚染食品を市場に流出させても何もしない産地
図-1に示す様に岩手、福島、茨城、栃木、群馬でセシウム汚染食品を市場に流出させました。産地がその後に確り対応をとり、再発防止に努めてるならそれなに「安心」出来ると思います。でも、何もせずに放置したら危険を感じ不安になるだけです。記事が長くなるのを避けるために、サンプルとして栃木県を例にどのような対応がとられたか検証して見たいと思います。
栃木県がマーケットに流出させたのは栃木県内で販売された天然キノコと全頭検査で安全だとされる栃木県産イノシシです。以下に栃木県産ないし栃木県内で販売された天然キノコのセシウム濃度の推移を示します。

※(1)を集計
図-10 栃木産および栃木県内販売の天然キノコのセシウム濃度
最大で基準値の310倍の1キログラム当たり31,000ベクレルセシウムが見つかっていますが、栃木県内全域で出荷制限されているわけではありません(4)。栃木県産天然キノコは今も出荷可能です。だったら継続的な監視が必要ですが、栃木県の検査は図ー10に示す様に2014年9月を最後に行われていません。そして栃木県外の検査機関(国立医薬品食品衛生研究所)が栃木県内で販売されている天然キノコを今年9月に調べたら最大で基準値(6)の5倍近い1キログラム当たり450ベクレルのセシウムが見つかりました。普通であれば栃木県は追加検査を実施し、基準値超えの天然キノコができそうな場所を特定して出荷制限をかけるべきですが、図―10に示す通り追加検査は実施していません。セシウム汚染食品の垂れ流しを決め込んだようです。
これは福島も同じです。表ー3に示す様に福島も基準値(6)を超える1キログラム当たり102ベクレルのマイタケ粉を市場に流出させました。普通であれば追加の検査を実施して市場に二度と流出したいようにするべきですが、追加検査は実施していません。
福島県西会津町は福島県の西の外れにある町で(14)、同町が実施した土壌のセシウム検査結果(15)を見るとギリギリですが放射能汚染物とそうでない物を区別するクリアランス制度(16)に照らし概ね基準値以下です。一方で福島県福島市の土壌からはクラランス制度に規定される放射能汚染物のしきい値であるセシウム137で1キログラム当たり100ベクレル(16)の300倍以上の1キログラム当たり312、388ベクレルのセシウム137が見つかっています(17)。福島市は西会津町に比べ300倍は汚染されています。以下に福島市と西会津町の切干大根の検査結果を示します。

※1(1)を集計
※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す。
図-11 福島県福島市と西会津町の切干大根のセシウム濃度
福島市産切干大根からは2012年2月に1キログラム当たり3000ベクレルのセシウムが見つかりましたが、それ以降の検査がありません。一方でセシウムが見つかっていない西会津町産の切干大根は継続的に検査されています。なお福島産切干大根の出荷制限はありません(3)。福島は怪しげな物は検査せず、比較的セシウム濃度が低そうな物を検査して、福島産からは基準値超えが見つからなくなった(18)、福島産を避ける行為は「風評被害」と主張しています(19)。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
title="ブログ図表">ブログ図表)を参照ください。
・他所より低くでる検査で安全とされる福島産
・セシウム濃度が上昇する事もある福島産
・セシウム汚染が酷どそうな物を避けた検査で安全とされる福島産
まして8割近い人が福島産を避けている相馬市・南相馬市では原発事故後も葬式(死者数)が増えていないのに、半数以下の郡山市・三春町では葬式は増えています(11)。
クリスマスが過ぎたのですが、福島県内のスーパーのチラシの鶏肉のスペースはあまり変わらない気がします。(=^・^=)なりに調べたら福島のお雑煮には鶏肉を使う事もあるそうです(20)。あと少しでお正月、お雑煮を楽しみにしている方も多いと思います。福島県川俣町の特産品に鶏肉(軍鶏)があるそうです(21)。福島県は福島産鶏肉は「安全」だと主張しています(22)。でも、福島県川俣町のスーパーのチラシには福島産鶏肉はありません。

※(23)を引用
図-12 福島産鶏肉が無い福島県川俣町のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県川俣町の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
報道発表資料 |厚生労働省(2)
モニタリング検査結果【詳細】 - 福島県ホームページ(3)
食品中の放射性物質の検査結果について(第962報) |報道発表資料|厚生労働省(4)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(2014年)―福島産は他で測れば10倍に!ー(5)
めげ猫「タマ」の日記 ベクレルとシーベルト(6)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(7)
林水産部 - 福島県ホームページ(8)
保健福祉部 - 福島県ホームページ(9)
町の概要 - わたりちょう - 宮城県亘理郡亘理町公式サイト(10)
福島第一原子力発電所1号機建屋カバー解体作業と大気モニタリング結果について - 福島県ホームページ(11)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(12月)―たった1件の検査で安心・安全、福島の冬野菜―(12)
南相馬市産米に係る放射性物質モニタリング結果 - 福島県ホームページ(13)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(10月1週)―基準超え栃木産が売られている―(14)
西会津町 - Wikipedia(15)
[PDF]農林産物緊急モニタリング検査結果(西会津町独自調査分)(16)
日本のクリアランス制度 (11-03-04-10) - ATOMICA -(17)
PDF]土壌の核種分析結果(セシウム134、137)について (PDF:315KB(18)
ふくしま復興のあゆみ - 福島県ホームページ中の「・ 第13版 平成27年11月16日発行 [PDFファイル/7.93MB]」
(19)
「おいしい ふくしま いただきます!」キャンペーン - 福島県ホームページ(20)
福島県風お雑煮 by Miranda* [クックパッド] 簡単おいしい ...(21)
川俣シャモ - Wikipedia(22)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(23)
チラシ情報 | スーパーマーケットいちい
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- 2015/12/30(水) 19:46:58|
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