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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

トラブルいっぱい福島原発(1月2週)―ALPS停止まで130日―

 東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづ

き(1)、1月2週(1月3日から9日)もしっかりトラブルが起こっています。東京電力の会見を聞いていると福島第一の廃炉作業は1月4日から始動したようです(2)。そしたら早速のトラブルです。2016年の福島第一もトラブルが続発しそうな予感がします。

1.新年早々油漏れ
 2016年1月6日に、5号機残留熱除去海水系Aポンプの潤滑油循環運転を実施していた下請けさんが、ポンプ軸受部より潤滑油が漏れているのを見つけました。直ちに潤滑油ポンプを止めたとのことです(3)。


2.ALPS停止まで130日
 海側遮水壁は福島第一原子力発電所の1~4号機側の敷地から港湾内に流れている地下水をせき止め、海洋汚染を減らす為に設けらもので、2015年10月26日に完成しました(6)。
海側遮水壁と地下水ドレン
 ※(7)にて作成
 図―1 海側遮水壁の概要

 海側遮水壁に汚染水が流れ込み一杯になってしまったので、11月5日から海側遮水壁内側の汚染水の汲みあげをはじめました(7)。当初の予定では汲み上げた汚染水は浄化装置を通した後で、海に流すはずでした(7)(8)。以下にくみ上げた汚染水のトリチウム濃度を示します。
排水基準を大きく超えて推移する地下水ドレンのトリチウム濃度
 ※(9)~(13)で作成
 図-2 地下水ドレンのトリチウム濃度

 概ね1リットル当たり5,000~6,000ベクレル程度で推移しています。海側遮水壁内側からくみ上げた汚染水を浄化装置を通し海に廃棄する一連の系を東京電力は地下水ドレンと命名していますが(8)、排水基準は1リットル当たり1,500ベクレル(14)で大きく超えています。東京電力はトリチウムは浄化できないと明言していますので(8)、昨年11月初に地下水ドレンからの汲みあげを開始したのですが、海に捨てる事ができずタービン建屋に戻しているのが実態です(15)。
 以下にA,B,Cの3系統の配置を示します。
地下水ドレンの配置
 ※(9)にて作成
 図-3 地下水ドレンの井戸と一時保管用のタンク

 以下に福島第一の汚染水の流れを示します。福島第一でタービン建屋からくみ上げた汚染水を幾つかの処理装置で放射性物質を荒どりして最終的に「処理水」としてタンクに保管されます。
福島第一汚染水処理の流れ
 ※(16)(17)(18)にて作成
 図―4 福島第一原発の汚染水処理の流れ

汚染水は日々増え続け、これに合わせて汚染水タンクを作り続ける必要があります。ところが昨年11月に汚染水タンクの増設が大幅に遅れるとの発表がありました(19)。12月にはさらに遅れるとの発表がありました(6)。
 以下に汚染水の増加量の推移を示します。
地下水ドレン汲み上げ開始後に増えた汚染水増加量
 ※(20)を集計
 図-5 福島第一の汚染水増加量

 地下水ドレン始動後に増えています。地下水ドレン始動後の平均を取ると1日当たり約600立方メートルです。汚染水の増加が加速したのに、汚染水タンクの増設が遅れては汚染水タンクは持ちません。
 最終段の処理水について
  満水率を「汚染水保管容量÷汚染水タンク容量」
と規定し、推移を示します。
96から98%で推移する処理水タンク満水率
 ※(20)を集計
 図ー6 福島第一の「処理水タンク」の満水率

 この所、約96~98%で推移しています。ここからは(=^・^=)の想像ですが、東電はこれが限度だと判断していると思います。タンクを満タンにすると地震などで生じるスロッシング(容器内の液体が外部からの比較的長周期な振動によって揺動すること。)でタンクから液体が漏れ出すことが知られています(18)。安全にくみ上げた汚染水を保管するにはある程度の「空」が必要です。 
  東京電力の会見を聞いていたら(21)、地下水ドレンの汲みあげで汚染水の総量が加速している問題の解決策として、サブドレンの汲みあげを強化して海側遮水側への地下水を抑える旨の発言がありました。そんなことが可能か(=^・^=)なりに調べてみました。
サブドレン水位に近いタービン建屋水位
 ※1(7)(20)にて作成
 ※2 色違いは観測場所の違い
 図-7 海側サブドレンとタービン建屋水位

 タービン建屋の水位は上昇していますが、サブドレンの水位は下がっています。サブドレンの最低水位とタービン建屋の最大水位の差は1m程度でしょうか?タービン建屋周辺の地下水位がタービン建屋の水位より低くなるとタービン建屋の汚染水が漏れ出すのでだんだん下げるのは難しい状況になっていると思います。また凍土壁で海側遮水への汚染地下水の流れを遮り増加量を減らすとも主張していますが(22)、原子力規制委員会は慎重な姿勢を崩しておらずいつ実現するかは不透明です(23)。
このままズルズル行くと思います。やがてタンクの増設量が汚染水の増加量に追い付かない日がやっています。以下に(=^・^=)の見積もりを示します。
5月中旬にはタンク容量をオーバーしそうな処理水容量
 ※1(7)(20)にて作成
 ※2タンク容量は処理水のみで増えてるので増設タンクは処理水タンクとなることを想定
 ※3 水量・見込は汚染水が今後も同様の増え方をしたと仮定した時の汚染水量の見込みを示す
 ※4 容量・見込みはタンク増設計画(20)から想定される処理水タンクの容量 
 図-8 処理水タンク容量と汚染水量の見込み

 現状のままですと、5月中旬には処理水の量がタンク容量を上回りこれ以上の処理ができなくなります。あと130日で多核種除去設備(ALPS)は止まります。


<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
トラブル続きの福島原発!これでは福島の方は不安だと思います。福島県の地方紙の福島民報は1月8日に、
「東京電力福島第一原発事故に伴うコメの放射性物質全量全袋検査で、(福島)県が昨年末までに調べた平成27年産米約1030万点全てが食品衛生法の基準値(1キロ当たり放射性セシウム100ベクレル)を下回った。」
と報じていました(24)。
福島産米に基準超は無いと一面トップで報じる福島民報
 ※(25)を引用
 図-9 福島産米から基準超が無かったと1面トップで報じる福島の地方紙の福島民報

 ところが2015年10月20日に「福島・西郷産玄米 基準超セシウム」との記事を河北新報が配信しています(26)。該当する福島県の発表をみると(28)、検査で基準超のセシウムが見つかったので当該の玄米を洗いセシウムを落として検査をしたら基準値以下との内容です。これを基準値以下と言えるか?(=^・^=)は疑問です。しかも洗えば、お米は水膨れしてセシウム濃度も下がります。さらには昨年7月には福島県の検査で基準値を超える玄米が見つかっており(29)、現時点でのかかる報道が昨年の例に照らし意味があるのか不明です。それ以前に根拠となっているのが「全数全袋検査」の結果です(24)。コメの全袋検査などは世界に例を見ないものです(30)。だとしたら従前の精密検査結果を比較して、検査の妥当性が確認されて初めて信頼できる検査となり得るのであって、データの提示が無ければ単なるおまじないです。(=^・^=)はこのようなデータを5年間探し続けていますが、見つける事が出来ません。福島県の担当課のHP(31)にも掲載されておらず、データを有無は別にして「公表」はされていないと思います。さらには福島県データを分析すると誤差が大きくまとなな検査とは言えないと(=^・^=)は考えています(32)。ひらた病院が福島県郡山市と同市に隣接する三春町、いわき市、相馬市と同市に隣接する南相馬市について福島産米や野菜をどの程度方が避けているかのアンケート結果を発表しました。これと葬式(死者)数の増加を比べると以下のような図になりました。
福島米を避ける割合が少ない程に葬式(死者数)が増えている福島県
 ※(33)を転載
 図ー10 福島産を避ける割合と死者数の増加率

福島の皆様のご判断が気になります。福島県二本松市産米の全袋検査数は30万袋を超えました(34)。二本松市近辺のお米は「お天道様」に育まれたやさしい米だそうです(35)。国はお米を含め福島産は安全だと主張しています(36)
。でも福島県二本松市のスーパーのチラシにはコメ(37)も含め福島産はありません。
他県産はあっても福島産が無い福島県二本松市のスーパーのチラシ
 ※(38)を引用
 図―11 福島産が無い福島県二本松市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県二本松市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(1月1週)―福島第一にキツネ―
(2)【2016年1月4日】東京電力 記者会見 - 2016/01/04 17:30開始 - ニコニコ生放送
(3)2016年1月6日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】
(4)<省略>
(5)中長期ロードマップ|東京電力
(6)(5)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2015年12月24日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第25回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(14.6MB)」
(7)海側遮水壁|東京電力
(8)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(9)2015年12月7日サブドレン他浄化施設中継タンク分析結果(~2015年9月30日採取分)(PDF 360KB)
(10)015年12月7日サブドレン他浄化施設中継タンク分析結果(2015年10月1日~11月4日採取分)(PDF 360KB)
(11)2015年12月7日サブドレン他浄化施設中継タンク分析結果(2015年11月5日~12月2日採取分)(PDF 360KB)
(12)福島第一原子力発電所における日々の放射性物質の分析結果(2015年12月)|東京電力中の「地下水⇒12月11日、18日および24日」
(13)福島第一原子力発電所における日々の放射性物質の分析結果|東京電力>中の「地下水⇒1月7日、1月8日」
(14)サンプリングによる監視|東京電力
(15)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(12月3週)―サブドレン稼働・現状は悪い方にいっている―
(16)汚染水対策の主な取り組み|東京電力
(17)原子炉の安定化|東京電力
(18)めげ猫「タマ」の日記 SR処理水について
(19)(5)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2015年11月26日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第24回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(14.6MB)」
(20)プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(21)【12月24日】東京電力「中長期ロードマップの進捗状況」に関する記者会見 - 2015/12/24 18:00開始 - ニコニコ生放送
(22)第38回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(23)凍土壁工事、2月末にも完了 東電、運用開始時期は不透明:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(24)27年産米基準超ゼロ 県、ブランド再興目指す 放射性物質検査 | 県内ニュース | 福島民報
(25)福島民報を1月9日に閲覧
(26)福島・西郷産玄米 基準超セシウム河北新報-2015/10/19
(27)全量全袋検査の検査結果 - 福島県ホームページ
(28)(27)中の「•平成27年10月19日公表 [PDFファイル/47KB]  」
(29)(27)中の「•平成27年7月9日公表 [PDFファイル/55KB]  」
(30)水田畑作課 - 福島県ホームページ
(31)めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(10月1週)―基準超え栃木産が売られている―
(32)めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(10月)―福島全袋検査はデタラメ満開ー
(33)めげ猫「タマ」の日記 「福島米」避けていないと所では葬式が9%増、避けた所は増えていない。―原発事故5年目―
(34)ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報を1月9日に閲覧
(35)特産物 - JAみちのく安達-食と農を結ぶJAづくり 福島県二本松市・本宮市・大玉村の農業協同組合
(36)福島県産の食品の安全性について -首相官邸ホームページ-
(37)あさひの夢 | とちぎのお米 | JA全農とちぎ
(38)店舗・チラシ検索|ベイシア beisia 豊かな暮らしのパートナー
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  1. 2016/01/09(土) 19:44:18|
  2. -
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

栃木県産の米?喰わない。那須連山は汚染塗れ、、。水は高きから低きへ流れる。
汚染水タンクの数位。
危険値から安全値へ行ったり来たり♪
そ~っと流したり♪
  1. 2016/01/09(土) 23:53:31 |
  2. URL |
  3. 武尊43 #-
  4. [ 編集 ]

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