福島第一原発汚染水の1月2週(1月3日から1月11日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、高濃度の放射性物質が見つかっています。
①事故から4年10ヶ月超、外洋からは放射性物質
②港湾口からは前年同時期には見つからない全ベータ
③地下水バイパス上流井戸からは排水基準を超えた放射性物質
④海岸付近の井戸からは今週も過去最高
⑤サブドレンからとトリチウム放出量は108億ベクレル突破
1.事故から4年10ヶ月超、外洋からは放射性物質
事故から4年10ヶ月になりました。事故当時中学3年生だった子供達は今日(1月11日)が成人式です。時間が経ても外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。

※1 (4)(5)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(6)
図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度
このうち気になったのがの南放水口付近の放射性物質濃度です。以下に推移を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す。
図―2 南放水口付近の放射性物質濃度
図に示すとおり、原発事故から4年10ヶ月を過ぎても低下の兆しがありません。
2.港湾口からは前年同時期には見つからない全ベータ
港湾内からはもっと高濃度の汚染水が見つかっています。

※1 (5)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は2015年11月30日
図―3 福島第一港湾内の放射性物質濃度
10月26日に海側遮水壁の工事が完了しました(7)。東京電力はこの効果で港湾内の放射性物質濃度は下がったと主張しています(8)。効果があれば汚染水の流れが悪くなり、全体の汚染水濃度が下がっていいはずです。以下に港湾口の2014年と15年10からの全ベータ濃度を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す。
図―4 港湾口の全ベータ濃度
港湾口は港湾と外洋の境界に当たる場所です。ここでの放射性物質濃度が低減されなれば外洋への流出が防止できたことになりません。図―4に示す通り、海側遮水壁ができる前の1年前は全ベータは見つかっていません。でも海側遮水壁が完成した2015年10月26日以降を見ると全ベータが見つかっています。一昨年末より海側遮水壁が完成した昨年末の方が全ベータ濃度が高くなっています。現時点では海側遮水壁の効果は見えません。
3.地下水バイパス上流井戸からは排水基準を超えた放射性物質
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(9)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(10)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(12)。以下に放射性物質濃度を示します。

※1 (10)(11)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―5 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
全ベータ 5ベクレル
トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。このうち気になるがE-1井戸です。

※(10)を集計
図―6 E-1井戸の放射性物質濃度
全ベータ、トリチウムともこの一ヶ月の間は上昇傾向が続いています。この先が心配です。
4.海岸付近の井戸からは今週も過去最高
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下に今週、最高濃度(新記録)の放射性物質が見つかった井戸の位置を示します。

※1 (5)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―7 海岸付近の井戸の放射性物質濃度
このうち以降は1リットル当たりの値でNo1-14の51,000ベクレル、No3-4のトリチウム3,800ベクレルは過去最高(新記録)です。事故から4年10ヶ月が経過しましたが、海岸付近の井戸は先週に続き(1)、今週も記録更新です。汚染水流出はますます酷くなっています。以下にNo1-14井戸の全ベータ濃度を示します。

※(5)を集計
図―8 No1-14井戸の全ベータ濃度
10月末位から上昇に転じ、止まる気配がありません。これからも上昇が続きそうです。
5.サブドレンからとトリチウム放出量は108億ベクレル突破
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(12)。サブドレンの運用は9月3日から始まったので(13)ほぼ3ヶ月半が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(14)(15)、濃度×排出量で累積のトリチウム累積の排出量を求めてみました。

※(14)(15)を集計
図―9 サブドレンの累積排出量
累積で108億ベクレルを突破しました。9月14日にサブドレン汚染水(トリチウム入り)の排水が始まってから年末までで119日ですので、概ね1日約1億ベクレルのペースでしょうか?
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表①)をこちらを(
ブログ図表②)参照ください。
原発事故から6年目になりました。福島第一の汚染水漏れはますます酷くなっているようです。これでは福島の方は不安だと思います。
福島県は全国有数のイチゴの産地だそうです。その中でいわき市はイチゴ栽培が盛んな場所だそうえす(16)。福島県いわき市ではイチゴ園が開園しいます(17)。福島県いわき市はイチゴの季節です。福島県は福島産について「食の安全・安心を確保するため、生産、製造・加工、流通、消費の各段階において、食品中の放射性物質検査を実施しています。」と主張しています(18)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産イチゴがありません。

※(19)を引用
図―10 福島産がイチゴが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(1月1週)―海岸付近の井戸は新記録ラッシュ―(2)
サンプリングによる監視|東京電力(3)
報道配布資料|東京電力(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を12月27日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
2015年10月26日福島第一原子力発電所 海側遮水壁閉合作業完了について(PDF 501KB)(8)
中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2015年12月24日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第25回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(14.6MB)」
(9)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(10)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(11)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(12)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力(13)
(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力(14)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(15)
集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力(16)
甘酸っぱい幸福感!赤くてかわいい、イチゴ! | ふくしま 新発売。(17)
暖かい温室でいちご狩りを楽しもう!2015-16 | いわき市 観光情報サイト(18)
食の安全に関する取組 - ふくしま復興ステーション - 福島県ホームページ
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- 2016/01/11(月) 20:04:13|
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