過去の記事で、長期の放射線量率の計算方法を書くといってながら、書かなかったので今日は書きたいと思います。
計算式は12月1日の空間線量率をSとして、12月1日よりt年後の空間線量率S(t)は
S(t) ≒S×(0.67×0.5
(t/2.06)+0.33×0.5
(t/30.2))
です。
導き方は以下の通りです。
現在(2011年12月)現在の主要な放射線源はセシウム134と137だと思います。セシウム134と137の空間線量率にたいする換算係数があります。値は以下の通りです(1)
Cs-134 半減期2.06年 換算係数 5.4[μSv/h]/[MBq/m
2]
Cs-137 半減期30.2 年 換算係数2.1[μSv/h]/[MBq/m
2]
セシウム134換算係数5.4とは、1平方メートル当たり100万ベクレルのセシウム134があると5.4μSv/hの放射線量率になります。現在のセシウム134、137の濃度を、D4およびD7とすると、t年後の放射性セシウム134および137の濃度は、半減期から
D4(t)=D4×0.5
(t/2.06) D7(t)=D7×0.5
(t/30.2)になります。するとt年後の空間線量率はS(t)は
S(t)=5.4×D4(t)+2.1×D7(t)
=5.4×D4×0.5
(t/2.06)+2.1×D7×0.5
(t/30.2)になります。ところで、D4とD7はどう決めれば良いでしょうか。セシウム134と137の割合は場所によらず一定しています。セシウム134も137も同じセシウムの同位体です。「同位体<略>の電子状態はほぼ同じであり、化学的性質は似ている。」そうです(2)だから、割合はそれほど変わりません。たとえば、横浜市の北部下水道センターで汚泥焼却灰はら、12月1日にセシウム134が1、242ベクレル/kg,セシウム137が1571ベクレル/kg見つかっています。セシウム137を1とするとセシウム134の割合は0.79です。一方、12月5日に発表された群馬県産の干しシイタケのセシウム134の濃度は1259ベクレル/kg,セシウム137の濃度は1608ベクレル/kgで、セシウム137を1とするとセシウム134の割合は約0.78で、横浜の焼却灰と殆ど変りありません。12月1日では、ほぼ
D4=0.8×D7
です。したがって12月1日を基準にすれば
S(t)=5.4×0.8×D7×0.5
(t/2.06)+2.1×D7×0.5
(t/30.2) =4.3×D7×0.5
(t/2.06)+2.1×D7×0.5
(t/30.2) =D7×(4.3×0.5
(t/2.06)+2.1×0.5
(t/30.2))
になります。12月1日の空間線量率をSとすれば
S=D7×(4.3+2.1)=D7×6.4
になります。すなわち
D7=S/6.4
です。以上より
S(t)=(S÷6.4)×(4.3×0.5
(t/2.06)+2.1×0.5
(t/30.2))
≒S×(0.67×0.5
(t/2.06)+0.33×0.5
(t/30.2))
です。Sは場所によって違いますが2011年12月1日の放射線量がわかれば計算できます。今後の空間放射線量率は、以下の表の値をかければ計算できると思います。
―表 今後の空間線線量率減衰表ー

もし、あたの住む場所の12月1日の空間放射線量率が1.2マイクロシーベルト/時なら、2021年1月の空間放射線量率は、1.2マイクロシーベルト/時×0.299(表の2021年1月の値)=0.36マイクロシーベルト/時になります。
-参考にしたサイト様―
(1)
空間線量率の計算(2)
横浜市 環境創造局 放射性物質を含有する下水汚泥(3)
食品中の放射性物質の検査結果について(第264報)
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- 2011/12/10(土) 21:49:58|
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