福島県漁連がこれまで禁漁にしていた福島第一原発20km圏内のうち半径10km~20kmの範囲の漁を決めたそうです(1)。大丈夫ですかね?
福島第一原発事故によって福島の海は放射性物質に汚染されました(2)。以下に港湾と外洋の境となる「港湾口」の放射性物質濃度の推移を示します。

※(4)を集計
図-1 港湾口の放射性物質濃度
事故から5年近く経過した現時点でも全ベータやセシウム等が見つかっており、今も外洋への放射性物質の流出は続いています。
福島の海洋汚染が福島のお魚にも大きなダメージを与えました。2014年1月には福島県沖で捕れたクロダイから基準値(5)の124倍に当たる1キログラム当たり12,400ベクレルのセシウムが見つかったとの発表がありました(6)。
このため福島県の漁師さんは魚種や海域を限定し彼らが安全と考える海域や魚種を決め漁をしています(7)。1月27日にこれまでこれまで禁漁にしていた福島第一原発20km圏内のうち半径10km~20kmの範囲の漁を決めたそうです(1)。

※(8)を1月28日に閲覧
図-2 試験操業の海域拡大を1面トップで報じる福島県の地方紙・福島民報
福島原発事故から時間が経過し福島の海が「安全」になって禁漁範囲を狭めることができたら大変に嬉しいこです。でも東京電力の救済の為に強引に(9)狭めたのなら大変に怖いことです。そこでどちらかか(=^・^=)なりに検証してみました。
禁漁範囲を狭めた理由は以下の2つだそうです。
①福島第一原発の海側遮水壁が完成し、第一原発港内と原発から半径20キロ以内の海水の放射性物質濃度が低下傾向にある。
②県や東電が行っている魚介類の放射性セシウムの調査結果で、食品衛生法で定める基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回っている。
だそうです(1)。
海側遮水壁は福島第一原発のタービン建屋東側海岸に汚染水が海に流れるのを堰き止める為の壁で、昨年の10月26日に完成しました(10)。以下に配置を示します。

※(11)(12)とGoogle Mapで作成
図-3 海側遮水壁、港湾口とK排水路
東京電力は海側遮水壁完成後に港湾内海水の放射性物質濃度が下がった旨を強調しています。でも図―1に示すように港湾と外洋の境界に当たる「港湾口」では放射性物質濃度は下がっていません。海側遮水壁をバイパスして汚染水が海に流れ出しているか、別の汚染源があるかです。以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。

※1(13)を集計
※2 NDは検出限外未満を示します。
図-4 K排水路の放射性物質濃度
ときどきピークが経ちます。以下に降水量とK排水路のセシウム濃度を示します。

※1(13)を集計
※2 NDは検出限外未満を示します。
図-5 K排水路の降水量とセシウム濃度
雨が降ると、放射性物質が流される為と思いますが突然に上昇しています。最近ですと1月18日に60ミリの雨がふりました。そしたら、1リットル当たりの値で
1月17日 セシウム32.4ベクレル、全ベータ28ベクレル
1月18日 セシウム170ベクレル、全ベータ240ベクレル
1月19日 セシウム20.4ベクレル、全ベータ41ベクレル
で(11)、1月18日に突然の上昇があります。海洋汚染がきになるのでしが、その日は「採水中止」になりデータがありません。これではK排水路の影響が評価できず「海水の放射性物質濃度が低下傾向にある」とは言えません。データが無いので分からないが正解です。無論、作業は「安全」が最優先です。雨等により作業が安全にできないと判断すれば採水などの作業を中止するのは絶対に守らなければならないルールです。
福島のローカルTV局のFCTは、福島第一原発沖20km圏内で捕れた2015年の魚の検査結果として
検出限界未満が89.5%
と報じていました。

※(14)をキャプチャー
図-6 福島第一原発20km圏内でも「検出限界未満が89.5%」と報じる福島のローカルTV局(FCT)
東京電力は福島第一原発20km圏内で採れたお魚の検査結果を発表しています(15)。これを集計すると
検査1064件中、約半数の517件でセシウム
が見つかっており
「検出限界未満が89.5%」
なんて事はありません。基準超えも6件ありました。実際は下がっていないのに下がったと報じている感じです。
もっと心配な事があります。以下に福島第一原発20km圏内で採れた鮫類のセシウム濃度を示します。

※1(15)を集計
※2 NDは検出限外未満を示します。
図-7 福島第一原発20km圏内で採れた鮫類のセシウム濃度
昨年5月以前は殆どが検出限界未満で、高くても1キログラム当たり10ベクレル程度でした。それが徐々に上昇し9月には基準値を超える1キログラム当たり110ベクレルのセシウムが見つかっています。図に示す様にその後も高い値が続いています。福島第一原発20kmのお魚のセシウム濃度は安定しておらず、たとえ一時的に大部分が検出限界未満だとしても、上昇し基準値超えを起こす可能性を残しています。
以下に港湾内のアイナメのセシウム濃度を示します。

※(16)を集計
図ー8 福島第一港湾内アイナメのセシウム濃度
1キログラム当たり1000ベクレル程度で推移しています。アイナメは成長に伴い深場へ移動する個体が出現するそうです(17)。福島第一の港湾から深場にアイナメが移動し、1キログラム当たり1000ベクレルのアイナメが現れるかもしれません。およそ
「県や東電が行っている魚介類の放射性セシウムの調査結果で、食品衛生法で定める基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回っている。」
等と言える状態ではありません。
今回の禁漁域の削減は福島原発事故から時間が経過し福島の海が「安全」になったからではなく、東京電力の救済の為に強引に行われたとゆうのが(=^・^=)の結論です。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
福島では「安全」とは到底言えないのに「安全」とされ福島原発事故の幕引きが進められている気がします(18)。これでは福島の方はは不安だと思います。
福島県二本松市のお米の全数全袋検査数が30万袋を超えました(19)。二本松市の人口は56,962人なので(20)、十分な量です。二本松市辺りのお米は「『お天道様』に育まれたやさしい米」だそうです(21)。福島県は福島産米は全数検査されており「安全」だと主張しています(22)。テレビCMも流しています(23)。でも福島県二本松市のスーパーのチラシにはお米を含め福島産がありません。

※(23)を引用
図―9 福島産が無い福島県二本松市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県二本松市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
県漁連、試験操業海域拡大へ 原発半径10~20キロ 来月、魚種や漁法決定 | 県内ニュース | 福島民報(2)
東京新聞:海洋汚染、収束せず 福島第一 本紙調査でセシウム検出:福島原発事故(TOKYO Web)(3)
報道配布資料|東京電力(4)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結 」
(5)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(6)
260110|プレスリリース|水産総合研究センター(7)
福島県における魚介類の試験操業に関するポータルサイトです(8)
福島民報(9)
めげ猫「タマ」の日記 福島産食べて応援 東京電力(10)
海側遮水壁|東京電力(11)
2016年1月26日福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて (12)
"2016年1月19日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 606KB(13)(3)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて」
(14)
ダイジェスト動画|ゴジてれ Chu!|福島中央テレビ中の「2016年1月27日(水)放送」
(15)(3)中の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所20km圏内海域>(同所港湾内を除く)」
(16)(3)中の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>」
(17)
魚の移動が放射性セシウム濃度に及ぼす影響について 福島県水産試験場 水産資源部(18)
めげ猫「タマ」の日記 南相馬、葛尾、川俣の避難指示の年内解除―戻ったら200mSv被ばくする―(19)
ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報を1月28日に閲覧
(20)
二本松市ウェブサイト トップページ(21)
天日乾燥 福島コシヒカリ - JAみちのく安達-食と農を結ぶJAづくり 福島県二本松市・本宮市・大玉村の農業協同組合(22)
水田畑作課 - 福島県ホームページ(23)
TVCM ふくしまプライド。 「天のつぶ」 篇 | ふくしま 新発売。(24)
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- 2016/01/28(木) 19:46:13|
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