めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

南相馬市10周年―未来は暗い―

 福島県南相馬市が10周年の記念式典を1月30日に実施しました(1)。お祝いしたいのですが、未来は暗そうです。
 福島県南相馬市は福島県沿岸部(浜通り)北部に人口57,733人、面積398.58km²の市で 2006年1月1日に:原町市および相馬郡小高町・鹿島町が合併し、南相馬市が誕生しました(2)(3)。10周年を記念して、記念式典が1月30日に行われました(1)。
福島県南相馬市
 ※1(4)の数値データを元に(5)に示す手法で2月1日時点に換算
 ※2 避難区域は(6)による
 図―1 福島県南相馬市

 以下に市内の放射線量分布と津波浸水域を示します。
避難地域に囲まれた南相馬市
 ※1(4)の数値データを元に(5)に示す手法で2月1日時点に換算
 ※2 避難区域は(6)による
 ※3 津波浸水域は(7)による。
 図-2 南相馬市の放射能汚染状況と津波浸水域

 東側の沿岸部は津波に襲われ631名の死者と7名の行方不明者を出しました(7)。西側や南側は放射能に汚染されて「避難区域」になりました。また町の大部分は、緊急時避難準備区域等の避難区域に指定されました。2011年の経緯を纏めると以下の通りでしょうか?
 3月11日 震災・沿岸部が津波被害、交通網遮断(現時点でも常磐線などは部分的運転)
 3月12日 1号機爆発、20km圏内(南相馬市南部も該当)に避難指示(6)(8)
 3月15日 2号機白煙、30km圏内(南相馬市中部も該当)に屋内退避指示(6)(8)
 3月22日 屋内退避指示区域を緊急時避難準備区域(事実上の避難区域)に変更、放射線量の高い西部に「計画的避難区域」設定(6)
 9月30日 緊急時避難準備区域解除(現時点での他の避難区域は継続)(6)

以下に南相馬市の当初予算・決算額を示します。
原発事故に急増した福島県南相馬市の歳出額
 ※1(9)(10)にて作成
 ※2 決算額は歳出
 図-3 南相馬市の予算・決算額

2011年以降は歳出が急増し復興が急がれたと思います。2013年に福島では現職の首長が選挙で次々と落選する「現職落選ドミノ」と呼ばれる現象が起きました。5市(郡山市、いわき市、福島市、二本松市、相馬市)で市長選挙が行われ現職が当選したのは相馬市だけした(11)。ただし相馬市の市長選も僅差(現職9,385票(当)、新人9,110(落)、 275票差)です(12)。2014年の最初の市長選挙は南相馬市でした(13)。この選挙で
 現職 17,123票(当選)
 元職 10,985票(落選)
で(13)、次点の元職の方に圧倒的な差で破り、現職落選ドミノに止めた感じです(11)。一応は「復興」は市民の信任を得たのでしょう?この時に市長は
「南相馬のなりわいを成り立たせる使命を再びいただいた。」
と話したそうです。だとすると使命は果たせないようです。以下に国勢調査時点の人口を示します。
激減した南相馬市の人口
 ※(2)(3)を集計
 図-4 福島県南相馬市の人口(国勢調査)

 原発事故以前から南相馬市の人口は減少傾向でしたが、それでも5年で3%減程度しょうか?それが
 2010年人口 70、895人
 2015年人口 57、733人
で約19%減です(3)。この数値は福島県13市町村中で最大の減少率です。でも事態はもっと深刻です。福島県の初婚年齢は男女とも20代後半ですので(14)、この辺りの方が適齢期になるのでしょうか?以下に南相馬市の20代後半の人口を示します。
原発事故後に半減した南相馬市の20代後半女性
※(15)を集計
 図-5 南相馬市の20代後半人口

 大幅に減っています。特に女性が深刻です。
  原発事故直前の2011年3月  1,574人
  原発事故5年目の2015年12月  871人
で半分近くになっています。半減するのも時間の問題だと思います。福島県南相馬市では適齢期の女性が激減しています。このままでは新たなカップルが生まれることが無く、次世代に南相馬市を繋ぐことが出来ません。将来は大幅な人口減と凄まじい高齢化が襲うと思います。
 なぜこのような事が起こるかと言えば、若い女性が逃げていくからです。2006年3月に20代前半の女性は1、535人いました。5年後の2011年3月に20代後半の女性は1、574人で少し増えています。昨年(2015年)3月に南相馬市では148名の女性が高校を卒業され、うち52%に当たる77名が大学に進学しました(16)。ところが南相馬市や近隣(通学可能範囲)には大学がありません(19)。いったん南相馬を出たとおもいますが、また南相馬に戻られる方もいるので増えたと思います。すくなくとも、2006年に南相馬で暮らしていた20代前半の女性は5年に20代後半になる2011年にも南相馬市に留まったと思います。そこで
 20代後半人口÷5年前の20代前半人口
をみれば、今は20代後半の方がどれだけ残ったかが分かると思います。仮にこれを「5年残存率」とします。以下に南相馬市の5年残存率を示します。
原発事故後に逃げ出す方が増えた20代女性
 ※(15)を集計
 図-6 南相馬市の20代前半から後半への5年残存率

 原発事故直前の2011年3月時点は女性でも100%を超えていましたが、原発事故後に徐々に低下し2015年末時点では70%程度に落ち込んでいます。2011年3月を契機に南相馬市から20代の若い女性は逃げ出しています。
 以下に南相馬市の総生産額を示します。
電力等を除くと減り続ける南相馬市の総生産額
 ※(18)にて作成
 図―7 南相馬市の総生産額

原発事故後に落ち込んでいます。もっと気になるのが2011年と12年を比べ回復していない事です。電力等を除く南相馬市の総生産額は
 2010年1、708億円
 2011年1、432億円
 2012年1、388億円
で(18)2012年は11年に比べ減っています。電気等は増えていますが、これは南相馬市にある原町火力発電所が復旧したからだと思います。同発電所は旧緊急時避難準備区域内にあり、津波で被災しましたが解除になる2011年9月までは復旧作業ができず試験運転開始が2012年に、完全な復旧は2013年なりました(17)。
 特に製造業と1次産業の落ち込みが酷くなっています。1次産業では
 2010年 50億円
 2011年 22億円
 2012年 11億円
で(18)、2012年は11年比べてさらに半減しています。普通なら復興が進み回復していいはずですが。製造業は
 2010年 301億円
 2011年 157億円
 2012年 134億円
で(18)、減っています。
 以下に南相馬市の観光客入り込み数を示します。
回復しない南相馬市の観光客入込数
 以下に南相馬市の観光客入り込み数を示します。
 ※(19)にて作成
 図ー8 南相馬市の観光客入り込み数

 原発事故前に比べ大きく減っています。以下に「道の駅南相馬」の観光客入込数を示します。
回復しない道の駅・南相馬の入込数
 ※(19)にて作成
 図-9 「道の駅南相馬」の観光客入込数

 図-2に示す様に南相馬市は津波被災跡と原発事故の避難区域に囲まれています。こんな場所に観光に行こうとするひとは少ないと思います。
 南相馬市の現状を見ると
  ①若い女性を中心に人口流出が続いている。
  ②産業が回復しない。特に1次産業と製造業が落ち込んでいる。
  ③観光も回復していない
との状況にあり、「南相馬のなりわいを成り立たせる」など無理な気がします。

<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
福島県南相馬市は存亡の危機にあると思います。いま、南相馬市が生き残る為に直ぐにしなければならないことは若い女性の逃走を止めることだと思います。でも安倍出戻り内閣は、避難指示解除に熱心です(20)。昨年、9月に福島県楢葉町の避難指示が解除されました。それから4ヶ月ですが、戻った方は全住民の5.7%だそうです(21)。同じように南相馬市で避難指示を解除しても戻る方は小数だと思います。南相馬市の皆様には避難指示解除はあまり役に立たないと思います。それよりは現在の環境の改善、特に若い女性に魅力ある街作りだと(=^・^=)は思います。ただし東京電力は救済にはなりません(22)。これでは福島の方は不安だと思います。
 福島県郡山市産米の全数・全袋検査数は135万件を超え、福島県随一です(23)。福島県郡山市のお米はツヤ、香り、味、粘り、柔らかさ等、美味しさの条件をすべて備えた全国に誇れるお米だそうです(24)。このお米は「安全」とされ学校給食にも使われています(25)。福島県は福島産米のテレビCMも流しています(26)。でも、福島県郡山市のスーパーのチラシには米を含め福島産はありません。
他県産は福島産が無い福島県郡山市のスーパーのチラシ
 ※(27)を引用
 図―10 福島産が無い福島県郡山市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県郡山市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)南相馬市10周年再興に全力 記念式典行い結束 | 県内ニュース | 福島民報
(2)南相馬市 - Wikipedia
(3)平成27年国勢調査速報(福島県の人口・世帯数)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(4)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成26年9月1日~11月7日測定) 平成27年02月13日 (CSV)」
(5)めげ猫「タマ」の日記 福島避難区域再編3年目―放射線量はこれからどうなる―
(6)区域見直し等について - 福島県ホームページ
(7)南相馬市 調査総括表(1/8) 1.被害の状況等 2.復興計画の ...
(8)福島第一原子力発電所事故の経緯 - Wikipedia
(9)市町村当初予算の概要 - 福島県ホームページ
(10)市町村決算の概要 - 福島県ホームページ
(11)相馬市長に現職・立谷氏4選 “現職連敗の流れ”止まる(福島民友・県内選挙ニュース)
(12)2014年の県内首長選、市町村議選ニュース:県内選挙:福島民友新聞社 みんゆうNet
(13)桜井氏が再選 南相馬市長選は市政継続を選択(福島民友・県内選挙ニュース)
(14)結果の概要|厚生労働省
(15)福島県の推計人口(平成27年12月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(16)平成26年度学校基本調査(全文) - 福島県ホームページ中の「卒業後の状況調査(高等学校) [Excelファイル/180KB] 」
(17)Category:福島県の大学 - Wikipedia
(18)福島県市町村民経済計算 報告書 - 福島県ホームページ
(19)福島県観光ホームページ 統計資料一覧 - 福島県ホームページ
(20)震災5年:とうほくの今 南相馬の準備区域・居住制限区域、国が同時解除を検討 住民から不安の声も /福島 - 毎日新聞
(21)「楢葉・ふたば復興診療所」始動 医療再生拠点、1日から診療開始:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(22)めげ猫「タマ」の日記 福島産食べて応援 東京電力
(23)ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報
(24)JA郡山市|農産物のご案内
(25)JA郡山市|事業PR
(26)TVCM ふくしまプライド。 「天のつぶ」 篇 | ふくしま 新発売。
(27)ザ・モール郡山店 - 店舗詳細|SEIYU
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  1. 2016/02/01(月) 19:45:09|
  2. -
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