めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

トラブルいっぱい福島原発(2月1週)―汚染水処理は綱渡り―

 東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、2月1週(1月31日から2月6日)もしっかりトラブルが起こっています。一言でいえんば、福島第一の汚染水処理は綱渡りが続いています。
 ①地下水ドレン汲み上げ水から排水基準を超えるトリチウムが見つかり、海に流すことが出来ず。
 ②タービン建屋海側に降った雨は地下水ドレンへ、凍土壁は逆効果
 ③汚染水の増加は止まらず
 ④処理水タンクの満タン状態が続く

1.地下水ドレン汲み上げ水から排水基準を超えるトリチウム
 海側遮水壁は福島第一原子力発電所の1~4号機側の敷地から港湾内に流れている地下水をせき止め、海洋汚染を減らす為に設けらもので、2015年10月26日に完成しました(2)。 海側遮水壁に汚染水が流れ込み一杯になってしまったので、11月5日から海側遮水壁内側の汚染水の汲みあげをはじめました(3)。当初の予定では汲み上げた汚染水は浄化装置を通した後で、海に流すはずでした(2)(3)。以下にくみ上げた汚染水のトリチウム濃度を示します。
5000(Bq/l)程度で推移する地下水ドレン汲み上げ水のトリチウム濃度
※(4)~(9)で作成
 図-1 地下水ドレンのトリチウム濃度

 概ね1リットル当たり5,000ベクレル程度で推移しています。海側遮水壁内側からくみ上げた汚染水を浄化装置を通し海に廃棄する一連の系を東京電力は地下水ドレンと命名していますが(3)、排水基準は1リットル当たり1,500ベクレル(10)で大きく超えています。東京電力はトリチウムは浄化できないと明言していますので(3)、昨年11月初に地下水ドレンからの汲みあげを開始したのですが、海に捨てる事ができずタービン建屋に戻しているのが実態です(11)。A,B,Cの位置については(=^・^=)の過去の記事(12)を見てください。

2.タービン建屋海側に降った雨は地下水ドレンへ、凍土壁は逆効果
 以下に地下水ドレン等から汲み上げ、タービン建屋に戻した汚染水の量と福島第一原発近くのアメダス観測点「浪江」の降水量を示します。
雨が降ると増える地下水ドレン汲み上げ量
 ※1(13)(14)(15)(16)にて作成
 ※2 降雨量はアメダス観測点「浪江」の値
 ※3 ウエルポイント(海側遮水壁手前の汲み上げ用井戸)からの移送量も含む
 図―2 地下水ドレン等からの移送量と降水量

 1月18日に64mの雨が降りました。そしたら一週間ほど移送量が大きく増えました。この間7日の(1月18日から24日)の移送量の合計は3、274立方メートルでした。前後(1月7日~15日、1月26日~27日)の平均を取ると一日当たり188立方メートルです。すなわち雨で平均から増分約1960立方メートル(3,274-188×7)の汚染水を雨の影響で汲み上げることになりました。この7日間で合計で67.5mmの雨が降っていますので、1mm当たり約30立方メートルです。3万平方メートルに1mmの雨が降ると30立方メートル(3万×1÷1000)になるので、地下水ドレンでは3万平方メートル分の雨が流れ込み汚染水となっている計算です。この面積はタービン建屋と海側遮水壁の面積に一致します。
30000平方メートル台の海側遮水壁・タービン建屋間の面積
※1 面積の計測は(17)による。
 ※2 凍土壁、海側遮水壁の位置は(18)による。
 図-3 タービン建屋と海側遮水壁の面積計測結果と凍土壁

 海側遮水壁の陸側近傍で降った雨が海側遮水壁の手前(陸側)で滞留し、最終的に地下水ドレンで汲み上げられる。考えれば当たり前です。汚染水を遮る海側遮水壁は雨水だって遮ります。以下に陸側から見た海側遮水壁の様子を示します。
地上から飛び出ている海側遮水壁
 ※(19)を引用
 図-4 陸側から見た海側遮水壁

 遮水壁の部分が高くなっています。海側遮水壁の近傍で降った雨は遮られ海に流れですこができず、そのうち地下に浸透します。図ー2で雨が降ってから増加が止まるまで時間がかかるの地下に浸み込むのに時間を要するためと思います。
福島県沿岸部(浜通り)では冬季には降雨(降雪)は比較的少ないのですが、夏や秋には多くなります(20)。これから降雨量が増えれば地下水ドレンの汲みあげ量も大幅に増え汚染水の増加が加速しそううです。
 福島第一で原子炉やタービン建屋の回りの井戸から地下水を汲み上げるサブドレンを実施しています(3)。また、原子炉やタービン建屋の回りを氷の壁で囲み汚染水の流れを止める凍土壁を計画しています(21)。東京電力はタービン建屋と海側遮水壁の間に福島第一原発事故初期に起きた放射性物質漏れでできた汚染地帯があり、ここを地下水が流れることで汚染され地下水ドレン汲み上げ水の汚染の原因となってると説明しています(22)。そして地下水ドレンの汲みあげ量を減らすには凍土壁が有効だとも主張しています(1)(22)。でも凍土壁によって、地下水ドレンの汲みあげ量はさらに増えるはずです。以上の考察を纏めると以下の想像図が出来上がります。
凍土壁が完成すれば雨水はすべて海側遮水壁側に流れる
※(=^・^=)の想像図
 図-5 凍土壁完成後の雨水の流れ

 雨が降っても今は一部はタービン建屋側にも流れ、サブドレンで汲み上げられ地下水ドレンの汲みあげ量を抑制する効果がありますが、凍土壁が完成すれば凍土壁によってサブドレンへの雨水の流れが遮断され、全てが海側遮水壁側に流れ地下水ドレンの汲みあげ量を増やします。凍土壁は逆効果です。

3.汚染水の増加は止まらず
 東京電力は週毎に汚染水の量を公表しています(23)。以下に週毎の汚染水の増加量を示します。
地下水ドレン汲み上げ後に増した汚染水増加量
 ※(23)を集計
 図ー6 福島第一の汚染水増加量(日量)

 図に示す通り、地下水ドレン汲み上げ開始後に汚染水の増加が加速し改善の兆しがありません。

4.処理水タンクの満タン状態が続く
 福島第一原発では地下水や地下水ドレンからくみ上げた汚染水がタービン建屋に日々流入し増え続けています。タービン建屋の汚染水は汲み上げてて
 タービン建屋⇒SARRY⇒SR処理水タンク⇒ALPS⇒処理水タンク
の順で処理されています(24)(25)(26)。最終段の処理水について
  満水率を「汚染水保管容量÷汚染水タンク容量」
と規定し、推移を示します。
満タン状態が続く処理水タンク
 ※(23)を集計
 図ー7 福島第一の「処理水タンク」の満水率

 この所、約96~98%で推移しています。ここからは(=^・^=)の想像ですが、東電はこれが限度だと判断していると思います。タンクを満タンにすると地震などで生じるスロッシング(容器内の液体が外部からの比較的長周期な振動によって揺動すること。)でタンクから液体が漏れ出すことが知られています(27)。安全にくみ上げた汚染水を保管するにはある程度の「空」が必要です。事実上は満タン状態です。


<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
地下水ドレンに起因する汚染水増加問題に対する東京電力の説明を聞いているといろいろと誤魔化している気がします(28)(29)。地下水ドレンからの汲みあげた汚染水が浄化しても排水基準を満たせず海に流せない事は東京電力のデータを見る限り昨年10月には明らかになっていました(30)。それから4ヶ月、東京電力は無意味な言い訳を繰り返し有効な対策を取らず問題を深刻化させた気がします。これでは福島の方は不安だと思います。
福島県会津若松市の全袋検査数が約76万袋になりまいた(31)。同市は人 口121,593人なので(32)十分な量だと思います。会津若松市あたりのお米は「最高の食味であることが認められ」たそうです(33)。福島県は福島産米のテレビCMも流しています(34)。でも、福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産米はありません。
 他県産はあっても福島産が無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
 ※(35)を引用
 図-8 福島産米が無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県会津若松市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(1月5週)―デブリ調査の見通したたず―
(2)海側遮水壁|東京電力
(3)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(4)2015年12月7日サブドレン他浄化施設中継タンク分析結果(~2015年9月30日採取分)(PDF 360KB)
(5)015年12月7日サブドレン他浄化施設中継タンク分析結果(2015年10月1日~11月4日採取分)(PDF 360KB)
(6)2015年12月7日サブドレン他浄化施設中継タンク分析結果(2015年11月5日~12月2日採取分)(PDF 360KB)
(7)福島第一原子力発電所における日々の放射性物質の分析結果(2015年12月)|東京電力中の「地下水」
(8)福島第一原子力発電所における日々の放射性物質の分析結果(2016年1月)|東京電力
(9)福島第一原子力発電所における日々の放射性物質の分析結果|東京電力
(10)サンプリングによる監視|東京電力
(11)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(12月3週)―サブドレン稼働・現状は悪い方にいっている―
(12)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(1月2週)―ALPS停止まで130日―
(13)2016年1月18日建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移(PDF 182KB)
(14)2016年1月25日建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移(PDF 161KB)
(15)2016年2月1日建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移(PDF 218KB)PD
(16)気象庁|過去の気象データ検索
(17)地理院地図
(18)中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2016年1月28日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第26回事務局会議)⇒【資料1】プラントの状況(3.11MB)」
(19)東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所 海側遮水壁閉合後の埋立地舗装面等の状況について
(20)気候 - 福島県ホームページ
(21)陸側遮水壁|東京電力
(22)第38回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(23)プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(24)汚染水対策の主な取り組み|東京電力
(25)原子炉の安定化|東京電力
(26)めげ猫「タマ」の日記 SR処理水について
(27)スロッシング - Wikipedia
(28)【2016年2月1日】東京電力 記者会見 - 2016/02/01 17:30開始 - ニコニコ生放送
(29)【2016年2月4日】東京電力 記者会見 - 2016/02/04 17:30開始 - ニコニコ生放送
(30)めげ猫「タマ」の日記 福島第一・地下水ドレンて運用できるの?
(31)ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報を2月6日に閲覧
(32)会津若松市
(33)JAあいづ管内の生産品 – 水稲 | JAあいづ
(34)TVCM ふくしまプライド。 「天のつぶ」 篇 | ふくしま 新発売。
(35)アピタ会津若松店│「イイこと、プラス。」 アピタ・ピアゴ
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  1. 2016/02/06(土) 19:43:30|
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