福島第一原発汚染水の2月2週(2月8日から14日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、高濃度の放射性物質が見つかっています。
①外洋からは相変わらずの放射性物質
②港湾口からは前年同時期には見つからない全ベータ
③地下水バイパスや上流の井戸からは排水基準を超えた放射性物質
④海岸付近の井戸から過去最高のトリチウム
⑤サブドレンからとトリチウム放出がペースアップ
⑥法令限度を超えた汚染水が排水路から海へ
1.外洋からは相変わらずの放射性物質
事故から5年近くになりました。時間が経ても外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。

※1 (4)(5)(6)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度
このうち気になったのが5、6号機放水口北側です。以下に推移を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す。
図―2 5、6号機放水口北側の放射性物質濃度
図に示すとおり、原発事故から5年近く経ちましたが低下の兆しがありません。
2.港湾口からは前年同時期には見つからない全ベータ
港湾内からはもっと高濃度の汚染水が見つかっています。

※1 (5)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は2015年1月
図―3 福島第一港湾内の放射性物質濃度
10月26日に海側遮水壁の工事が完了しました(8)。東京電力はこの効果で港湾内の放射性物質濃度は下がったと主張しています(9)。効果があれば汚染水の流れが悪くなり、全体の汚染水濃度が下がっていいはずです。以下に港湾口の2014年と15年10月からの全ベータ濃度を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す。
図―4 港湾口の全ベータ濃度
港湾口は港湾と外洋の境界に当たる場所です。ここでの放射性物質濃度が低減されなれば外洋への流出が防止できたことになりません。図―4に示す通り、海側遮水壁ができる前の1年前は全ベータは見つかっていません。でも海側遮水壁が完成した2015年10月26日以降を見ると全ベータが見つかっています。一昨年末より海側遮水壁が完成した昨年末の方が全ベータ濃度が高くなっています。現時点では海側遮水壁の効果は見えません。
3.地下水バイパスや上流の井戸からは排水基準を超えた放射性物質
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(10)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(11)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(12)。以下に放射性物質濃度を示します。

※1 (11)(12)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―5 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
全ベータ 5ベクレル
トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。以下にE-1井戸のトリチウム濃度を示します。

※(11)にて作成
図―6 E-1井戸のトリチウム濃度
昨年12月あたりから上昇が続いています。トリチウムが何処から来るか気になります。図―5に示す通り、そばには汚染水タンクがあります。汚染水タンクからの微かな汚染水漏れを疑いたくなります。
4.海岸付近の井戸から過去最高のトリチウム
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下に示します。

※1 (5)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―7 海岸付近の井戸の放射性物質濃度
このうち以降は1リットル当たりの値でNo3-4のトリチウム4,200ベクレルは過去最高(新記録)です。以下に推移を示します。

※(5)を集計
図―8 No3-4井戸のトリチウム濃度
昨年7月位から急に上昇しだし、止まる気配がありません。これからも上昇が続きそうです。
5.サブドレンからとトリチウム放出がペースアップ
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(13)。サブドレンの運用は9月3日から始まったので(14)ほぼ3ヶ月半が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(15)(16)、濃度×排出量で累積のトリチウム累積の排出量を求めてみました。

※(15)(16)を集計
図―9 サブドレンの累積排出量
累積で約172億ベクレルになりました。昨年9月14日にサブドレン汚染水(トリチウム入り)の排水が始まってから2月5日までの144日間の累積排出量は約154億ベクレルで、概ね1日約1億ベクレルのペースでした。2月6日から13日の7日間の排出量は約20億ベクレルで1日当たり約3億ベクレルにペースアップしました。
6.法令限度を超えた汚染水が排水路から海へ
福島第一原発構内には幾つもの排水路があります。

※(17)で作成
図―10 福島第一原発内の排水路
当然ながら福島第一構内は放射性物質で汚染されており、排水路に流れ込みます。1リットル当たりでセシウム137の法令限度は90ベクレル、ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルです(2)。全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(7)、、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。このうちK排水路では法令限度を超えた汚染水の流れが確認されています。
以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。

※(17)を集計
図―11 K排水路の放射性物質濃度
K排水路の全ベータ濃度は1リットル当たりで
2月3日 150ベクレル
で法令限度を超えています。東電の発表(17)を見ると排水路は遮水壁を超えて海に繋がっているので、「海側遮水壁」が完成しても排水路の汚染水はブロックされません。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表①)とこちら(
ブログ図表②)を参照ください。
福島原発事故から5年近く経っても止まることが無い福島第一原発からの汚染水漏れ!福島の方は不安だと思います。
福島県棚倉町では豊作を願う「御田植祭」が2月13日に行われました(18)。米作が盛んなようです。

※(19)をキャプチャー
図ー12「御田植祭」で舞う福島の綺麗な女性
福島県棚倉町町産米の全袋検査数が15万袋を超えました(20)。同町は人 口14,639人なので(21)十分な量だと思います。福島県は福島産米は全数検査されており「安全」だあと主張しています(22)。棚倉町辺りのお米は「美味しい味わいのあるお米」だそうです(23)。福島県は福島産米のテレビCMも流しています(24)。でも、福島県棚倉町のスーパーのチラシには福島産米はありません。

※(25)を引用
図―13 福島産米が無い福島県棚倉町のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県棚倉町の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(2月1週)―外洋から17ベクレルの全ベータ―(2)
サンプリングによる監視|東京電力(3)
報道配布資料|東京電力(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を2月7日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(2)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング」⇒「南放水口・排水路」
(7)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
海側遮水壁|東京電力(9)
中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2015年12月24日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第25回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(14.6MB)」
(10)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(11)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(12)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(13)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力(14)
(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力(15)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(16)
集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力(17)(3)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(18)
今年の豊作を祈願 棚倉で伝統の「御田植祭」 | 県内ニュース | 福島民報(19)
棚倉町で“御田植祭” - NHK福島県のニュース(20)
ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報を2月13日に閲覧
(21)
トップページ | 棚倉町公式ホームページ(22)
水田畑作課 - 福島県ホームページ(23)
みりょく満点米 【コシヒカリ・ひとめぼれ】 | JA東西しらかわのブログ(24)
TVCM ふくしまプライド。 「天のつぶ」 篇 | ふくしま 新発売。(25)
エコス棚倉店チラシ情報
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- 2016/02/14(日) 19:51:38|
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