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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(2月3週)―シロメバルから14、600ベクレルのセシウム―

福島第一原発汚染水の2月3週(2月15日から21日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、高濃度の放射性物質が見つかっています。
 ①シロメバルから14、600ベクレルのセシウム
 ②港湾口からは前年同時期には見つからない全ベータ
 ③地下水バイパスや上流の井戸からは排水基準を超えた放射性物質
 ④海岸付近の井戸から過去最高の全ベータ
 ⑤サブドレンからとトリチウム放出が200億ベクレル突破
 ⑥法令限度を超えた汚染水が排水路から海へ

1.シロメバルから14、600ベクレルのセシウム
 事故から5年近くになりました。時間が経ても外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。もっと気になるのが魚などの海洋生物の汚染です。
事故から5年経ってもあっちこっちで放射性物質が見つかる福島第一
  ※1 (4)(5)(6)(7)で作成
  ※2  数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
 図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度

 排水路の上流のB-0-1地点で、2月16日に採取した水から1リットル当たりで
  セシウム 271ベクレル
  全ベータ 250ベクレル
見つかっています(6)。もっと心配なのはお魚です。港湾内で採れたシロメバルから基準値(9)の146倍の1キログラム当たり14,600ベクレルのセシウムが見つかりました(7)。以下に推移を示します
 事故から5年経っても下がる気配が無い福島第一港湾内シロメバルのセシウム濃度
※(10)より作成
 図-2 港湾内のシロメバルのセシウム濃度

 低下している様子がありません。東京電力は昨年11月以降は福島第一の海水の放射性物質濃度が大幅に低下したと喧伝していますが(11)、海洋生物(魚)には効果が無いようです。

2.港湾口からは前年同時期には見つからない全ベータ
 港湾内からは外洋より高濃度の汚染海水が見つかっています。
色々な放射性物質が見つかる福島第一港湾内
 ※1 (5)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  SR90はストロンチウム90を示し、採取日は2015年1月11日  
 図―3 福島第一港湾内の放射性物質濃度

10月26日に海側遮水壁の工事が完了しました(12)。東京電力はこの効果で港湾内の放射性物質濃度は下がったと主張しています(11)。効果があれば汚染水の流れが悪くなり、全体の汚染水濃度が下がっていいはずです。以下に港湾口の2014年と15年10月からの全ベータ濃度を示します。
1年前は見つからい全ベータが見つかり続ける福島第一港湾口
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―4 港湾口の全ベータ濃度

 港湾口は港湾と外洋の境界に当たる場所です。ここでの放射性物質濃度が低減されなれば外洋への流出が防止できたことになりません。図―4に示す通り、海側遮水壁ができる前の1年前は全ベータは見つかっていません。でも海側遮水壁が完成した2015年10月26日以降を見ると全ベータが見つかっています。一昨年末より海側遮水壁が完成した昨年末の方が全ベータ濃度が高くなっています。現時点では海側遮水壁の効果は見えません。

3.地下水バイパスや上流の井戸からは排水基準を超えた放射性物質
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(14)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(15)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(16)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超える汚染水が見つかる地下水バイパスと山側井戸
 ※1 (15)(16)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―5 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。以下にE-1井戸の放射性物質濃度を示します。
上昇が続くE-1井戸の放射性物質濃度
 ※(15)にて作成
 図―6 E-1井戸の放射性物質濃度

 昨年12月あたりから上昇が続いています。放射性物質が何処から来るか気になります。図―5に示す通り、そばには汚染水タンクがあります。汚染水タンクからの微かな汚染水漏れを疑いたくなります。

4.海岸付近の井戸から過去最高の全ベータ
 東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下に示します。
高濃度の汚染水が見つかる福島第一の海岸
※1 (5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―7 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

 このうち以降は1リットル当たりの値でNo1-14の全ベータ60,000ベクレルは過去最高(新記録)です。以下に推移を示します。以下に推移を示します。
上昇し過去最高の更新するNo1-14井戸の全ベータ
 ※(5)を集計
 図―8 No1-14井戸の全ベータ濃度

 昨年10月位から急に上昇しだし、止まる気配がありません。これからも上昇が続きそうです。


4.サブドレンからとトリチウム放出が200億ベクレル突破
 サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(17)。サブドレンの運用は9月3日から始まったので(18)ほぼ4ヶ月半が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(19)(20)、濃度×排出量で累積のトリチウム累積の排出量を求めてみました。
204億ベクレルに達した福島第一のトリチウム累積排出量
 ※(19)(20)を集計
 図―9 サブドレンの累積排出量

 累積で約204億ベクレルとなり200億ベクレルを超えました。


5.法令限度を超えた汚染水が排水路から海へ
 福島第一原発構内には幾つもの排水路があります。
福島第一原発排水路
 ※(21)で作成
 図―10 福島第一原発内の排水路

 当然ながら福島第一構内は放射性物質で汚染されており、排水路に流れ込みます。1リットル当たりでセシウム137の法令限度は90ベクレル、ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルです(2)。全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(8)、、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。このうちK排水路では法令限度を超えた汚染水の流れが確認されています。 
 以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。
法令限度を超えた汚染水が流れるK排水路
 ※(21)を集計
 図―11 K排水路の放射性物質濃度

 K排水路の2月9日の放射性物質濃度は1リットル当たりで
  セシウム137 130ベクレル
  全ベータ    140ベクレル
で法令限度を超えています。東電の発表(21)を見ると排水路は遮水壁を超えて海に繋がっているので、「海側遮水壁」が完成しても排水路の汚染水はブロックされません。


<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表①)とこちら(ブログ図表②)を参照ください。
 福島県南相馬市の避難指示区域は間もなく解除になりなりそうです(22)(23)(24)(25)。福島からの報道を見ると住民から「住民からは『時期尚早』など反対意見が相次」(22)、「早く帰りたい人のためには解除すべきだが、日常生活の安全・安心が確保される必要がある」(23)、「現状では若者に住んでもらえない。解除を1年先送りしてほしい」(24)声があがり不評のようです。でもNHKは
 「解除はまだ反対です。家屋の解体は来年度にならないと始まらないし、戻っても生活のしようがない。小高は安心でよいところだから、子どもや孫が来てくれるようになってはじめて解除ができる」
との反対意見を載せたあと
 「地域の今後を考えると、多数決では決められず、思い切った決断が必要だ。避難区域のままではいろいろな制約があり、足かせを外さないと前に進めない。避難区域だからしかたないという意識をわれわれが変えていかないと復興はない。住民が戻ってはじめて復興が進むと思う」
との賛成意見を大きく取り上げています(25)
「避難長期化すれば帰還への課題が増える」との超少数意見を大きく報じるNHK
 ※(25)をキャプチャ
 図-12 「避難長期化すれば帰還への課題が増える」と報じるNHK

 NHKはこれを「ニュース」と称していますが(25)、どう見ても避難指示解除に向けたプロパガンダです。
 汚染水漏れが続けば福島の方は不安になると思います。NHKはプロパガンダで誤魔化すべく努力しているようです。これでは福島の方に不信感が広がると思います。
 今月(2016年2月)に福島県は福島産イチゴのキャペーンを実施しました(26)。福島はイチゴのシーズンです。農林水産省の統計を見ると(27)、福島県伊達市は福島最大のイチゴの産地です。福島県伊達市のイチゴは「とても甘くてちょっと酸っぱい、新鮮そのもの」だそうです(28)。でも福島県伊達市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。
他県産はあっても福島産イチゴが無い福島県伊達市のスーパーのチラシ
 ※(29)を引用
 図-13 福島産イチゴが無い福島県伊達市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県伊達市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(2月2週)―海岸付近の井戸から過去最高のトリチウム―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を2月7日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(2)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング」⇒「南放水口・排水路」中の2月16日、17日
(7)2016年2月17日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>(PDF 97.4KB)
(8)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(9)食品中の放射性物質への対応|厚生労働省
(10)(3)中の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>」
(11)中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況」⇒「2016年1月28日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第26回事務局会議)」⇒「【資料3-1】汚染水対策(9.54MB)」
(12)2015年10月26日福島第一原子力発電所 海側遮水壁閉合作業完了について(PDF 501KB)
(14)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(15)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(16)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(17)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(18)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(19)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(20)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(21)(3)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(22)南相馬市長「4月中の解除難しい」 原発避難の住民説明会:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(23)南相馬の避難指示解除 市長「4月中厳しい」除染完了など時間必要 | 県内ニュース | 福島民報
(24)<避難解除>南相馬5月以降へ2月21日 河北新報
(25)“福島・南相馬の避難指示 4月中に解除”住民に説明 NHKニュース
(26)「チャレンジふくしまサミットin首都圏」を東京で開催!!伝えたい~福島の今と魅力~ - 福島県ホームページ
(27)作物統計調査>市町村別データ>平成18年産市町村別データ>年次>2006年中の「9-5 野菜(果実的野菜) ⇒福島県 」
(28)伊達のいちご - 福島県伊達市ホームページ
(29)リオン・ドール スーパーマーケット お得情報満載
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  1. 2016/02/21(日) 19:41:58|
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