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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(2月4週)―法令限度を超えた汚染水が排水路から海へ―

福島第一原発汚染水の2月3週(2月22日から29日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、高濃度の放射性物質が見つかっています。
 ①5年経っても外洋からは放射性物質
 ②港湾内の放射物質濃度が下がったと発表したが、最新のデータでは上昇
 ③雨が降るとトリチウムが流れ出す地下水バイパス山側
 ④海岸付近の井戸から過去最高の全ベータ
 ⑤サブドレンのトリチウム濃度が倍に上昇
 ⑥法令限度を超えた汚染水が排水路から海へ

1.5年経っても外洋からは放射性物質
  事故から5年近くになりました。時間が経ても外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。
事故から5年経っても放射性物質が見つかる福島第一原発外洋
 ※1 (4)(5)(6)で作成
  ※2  数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
 図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度

 排水路のC-2-1地点で、2月21日に採取した水から1リットル当たりで
  全ベータ 200ベクレル
見つかっています(6)。1リットル当たりでストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルです(2)。全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(8)、、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。排水路からは法令限度の3倍以上の汚染水が海に流れ出しています。
 以下に南放水口付近の放射性物質濃度を示します。
事故から5年経ても改善のきざしが無い南放水口の放射性物質濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―2 南放水口北側の放射性物質濃度

 図に示すとおり、原発事故から5年近く経ちましたが低下の兆しがありません。1リットル当たりの全ベータ濃度を見ると
 2月16日  8.8ベクレル
 2月22日 13ベクレル
で上昇しています。前日の2月21日には排水路から高濃度の汚染水が海に流れました。21日に測定していたら幾つになったか心配です。

2.港湾内の放射物質濃度が下がったと発表したが、最新のデータでは上昇
  港湾内からはもっと高濃度の汚染水が見つかっています。
5年経っても高濃度の放射性物質が見つかる福島第一港湾内
  ※1 (5)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  SR90はストロンチウム90を示し、採取日は2015年1月19日  
 図―3 福島第一港湾内の放射性物質濃度

10月26日に海側遮水壁の工事が完了しました(8)。東京電力はこの効果で港湾内の放射性物質濃度は下がったと、2月25日に発表しました(9)。
高濃度の放射性物質が見つかる前のデータで下がったと主張する東京電力
 図-4 港湾内の放射性物質濃度は下がったとする東京電力の発表

 発表があったのは2月25日ですが、データは10日も前の2月15日で終わっています。その後の経緯が気になります。1リットル当たりの放射性物質濃度を見ると
 2月15日
    セシウム 2.6ベクレル
    全ベータ 20ベクレル
ですが、2月21日
    セシウム 22.4ベクレル
    全ベータ 40ベクレル
で(5)、大幅に上昇しています。25日の発表にも関わらず21日に出た高濃度の放射性物質が見つかったデータの記載はありません。

3.雨が降るとトリチウムが流れ出す地下水バイパス山側
  地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(10)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(11)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(12)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超えた放射性物質が見つかる地下水バイパスと山側井戸
 ※1 (10)(11)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―5 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。以下にG-2井戸の放射性物質濃度と福島第一原発至近のアメダス観測点の「浪江」の高数量を示します。
雨が降ると上昇するG-2井戸のトリチウム濃度
 ※1(10)(13)を集計
 ※2 降水量は「浪江」
 図―6 G-2井戸のトリチウム濃度と降水量

 図に示す通り雨が降るとトリチウム濃度が上昇します。どこかにトリチウム溜りがあり、雨が降るとトリチウム水が流れ出す感じです。事故から5年が経過しましたが、トリチウム溜りが残っています。何処からか今もトリチウムの供給が続いているような気がします。

4.海岸付近の井戸から過去最高の全ベータ
 東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下に示します。
高濃度の汚染地下水が見つかる福島第一の海岸の井戸
 ※1 (5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―7 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

 このうち以降は1リットル当たりの値でNo1-14の全ベータ63,000ベクレルは先週に続き(1)、今週も過去最高(新記録)です。以下に推移を示します。以下に推移を示します。
どんどん上昇するNo1-14井戸の全ベータ
 ※(5)を集計
 図―8 No1-14井戸の全ベータ濃度

 昨年10月位から急に上昇しだし、止まる気配がありません。福島第一の地下水の流速は1日当たり10cmと見られています(14)。1年で36m、5年で180mです。図-7に示す様にタービン建屋から海岸まで100-200m程度です。時期的に原発事故の時に漏れ出した汚染地下水が海岸に到達する頃です。

5.サブドレンのトリチウム濃度が倍に上昇
 サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(15)。サブドレンの運用は9月3日から始まったので(16)ほぼ5ヶ月が経過しました。以下にサブドレンの排水のトリチウム濃度を示します。
年初めから倍以上に上昇したサブドレン排水のトリチウム濃度
 ※(17)を集計
 図-9 サブドレンのトリチウム濃度

 1月の初旬は1リットル当たりで200-300ベクレルでしたが、排水基準(2)以下ですが700ベクレル程度まで倍以上の上昇を示しています。
 東京電力は排出量も公表しているので(18)、濃度×排出量で累積のトリチウム累積の排出量を求めてみました。
ベースを揚げ231億ベクレルに達したサブドレンのトリチウム排出量
 ※(17)(28)を集計
 図―10 サブドレンの累積排出量

 図に示す通り、排出のペースが上がっています。2月20日から28日の9日間の合計は約36億ベクレル、一日当たりで約4億ベクレルです。なおこれまでの累積の排出量は約231億ベクレルです。

6.法令限度を超えた汚染水が排水路から海へ
 福島第一原発構内には幾つもの排水路があります。
福島第一原発排水路
 ※(19)で作成
 図―11 福島第一原発内の排水路

 当然ながら福島第一構内は放射性物質で汚染されており、排水路に流れ込みます。全ベータの法令限度は1リットル当たり60ベクレルであることは1項に記載の通りです。このうちK排水路では法令限度を超えた汚染水の流れが確認されています。 
 以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。
法令限度を超えた汚染排水が流れるK排水路
 ※(19)(20)を集計
 図―12 K排水路の放射性物質濃度

 K排水路の2月21日の放射性物質濃度は1リットル当たりで
  全ベータ 130ベクレル
で法令限度を超えています。東電の発表(19)を見ると排水路は遮水壁を超えて海に繋がっているので、「海側遮水壁」が完成しても排水路の汚染水はブロックされません。


<余談>
  図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表①)とこちら(ブログ図表②)を参照ください。
 福島第一原発事故から5年が経過しましたが、海への放射性物質漏れは続いています。汚染水の増加も歯止めがかかりません(21)。それでも東京電力の東京電力福島第1廃炉推進カンパニーの最高責任者は共同通信のインタビューで、福島第1原発事故から5年となる現在の廃炉に向けた状況について「この1年で汚染水対策が進み、大きな節目となった」と述べたそうです(22)。東京電力の汚染水対策の最高責任者がこんな寝ぼけたことを言っていては福島の方は不安だと思います。
  「おやこ遠足 ふくしまパクパクバスツアー」は2月28日に、福島県相馬市で催され、親子がイチゴ狩りなどを楽しんだそうです(23)。福島県相馬市はイチゴの季節です。相馬市のイチゴは「甘くておいしい」そうです(23)。福島県は「 食の安全・安心を確保するため、生産、製造・加工、流通、消費の各段階において、食品中の放射性物質検査を実施しています。 」と主張してます(24)。でも福島県相馬市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。
他県産はあっても福島産イチゴが無い福島県相馬市のスーパーのチラシ
 ※(25)を引用
 図-13 福島産イチゴが無い福島県相馬市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県相馬市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(2月3週)―シロメバルから14、600ベクレルのセシウム―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を2月7日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(2)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング」⇒「南放水口・排水路」中の2月16日、17日
(7)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(8)2015年10月26日福島第一原子力発電所 海側遮水壁閉合作業完了について(PDF 501KB)
(9)中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況」⇒「2016年2月25日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第27回事務局会議)」⇒「【資料3-1】汚染水対策(10.0MB)」
(10)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(11)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(12)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(13)気象庁|過去の気象データ検索
(14)前代未聞「凍土遮水壁」の成算|日経コンストラクション"前代未聞「凍土遮水壁」の成算|日経コンストラクション
(15)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(16)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(17)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(18)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(19)(3)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(20)(3)中の「 福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果 」
(21)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(2月4週)―炉心溶融基準を5年間も気付がず?―
(22)「汚染水対策に節目」 廃炉カンパニー最高責任者 - 共同通信 47NEWS
(23)復興の味 相馬のイチゴ 親子20組遠足楽しむ | 県内ニュース | 福島民報
(24)農林水産物 - ふくしま復興ステーション - 福島県ホームページ
(25)ヨークベニマル/お店ガイド
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