めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一の地下水ドレン汲み上げについて

 福島第一原発では、海側遮水壁の内側に溜まった汚染水を汲みあげ、タービン建屋に移送しています。これが汚染水増加に新たな要因となり、汚染水の増加を加速しています。この汚染水がどこから来て、どのように処理されているかを東京電力の発表から解析したら
 ①タービン建屋側から定常的に毎日188立方メートルほど流れてくる。
 ②4m盤と称されるエリアに降った雨水は概ね海側遮水側に流れ、地下水ドレンから汲み上げている。
 ③地下水ドレンで汲み上げられた汚染水のうち毎日50立方メートルは、サブドレンで汲み上げた汚染地下水で薄めて海に流しているが、残りはタービン建屋に送られ、汚染水の増加に寄与している。
との結論を得ました。
 明日(3月3日)に特定施設監視評価検討会が開かれ今後の汚染水の行方が審議されます。(=^・^=)はその結果を元に今後の汚染水の動向を見積もる予定していますが、その為の基礎なり情報を再整理したいと思います。

1.福島第一の海岸の構造物
 福島第一原発の敷地は標高によって海側から4m盤、タービンや原子炉建屋などがある10m盤、そして汚染水タンク等が設置してある35m盤に分かれています(1)。2013年7月22日に東京電力は福島第一の海岸から汚染水が海に流れ続けている旨を発表しました(2)。その対策として、4m盤内に汚染水を通さないように地盤を固める「地盤改良」と「地盤改良」で内側に溜まった汚染水を汲みあげるウエルポイントの実施と海岸を水を通さない「壁」で囲む「海側遮水壁」を提案しました。また汚染水を増やさない為に、福島第一のダービンや原子炉建屋を氷の壁で囲う凍土壁(4)、凍土壁の内側には地下水を汲み上げるサブドレンが配置されています(5)。
福島第一護岸部の水平配置
 ※(1)(4)(5)にて作成
 図-1 福島第一の海岸側の配置

 図-1 を海側から断面を見ると以下の図になります。
福島第一護岸部断面
 ※(1)(4)(5)(6)にて作成
 図-2 福島第一の海岸側断面

 海側から見て、4m盤では
  ①汚染水の海への流出を防止する為に設けられた海側遮水壁(赤線)
  ②海側遮水壁の内側に溜まった汚染水を溢れないように汲み上げる地下水ドレン(緑線)
  ③汚染水の海への流出を防止する為に設けられた地盤改良部(橙線)
  ④地盤改良部の内側に溜まった汚染水を溢れないように汲み上げるウエルポイント(桃線)
 次の10m盤(図中に記載なし)では
  ⑤凍結予定がほぼ決まったと海側の凍土壁(青実線)(4)
  ⑥地下水を汲み上げるサブドレン(緑線)
  ⑦タービン建屋・原子炉建屋
  ⑥地下水を汲み上げるサブドレン(緑線)
  ⑦凍結の見込みが無い側の山側の凍土壁(青点線)(4)
が並びます。図には記載しませんが35m盤には地下水を汲み上げるサブドレンや汚染水タンクがあります。


2.地下水ドレン稼働後に加速した汚染水増加量  
 福島第一では日々汚染水が増加しています(7)。2015年10月26日に海側遮水壁が完成し、11月5日に海側遮水壁内側に汚染水が溜り溢れそうになったので、地下水ドレンによる汲み上げを開始しました(8)。以下に2015年10月以降の汚染水の増加量を示します。
日々、増え続ける福島第一汚染水
 ※(9)を集計
 図-3 福島第一原発汚染水の増加量

 図に示す通り地下水ドレンによる汲み上げを開始後に増え方が加速しました。当初の計画では地下水ドレンで汲み上げた汚染水は浄化装置を経由して海に流す計画でしたが、浄化装置にはトリチウムを取り除く能力がありません(10)。以下に地下水ドレン汲み上げ水のトリチウム濃度を示します。
5000(Bq/l)程度で推移する地下水ドレン汲み上げ水のトリチウム濃度
 ※(11)を転載
 図-4 地下水ドレンのトリチウム濃度

 概ね1リットル当たり5,000ベクレル程度で、排水基準は1リットル当たり1,500ベクレル(10)で大きく超えています。これでは海に流せないので、タービン建屋に送っています(12)。これが汚染水増加が加速した原因になりました(11)(14)。
 以下にA,B,Cの3系統の配置を示します。
地下水ドレンの配置
 ※(14)にて作成
 図-5 地下水ドレンの井戸と一時保管用のタンク

3.降水量に依存するタービン建屋への地下水ドレン汲み上げ水移送量
 以下に地下水ドレンおよびウエルポイント汲み上げ水のタービン建屋への移送量と降水量を示します。
雨が降ると増加する地下水ドレンからの移送量
  ※1(13)(15)にて作成
  ※2 降水量は福島第一で東京電力が測定(15)
 図-6 地下水ドレン汲み上げ水等のタービン建屋への移送量と降水量

 図に示す通り雨が降ると急増し、その後は元に戻ります。以下に1月14日から28日の部分を拡大して示します。
雨が降ると約7日間続く、地下水ドレンの移送量増加
  ※1(13)(15)にて作成
  ※2 降水量は福島第一で東京電力が測定(15)
 図-7 地下水ドレン汲み上げ水等のタービン建屋への移送量と降水量(一部拡大)


 雨が降ると移送量が急に増加し、7日間ほどで低下しています。そこで、1日当たりの加重平均の降水量を
  1日当たりの加重平均の降水量=(当日の降水量×7+前日の降水量×6+2日前の降水量×5+3日前の降水量×4+4日前の降水量×3+5日前の降水量×2+6日前の降水量)÷28
 として1週間分の降水量を加重平均して移送量と比較してみました。
加重平均した降水量と類似の地下水ドレン移送量
  ※1(13)(15)にて作成
  ※2 降水量は福島第一で東京電力が測定(15)
 図-8 地下水ドレン汲み上げ水等のタービン建屋への移送量と7日間加重降水量

 図に示す通りほぼ同様の推移を示しています。以下に相関図を示します。
ほぼ相関がある加重平均した降水量と地下水ドレンの移送量
  ※1(13)(15)にて作成
  ※2 降水量は福島第一で東京電力が測定(15)
 図-9 地下水ドレン汲み上げ水等のタービン建屋への移送量と7日間加重降水量の相関

 ほほ直線に並んでおり地下水ドレン等の移送量は降水量に依存していることは明白です。

4.サブドレンで薄めて流す
 サブドレンは原子炉やタービン建屋の直ぐ側の井戸から地下水を汲み上げ汚染水の増加を抑制するものです。地下水ドレンの排水もサブドレンと混ぜて海に流して良い事になっています(9)。以下にサブドレンの排水のトリチウム濃度の推移を示します。
上昇したサブドレンのトリチウム濃度
 ※(16)を集計
 図-10 サブドレン排水のトリチウム濃度

 昨年12月頃は概ね1リットル当たりで300ベクレル程度でしたが、2月中旬以降は同じく700ベクレル程度で推移しています。これは地下水ドレン等からの汲みあげ水の1部を混ぜて流しているとすると容易に説明でいます。その量は以下から推定できます。
 東京電力の発表(17)を集計すると2月19日(2月12日採取)から3月1日の11日間の合計の排水量は6044立方メートルで、1日当たり549立方メートルです。仮り1リットル当たり300ベクレルのサブドレン水と5000ベクレルの地下水ドレン汲み上げ水を40立方メートル混ぜたとすると濃度は約1リットル当たり640ベクレル((300×(549-40)+5000×40)÷549≒640)で、大よそですが1当たり40リットルを混ぜて流している計算になります。
 以下に地下水ドレンA、B系統の移送量の推移を示します。
差が開いた地下水ドレンA系とB系からの移送量
 ※(13)を集計
 図-11 系統別の地下水ドレン移送量

 図に示す通りA系統とB系統の差が開いています。1月7日から2月3日の移送量の平均を取ると1日当たりで
  A系統 107.5立法メートル
  B系統  80.1立方メートル
  差    17.4立方メートル
ですが2月11日から2月24日では
  A系統  88.1立法メートル
  B系統  35.2立方メートル
  差    52.9立方メートル
で、差が35.5立方メートル開いています。B系統の汲みあげ量だけが減るとは考えられず、B系統の地下水ドレンがら汲み上げた汚染水はサブドレンに混ぜて海に優先的に流していると考えるのが妥当です。以上の2点からB系統の地下水ドレン汲み上げ水のうち40立方メートル程度はサブドレン水に混ぜて海に流していると推定できます。
 以下にA、B系統の差があまり広がっていない2月10日までの地下水ドレン汲み上げ水等のタービン建屋への移送量と7日間加重降水量の相関を示します。
雨1ミリで30㎥増える地下水ドレン移送量
  ※1(13)(15)にて作成
  ※2 降水量は福島第一で東京電力が測定(15)
 図-12 地下水ドレン汲み上げ水等のタービン建屋への移送量と7日間加重降水量の相関(2月10日まで)

 概ね1日当たり188立方メートルの汚染水が海側遮水壁内側に流入し、雨が1mm降ると約30立方メートルの汚染水が流入します。これは3万平方メートル×1mm÷1000(1mは1000mm)=30立方メートルなので、3万平方メートルに相当します。以下に地図で計測した4m盤の面積を示します。
約3万平方メートルの4m盤面積
 ※(16)にて作成
 図-13 4m盤の面積

 およそ3万平方メートルです。以上から
 ①タービン建屋側から定常的に毎日188立方メートルほど流れてくる。
 ②4m盤と称されるエリアに降った雨水は概ね海側遮水側に流れ、地下水ドレンから汲み上げている。
 ③地下水ドレンで汲み上げられた汚染水のうち毎日40立方メートルは、サブドレンで汲み上げた汚染地下水で薄めて海に流しているが、残りはタービン建屋に送られ、汚染水の増加に寄与している。
 明日(3月2日)に「第41回特定原子力施設監視・評価検討会」が開かれます(17)。そこで「凍土壁」の方向性がある程度は見えると思います。そしたら今後の汚染水の動向も見えてくると思います。本記事はその基礎資料にするために書きました。


<余談>
  図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表①)とこちら(ブログ図表②)を参照ください。
昨年(2015年)10月時点で、地下水ドレンの汲みあげ水の海洋放出が不可能な事は確定的になっていました(18)。この時点で地下水ドレンを運用すれば汚染水タンクがひっ迫することは分かっていたはずです。しかし東京電力の責任者はいまだに
「この1年で汚染水対策が進み、大きな節目となった」
と述べたそうです(19)。東京電力は2月24日に福島第一原発事故発生時に核燃料が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)の社内基準に照らせば事故発生から3日後には炉心溶融状態と判定できた旨を発表しました(20)。当時は「判断基準がない」としていたそうです(21)。2015年2月24日には排水路から高濃度の汚染水が流れて出ているのを知りながら1年近くも広報しなかったと発表しました(22)。地下水ドレンによる汚染水増加問題を見ていると東京電力の隠ぺい体質は今も変わっていない気がします。
 福島第一原発構内にコンビニが開店したそうです(23)。店員さんは「ご安全に」と声掛けをしているそうです(24)。
「ご安全に」と声かけする福島第一のコンビニの店員さん
 ※(24)をキャプチャー
 図-14「ご安全に」声掛けをするコンビニの店員さん

 福島第一原発の状況は今も厳しいままみたいです。これでは福島の方は心配だとおもいます。福島県福島市では今、いちご園がオープンしています。福島市のイチゴは美味しいそうです(25)。福島市はイチゴの季節です。福島県は福島産について「 食の安全・安心を確保するため、生産、製造・加工、流通、消費の各段階において、食品中の放射性物質検査を実施しています。 」と主張してます(26)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。
他県産はあっても福島産イチゴが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(27)を引用
 図―15 福島産イチゴが無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)[PDF]福島第一原子力発電所周辺 の地質・地下水および解析
(2)2013年7月22日海側地下水および海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策(PDF 1.43MB
(3)]資料2 福島第一原子力発電所の汚染水の状況と対策について
(4)2016年2月22日「陸側遮水壁の閉合について」実施計画変更認可申請の概要(PDF 1.37MB)
(5)第40回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会中の「配布資料」
(6)(5)中の「資料1-2:陸側遮水壁の検討結果 [東京電力]【PDF:8MB】」
(7)汚染水対策の主な取り組み|東京電力
(8)中長期ロードマップ|東京電力⇒「中長期ロードマップの進捗状況」⇒「2016年2月25日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第27回事務局会議)」⇒「【資料3-1】汚染水対策(10.0MB)」
(9)プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(9)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(10)サンプリングによる監視|東京電力
(11)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(2月1週)―汚染水処理は綱渡り―
(12)報道配布資料|東京電力
(13)(11)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(14)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(1月2週)―ALPS停止まで130日―
(15)(11)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(16)(11)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(17)第41回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(18)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(10月1週)―第三者機関とより低い東電のサブドレイン測定結果―
(19)「汚染水対策に節目」 | 国内外ニュース | 福島民報
(20)福島第一原子力発電所事故当時における通報・報告状況について|東京電力
(21)東電 炉心溶融基準気付かず 第一原発事故危機管理甘さ露呈 | 県内ニュース | 福島民報
(22)2015年2月24日2号機原子炉建屋大物搬入口屋上部の溜まり水調査結果(PDF 960KB)
(23)福島第一原子力発電所における構内大型休憩所へのローソン出店について|東京電力
(24)ダイジェスト動画|ゴジてれ Chu!|福島中央テレビ中の「2016年3月1日(火)放送」
(25)福島 いちご狩り特集 | 一般社団法人 福島市観光コンベンション協会公式ページ こらんしょふくしま
(26)イトーヨーカドー 福島店
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  1. 2016/03/02(水) 19:47:22|
  2. -
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