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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一原発汚染水(4月3週)―外洋からストロンチウム90―

 福島第一原発汚染水の4月3週(4月11日から17日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、高濃度の放射性物質が見つかっています。
 ①外洋からストロンチウム90
 ②地下貯水槽の周囲で全ベータが上昇中
 ③地下水バイパスのトリチウム排出量は累積で430億ベクレル超え
 ④上昇傾向を示す港湾口のトリチウム
 ⑤排水路からは法令限度を超える放射性物質、港湾内でも上昇
 ⑥上昇を続ける地下水バイパス山側井戸のトリチウム
 ⑦海岸付近の井戸から過去最高のトリチウム
 
1.外洋からストロンチウム90
 事故から5年以上経過しましたが、外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。
事故から5年経ってもストロンチウム90が見つかる福島第一沖外洋
  ※1 (4)~(6)で作成
  ※2  数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
  ※5  ストロンチウム90はSR90と略し採取日は3月7日
 図―1 福島第一原発および近傍外洋の放射性物質濃度

 この中で「5,6号機放水口北側」ではストロンチウム90が見つかっています。他の放射性物質の推移を以下に示します。
事故から5年経っても下がる気配が無い福島第一沖の放射性物質濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―2 5,6号機放水口北側の放射性物質濃度

 図に示すとおり、原発事故から5年近く経ちましたが、下がる気配がありません。福島の海はこれからも汚染が続きそうです。

2.地下貯水槽の周囲で全ベータが上昇中
 地下貯水槽は一時期、汚染水の保管に利用されていましたが、汚染水漏れををお越し使われなくなりました(8)。ただし、一時は高濃度の汚染水が貯められていたので、周囲に観測井戸を掘り地下水の汚染の有無を観測してます(8)。従前の記事でこの井戸の水がら突然に全ベータが見つかった旨の記事を記載しましたが(9)、今週は別の観測孔で全ベータが急上昇しました。以下に地下貯水槽周囲の全ベータ濃度を示します。
高濃度の全ベータが見つかる地下貯水槽周辺
※1(9)を集計
 ※2 位置は(8)による。
 ※3 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
 図-3 下貯水槽周囲の全ベータ濃度

 図に示す通り海側の観測孔で放射性物質が見つかっています。やがて拡散し福島の海を汚染しそうです。以下に地下貯水槽i(漏えい検知孔水)南西側の全ベータ濃度を示します。
上昇が続く地下貯水槽i(漏えい検知孔水)の全ベータ濃度
 ※(9)を集計
 図-4 地下貯水槽i(漏えい検知孔水)南西側の全ベータ濃度

 上昇が続いています。東京電力の会見を聞いていると(10)、原因は分かっていないそうです。これでは対策が打てません。漏れるがままにするしか無いようです。

3.サブドレンのトリチウム排出量は累積で430億ベクレル超え
 サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(11)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始まったので(12)7ヶ月以上が経過しました。
 濃度と排出量を公表しているので(13)(14)、濃度×排出量で累積のトリチウムの月別の排出量を求めてみました。
凍土壁凍結を始めたら増えた地下水ドレン移送量
 ※(13)(14)を集計
 図―5 サブドレンのトリチウム累積排出量

 今年になり排出のペースを上げ累積では430億ベクレルを超えました。海洋の汚染が心配です。

4.上昇傾向を示す港湾口のトリチウム
 港湾内からは多種類の放射性物質が見つかっています。
色々な放射性物質が見つかる福島第一港湾内
  ※1 (5)を集計
  ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3 集計期間内の最大値
  ※4 サブドレン排水口の位置は(15)による。
 図―6 福島第一港湾内の放射性物質濃度

 3項に記載したようにサブドレンからのトリチウム排出量が増加しています。図-6に示すようにサブドレン水の排水口は港湾内にあります。以下に港湾と外洋の境の「港湾口」のトリチウム濃度を示します。
上昇傾向を示す後湾口のトリチウム
  ※1(5)を集計
  ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
 図-7 港湾口のトリチウム濃度

 図に示す通り確り上昇しています。この先が心配です。港湾口から海洋に流れ出し、福島の海を確り汚染します。
 

5.排水路からは法令限度を超える放射性物質、港湾内でも上昇
 福島第一原発構内には幾つもの排水路があります。
福島第一原発排水路
 ※(16)で作成
 図―8 福島第一原発内の排水路

 放射性物質の法令限度は1リットル当たりで、セシウム137が90ベクレル、ストロンチウム90が30ベクレルです(2)。全ベータのおよそ半分がストロンチウム90なので(7)、全ベータでは60ベクレルになります。
 以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。
法令限度を超えた汚染水が流れたK排水路
 ※(16)を集計
 図―9 K排水路の放射性物質濃度

 K排水路の4月14日の放射性物質濃度は1リットル当たりで
  セシウム137 180ベクレル
  全ベータ    240ベクレル
で法令限度を超えました。
 以下に1~4号機取水口内南側の放射性物質濃度の推移を示します。

K排水路に同期ぢて上昇した港湾内・1~4号機取水口内南側の放射性物質濃度
※(5)を集計
 図―10 1~4号機取水口内南側の放射性物質濃度

 K排水路に法令限度を超えた汚染水が流れた4月14日の濃度を見ると1リットル当たりで
  セシウム 38ベクレル
  全ベータ 41ベクレル
に達しています。K排水路から港湾内に流れ出した汚染水は確実に港湾内を汚染しています。やがて外洋に出て外洋も汚染します。

6.上昇を続ける地下水バイパス山側井戸のトリチウム  
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(17)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(18)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(19)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超えた汚染水が見つかる地下水バイパスと山側井戸
 ※1 (18)(19)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―11 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。この中で気になったのはE-3井戸のトリチウム濃度です。以下に推移を示します。
上昇するE-3井戸のトリチウム濃度
 ※(18)を集計
 図―12 E-3井戸のトリチウム濃度

 今年に入りじわじわと濃度が上がっています。福島第一原発構内ではトリチウムの拡散が進み、やがて環境中にも出ると思います。

7.海岸付近の井戸から過去最高のトリチウム
 海岸付近は事故から5年以上経過しましたが、いまも高濃度に汚染された地下水が見つかるので汚染されたままです。時には過去最高(新記録)濃度の汚染水が見つかるので、汚染は今も進行しているのかもしれません。
高濃度の汚染水が見つかる福島第一海岸
 ※1 (5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―13 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

 このうち1リットル当たりでNo3-4のトリチウム4,200ベクレルは過去タイ記録で、No2-3のトリチウム4,400ベクレルは過去最高(新記録)です。以下にNo2-3のトリチウム濃度を示します。
上昇し過去最高を記録したNo2-3井戸のトリチウム
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す。
 図―14 No2-3井戸のトリチウム濃度

 図に示す様に、上昇が続いています。この先が心配です。


<余談>
  図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表①)とこちら(ブログ図表②)を参照ください。
 汚染水漏れが続く福島第一原発では、福島の方は不安だと思います。
 福島県福島市で開催されている絵画展の会場で福島産米がくばられました。展覧会場に福島県内外から多数来場しており、福島県産米のおいしさを伝えようと実施したそうです(21)。福島県は福島産米の拡販に熱心なようです。福島県は福島産米は美味しいそうです(22)。福島県は福島産米は「安全」だと主張しています(23)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産米はありません。
他県産はあっても福島産米が無い福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(24)を引用
 図―15 福島産米が無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(4月2週)―外洋8地点から全ベータ―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を3月6日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(2)中の「南放水口・排水路」
(7)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(8)[PDF]地下貯水槽からの汚染水漏えい 及び 対応状況 ... - 東京電力
(9)(2)中の「地下貯水槽に関する分析結果」
(10)="【2016年4月11日】東京電力 記者会見 - 2016/04/11 17:30開始 - ニコニコ生放送
(11)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(12)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(13)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(14)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(15)2015年9月2日 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(PDF 3.53MB)
(17)(3)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(18)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(19)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(20)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(21)おいしい県産米どうぞ 来場者に配る フェルメールとレンブラント展 | 県内ニュース | 福島民報
(22)福島県産 | おいしいお米の通販サイト「むらせライス オンラインショップ」
(23)水田畑作課 - 福島県ホームページ
(24)ヨークベニマル/お店ガイド
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  1. 2016/04/17(日) 19:46:18|
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