福島第一原発汚染水の4月4週(4月17日から24日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、高濃度の放射性物質が見つかっています。
①1号機放水路の放射性物質濃度が上昇中
②地下貯水槽の周囲で全ベータが上昇中
③下がらない港湾口の全ベータ
④上昇を続ける地下水バイパス山側井戸のトリチウム
⑤海岸付近の井戸の4箇所で過去最高の放射性物質濃度
⑥サブドレンのトリチウムの累積放出量は350億ベクレル超
1.1号機放水路の放射性物質濃度が上昇中
事故から5年以上経過しましたが、外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。

※1 (4)~(6)で作成
※2 数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
図―1 福島第一原発および近傍外洋の放射性物質濃度
この中で気になるのが1号機放水路・上流の放射性物質濃度です。以下に推移を示します。

※(6)を集計
図-2 1号機放水路・上流の放射性物質濃度
図に示す通りどんどん上昇しています。ただしトリチウム濃度は逆に下がっているので、セシウムや全ベータで汚染された汚染水が流れ込みセシウムや全ベータ濃度を上げ、トリチウムが薄められ濃度が下がったと思えます。いまも高濃度に汚染された汚染水が流れいます。流れ込んだ分だけは溢れ出し海を汚染すると思います。
2.地下貯水槽の周囲で全ベータが上昇中
地下貯水槽は一時期、汚染水の保管に利用されていましたが、汚染水漏れををお越し使われなくなりました(8)。ただし、一時は高濃度の汚染水が貯められていたので、周囲に観測井戸を掘り地下水の汚染の有無を観測してます(8)。従前の記事でこの井戸の水がら突然に全ベータが見つかった旨の記事を記載しましたが(9)、今週は別の観測孔で全ベータが急上昇しました。以下に地下貯水槽周囲の全ベータ濃度を示します。

※1(9)を集計
※2 位置は(8)による。
※3 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
図-3 下貯水槽周囲の全ベータ濃度
図に示す通り海側の観測孔で放射性物質が見つかっています。やがて拡散し福島の海を汚染しそうです。以下に地下貯水槽i(漏えい検知孔水)南西側の全ベータ濃度を示します。

※(9)を集計
図-4 地下貯水槽i(漏えい検知孔水)南西側の全ベータ濃度
上昇が続いています。東京電力の会見を聞いていると(10)、原因は分かっていないそうです。これでは対策が打てません。漏れるがままにするしか無いようです。
3.下がらない港湾口の全ベータ
港湾内からは外洋より高濃度の汚染水が見つかっています。

※1 (4)(5)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 サブドレン排水口の位置は(11)による。
※5 ストロンチウム90はSR90と略し、採取日は3月14日
図―5 福島第一港湾内の放射性物質濃度
この中で気になるのが港湾口の放射性物質濃度です。以下に推移を示します。

※(5)を集計
図―6 港湾口の放射性物質濃度
東京電力は福島第一原発からの放射性物質の海洋流出を防止する対策を取ったと主張しています(11)。図に示す通り、港湾口の全ベータで見る限り下がっている様子がありません。ここは外洋と港湾内の境界です。当然ながら外洋に放射性物質は流れだしています。
4.上昇を続ける地下水バイパス山側井戸のトリチウム
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(12)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(13)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(14)。以下に放射性物質濃度を示します。

※1 (12)(13)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―7 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
全ベータ 5ベクレル
トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。この中で気になったのはE-4井戸のトリチウム濃度です。以下に推移を示します。

※(18)を集計
図―8 E-3井戸のトリチウム濃度
じわじわと濃度が上がっています。福島第一原発構内ではトリチウムの拡散が進み、やがて環境中にも出ると思います。
5.海岸付近の井戸の4箇所で過去最高の放射性物質濃度
海岸付近の井戸からは高濃度に汚染された地下水が見つかっています。

※1 (5)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―9 海岸付近の井戸の放射性物質濃度
このうち1リットル当たりでNo0-2井戸のセシウム313ベクレル、全ベータ900ベクレル、No0-3-2のセシウム77ベクレル、全ベータ210ベクレル、No0-4井戸のセシウム119ベクレル、No1-8井戸の3,010ベクレルは過去最高(新記録)です。原発事故から5年以上が過ぎましたが、今週は4本の井戸から過去最高濃度の放射性物質が見つかっています。
以下にNo1-8井戸のセシウム濃度の推移を示します。

※(5)を集計
図―10 No1-8井戸のセシウム濃度
図に示す様に、上昇傾向が続いています。原発事故から5年たって、福島第一の汚染水漏れは酷くなっている気がします。
6.サブドレンのトリチウムの累積放出量は450億ベクレル超
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(15)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始まったので(16)半年以上が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(17)(18)、濃度×排出量で累積のトリチウムの排出量を求めてみました。

※(17)(18)を集計
図―11 サブドレンの累積排出量
累積で約450億ベクレルを超え,約458億ベクレルに達しました。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表①)とこちら(
ブログ図表②)を参照ください。
止む事のない福島第一の汚染水漏れ、福島の方は不安だと思います。
福島県が力を入れている野菜にアスパラガスがあります(21)。福島県会津若松市を中心に4月から福島県会津産アスパラガスをテーマにした「会津 食の陣」と呼ぶPRイベントが行われています(22) 4月に入り福島はアスパラガスのシーズンです(23)。福島産アスパラガスは美味しいそうです(24)。福島県は福島産アスパラガスの安全を「宣言」しました(25)。でも、福島県会津地方会津若松市のスーパーのチラシには福島産アスパラガスはありません。

※(26)を引用
図―12 福島産アスパラガスが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県会津若松市の皆様も見習い「フクシマ産」でなく熊本産を食べて応援します
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(4月3週)―外洋からストロンチウム90―(2)
サンプリングによる監視|東京電力(3)
報道配布資料|東京電力(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を3月6日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(3)中の「福島第一原子力発電所構内1号機、2号機放水路サンプリング結果」
(7)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
[PDF]地下貯水槽からの汚染水漏えい 及び 対応状況 ... - 東京電力(9)(2)中の「地下貯水槽に関する分析結果」
(10)
2016/4/21(木) 原子力定例記者会見(11)
2015年9月2日 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(PDF 3.53MB)(12)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(13)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(14)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(15)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力(16)
(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力(17)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(18)
集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力(19)
ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ(20)
会津アスパラ2016 | あいづ食の陣公式サイト(21)
JAあいづ管内の生産品 ? アスパラガス | JAあいづ(22)
3色のアスパラガスを食べくらべ!(南会津町) | ふくしま 新発売。(23)
アピタ会津若松店│「イイこと、プラス。」 アピタ・ピアゴ
スポンサーサイト
- 2016/04/24(日) 19:42:14|
- -
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0