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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(5月5週)―3週連続で排水路から法令限度を超える汚染水が海へ―

 福島第一原発汚染水の5月5週(5月23日から29日)の状況を纏めてました。
 ①外洋から相変わらず見つかる全ベータ等の放射性物質
 ②地下貯水槽の周囲で見つかり続ける全ベータ
 ③3週連続で排水路から法令限度を超える汚染水が海へ
 ④排水路に依存する港湾内の放射性物質濃度
 ⑤排水基準を超えたままの地下水ドレン汲み上げ水のトリチウム濃度
 ⑥地下水バイパス山側井戸のトリチウム濃度が急上昇
 ⑦上昇が続く海岸付近の井戸の放射性物質濃度
 ⑧サブドレンのトリチウムの累積放出量は595億ベクレル超
等が確認され、先週に続き(1)今週も福島第一から海への汚染水漏れが続いています。

1.外洋から相変わらず見つかる全ベータ等の放射性物質
 事故から5年以上経過しましたが、外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。
事故から6年目の放射性物質が見つかる福島第一沖外洋
  ※1 (4)~(5)で作成
  ※2  数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(6)
 図―1 福島第一原発および近傍外洋の放射性物質濃度
 
 この中で「5,6号機放水口北側」が気になります。以下に放射性物質濃度の推移を示します。
事故から5年2ヶ月以上過ぎても下がる気配のない5,6号機放水口北側の放射性物質濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―2 5,6号機放水口北側の放射性物質濃度

 事故から5年2ヵ月以上経過していますが、下がる気配がありません。

2.地下貯水槽の周囲で見つかり続ける全ベータ
 地下貯水槽は一時期、汚染水の保管に利用されていましたが、汚染水漏れををお越し使われなくなりました(7)。ただし、一時は高濃度の汚染水が貯められていたので、周囲に観測井戸を掘り地下水の汚染の有無を観測してます(8)。以下に今週の結果を示します。
全ベータが見つかりづづける地下貯水槽の観測孔
 ※1(8)を集計
 ※2 位置は(7)による。
 ※3 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
 ※4 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
 図-3 地下貯水槽周囲の全ベータ濃度

 図に示す通り多くの観測孔で全ベータが見つかっています。この中で気になるのが観測孔A3です。以下に推移を示します。
上がったまま下がらない観測孔A3の全ベータ濃度
 ※(8)を集計
 図-4 観測孔A3の全ベータ濃度

3月になり突然に全ベータがみつかり出し、2ヵ月近く見つかり続けています。拡散して福島の海を汚染しないか心配です。

3.3週連続で排水路から法令限度を超える汚染水が海へ
 福島第一原発には幾つもの排水路があります。以下に今週観測された放射性物質濃度を示します。
法令限度を超えた汚染排水が流れたK排水路
 ※1(9)を集計
 ※2 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
 ※3 赤丸()はサンプリング地点
 図-5 福島第一原発排水路の放射性物質濃度 

 放射性物質の法令限度は1リットル当たりでストロンチウム90が30ベクレルです(2)。全ベータのおよそ半分がストロンチウム90なので(6)、全ベータでは60ベクレルになります。図に示す通り全ての排水路から放射性物質が見つかり、K排水路とC排水路からは法令限度を超えるそれぞれ1リットル当たり73と72ベクレルの全ベータが見つかっています。以下にK排水路の放射性物質濃度の推移を示します。
法令限度を超えた汚染排水が3週連続で流れたK排水路
  ※(9)を集計
 図-6 K排水路の放射性物質濃度

 これで先週(1)、先々週(10)と3週連続で、法令限度を超える放射性物質に汚染された汚染排水が海に注いでいます。

4.排水路に依存する港湾内の放射性物質濃度
 排水路から高濃度に汚染された排水が海にながれれば、排水路出口がある港湾内が汚染が心配です。以下に港湾内海水の放射性物質濃度を示します。
色々な放射性物質が見つかる福島第一港湾内
  ※1 (4)(5)を集計
  ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3 集計期間内の最大値
  ※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は4月11日
  ※5 排水口の位置は(9)、サブドレン排水口の位置は(11)による。
 図―7 福島第一港湾内の放射性物質濃度

 気になるのが排水路から流れ込んだ汚染排水の影響です。以下に排水路出口付近の1~4号機取水口内南側とK排水路の5月中のセシウム濃度の推移を示します。
K排水路に同期する港湾内海水のセシウム濃度
 ※1(5)(9)を集計
 ※2 海水は「1~4号機取水口内南側」の海水
 図―8 1~4号機取水口内南側とK排水路の5月中のセシウム濃度

 図に示す通り、K排水路と1~4号機取水口内南側のセシウムに同期してます。こう少し見やすくするため、K排水路のセシウム濃度を横軸に1~4号機取水口内南側のセシウムを縦軸にしたグラフを示します。こうすることで、K排水路のセシウム濃度が低い時と高い時の1~4号機取水口内南側のセシウム濃度を見比べることができます。
相関が良いK排水路と港湾内海水のセシウム濃度
 ※1(5)(9)を集計
 ※2 海水は「1~4号機取水口内南側」の海水
 ※3 集計期間は5月1日から28まで
 図―9 1~4号機取水口内南側とK排水路の5月中のセシウム濃度の散布図

 図に示す通りK排水路のセシウム濃度が低い時は1~4号機取水口内南側のセシウム濃度も低いのですが、高くなると高くなってしまいます。東京電力は海側遮水壁の効果によって、福島第一港湾内の放射性物質濃度が下がったと主張してますが(12)、排水路からの放射性物質は港湾を汚染し続けており、やがて外洋に漏れ出していきます。

5.排水基準を超えたままの地下水ドレン汲み上げ水のトリチウム濃度
 福島第一で海岸に水を通さない「壁」を作り海岸から海への汚染水の防止する「海側遮水壁」を完成させました(13)。それまでは「海」に流れていた汚染水が「海側遮水壁」の内側に溜まり放置すると溢れるので、これを汲みあげています(14)。これを「地下水ドレン」と名付けています。トリチウムの排水基準は1リットル当たり1,500ベクレルで(2)、これを超えると海には流せません。東京電力はトリチウムを取り除くことはできないとしています(14)。以下に地下水ドレンから汲み上げた汚染水のトリチウム濃度を示します。
排水基準を超えたトリチウムに汚染された地下水ドレン汲み上げ水
 ※(15)(16)にて作成
 図―10 地下水ドレン汲み上げ汚染水のトリチウム濃度

 以下にA,B,Cの3系統の配置を示します。
地下水ドレンの配置
 ※(15)にて作成
 図-11 地下水ドレンの井戸と一時保管用のタンク

 図に示す通り南側のC系統を除き、排水基準の1リットル当たり1,500ベクレルを超えており「海」に流すことが出来ません。現状は概ねタービン建屋に送っていますが(17)、これが汚染水の増加要因となっています(18)。このままトリチウム濃度が下がらなければ、汚染水を溢れさすか海に流すかしかたがなくなると思います。

6.地下水バイパス山側井戸のトリチウム濃度が急上昇
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(19)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(20)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(21)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超えた汚染地下水が見つかる地下水バイパスと山側井戸
 ※1 (20)(21)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―12 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。この中で気になったのはG-9井戸のトリチウム濃度です。以下に推移を示します。
乱高下したがら上昇するG3井戸のトリチウム
 ※(17)を集計
 図―13 G-9井戸のトリチウム濃度

 図に示す通り4月下旬は概ね1リットル当たり200ベクレル程度で推移していたのですが、一月前から急に乱高下したがら上昇し今週は1リットル当たり1,800ベクレルが観測されました。

7.上昇が続く海岸付近の井戸の放射性物質濃度
 海岸付近の井戸からは高濃度に汚染された地下水が見つかっています。
高濃度の汚染地下水が見つかる福島第一の海岸
 ※1 (5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―14 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

 この中で気になったのがNo1-6井戸のセシウム濃度です。以下に推移を示します。
濃度が高いのに上昇するNo1-6井戸のセシウム
※(5)を集計
 図―15 No1-6井戸のセシウム濃度

 この井戸はもともとセシウム濃度が高いのですが、それなのに4月位から上昇を続けてきます。この先が心配です。

8.サブドレンのトリチウムの累積放出量は約597億ベクレル
 サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(22)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始まったので(23)半年以上が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(24)(25)、濃度×排出量で累積のトリチウムの排出量を求めてみました
約597億ベクレルとなったサブドレンのトリチウム累積排出量
 ※(24)(25)を集計
 図―16 サブドレンの累積排出量

 累積で約597億ベクレルとなりました。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表①)とこちら(ブログ図表②)とこちら(ブログ図表③)を参照ください。
 福島県福島市に阿部彩さんとゆうミセスの方がいます。3人のお母さんだそうです(26)。
福島の綺麗な女性
※(26)を引用
 図―17 阿部彩さん

 非常に綺麗な方だと思います。彼女は福島原発事故後に頑張っています。
 2013年 福島産米のキャンペーンクルー「うつくしまライシーホワイト」を務める(27)。
 2014年 福島産果物のキャンペーンクルー「ミスピーチ」務める(26)。
 2015年 日本3大菊人形展として知られる福島県二本松市の菊人形展(28)や同市の観光をPRする「菊むすめ」(29)を務められました(30)。
 2016年 同じく「菊むすめ」を務る事になりました(29)。

 福島にはいろいろなキャンペーンクルーの方がいらっしゃるのですが(31)(32)(33)(34)(35)、4年連続して務められる方は稀(たぶんいない)と思います。
 これまでの彼女の努力はあまり報われなかったと思います(30)(36)。そして汚染水漏れが続く福島第一では今年も無理な気がします。
 福島県が力を入れている野菜にアスパラガスがあります。5月に入り福島はアスパラガスの本格シーズンです(37)。菊人形展がある二本松市辺りもアスパラガスの産地の一つです(38)。この辺りの平均の放射線量は毎時0.36マイクロシーベルトで(39)、国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルト(40)を超えています。原発事故前年に比べ5年目は葬式が12%増えています(39)。福島のアスパラガスは美味しいそうです(41)。 福島県は福島産アスパラガスは「安全」だと主張しています(42)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産アスパラガスはありません。
他県産はあっても福島産アスパラガスが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
  ※(43)を引用
 図―18 福島産アスパラガスが無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(5月4週)―2週連続で外洋からトリチウム―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を3月6日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(7)[PDF]地下貯水槽からの汚染水漏えい 及び 対応状況 ... - 東京電力
(8)(2)中の「地下貯水槽に関する分析結果」
(9)(3)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(10)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(5月3週)―外洋からトリチウムやストロンチウム―
(11)2015年9月2日 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(PDF 3.53MB)
(12)2016年5月26日放射線データの概要 5月分(4月28日~5月25日)・サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げと分析・雑固体廃棄物焼却設備の運用開始に伴う放射線データの公開について(PDF 1.30MB)PDF
(13)海側遮水壁|東京電力
(14)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(15)(2)中の「中継タンクの分析結果」
(16)X.地下水|東京電力中の「地下水ドレンポンド・中継タンク水質分析」⇒「分析計画名称 地下水ドレンポンド揚水井通常水質分析(H28年度分)」⇒「分析結果 CSV 」
(17)(3)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(18)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(5月4週)―凍土遮水壁凍らず、追加工事で対応します―
(19)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(20)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(21)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果
(22)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(23)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(24)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(25)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(26)Twitter
(27)2013うつくしまライシーホワイト決定。
(28)菊人形 - Wikipedia
(29)菊むすめ決まる 二本松で審査会 | 県内ニュース | 福島民報
(30)めげ猫「タマ」の日記 今年(2015年)活躍した福島の10人(組)の女性
(31)市長訪問し誓い サンシャインガイドいわき活動スタート | 県内ニュース | 福島民報
(32)「スマイルピーチ」決定 魅力を発信 5人が抱負 | 県内ニュース | 福島民報
(33)会津美里町あやめ祭り|ばしこんのブログ
(34)第52回郡山うねめまつり2016
(35)観光キャンペーンクルーのオススメ/ご当地観光課のいいねvol.39(白河市)
(36)めげ猫「タマ」の日記 今年(2014年)に活躍した福島県の十人の女性
(37)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(38)特産品情報 | 地区別くらし情報 安達地区 | JAふくしま未来
(39)めげ猫「タマ」の日記 1(μSV/h)で葬式40%増、原発事故5年目の福島
(40)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(41)春の息吹、アスパラガス! | ふくしま 新発売。
(42)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(43)イトーヨーカドー 福島店
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  1. 2016/05/29(日) 19:49:00|
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