めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

トラブルいっぱい福島原発(6月1週)―凍土遮水壁に大穴―

 東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、6月1週(5月29日から6月4日)もしっかりトラブルが起こっています。
 ①ダストモニタから警報
 ②今週も増え続ける汚染水
 ③原子力規制委・東京電力に「暗」に汚染水の海洋放出を迫る
 ④凍土遮水壁に大穴

1.ダストモニタから警報
 ダストモニタは空気中の放射性物質濃度を連続的に測る装置です(2)。
ダストモニタの原理
※(3)を引用・加筆
 図-1 ダストモニタの原理

①真空ポンプで吸い込み空気中のダスト(ほこり)をろ紙で集める。
②ほこりを集めたろ紙を、シリコン半導体検出器にて放射能量を測定する。
③流量計で測定した空気流量で放射能量を割って、濃度を算出する。
との原理で空気中の放射性物質濃度を測定します(3)。以下に福島第一原発のダストモニタの配置をしめします。
7ヵ所に配置された福島第一のダストモニタ
 ※1(4)とGoogle Mapにて作成
 ※2 MPはモニタリングポスト(放射線量の観測点)の略
 図-2 モニタリングポスト

 このうちMP2の側のダストモニタが6月1日の午前8時前と午前11時半頃の2回、空気中に異常に高い放射性物質を見つかったとして「警報」を出しました。これについて東京電力はろ紙についた放射性物質を調べたらセシウム等の福島げ第一原発から噴出した放射性物質が見つからない事から機器の故障だと判定しました(4)(5)。
 福島にはいくつかの日本100名山があります(5)。その一つに吾妻山があります。吾妻山は西吾妻山、東吾妻山、吾妻小富士、一切経山、中吾妻山等からなる連山です(6)。このうち吾妻小富士は麓の駐車場から徒歩10分ときわめて行き易い山です(7)。(=^・^=)も原発事故前は良くお邪魔させていただきましたが、吾妻小富士への人出が多いようです。以下に吾妻小富士付近の2014年11月から1年間の放射線量の増減を示します。
放射線量が増えた吾妻小富士の周辺
  ※ (3)(11)にて作成
 図-3 吾妻小富士付近の2014年11月から1年間の放射線量の増減

 図に示す通り吾妻小富士の当たりでは放射線量が上昇しています。以下に磐梯吾妻スカイラインのほぼ両端にある土湯除雪ステーションと西原農村公園の放射線量をしめします。
6月1日に放射線量のピークがみられる吾妻小富士付近のモニタリングポスト
 ※(12)にて作成
 図―4 磐梯吾妻スカイライン付近の土湯除雪ステーションと西原農村公園の放射線量

 ダストモニタの警報を出した6月1日に共にピーク出ています。離れた2カ所で同時にピークが出ているので機器の故障でなく、なにか共通の要因でピークが出たと思います。放射線量は吾妻小富士だけでなく福島では安達太良山や磐梯山付近でも増えています(13)。これから新緑の山々にお出かけを考えている方も多いと思います。もし、福島の山に出かけるなら放射性物質に降られる覚悟が必要です。

2.今週も増え続ける汚染水
 福島第一では原子炉・タービン建屋に地下水が侵入したり、海への汚染水流出を防止するために設けた海側遮水壁(3)の内側に溜まった汚染水を汲みあげる戻す地下水ドレン等(14)で汲み上げた汚染水をタービン建屋に戻すなのどして日々汚染水が増えています。以下に福島第一の汚染水の流れを示します。
福島第一汚染水処理の流れ
※(14)(16)(17)にて作成
 図―5 福島第一の汚染水の流れ

 図に示す通り最終的な行き場はありません。以下に福島第一原発の汚染水の
日々増え続ける福島第一汚染水
 ※(18)を集計
 図-6 日々増える福島第一汚染水

 原発事故以降に日々増え続けています。この対策としてタービン建屋と海の間に氷の壁を作り、タービン建屋側がら海側遮水壁の汚染水の流れを遮断する目的で、凍土遮水壁の凍結が開始されました(19)。いかに1日当たりの汚染水の増加量を示します。
凍土遮水壁凍結開始後も減らない汚染水増加量
 ※(18)を集計
 図―7 汚染水の日々の増加量

 汚染水増加量をみると
  凍土壁凍結開始前の4週間(3月3日から3月30日) 1日当たり297立方メートル
  近々の4週間(5月5日から6月1日) 1日当たり453立方メートル
で数字上は逆に増えています。
 以下に最終段の処理水タンクについて満水率を
  満水率=タンク内保管汚染水量÷タンク容量
と規定して推移を示します。
満タン状態が続く処理水タンク
※(18)を集計
 図―8 福島第一・処理水タンクの満水率

 図に示す通りずっと98%前後で推移しています。タンクにはスロッシング現象といってタンクが満タンでなくても地震等でタンクが揺れると、中の液体も揺れてタンクから溢れだす現象があります(20)。汚染水タンクを満タンで運用すると地震等で汚染水漏れを起こす危険があり、ある程度の余裕が必要です。東京電力はこの値を98%程度に、すなわち2%程度の余裕が必要と判断していると(=^・^=)は想像しています。福島第一の汚染水タンクは満タン状態が続いています。

3.原子力規制委・東京電力に「暗」に汚染水の海洋放出を迫る
 6月2日に第43回特定原子力施設監視・評価検討会が開かれました(21)。ここで原子炉やタービンに溜まっている汚染水を津波が飛来した場合に海に流出する危険性について議論が行われました。その中で原子力規制委員会の担当委員は、原子炉やタービン建屋に溜まっている汚染水に
「汚れた物を入れたタンクに十分な余裕があったら、がんがん引いちゃって建屋内の水位を下げちゃって、でもダート地下水入れちゃって、薄まりますよね!でなた、ガード引いて、繰り返していけば<中略>とにかく引いて地下水入れて引いて地下水入れてしてけばきれいになってくる訳ですよね。そこで地下水が流入し続けている状況でどうかという問題はあるけれども、そもままその水を固めてちまえ方がドライアップよりよっぽど現実的かも知れない。で、そうゆう方策ってのはありうべしと思う。<中略(含む東京電力発言)>水位差は小さくして両方下げているとゆうのは汚染水を増やさないとの意味で理想的ではあるけど、流入する地下水は今も観点からすれば希釈水なんだら入って来ていいんだよと、でもそれはタンクに非常に余裕がある場合、抜きたいだけ抜ける、いくらでも貯めておけるという状況を作ったらそうゆう事ができる。タンク内に他の物があって、満杯で入れる余地がありません時にはできません。早く建屋内を安定させる。これどう考えても先ほどの議論からして、建屋内の汚染水をどうするかというのは、いまのいちエフにとって一番の問題ですよ。で、それを急ごうと思ったら、トライアップて現実的に見えてきたパスでないから、そしたらどこで判断してくてならくて、希釈水が入いって来るのはいいよ、それによって薄まって来るんだったら。なんどかガンガン引いて薄まってというのを繰り返して、最後はコンクリを突っ込んで、これも技術的な成立性がもちろんあるけれど、これは本当に現実的な選択肢してあり得るの物だと考えてよろしいですね。」
と発言していました。
 全体の流れから用語の意味を特定すると「引く」「抜く」はは同じ意味で汚染水をダービン建屋から汲み上げることだと思います。いちエフは福島第一原発の略称です(22)。
 (=^・^=)なりに要約すると
 ①福島第一の一番の課題は原子炉やタービン建屋内に溜まった汚染水を無くすことである。
 ②原子炉やタービン建屋に溜まった汚染水に外から汚染されていない水を入れ、問題ないレベルまで放射性物質濃度を下げ、コンクリートで埋めてしまうのが現時点で最も現実的な方法である。
 ③それには汚染水タンクに「空」が必要
かと思います。2項で記載したように汚染水タンクに余裕がなく③の要件がみたせず非現実的な気がしますが、公への場で責任のあるがたが目算の無い発言をするはずがありません。従前の記事(23)に記載したように原子力規制委は東京電力に最終段の「処理水タンク」内の汚染水の海洋放出を迫っています。海洋放出が実現できれば汚染水タンクにに余裕ができるので、(=^・^=)のは
 ①早晩に「処理水タンク」内の汚染水の海洋放出を実施する。
 ②できた空タンクにはタービン建屋から汚染水を汲みあげる。
 ③建屋内の汚染水が十分に薄まったら、コンクリートを流しこみ汚染水を無くす。
との方策の検討をせまった感じです。①に示すように今回も最終段の処理水タンクの汚染水を海に流すことを迫っています。

4.凍土遮水壁に大穴
 凍土遮水壁は福島第一原発の原子炉やタービン建屋の回りを氷の壁で囲い汚染水の増加を抑えようとするものです(2)。福島第一では凍土壁に先立ち、海岸に水を通さない「壁」を作り海岸から海への汚染水の防止する「海側遮水壁」を完成させました(3)。それまでは「海」に流れていた汚染水が「海側遮水壁」の内側に溜まり放置すると溢れるので、これを汲みあげています(4)。汲み上げた汚染水は「海」へな流せず現状ではタービン建屋に送っています(6)。そこでタービン建屋と海側遮水壁の間に氷の壁(凍土壁)を作りタービン建屋側から海側遮水壁への汚染水の流れを阻止し、汚染水増加量を抑える試みがなされています(7)。
福島第一汚染水増加対策
 ※1(14)、(15)、(17)、(19)、(24)なので作成
 ※2 SDはサブドレンの略
 図-9 凍土壁の期待される効果(フェーズ1)

この他に原子炉やタービン建屋の近傍に井戸を掘り、そこから地下水を汲み上げ建屋への流入を抑えるサブドレンも行われています(15)。凍土壁の両側には地下水位を観測する井戸RWとCoが設けられています。以下に「凍土壁」と海側遮水壁の配置を示します。
海側遮水壁と凍土遮水壁
※(24)(25)(26)にて作成
 図―10 凍土遮水壁と海側遮水壁

以下に東京電力が「海1-①」となずけた場所の図1に示すSD(サブドレン),RW,Coおよび地中温度の観測点の水平位置を示します。
コーナー部分の海1-①
 ※(24)(25)(26)にて作成
 図―11 海1-①付近の配置

 以下に海1-①付近の地下水位を示します。
下がらない凍土遮水壁の海側の地下水位
 ※(28)(29)(30)にて作成
 図-12 海1-①付近の地下水位

 もし地下水の流れを遮ることができれば海側の地下水位観測点Co-15の地下水位が下がっても良いはずですが下がっていません。以下に図-10に示すトレンチよりやや北側(図では左側)にある測温管30-135の温度変化を示します。
下がらないOP0m付近の地中温度
 ※(31)にて作成
 図-13 測温管30-135の温度変化

 図に示すようにOP0m(地下9m程度)の所に全く温度が下がらない場所があります。これでは凍る訳がありません。以下に海1-①付近の断面の温度分布を示します。 なおOPは小名浜港を基準とした海抜で、東京電力の資料(17)を見ると東京湾を基準とした海抜より1.4m程度高いあたいです。海抜0mはOP1.4mに相当します。以下海1-①付近の地下断面の温度分布を示します。
凍土遮水壁に空いた「大穴」
※(31)にて作成
 図-14 海1-①付近の温度分布

 図に示す通り0℃を超えた大きな「穴」が開いています。これではここから地下水が流れだし、遮水(水の流れを遮る)効果はでません。
 以下に地下水ドレン等の汲み上げ量を示します。
凍土遮水壁凍結開始後も減らない地下水ドレン等の汲み上げ量
 ※1(31)にて作成
 ※2 5月の平均は5月30日まで
 図-15 地下水ドレン等の汲み上げ量

 図に示す通り凍土遮水壁凍結開始後も減っていません。
  凍土壁開始前の3月 1日平均 267立方メートル
  最新の5月     1日平均 353立方メートル
で逆に増えています。
 それでも東京電力は凍土遮水壁が効果があったと主張しています。なんでも地下水位が上昇したので流量が増えるのですが、その分を考慮すれば「効果」があったそうです(31)。でも凍土遮水壁で水の流れを遮れば地下水位が上がるは当たり前で、地下水位が上がったからと言ってもこれを補正するのは間違いです。
 東京電力は凍土壁だけでは無理と判断したようで、図―13に示す「高温」の部分にセメントを流し込むそうです(31)。また山側の凍土壁を格子状に凍らす次のステップが原子力規制委から事実上認められました(32)。ひょっとしてどうせ効果が出るわけないので、安全上の問題はないと判断したりして・・・
 

<余談>
  図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。ただしグラフはこちら(ブログ図表)を参照ください。
 福島県が力をいれている野菜ににキュウリがあります。福島県福島市の北隣りの伊達市や南隣の二本松市は福島の主要産地です(33)。福島のキュウリはおしいそうです(34)。今年の出荷は既に始まり(35)、キュウリのシーズンです。福島県は福島産キュウリは「安全」だと主張しています(36)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産キュウリはありません。
他県産はあっても福島産キュウリが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(37)を引用
 図―16 福島産キュウリが無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(5月4週)―凍土遮水壁凍らず、追加工事で対応します―
(2)空気汚染モニタ (09-04-03-09) - ATOMICA -
(3)連続ダストモニタの警報発生について - 東京電力
(4)2016年6月1日福島第一原子力発電所 敷地境界連続ダストモニタ警報発生について(モニタリングポスト2近傍)(PDF 1.46MB)
(5)福島第一原子力発電所の状況について(日報)2016年6月1日|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社
(6)日本百名山 - Wikipedia
(7)吾妻山 - Wikipedia
(8)吾妻小富士 - Wikipedia
(9)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会
(10)(9)中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV)」
(11)(9)中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成26年9月1日~11月7日測定) 平成27年02月13日 (KMZ, CSV)」
(12)福島県放射能測定マップ
(13)めげ猫「タマ」の日記 磐梯山ゴールドライン46周年―未来は暗い―
(14)海側遮水壁|東京電力
(15)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(16)報道配布資料|東京電力
(17)(5)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(18)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(19)2016年3月31日 福島第一原子力発電所 陸側遮水壁の凍結運転開始についてPDF
(20)スロッシング - Wikipedia
(21)第43回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(22)福島第一原子力発電所 - Wikipedia
(23)めげ猫「タマ」の日記 原子力規制委、東京電力に汚染水の海洋放出をせまる
(24)(21)中の「資料2:陸側遮水壁閉合(第一段階フェーズ1)の状況とフェーズ2への移行[東京電力]【PDF:23MB】」
(25)(5)中の「陸側遮水壁の状況(第一段階 フェーズ1) 」
(26)第42回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(27)中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況」
(28)(27)中の「2016年5月26日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第30回事務局会議)」⇒「【資料3-1】汚染水対策(13.0MB)」
(29)(27)中の「2016年4月28日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第29回事務局会議)」中の「【資料3-1】汚染水対策(29.0MB)」
(30)2016年6月2日陸側遮水壁の状況(第一段階 フェーズ1)(PDF 4.54MB)
(31)(26)中の「資料2:陸側遮水壁閉合(第一段階フェーズ1)の状況とフェーズ2への移行[東京電力]【PDF:23MB】」
(32)(26)中の「会議映像別 YouTube」
(33)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(34)福島県 すかがわ岩瀬農業協同組合 (きゅうり)~「パリッと新鮮でおいしい 岩瀬きゅうり」~ 月報 野菜情報-産地紹介-2010年9月
(35)トピックス | JA夢みなみ
(36)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(37)イオン福島店

 6月5日追記
 福島県の地方紙の福島民報が本記事2-4項の同じような報道をしていました(A1)
 汚染水打開策見えず と報じる福島民報
※(A1)を引用
 図―A1「汚染水打開策見えず 」と報じる福島県の地方紙・福島民報

-参考にしたサイト様-
(A1)汚染水打開策見えず 凍土壁・保管タンク・海洋放出 第一原発 | 県内ニュース | 福島民報
(A2)福島民報を6月5日に閲覧
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  1. 2016/06/04(土) 20:45:16|
  2. -
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

>ひょっとしてどうせ効果が出るわけないので、安全上の問題はないと判断したりして・・
これ正解!だな、、。
  1. 2016/06/04(土) 23:17:56 |
  2. URL |
  3. 武尊 #-
  4. [ 編集 ]

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