福島第一原発汚染水の6月3週(6月13日から19日)の状況を纏めてました。
①ヒラメから基準値超えのセシウム、でも福島のヒラメは「安全です」
②4日連続で排水路から法令限度を超えて汚染されている排水が海へ
③上昇傾向を示す港湾口のストロンチウム90
④地下貯水槽の周囲の全ベータ再上昇が続く
⑤地下水バイパス山側井戸のトリチウムが急上昇
⑥海岸付近の井戸からは過去最高の全ベータ
⑦サブドレン・トリチウムの累積排出量はの674億ベクレル超
等が確認され、先週に続き(1)今週も福島第一から海への汚染水漏れが続いています。
1.ヒラメから基準値超えのセシウム、でも福島のヒラメは「安全です」
東京電力では外洋や外洋と港湾の境界に当たる港湾口の海水や魚の放射性物質濃度を測定し公表しています(4)(5)(6)。今週の発表分について纏めてみました。

※1 (4)~(6)で作成
※2 数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
図―1 福島第一原発および近傍外洋の放射性物質濃度
図に示すように事故から5年3ヶ月以上が経過しましますが、放射性物質が見つかり続けています。この中で気になったののがヒラメのセシウム濃度です。

※1(8)を集計
※2 日付は捕獲日
※3 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)
図-2 港湾口のヒラメのセシウム濃度
図に示す通り、基準値(9)を超えるセシウムが度々見つかっています。それでも福島のヒラメは「安全」とされ、今年9月位からは漁が再開するそうです(10)。「汚染水は完全にブロック」と言った方がいらっしゃるそうですが(11)、港湾と外洋の境界で汚染魚が見つかっているのに本当ですかね?
2.4日連続で排水路から法令限度を超えて汚染されている排水が海へ
福島第一原発構内には幾つもの排水路が走っています(12)。以下に今週観測された各排水路の放射性物質濃度を示します。

※1(12)を集計
※2 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
※3 赤丸(
●)はサンプリング地点
図-3 福島第一原発排水路の放射性物質濃度
放射性物質の法令限度は1リットル当たりで、セシウム137が90ベクレル、ストロンチウム90が30ベクレルです(2)。全ベータのおよそ半分がストロンチウム90なので(7)、全ベータでは60ベクレルになります。図に示す通り全ての排水路から放射性物質が見つかり、K排水路からは法令限度を超える1リットル当たり250ベクレルの全ベータが見つかっています。
以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。

※(12)を集計
図―4 K排水路の放射性物質濃度
1リットル当たりの数値を記載すると
6月14日 セシウム137 170ベクレル、全ベータ 250ベクレル
6月15日 セシウム137 74ベクレル、全ベータ 120ベクレル
6月16日 セシウム137 37ベクレル、全ベータ 69ベクレル
6月17日 セシウム137 42ベクレル、全ベータ 70ベクレル
で6月14日はセシウム137、全ベータ共に法令限度を超える放射性物質が、15~17日は法令限度を超える全ベータが見つかっています。4日間連続して法令限度を超える汚染排水がK排水路を流つづけ、海を汚染したはずです。
3.上昇傾向を示す港湾口のストロンチウム90
図-3に示す様に排水路の大部分は港湾内に繋がっています。排水路から流れ出た汚染排水は港湾を間違いなく汚染します。福島第一港湾内の汚染が気になります。以下に今週の港湾内の汚染状況を纏めます。

※1 (4)(5)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 ストロンチウムSR90と略し、採取日は5月9日
※5 排水口の位置は(12)、サブドレン排水口の位置は(13)による。
図―5 福島第一港湾内の放射性物質濃度
以下に港湾口のストロンチウム90濃度を示します。

※1(5)にて作成
※2 NDは検出限界未満を示す。
図―6 港湾口のストロンチウム90濃度
図に示す通り、このところ上昇傾向を示しています。この先が心配です。ここは外洋との境界の場所なので、外洋へも影響するはずです。
4.地下貯水槽の周囲の全ベータ再上昇が続く
地下貯水槽は一時期、汚染水の保管に利用されていましたが、汚染水漏れををお越し使われなくなりました(14)。ただし、一時は高濃度の汚染水が貯められていたので、周囲に観測井戸を掘り地下水の汚染の有無を観測してます(15)。以下に今週の結果を示します。

※1(15)を集計
※2 位置は(14)による。
※3 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
図-7 地下貯水槽周囲の全ベータ濃度
図に示す通り多くの観測孔で全ベータが見つかっています。この中で気になるのがA8です。以下に推移を示します。

※(11)を集計
図-8 観測孔A8の全ベータ濃度
3月になり突然に全ベータがみつかり出し、2ヵ月近く見つかり続けています。一度は下がったのですが再上昇です。図に示す通り昨年12月以降で最高の値を記録しました。会見を聞いている限り、原因は分かってないようです。対策が打てないまま、拡散して福島の海を汚染しないか心配です。
5.地下水バイパス山側井戸のトリチウムが急上昇
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(16)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(17)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(18)。以下に放射性物質濃度を示します。

※1 (17)(18)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―9 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
全ベータ 5ベクレル
トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。この中で気になったのはG-2井戸のトリチウム濃度です。以下に推移を示します。

※1(17)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
図―10 G-2井戸のトリチウム濃度
6月13日に福島は梅雨入りしました(19)。そしたらG-2井戸のトリチウム濃度が突然に上昇しました。これからしばらくは「梅雨」が続きます。この間に高濃度のトリチウムが見つかり、雨で流され福島の海を汚し続ける気がします。
6.海岸付近の井戸からは過去最高の全ベータ
海岸付近の井戸からは酷く放射性物質に汚染された地下水が見つかっています。

※1(5)を集計
※2 ストロンチウムSR90と略す。
図―12 No1-17井戸の放射性物質濃度
上昇傾向が続いています。これからも新記録を更新しそうです。
7.サブドレン・トリチウムの累積排出量はの674億ベクレル超
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(19)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始まったので(20)半年以上が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(21)(22)、濃度×排出量で累積にのトリチウムの排出量を求めてみました。

※1(5)を集計
※2 ストロンチウムSR90と略す。
図―12 No1-17井戸の放射性物質濃度
上昇傾向が続いています。これからも新記録を更新しそうです。
7.サブドレン・トリチウムの累積排出量はの674億ベクレル超
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(19)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始まったので(20)半年以上が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(21)(22)、濃度×排出量で累積にのトリチウムの排出量を求めてみました。

※(21)(22)を集計
図―13 サブドレンの月別のトリチウム排出量
図に示す通り運用開始後からトリチウムの排出量が増え続け、累積排出量はで674億ベクレル超なりました。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。(
ブログ図表)を参照ください。
全村避難が続く福島県飯舘村の避難先(福島市飯野町の飯舘村飯野支所前の駐車場)で「くっちゃん雪ダルマin飯舘村」が6月19日に開かれました。、子どもたちは雪の滑り台でそり滑りを楽しんだそうです。雪は北海道倶知安(くっちゃん)町から運んできたそうです(23)。福島だって冬の雪を集め、夏まで保管しているとこがあります(24)。わざわざ北海道から運ぶ必要はないと思うのですが・・・。理由は一つしかないと思います。汚染水漏れが続く福島第一原発では福島の方は不安だと思います。
福島県福島市ではサクランボ「佐藤錦」の収穫作業が盛りを迎えたそうです(25)。6月11日に福島県福島市では観光果樹園の開園式が行われました(26)。避難地域の次に汚染され、原発事故後に葬式が増えた福島盆地(27)では
サクランボ⇒モモ⇒ナシ⇒リンゴ
と続く、果物シーズンの幕開けです(28)。福島はサクランボが美味しい季節です(29)。福島県は福島産サクランボは安全だと主張しています(30)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産サクランボはありません。

※(31)を引用
図―14 福島産サクランボが無い福島県の福島市スーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(6月2週)―外洋からストロンチウム―(2)
サンプリングによる監視|東京電力(3)
報道配布資料|東京電力(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を5月12日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)
2016年6月15日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>(PDF 98.2KB) (7)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)(3)中の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>」
(9)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(10)
9月開始目指す ヒラメ試験操業 いわき市漁協 | 県内ニュース | 福島民報(11)
<金口木舌>きっぱりと語る首相016年6月10日 琉球新報(12)(3)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(13)
2015年9月2日 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(PDF 3.53MB)(14)
[PDF]地下貯水槽からの汚染水漏えい 及び 対応状況 ... - 東京電力(15)(2)中の「地下貯水槽に関する分析結果」および「地下貯水槽観測孔 分析結果 」
(16)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(17)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(18)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果
(19)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力(20)
(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力(21)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(22)
集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力(23)
北海道から『雪の贈り物』 福島で雪の滑り台に子どもたち歓声:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet(24)
雪むろまつり|只見町公式ホームページ|福島県(25)
トピックス | JAふくしま未来(26)
甘いサクランボに笑顔広がる 福島の観光農園開園 | 県内ニュース | 福島民報(27)
めげ猫「タマ」の日記 果物作りが盛んな、汚染された福島盆地(28)
食べ頃カレンダー(29)
福島さくらんぼ狩りの時期とおすすめ人気スポット! | 豆知識PRESS(30)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(31)
ヨークベニマル/お店ガイド
スポンサーサイト
- 2016/06/20(月) 19:47:57|
- -
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0