fc2ブログ

めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(6月4週)―港湾内海水は2日連続で法令限度を超え―

 福島第一原発汚染水の6月1週(6月20日から26日)の状況を纏めてました。
 ①地下貯水槽の周囲の全ベータ再上昇が続く
 ②排水路から法令限度を超えて汚染されている排水が海へ
 ③港湾内海水は2日連続で法令限度を超え
 ④排水基準を超えたままの地下水ドレン汲み上げ水のトリチウム濃度
 ⑤地下水バイパス山側井戸から排水基準を超えた放射性物質
 ⑥過去最高を記録した海岸付近の井戸のトリチウム
 ⑦サブドレン・トリチウムの累積排出量はの700億ベクレル寸前
等が確認され、先週に続き(1)今週も福島第一から海への汚染水漏れが続いています。

1.地下貯水槽の周囲の全ベータ再上昇が続く
 事故から5年3ヶ月以上経過しましたが、外洋や構内から相変わらず放射性物質が見つかっています。
事故から5年3ヶ月以上経てもあちこちで見つかる放射性物質
  ※1 (4)~(7)で作成
  ※2  数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
 図―1 福島第一原発および近傍外洋の放射性物質濃度
 
 この中で気になるにが) 地下貯水槽i(漏えい検知孔水)南西側の全ベータ濃度です。地下貯水槽は一時期、汚染水の保管に利用されていましたが、汚染水漏れををお越し使われなくなりました(9)。ただし、一時は高濃度の汚染水が貯められていたので、周囲に観測井戸を掘り地下水の汚染の有無を観測してます(7)。以下に推移を示します。
再上昇する地下貯水槽漏えい検知孔の全ベータ
 ※1(7)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―2  地下貯水槽i(漏えい検知孔水)南西側の全ベータ濃度

しばらくは検出限界未満が続いていたのですが、3月末になり突然に全ベータがみつかり、4月に急上昇です。一度は下がったのですがそして再上昇です。以下に周囲の観測孔の全ベータ濃度を示します。
地下貯水槽の周囲で見つかる全ベータ
 ※1(7)で作成
 ※2  数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
 ※3  集計期間内の最大値
 図-3 地下貯水槽周囲の全ベータ濃度

 図に示す通り周囲でも全ベータが見つかっています。会見(10)を聞いている限り、原因は分かってないようですそ対策が打てないまま、拡散して福島の海を汚染しないか心配です。

2.排水路から法令限度を超えて汚染されている排水が海へ
 福島第一原発構内には幾つもの排水路が走っています(11)。以下に今週観測された各排水路の放射性物質濃度を示します。
法令限度を超えた汚染排水が流れる福島第一排水路
 ※1(11)を集計
 ※2 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
 ※3 赤丸()はサンプリング地点
 図-4 福島第一原発排水路の放射性物質濃度

 放射性物質の法令限度は1リットル当たりで、セシウム137が90ベクレル、ストロンチウム90が30ベクレルです(2)。全ベータのおよそ半分がストロンチウム90なので(8)、全ベータでは60ベクレルになります。図に示す通り全ての排水路から放射性物質が見つかっています。特にA排水路は直接・外洋に注いでいます。福島第一沖の外洋は間違いいなく放射性物質が流れています。ブロックなどされていません(12)。また、K排水路からは法令限度を超える汚染水が2日連続で流れています。値は1リットル当たりで
6月24日
 セシウム137 210ベクレル
 全ベータ    270ベクレル
6月24日
 セシウム137 290ベクレル
 全ベータ    430ベクレル
です。
 以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。
方連限度を超えた汚染排水が連続して流れるK排水路
  ※(11)を集計
 図―5 K排水路の放射性物質濃度

 今回だけでなく時々、法令限度を超えて汚染される状況が時々みられます。事故から5年3ヵ月以上が経過していますが、福島第一原発の排水路は法令限度を超えて超えて汚染された排水を海に流し続けています。

3.港湾内海水は2日連続で法令限度を超え
 図-3に示す様に排水路の大部分は港湾内に繋がっています。排水路から流れ出た汚染排水は港湾を間違いなく汚染します。福島第一港湾内の汚染が気になります。以下に今週の港湾内の汚染状況を纏めます。
法令限度を超えた汚染海水が見つかる福島第一港湾内
  ※1 (4)(5)を集計
  ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3 集計期間内の最大値
  ※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は5月16日
  ※5 排水口の位置は(11)、サブドレン排水口の位置は(14)による。
 図―6 福島第一港湾内の放射性物質濃度

 図に示すように1号機取水口の全ベータが1リットル当たり92ベクレル見つかり、法令限度を超えています。以下に推移を示します。
2日連続して法令限度を超えた海水が見つかる1号機取水口
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―7 1号機取水口の放射性物質濃度

 図に示す通り乱高下しながらも徐々に上昇し1リットル当たりで全ベータの値が
  6月24日64ベクレル
  6月25日92ベクレル
で、2日連続して法令限度を超えています。
ステップ2が完了した直後の2011年12月21日に東京電力は最初の廃炉工程表を発表しています(15)。その中で港湾内の海水の放射性物質濃度を2012年9月末位までに「法令限度以下」にするとしています。それから4年近くが経過していますが、この目標は達成されていません。以前に福島第一原発の汚染水について「アンダーコントロール」と言った方がいますが(16)、法令限度を超す様ではおよそ「アンダーコントロール」とは言えません。

4.排水基準を超えたままの地下水ドレン汲み上げ水のトリチウム濃度
 福島第一で海岸に水を通さない「壁」を作り海岸から海への汚染水の防止する「海側遮水壁」を完成させました(17)。それまでは「海」に流れていた汚染水が「海側遮水壁」の内側に溜まり放置すると溢れるので、これを汲みあげています(18)。これを「地下水ドレン」と名付けています。トリチウムの排水基準は1リットル当たり1,500ベクレルで(2)、これを超えると海には流せません。東京電力はトリチウムを取り除くことはできないとしています(18)。以下に地下水ドレンから汲み上げた汚染水のトリチウム濃度を示します。
排水基準を超えた地下水が見つかる地下水ドレン汲み上げ水
 ※(19)(20)にて作成
 図―8 地下水ドレン汲み上げ汚染水のトリチウム濃度

 以下にA,B,Cの3系統の配置を示します。
地下水ドレンの配管とタンク
※(19)にて作成
 図-9 地下水ドレンの井戸と一時保管用のタンク

 図に示す通り南側のC系統を除き、排水基準の1リットル当たり1,500ベクレルを超えており「海」に流すことが出来ません。現状は概ねタービン建屋に送っていますが(21)、これが汚染水の増加要因となっています(22)。

5.地下水バイパス山側井戸から排水基準を超えた放射性物質
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(23)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(24)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(25)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超えた汚染地下水が見つかる地下水バイパスと山側井戸
※1 (24)(25)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―10 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(2)、多くの場所で排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。

6.過去最高を記録した海岸付近の井戸のトリチウム
 海岸付近の井戸からは高濃度に汚染された地下水が見つかっています。
高濃度の汚染地下水が見つかる福島第一の海岸
 ※1 (5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―11 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

 このうちNo2-3とNo3-4井戸のトリチウムの共に1リットル当たり4,500ベクレルは過去最高(新記録)です。以下にの3-4井戸のトリチウム濃度の推移を示します。
作年7月位から上昇し過去最高(新記録)を記録したNo3-4井戸のトリチウム
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
 図―12 3-4井戸のトリチウム濃度

 昨年の7月末あたりから上昇しだし今も上昇が続いています。そして過去最高(新記録)です。この先が心配です。

7.サブドレン・トリチウムの累積排出量はの700億ベクレル寸前
 サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(26)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始まったので(27)10ヶ月が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(28)(29)、濃度×排出量で累積にのトリチウムの累積の排出量を求めてみました。
700億ベクレル近くに達したサブドレンのトリチウム累積排出量
 ※(28)(29)を集計
 図―13 サブドレンの累積のトリチウム排出量

 図に示す通り運用開始後からトリチウムの排出量が増え続け、累積で698億ベクレルと700億ベクレル寸前になりました。


<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。ただしグラフはこちら(ブログ図表)を参照ください。
 3年ほど前に福島第一の原発の汚染水について「ブロックされている」とか「コントロールされている」とは世界に向けて言った方がいます(30)。今も法令限度を超えた海水が見つかるようでは、この方は世界に向かって大嘘をつき続けていることになります。
 オリンピックはその後もケチのつきまくっています。新国立競技場建設費問題(31)、エンブレム問題(32)、オリンピック賄賂疑惑(33)等。この方は内閣総理大臣として官僚をコント―ロールできるのでしょうか?
 少なくとも彼が任命した大臣にはユニークな人が多いようです。下着泥棒常習者とささやかれる元復興大臣(34)、口利きで多額の報酬を得たされる甘利元内閣府特命担当大臣(経済財政政策)(34)、政治資金規正法違反で関係する会計責任者2人が有罪判決を受けた小渕優子元経産大臣(35)。なんかいつの間にかウヤムヤになった感じです。
 猪瀬元東京都知事や舛添前東京都知事を支援したのもこの方が総裁を務める政党です(36)(37)。
 こんな方を任命したり支援する方が総理では福島の皆様は不安だと思います。
 福島ではサクランボ「佐藤錦」の収穫作業が盛りを迎えたそうです(38)。6月11日に福島県福島市では観光果樹園の開園式が行われました(39)。避難地域の次に汚染され、原発事故後に葬式が増えた福島盆地(40)では
 サクランボ⇒モモ⇒ナシ⇒リンゴ
と続く、果物シーズンの幕開けです(41)。福島はサクランボが美味しい季節です(42)。福島県は福島産サクランボは安全だと主張しています(43)。でも、福島県最大のサクランボの産地である福島市(40)のスーパーのチラシには福島産サクランボはありません。
他県産はあっても福島産サクランボが無い福島県の福島市スーパーのチラシ
 ※(44)を引用
 図―14 福島産サクランボが無い福島県の福島市スーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

おまけ
 汚染水を保管しているフランジタンクが汚染水漏れを起こしました(31)。詳しくは来週にお伝えします(45)。

 本記事は選挙運動とも取れる可能性があるので、以下にメールアドレスを記載します。
「aityan2000@excite.co.jp」


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(6月3週)―4日連続で排水路から法令限度を超えて汚染されている排水が海へ―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を5月12日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)016年6月9日福島第一原子力発電所 地下水バイパス排水に関するサンプリング結果(南放水口付近)(PDF 118KB
(7)(2)中の「地下貯水槽に関する分析結果」および「地下貯水槽観測孔 分析結果 」
(8)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(9)[PDF]地下貯水槽からの汚染水漏えい 及び 対応状況 ... - 東京電力
(10)2016/06/23(木) 原子力定例記者会見中の「2016/06/23(木) 原子力定例記者会見」
(11)(3)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(12)(2)中の「南放水口・排水路」
(13)汚染水、安倍首相の「完全にブロックしている」発言が東電発表と食い違い
(14)2015年9月2日 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(PDF 3.53MB)
(15)東京電力福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ|TEPCOニュース|東京電力
(16)安倍首相「アンダーコントロール」のウソ|WEBRONZA - 朝日新聞社
(17)海側遮水壁|東京電力
(18)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(19)(2)中の「中継タンクの分析結果」
(20)X.地下水|東京電力中の「地下水ドレンポンド・中継タンク水質分析」⇒「分析計画名称 地下水ドレンポンド揚水井通常水質分析(H28年度分)」⇒「分析結果 CSV 」
(21)(3)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(22)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(6月4週)―下請けさんが負傷、今年で6人目―
(23)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(24)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(25)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果
(26)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(27)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(28)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(29)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(30)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(9月2週)―安倍出戻り総理が世界に向かって「嘘」をつく-
(31)新国立競技場まとめ…A案決定までを振り返る : まとめ読み「NEWS通
(32)東京五輪エンブレム問題:朝日新聞デジタル
(33)高木毅 - Wikipedia
(34)甘利明に関するトピックス:朝日新聞デジタル
(35)小渕優子 - Wikipedia
(36)2012年東京都知事選挙 - Wikipedia
(37)2014年東京都知事選挙 - Wikipedia
(38)トピックス | JAふくしま未来
(39)甘いサクランボに笑顔広がる 福島の観光農園開園 | 県内ニュース | 福島民報
(40)めげ猫「タマ」の日記 果物作りが盛んな、汚染された福島盆地
(41)食べ頃カレンダー
(42)福島さくらんぼ狩りの時期とおすすめ人気スポット! | 豆知識PRESS
(43)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(44)イオン福島店
(45)2016年06月26日福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】
スポンサーサイト



  1. 2016/06/26(日) 19:48:40|
  2. -
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<女の子が特異的に生まれる原発事故6年目の福島県・川俣町 | ホーム | トラブルいっぱい福島原発(6月4週)―下請けさんが負傷、今年で6人目―>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/tb.php/1850-8d0ec33f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)