東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、7月3週(7月10日から16日)もしっかりトラブルが起こっています。
①汚染水ホースから汚染水漏れ。
②地下水ドレンからの移送量1日100トンの筈が340トン。
③福島第一石棺化提案、福島を怒らす。
1.汚染水ホースから汚染水漏れ
2016年7月11日午前10時40分頃、福島第一構内の汚染水タンクから3号機タービン建屋へ移送中に移送ホースが外れて汚染水が漏れました。汚染水は80リットル程度漏れ、1リットル当たりで
セシウム134 1.3ベクレル
セシウム137 6.0ベクレル
セシウム合計 6.3ベクレル
全ベータ 1,200ベクレル
の放射性物質で汚染されているそうです。
もれた汚染水は排水路につながる側溝内へ流れ込んだみました(2)(3)。
2.地下水ドレンからの移送量1日100トンの筈が340トン
福島第一では日々、汚染水が続けています。

※(4)を集計
図-1 日々増え続ける福島第一汚染水
いまは福島第一内で汚染水タンクを作り続け保管していますが(5)、敷地がいっぱいになったりしてタンクの増設が汚染水の増加に追いつかなくなれば、溢れさすか海に流すしかまりません。汚染水の増加を抑える事は福島第一の安定化にとって重要な課題です。
福島第一では海への放射性物質の流出を抑える為に海岸に汚染水の流れを阻止する「海側遮水壁」を設置しています(6)。海側遮水壁の内側には汚染水が日々溜り放置すると溢れてしまうので、これを汲みあげタービン建屋に送っています(8)。これを東京電力は「地下水ドレン」と呼んでいます(9)。
この地下水ドレン汲み上げた汚染水をタービン建屋に移すことは、汚染水増加の要因になっています(10)。東京電力は6月30日に、地下水ドレンからタービン建屋に送る汚染水量を7月1日から1日当たり100トンに減らすと発表してます(10)。

※(10)を引用・加筆
図-2 地下水ドレンからタービン建屋に送る汚染水量を7月1日から1日当たり100トンに減らすと発表した東京電力
7月1日から6日までの量が発表されたので(11)、(=^・^=)なりに集計すると、6日間の平均で
1日当たり340トン
でした。同じ資料(10)で6月末までは概ね1日当たり250トンとしているので、1日当たり100トンに減らすどころか340トンに増えています。以下に推移について示します。

※(8)(12)で作成
図-3 地下水ドレンからタービン建屋に送る汚染水量
減っている様子がありません。図―2に示す通り汚染水全体の増加量を7月1日からは1日当たり250トンに減らすとも宣言していますが、東京電力の発表(4)を(=^・^=)なりに集計すると6月30日にから7月13日の14日間の平均は
1日当たり453トン
です。
この問題については7月19日に原子力規制委員会・第44回特定原子力施設監視・評価検討会の開催が予定されており(13)、詳細が議論がなされると思いますので、来週には記事にしたいと思います。
4.福島第一石棺化提案、福島を怒らす。
今から30年程の前の1986年に当時のにソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所が大事故を起こし、今も収束していません。ここで放射性物質の拡散を防止する対策として取られたのが、「石棺」と呼ばれるコンクリートの建造物で覆う事でした。放射線量が高く今も中に人が入れないようです(14)。

※(14)を引用
図―4 チェルノブイリ原子力発電所の石棺
安倍出戻り内閣の廃炉担当部門に「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」とゆう長ったらしい名前の組織があります(15)。長いので以下はNDFと略します。そこが7月13日に
「なお、チェルノブイリ原子力発電所4号機の事故に対して取られた、通称”石棺方式”の適用は、原子炉建屋の補強などによる当面の閉じ込め確保に効果があるとしても、長期にわたる安全管理
が困難である。したがって、現時点においては燃料デブリの取り出しによる中長期のリスク低減に取り組むこととし、今後明らかになる内部状況に応じて柔軟に見直しを図ることが適切である。」
と発表しました(16)。

※(16)を引用
図―5「通称”石棺方式”の適用」を明言するNDF
(=^・^=)なりの解釈は石棺方式は長期にわたる安全管理
が困難であるが、状況によっては検討の対象になりうるです。福島のマスコミもほぼ同様の解釈をしたようです(17)。場合によっては福島第一の原子炉内に事故いらい放置されたままの溶融した核燃料(デブリ)を(18)(19)、取り出すことなく「石棺」で多い永遠に放置するとも取れる内容です。福島の反発は凄いようです。

※(19)を引用
図―6 「石棺」方式について「地元感情よりコスト優先?」と報じる福島県の地方紙・福島民報
福島県知事は7月15日に経産省を訪れた高木陽介経済産業副大臣は「石棺で処理する考えは一切ない」と述べたそうです(20)(21)。福島県知事も暇ではないと思います。発表の2日後に経産省(東京)を訪れるのはスケジュール調整が大変だった気がします。それでも行きました。福島は怒っているようです。福島県の地方紙の福島民友は7月15日の社説を
「東京電力福島第一原発の廃炉技術の研究・開発を担う原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)は、新たな戦略プランで溶融燃料を建屋内に閉じ込める「石棺」方式に初めて言及した。溶融燃料の状況が次第に明らかになり、困難とはいえ取り出し技術の開発を進めようとする段階での「石棺」方式の記述にどんな意図があるのか。」
と始めています(22)。同じく福島民友は7月16日の社説を
「 東京電力福島第1原発の廃炉とは、核燃料を取り出して、構造物を解体し、放射線のない土地に戻すことだ。それが県や市町村、地元住民らの共通認識だ。「石棺化」などあり得ない話だ。」
と始めています(23)。
このような表現を使えば、福島の反発は必至のはずですが敢て「石棺」の2文字を使いました。いったんは撤回するようですが(20)(21)、本音は明らかです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
選挙が終わった途端に福島石棺計画です。不都合な話は選挙が終わるまで待ってとのことでしょうか?好都合な話は選挙直前に公表しています。NHKは6月21日に東京電力が福島第一原発の「炉心溶融」を隠ぺいしていた問題のついて、NHKは6月21日の19時台の番組で東京電力が設置した第三者委員会が
「官邸からの指示によるもの」
と「推認」の二文字を外し断定的な報道をしていました(24)。だれにって、安倍度戻り総理にです。こんな方が総理大臣をしていていては福島の皆様は不安だと思います。
今日(7月16日)福島県いわき市の四倉と勿来の海水浴場が海開きをしました(25)。

※(26)をキャプチャー
図―7 海開きを宣言する福島県いわき市の綺麗な女性
そして、同じくいわき市四倉では7月15日に復興トマトの出荷が始まったそうです(27)。でも未来は暗そうです。福島は今、トマトのシーズンです(28)。福島のトマトは、適度な酸味とあふれる甘みが自慢だそうです(29)。福島県は福島産トマトは安全だと主張しています(30)。でも福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。

※(31)を引用
図―8 福島産トマトが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(7月2週)―汚染水増加470トン/日、250トン/日になる予定でした―(2)
2016年07月13日福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】(3)
2016年7月11日G1タンクエリア西側のノッチタンク移送ホースからの漏えいについて(訂正版)(PDF 228KB) (4)
プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(5)
原子炉の安定化|東京電力(6)
海側遮水壁|東京電力(7)
報道配布資料|東京電力(8)(7)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(9)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力(10)
中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況」⇒「2016年6月30日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第31回事務局会議)」⇒「【資料3-1】汚染水対策(28.1MB)」(
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images1/images1/d160630_06-j.pdf)
(11)
2016年7月11日建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移(PDF 227KB) (12)(7)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(13)
第44回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会(14)
チェルノブイリ原子力発電所事故 - Wikipedia(15)
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 - Wikipedia(16)
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 廃炉支援部門(17)
格納容器内部調査|東京電力(18)
なぜ今、唐突に 「石棺化」言及 導入の布石か | 東日本大震災 | 福島民報(19)
炉心溶融物 - Wikipedia(20)
第一原発廃炉プラン 「石棺」表現削除へ | 東日本大震災 | 福島民報(21)
「石棺」記述を削除へ 福島第1原発廃炉プラン、週明け修正計画:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet(22)
【溶融燃料の石棺化】白紙にして声を聞け(7月15日) | 県内ニュース | 福島民報(23)
【7月16日付社説】第1原発「石棺化」/まったくあり得ないことだ:社説:福島民友新聞社 みんゆうNet(24)
めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘報道、東電第三者委員会は官邸から指示により「隠ぺい」と確定(25)
福島・いわきで海開き 震災影響、2カ所のみ | どうしんウェブ/電子版(暮らし・話題)(26)
いわき2つの海水浴場で海開き - NHK福島県のニュース(27)
復興トマト初出荷 福島県いわき産のおいしさ県外に発信:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet(28)
ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ(29)(28)中の「2 トマト」(
https://www.pref.fukushima.lg.jp/download/1/tomakyu1.5.pdf)
(30)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(31)
平尼子店 | マルト - 店舗情報
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- 2016/07/16(土) 19:43:25|
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石棺はコストとかの問題じゃないんだよね。この辺地元のメディアは未だに誤魔化して県民に伝えてる。
取り出しなんて、したくたって出来ないの!学者も犬アッチイケーモミイもまるで出来るような話をしてきたが、ないものはない!!問題は燃料プールの使用済みだけでも取り出さなければ、崩壊して再臨界してしまうので、それだけは何としても成し遂げなければならない、絶対命題。
もうその後は初めっから「石棺」しかやれることはなかったの!
それを怒って見せる県やメディアも予定調和だな。
- 2016/07/17(日) 09:25:40 |
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