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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島の下水汚泥からヨウ素131、再臨界?

福島県県北浄化センターの5月27日に採取された下水汚泥から、1キログラム当たり909ベクレルのヨウ素131が見つかりました(2)。同日に44キロ程南の県中浄化センターの下水汚泥からも1キログラム当たり166ベクレルのヨウ素131が見つかっています(3)。ヨウ素131は核分裂反応で生成されますが、半減期が8日と短く(4)、福島原発以前のものはほぼ消滅しており、原発事故以降に生成されたものです。ヨウ素131は核分裂によって生成されます(5)。他に医療用などにも使われています(4)。離れた2カ所の下水処理場でヨウ素131が同時に見つかっているので、発生源は同じです。福島第一原発の核分裂が再び発生する「再臨界」(6)が起こっていないか心配です。
 ウラン等の核燃料物質は一定量集まると、核分裂の連鎖反応を起こすことが知られています。ただし、その量は一定でなく色々な条件で変わります(7)。たとえば
「燃料の温度が上がると、ウラン238の原子核の動き(振動)が激しくなるため、中性子を吸収する割合が増え、核分裂反応が抑えられます。」
との事です(8)。逆に言えば、温度が下がれば核分裂反応が起こりやすくなります。福島第一原発では原子炉やタービン建屋の周りを氷の壁で取り囲むいわゆる「凍土壁」の凍結作業が進められています(9)。
原子炉も冷やす事になる凍土壁
 ※(9)を引用
 図―1 凍土壁(陸側遮水壁)

 氷の壁ですので(9)、原子炉建屋も冷やされます。原子炉建屋内には溶け落ちた核燃料の塊である「デブリ」が今も放置されています(10)。デブリが冷やされて核分裂反応が起こりやすくなるのは確かです。再び核分裂反応が起こるかも知れません。
 ヨウ素131は量が半分になるまでの時間(半減期)が8日です(11)。概ね319日で1兆分の1になります(0.5(319÷8)≒1兆分の1)。福島原発事故前の出来たヨウ素131は2016年5月27日時点で原発事故から1,904日が経過したので1兆分の1になるのを6回繰り返し、無くなっています。一方でヨウ素131は核分裂反応で生成されます(5)。環境中のヨウ素131を見れば核分裂反応の再発(再臨界)(6)の可能性を確認できます。ただしヨウ素131は医療用にも使用されている(4)ので注意が必要です。
 福島県は福島県内のうち県北浄化センターと県中浄化センターの下水汚泥のヨウ素131の測定結果を1日間隔で発表しています(1)。以下に県北および県中浄化センターの位置とサービス範囲を示します。
福島県北・県中浄化センター
 ※1(12)の数値データを元に(13)に示す手法で6月1日時点に換算
 ※2 避難区域は(14)による
 ※3 各浄化センターのサービス範囲は(15)による
 図-2 県北および県中浄化センターの位置とサービス範囲

 図に示す通り両浄化センターは40km以上は離れています。以下に各浄化センターの汚泥のヨウ素131濃度を示します。
ヨウ素131が同時に見つかる福島県北・県中浄化センターの汚泥
 ※(2)(3)を集計
 図-3 県北および県中浄化センターの汚泥のヨウ素131濃度

 図に示す通り両浄化センターでヨウ素131が見つかっており、5月27日には1キログラム当たりで
 県北浄化センター 909ベクレル
 県中浄化センター 166ベクレル
のヨウ素131が見つかっています。地図で見ると両浄化センターは44km離れています。ところがヨウ素131は図-3に示すように同期して見つかっています。共通の要因であり、「医療用」で説明するのは困難です。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 メディアが福島第一の再臨界のことを取り上げる事はまずないと思います。アメリカの大手メディアのCNNはは事故から5年以上経過しても散らかったままの福島の様子を報じていました(16)。これについて福島県の地方紙の福島民友は7月17日付け社説で
「(福島)県全体の面積に占める帰還困難区域の割合は2.45%。これに避難指示解除準備区域と居住制限区域を含めた避難区域の割合は5.27%(7月15日現在)だ。一部分を撮影した写真を見て、それが全てであるような理解が海外でなされているとしたら、風評の払拭(ふっしょく)などはおぼつかない。」
 と論じていました。福島は多様性に富む県です(18)。良い事も悪い事も含め多様な情報の発信が求められます。これを不都合な事は報道するなどとは、報道機関とは言えません。もっとも福島民友さんも福島のごく一部の出来事を報じます。モモなどの果物は福島県内陸北部の避難地域についで汚染が酷く、原発事故後に葬式が増えた極限られた地域で主に栽培されています(19)。それでもモモのPRの様子を全県的な事のように報じています(20)。こんな報道では福島の皆様は危険な物を知ることができず不安だと思います。
  福島県福島市の市の花は「モモ」です(21)。福島市はモモの栽培が盛んな市です(22)。福島県福島市では6月下旬からモモの出荷が始まり(23)、モモの季節を迎えました(24)。甘さも十分だそうです(23)。福島県は福島産モモは「安全」だと主張しています(25)。福島産果物のキャンペーンクルーのミスピーチの皆様も始動したようです(26)(27)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産「モモ」ありません。
他県産はあっても福島産モモが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(28)を引用
 図―4 福島産モモが無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)流域下水道終末処理場における下水汚泥等の放射性物質濃度・空間線量結果について(5月末現在) - 福島県ホームページ
(2)(1)中の「県北浄化センター」⇒「H28.1.1~H28.5.31 [PDFファイル/964KB]」(http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/171275.pdf)。
(3)(1)中の「県中浄化センター」⇒「H28.1.1~H28.5.31 [PDFファイル/1.49MB]」(http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/171276.pdf
(4)ヨウ素131 - Wikipedia
(5)セシウム137およびヨウ素131の環境化学 - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
(6)東京電力(株)・福島第一原子力発電所事故
(7)臨界量 (原子力) - Wikipedia
(8)原子炉の自己制御性 -四国電力-
(9)陸側遮水壁|東京電力
(10)格納容器内部調査|東京電力
(11)半減期 - Wikipedia
(12)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV」
(13)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線
(14)区域見直し等について - 福島県ホームページ
(15)公益財団法人福島県下水道公社・各センターのご案内
(16)Photographer sneaks into Fukushima 'Red Zone'
(17)【7月17日付社説】海外の誤解と偏見/情報発信強め正しい理解を:社説:福島民友新聞社 みんゆうNet
(18)めげ猫「タマ」の日記 福島県について
(19)めげ猫「タマ」の日記 果物作りが盛んな、汚染された福島盆地
(20)旬の福島県産モモPR ミスピーチが新幹線乗客においしさアピール:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(21)市の木・花・鳥、市民憲章について - 福島市ホームページ
(22)統計データ
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  1. 2016/07/18(月) 19:43:13|
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