めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

トラブルいっぱい福島原発(7月4週)―凍土壁の完全凍結は困難―

 東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、7月4週(7月17日から23日)もしっかりトラブルが起こっています。
 ①危険物屋外貯蔵所で油漏れ
 ②地下水ドレン等からの汲みあげ量は減らず
 ③凍土壁の完全凍結は困難

1.危険物屋外貯蔵所で油漏れ
 7月21日、午後3時14分頃、福島第一原子力発電所構内の危険物屋外貯蔵所で油漏れが見つかりました。漏れた油は約7m×7mに広がり、深さは深い箇所で約3mmとのことです。消防所からは「危険物の漏えい」であると判断されたました。
 油はドラム缶からもれたようで、ドラム缶1本の底部(底面から約2cmの高さ)に穴(ピンホール)が見つかったとのことです。油漏れを起こしたドラム缶には潤滑油が入っていたとの事です(2)。

2.地下水ドレン等からの汲みあげ量は減らず
 福島第一原発では汚染水の海洋への流出を抑える為に、海岸に水の流れを遮る「海側遮水壁」を設けています(3)。水の流れを遮るので、「海側遮水壁」の内側に汚染水が溜り、放置すると溢れてしまうので汲み上げて、タービン建屋に入れています。東京電力はこれを「地下水ドレン」と呼んでいます(4)。この地下水ドレンからも汲み上げは福島第一の汚染水増加の要因になっています(5)。そこで、タービン建屋と海岸(海側遮水壁)の間に氷の壁(凍土壁)を作り(6)、海への汚染水の流れをブロックする試みがなされています。地下水ドレンからの汲みあげ量について7月19日に開かれた原子力規制委員会・第44回特定原子力施設監視・評価検討会で(7)これまでの値が公表されました。
凍土壁凍結開始後も減らない地下水ドレン等の汲み上げ量
 ※1(8)を編集
 ※2 下側の数値は月平均の1日当たりの汲みあげ量
 図-1 地下水ドレンからの汲みあげ量

 図に示す通り、地下水ドレンの汲みあげ量は
  凍土壁凍結開始直前の3月 1日当たり267トン
  凍結開後3ヶ月目のの6月 1日当たり321トン
で逆に増えています。会議の様子(9)を見ていると東京電力は無理無理に「効果あった」と主張していましたが、原子力規制は効果があったことは認めていません。会議の結論として日量70から100トンまで減ったら効果を認めるとなりました(10)。現状の3分の1以下ですが、東京電力は会見で「時間がかかる」とも言っていましたが(11)、永遠の時間がかかりそうです。

3.凍土壁の完全凍結は困難
 7月19日に開かれた原子力規制委員会・第44回特定原子力施設監視・評価検討会で(7)東京電力は「完全に凍らせても地下水の流入を完全に止めるのは技術的に困難」「完全閉合は考えていない」と明言しました(9)(12)。
凍土壁完全凍結困難を伝える福島県の地方紙・福島民報
 ※(13)を引用
 図-2「凍土壁の完全凍結は困難」を1面トップで報じる福島県の地方紙・福島民報

 これについて東京電力は
 「 本日、一部報道において『第一原発凍土壁 東電「完全凍結は困難」』との記事が掲載されています。
 陸側遮水壁(凍土壁)の目的は建屋への地下水流入量を減らすことです。そのために、計画している範囲を凍結し、段階的に閉合範囲を増やして最終的に100%閉合を目指しています。」
とのコメントを発表しました(14)。いうまでも無く「目指しています。」であって実行するとは言っていません。
 東京電力は海岸部や凍土壁の周辺に井戸を掘っており地下水位を観測しています。以下にそのうちの幾つかの井戸の位置を示します。
凍土壁と地下水位観測点
 ※1(15)(16)にて作成
 ※2 ×A,×Bは後で使用
 図-3 東京電力が水位を観測する井戸(例)

以下に各井戸の水位を示します。
海側との地下水位差が縮まらない福島第一の凍土壁の海側
 ※(15)(16)(17)(18)(19)にて作成
 図-4 福島第一の地下水位

 東京電力は凍土壁を挟んで配置してあるGi-17とGo-13の水位を比較して、水位差が開いたとして凍土壁の効果を主張しています(7)(8)。でも流量を決めるのは上流と下流の落差です(20)。流量をきめるのは凍土壁海側井戸Co-13と海岸近傍の井戸No2,No2-5、No2-6の水位差です。こちらは殆ど縮まっていません。流量は落差の平方根(√)に比例します(20)。流量が2項で記載したように3分の1にあるには落差は9分の1にならなくてはなりません。図―4でみれば10cm程度でしょうか?そのような効果は見えません。
 以下に図―3に示すばA-B間断面の温度分布を示します。
0℃以下に下がらない「穴」が開いたままの凍土壁
 ※(15)にて作成
 図-5 凍土壁断面の温度分布

 図に示すように図中で黄色で示す0℃以上の穴が開いています。流れる水は凍りません(21)。凍結が遅れた場所に流れが集中し、凍らない場所が必ず出て来るはずです。東京電力は完全凍結を目指すとしていますが、できる訳がありません。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 トラブル続きの福島原発では福島の皆様は不安だと思います。
 今日(7月23日)から福島県はモモとキュウリのTVCMを流すそうです(22)。
福島産CMの開始を報じる福島県の地方紙・福島民報
 ※(23)を引用
 図―6 福島産農産物のCM放映開始を報じる福島県の地方紙・福島民報

モモは福島市・伊達市・桑折町・国見町等の福島盆地が主産地です(24)。キュウリは伊達市、二本松市、須賀川市などのが主産地です(25)。以下に産地を示します。
福島の中でも汚染が酷い桃と胡瓜の産地
 ※1(26)の数値データを元に(27)に示す手法で7月1日時点に換算
 ※2 避難区域は(28)による
 ※3 福島盆地の範囲は(25)による。
 図-7 福島のキュウリとモモの産地

 図に示す通り3市には国が除染が必要とする毎時0.23マイクロシーベルトを超えた(29)地域が広く広がっています。特に伊達市が属する福島盆地(25)や二本松市が属する安達地区(30)では原発事故直前の2010年3月~11年2月に比べ事故後5年目の2015年3月~16年2月の葬式が増えています
キュウリ栽培が盛んな安達や福島盆地で増えている福島の葬式
 ※(31)を転載
 図―8 原発事故直前の1年間に対する5年目の葬式増加率

 図に示す通り安達や福島盆地では葬式が増えていますが、福島県内でも汚染がマシな所ではそれ程には増えていません。それでも福島県は福島産キュウリもモモも安全だと主張しています(32)。ただし、福島県の検査に疑念があります(33)。福島の皆様の反応が気になります。
 福島県会津若松市でもまもなくモモ狩りが楽しめそうです(34)。秋にはキュウリ祭りもひらかれるそうです(35)。でも福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産モモもキュウリもありません.
他県産はあっても福島産モモが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ 他県産はあっても福島産キュウリが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
 (a)モモ             (b)キュウリ
 ※(36)を引用
 図―9 福島産キュウリもモモも無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県会津若松市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(7月3週)―福島第一石棺化提案、福島を怒らす―
(2)2016年07月22日福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後4時現在】
(3)海側遮水壁|東京電力
(4)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(5)報道配布資料|東京電力中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(6)陸側遮水壁|東京電力
(7)第44回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(8)(7)中の「資料1:陸側遮水壁の状況[東京電力]【PDF:18MB】」(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/00000031.html
(9)(7)中の「会議映像」(https://www.youtube.com/watch?v=RFNc-JPCVWE
(10)(7)中の「当日作成資料:特定原子力施設監視・評価検討会(第44回会合)議論のまとめ[原子力規制庁]【PDF:259KB】」(https://www.nsr.go.jp/data/000157791.pdf
(11)2016/07/19(火) 原子力定例記者会見
(12)東電「完全凍結は困難」 第一原発凍土遮水壁 規制委会合で見解 | 東日本大震災 | 福島民報
(13)福島民報を7月20日に閲覧
(14)福島第一原子力発電所 陸側遮水壁に関する報道について|お知らせ|東京電力ホールディングス株式会社
(15)2016年7月21日陸側遮水壁の状況(第一段階フェーズ2)(PDF 4.73MB)
(16)2016年7月22日タービン建屋東側における地下水及び海水中の放射性物質濃度の状況について(PDF 2.77MB)
(17)2016年6月10日タービン建屋東側における地下水及び海水中の放射性物質濃度の状況について(PDF 3.04MB)
(18)2016年5月13日タービン建屋東側における地下水及び海水中の放射性物質濃度の状況について(PDF 2.84MB)
(19)2016年4月15日タービン建屋東側における地下水及び海水中の放射性物質濃度の状況について(PDF 2.37MB)
(20)水力発電所の出力と有効落差の関係
(21)0℃でも凍らない水
(22)県CM 今年もTOKIO 23日から放映 農産物PR | 県内ニュース | 福島民報
(23)福島民報を7月23日に閲覧
(24)めげ猫「タマ」の日記 果物作りが盛んな、汚染された福島盆地
(25)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(26)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV」
(27)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線
(28)区域見直し等について - 福島県ホームページ
(29)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(30)めげ猫「タマ」の日記 福島産について
(31)めげ猫「タマ」の日記 1(μSV/h)で葬式40%増、原発事故5年目の福島
(32)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(33)めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(7月3週)―福島・モモはセシウム入り―
(34)フルーツランド北会津
(35)夏の収穫に感謝!「飯寺(にいでら)きゅうり祭り」(会津若松市) | ふくしま 新発売。
(36)アピタ会津若松店│「イイこと、プラス。」 アピタ・ピアゴ
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  1. 2016/07/23(土) 19:49:57|
  2. -
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