福島第一原発汚染水の7月4週(7月18日から24日)の状況を纏めてました。
①外洋の全ベータが上昇中
②港湾口で採れた魚から10,500(Bq/kg)のセシウム
③地下貯水槽の周囲で全ベータが突然の上昇
④突然に上昇した港湾内のストロンチウム90濃度
⑤サブドレンのトリチウムの累積放出量は790億ベクレル超
先週に続き(1)今週も福島第一は海洋を汚染し続けています。
1.外洋の全ベータが上昇中
事故から5年4ヶ月以上経過しましたが、外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。

※1 (4)~(6)で作成
※2 数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
図―1 福島第一原発および近傍外洋の放射性物質濃度
以下に7月中の外洋の全ベータ濃度を示します。

※(5)を集計
図―2 外洋の全ベータ濃度
図に示す通り、上昇しています。福島では今、海水浴場がオープンしています。大丈夫ですかね?
2.港湾口で採れた魚から10,500(Bq/kg)のセシウム
今週、港湾口で採れた魚(シロメバル)から1キログラム当たり
21,600ベクレル
のセシウムが見つかったと発表がありました(6)。以下に港湾内のムラソイのセシウム濃度の推移を示します。

※(8)を集計
図-3 港湾内シロメバルのセシウム濃度
あまり下がっている様子がありません。東京電力は汚染水対策を実施してると主張しています(9)。汚染水対策の目的は福島第一原発からの放射性物質漏れによる海洋生物への汚染等の環境負荷を減らすことだと思います。図に示す通りシロメバルのセシウム汚染は改善されていません。汚染水対策の効果ってあったんですかね?
もっと心配なのがヒラメです。ヒラメは今年6月に出荷制限が解除され(10)、漁の再開が検討されています(11)。以下に港湾口のヒラメのセシウム濃度を示します。

※1(8)を集計
※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す
図-4 港湾内ヒラメのセシウム濃度
図に示す通り基準値の1キログラム当たり100ベクレル(12)を大幅に超えています。 港湾口は外洋と港湾の境界です。この魚は外洋から来た可能性があります。福島の魚は汚染されたままです。福島原発近くの請戸漁港付近の海中瓦礫の撤去も行われるそうです(13)。瓦礫の撤去が終われば「漁」の再開です。大丈夫ですかね?
3.地下貯水槽の周囲で全ベータが突然の上昇
地下貯水槽は一時期、汚染水の保管に利用されていましたが、汚染水漏れををお越し使われなくなりました(14)。ただし、一時は高濃度の汚染水が貯められていたので、周囲に観測井戸を掘り地下水の汚染の有無を観測してます(15)。今週も周囲の井戸で全ベータが見つかっています。

※1(15)を集計
※2 位置は(14)による。
※3 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
図-5 地下貯水槽周囲の全ベータ濃度
図に示す通り殆どの観測孔で全ベータが見つかっています。この中で気になるのが観測孔A17です。以下に推移を示します。

※(15)を集計
図-6 観測孔A17の全ベータ濃度
突然に上昇し、1リットル当たりで1,100ベクレルを記録しました。拡散して福島の海を汚染しないか心配です。
4.突然に上昇した港湾内のストロンチウム90濃度
以下に今週の港湾内の汚染状況を纏めます。

※1 (4)(5)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は6月13日
※5 排水口の位置は(11)、サブドレン排水口の位置は(12)による。
図―7 福島第一港湾内の放射性物質濃度
この中で気になるのがストロンチウム濃度です。以下に推移を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す
※3 1~4号機取水口内北側は「北側」、1~4号機取水口内南側は「南側」と略す
図―8 港湾内のストロンチウム90濃度
図に示す通り港湾中央、1~4号機取水口内北側、1~4号機取水口内南側で突然に上昇しています。3点で同期して上昇してるので、大変なストロンチウム90漏れが起こったようです、港湾と言っても外洋に通じています。やがては外洋に流れ出します。1項で記載したように外洋ではストロンチウム90由来の全ベータが上昇しています。
5.サブドレンのトリチウムの累積放出量は790億ベクレル超
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(18)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始まったので(19)半年以上が経過しました。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(20)(21)、濃度×排出量で累積のトリチウムの排出量を求めてみました。

※(20)(21)を集計
図―9 サブドレンの累積排出量
累積で790億ベクレル超となりました。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
事故から5年4ヶ月過ぎても止まることが無い福島第一原発からの汚染水漏れでは、福島の皆様は不安だと思います。
福島県南会津町で昨日(7月23日)に花嫁姿の女性たちが町を練り歩く伝統行事、「七行器行列」が行われ、大勢の観光客でにぎわたそうです(22)。

※(22)をキャプチャー
図ー10 「七行器行列」に登場する福島の綺麗な女性
福島県南会津町は福島を代表するトマトの産地です。今が福島のトマトのシーズンです(23)。福島産野菜のCMの放映が開始されたそうです(24)。福島のトマトは適度な酸味とあふれる甘みが自慢だそうです(25)。福島県は福島産トマトは「安全」だと主張しています(26)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。

※(27)を引用
図―11 福島産トマトが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県郡山市の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(7月3週)―福島・いわきは海開き、外洋からはストロンチウム90―(2)
サンプリングによる監視|東京電力(3)
報道配布資料|東京電力(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を3月6日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)
"2016年7月22日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>(PDF 116KB)PDF(7)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)(3)中の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>」
(9)
汚染水対策の主な取り組み|東京電力(10)
原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の解除 |報道発表資料|厚生労働省(11)
Fukushima olive flounders return to market(「ヒラメ漁」再開へ 出荷停止解除):英語で読む福島民友ニュース(English):福島民友新聞社 みんゆうNet(12)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(13)
海中がれき来月にも撤去 荷揚げ場、請戸漁港で調整 | 県内ニュース | 福島民報(14)
[PDF]地下貯水槽からの汚染水漏えい 及び 対応状況 ... - 東京電力(15)(2)中の「地下貯水槽に関する分析結果」
(16)(3)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(17)
2015年9月2日 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(PDF 3.53MB)(18)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力(19)
(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力(20)(3)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(21)
集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力(22)
南会津町 伝統の花嫁行列 - NHK福島県のニュース(23)
ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ(24)
県CM 今年もTOKIO 23日から放映 農産物PR | 東日本大震災 | 福島民報(25)(23)中の「トマト」(
https://www.pref.fukushima.lg.jp/download/1/tomakyu1.5.pdf)
(26)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(27)
イオン福島店
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- 2016/07/24(日) 19:43:30|
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