めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(8月4週)―排水路から2,300ベクレルの全ベータ―

福島第一原発汚染水の8月4週(8月22日から28日)の状況を纏めてました。
 ①排水路から2,300ベクレルの全ベータ
 ②港湾内各所で、過去最高のセシウム137
 ③福島・マコガレイ出荷制限解除、港湾口からは1,190ベクレルのセシウム
 ④地下貯水槽周辺の観測井戸は急上昇
 ⑤地下水バイパス山側井戸の全ベータが急上昇
 ⑥サブドレン・トリチウムの累積排出量は約860億ベクレル
等が確認されました。福島は台風が襲いました(1)。雨が降り、汚染水漏れは先週(2)より酷くなった感じです。今週も台風10号が福島を直撃しそうです(3)。来週はもっと悲惨な記事になりそうです。
台風10号接近を伝える福島県の地方紙・福島民友
 ※(4)を引用
 図―1 台風10号の福島接近の可能性を報じる福島県の地方紙の福島民友

1.排水路から2,300ベクレルの全ベータ
 8月22日に福島を台風22号が襲いました。福島第一では雨で地下水位が上昇し汚染水が溢れだす寸前までいったそうです(1)。
台風9号襲来を報じる福島県のローカルTV局(TUF)
 ※(5)をキャプチャー
 図―2 台風9号の襲来を報じる福島県のローカルTV(TUF)

 以下の福島第一の降水量を示します。
降雨が続く福島第一
 ※(7)を集計
 図―3 福島第一の降水量

 福島では7月末に梅雨が明け(8)、雨が少ない状態が続いていましたが台風シーズンが到来したようです。8月17日と22日には台風が福島を襲い雨を降らしました(1)(9)。一日当たりの降雨量を見ると
 8月17日 11mm
 8月18日 86mm
 8月19日  0mm
 8月20日 22.5mm
 8月21日  0.5mm
 8月22日 66mm
です(7)。
 この大雨で、福島第一原発内の放射性物質が大量に流されました。
 福島第一原発構内には幾つもの排水路が走っています(7)。以下に今週観測された各排水路の放射性物質濃度を示します。
法令限度をはるかに超えた汚染水が流れる福島第一原発排水路
 ※1(7)(10)(12)を集計
 ※2 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
 ※3 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(13)
 ※4 赤丸()はサンプリング地点
 図-4 福島第一原発排水路の放射性物質濃度

 放射性物質の法定限度は1リットル当たりで、セシウム137が90ベクレル、ストロンチウム90が30ベクレルです(11)。全ベータのおよそ半分がストロンチウム90なので(13)、全ベータでは60ベクレルになります。K排水路の8月22日の測定結果を見ると(10)、1リットル当たりで
 セシウム134   200ベクレル
 セシウム137 1,100ベクレル
 セシウム合計  1,300ベクレル
 全ベータ    2,300ベクレル
で全てが法令限度を大きく超えています。
 8月22日以前の最高記録は
 セシウム134   280ベクレル
 セシウム137   910ベクレル
 全ベータ    1,500ベクレル
ですので(14)、セシウム137と全ベータで過去最高記録を更新しました。事故から5年5ヶ月過ぎて過去最高(新記録)を出す様では福島第一の汚染水流出防止対策は進んでいません。
 以下にK排水路の汚染水濃度の推移を示します。
法定限度を超えた汚染水が流れ続けるK排水路
 ※(7)(10)を集計
 図-5 福島第一K排水路の放射性物質濃度

 図に示す通りこの所、法令限度を超えた状態が継続しています。全ベータ濃度を1リットル当たりで示すと
 8月17日   540ベクレル
 8月18日   540ベクレル
 8月19日   140ベクレル
 8月20日   490ベクレル
 8月21日   230ベクレル
 8月22日    77ベクレル(1回目)
 8月22日 2,300ベクレル(2回目)
 8月23日   300ベクレル
 8月24日   160ベクレル
 8月25日    88ベクレル
 8月26日    82ベクレル
 8月27日   420 ベクレル
で8月17日から27日の11日間に渡り法定限度を超えた汚染水が流れ続けています。

2.港湾内各所で、過去最高のセシウム137
  排水路から汚染水が流れればその先の海洋汚染が心配です。以下に今週の港湾内の汚染状況を纏めます。
事故から5年5ヶ月経て高濃度の放射性物質が見つかる福島第一港湾内
  ※1 (15)を集計
  ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3 集計期間内の最大値
  ※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は7月18日
  ※5 サブドレン排水口の位置は(16)による。
 図―6 福島第一港湾内の放射性物質濃度

 このうち港湾口、港湾内東側、港湾内南側のセシウム137濃度は過去最高です(17)。図―4に示すように排水路の出口は港湾内に繋がっています。そして港湾内の海水を確実に汚染しています。港湾内で過去最高が記録されたのはいずれもK排水路から高濃度の汚染排水が見つかった翌日の8月23日です。
 以下に港湾口の放射性物質濃度の推移を示します。
事故から5年5ヶ月経て過去最高のセシウム137が見つかった港湾口
 ※1(15)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからないこと)を示す。
 図―7 港湾口の放射性物質濃度

 図に示す通り事故から5年5ヶ月以上が経過しましましたが下がる気配がありません。そして「過去最高」です。東京電力は1項で取り上げたK排水路排水の放射能汚染について
「K排水路の水は、発電所港湾内へ排水する経路となっており、直接外洋へ流出することはない。」
と主張していす(18)。でも図―7に示す様に港湾口のセシウム濃度は確り上昇しています。港湾口は外洋との境界に位置します。間違いなく外洋に漏れ出しています。

3.福島・マコガレイ出荷制限解除、港湾口からは1,190ベクレルのセシウム
 事故から5年5ヶ月以上経過しましたが、外洋からは放射性物質が見つかっています。外洋の境界の港湾口では汚染魚も見つかっています。
事故から5年5ヶ月以上が過ぎて汚染魚が見つかる福島第一外洋近辺
  ※1 (15)(19)(20)で作成
  ※2  数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
 図―8 福島第一原発外洋の放射性物質濃度

 図に示す通りそれ程には高い濃度の放射性物質は海水からは見つかっていませんが、気になることがあります。外洋の海水のサンプリング日は8月22日と24日で、港湾内で過去最高のセシウムが見つかった8月23日のサンプリングデータがありません(19)。福島第一では高い濃度が出ると直ぐに再測定され、高いのは1時的と説明されますが(18)、高い濃度が出る可能性がある時に追加で検査する事は無いようです。
 そして気になるのが港湾口のマコガレイのセシウム濃度です。福島県沖のマコガレイの出荷制限が8月24日に解除になりました(21)。以下に港湾口で採れたマコガレイの昨年9月以降のセシウム濃度を示します。
上昇傾向を示す後湾口のマコガレイのセシウム濃度
 ※1(22)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す
 ※3 日付は捕獲日
 図―9 港湾口マコガレイのセシウム濃度

 確り上昇しています。港湾口は外洋のと境です。外洋のマコガレイもそれなりに汚染されています。9月1日からは福島県沖のヒラメ漁が再開されます(23)。以下に港湾口のヒラメのセシウム濃度を示します。
上昇傾向を示す港湾口ヒラメのセシウム濃度
 ※1(22)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す
 ※3 日付は捕獲日
 図―10 港湾口ヒラメのセシウム濃度

 こちらも確り上昇しています。


4.地下貯水槽周辺の観測井戸は急上昇
 地下貯水槽は一時期、汚染水の保管に利用されていましたが、汚染水漏れををお越し使われなくなりました(24)。ただし、一時は高濃度の汚染水が貯められていたので、周囲に観測井戸を掘り地下水の汚染の有無を観測してます(25)。以下に今週の以下に地下貯水槽周囲の全ベータ濃度を示します。
大部分の観測孔から全ベータが見つかる地下兆水槽周囲
 ※1(25)を集計
 ※2 位置は(24)による。
 ※3 NDは検出限界未満を示す
 図-11 下貯水槽周囲の全ベータ濃度

 図に示す通り殆どの観測孔(19本中17本)で全ベータが見つかっています。この中で最も気になるのがA16です。以下に推移を示します。
上昇傾向が続く観測孔NoA16の全ベータ
 ※1(25)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す
 図-12 下貯水槽周囲の全ベータ濃度 

 図に示すように乱高下していますが、全体として上昇傾向にあり7,8月は1リットル当たり300ベクレルを超える値を示しています。この先が心配です。


5.地下水バイパス山側井戸の全ベータが急上昇
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(26)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(27)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(28)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超えた放射性物質が見つかる地下水バイパス山側井戸
 ※1 (27)(28)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―13 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(11)、排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。この中で気になったのはE-9井戸の全ベータ濃度です。以下に推移を示します。
全ベータが上昇しだしたE-9井戸
 ※1 (27)(28)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―13 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(11)、排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。この中で気になったのはE-9井戸の全ベータ濃度です。以下に推移を示します。
 ※(27)を集計
 図―14 E-9井戸のトリチウム濃度

 今週に入り突然に上昇傾向に転じました。東京電力は日報で(19)
「今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。」
等の表現(18)を良く使います。この表現では傾向を持って上昇する変動は無視するようです。

6.サブドレン・トリチウムの累積排出量は約860億ベクレル
 サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(30)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始まったので(31)まもなく1年です。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(32)(33)、濃度×排出量で累積のトリチウム排出量を求めてみました。
トリチウム累積排出量が860億ベクレルとなったサブドレン
 ※(32)(33)を集計
 図―15 サブドレンの累積のトリチウム排出量

 図に示す通り運用開始後からトリチウムの排出量が増え続け、累積で約860億ベクレルになりました。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 事故から5年5ヶ月以上が過ぎましたが、福島第一原発の汚染水漏れは止まる気配がありません。東京電力は今回の放射性物質漏れについて
「K排水路の水の全ベータ放射能が上昇した原因は、降雨の影響に伴う一時的な上昇と推定。」
と主張していますが、福島では台風7号(9)、9号(1)と続けて遅い、間もなく10号もやって来そうです(3)。福島の降雨は一次的なものでなく「断続的」なものです。しばらくは台風の降雨による断続的な放射性物質漏れが続きます。特に不安なのが全ベータです。4項、5項に示すように福島第一ではセシウムが見つからないのに全ベータが見つかる場合があります。全ベータはセシウムとは独立で海に漏れています。でも福島産はセシウムが見つからければ「安全」とされます(34)。福島の皆様は不安だと思います。
 福島県が力をいれている畜産物に鶏肉(地鶏)があります。産地の一つに福島県川俣町があります(35)。福島県川俣町産の鶏肉は。高タンパク・低カロリー・低脂肪の肉は、噛めば噛むほど鶏本来の旨みが口いっぱいに広がるそうです(36)。福島県は福島産鶏肉は「安全」だと主張しています(37)。福島県川俣町ではこの週末に「川俣シャモまつり」が開かれ(38)、世界一長い焼き鳥を成功させたそうです(39)。でも福島県川俣町のスーパーのチラシには福島産鶏肉はありません。
他県産はあっても福島産鶏肉が無い福島県川俣町のスーパーのチラシ
 ※(40)を引用
 図―16 福島産鶏肉が無い福島県川俣町のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県川俣町の皆様も見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)福島第1原発、汚染地下水あふれる恐れ 台風9号の降雨影響:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(2)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(8月3週)―港湾内から法令限度を超える汚染海水―
(3)台風、30日にも上陸の恐れ | 国内外ニュース | 福島民報
(4)福島民友新聞社 みんゆうNet -福島県のニュース・スポーツ-を8月29日に閲覧
(5)20160822スイッチ TUFchannel
(6)報道配布資料|東京電力
(7)(6)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(8)気象庁|平成28年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)
(9)道が崩落、台風7号で福島県内大雨 列車一時運転見合わせ、浸水被害も:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(10)中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況」⇒2016年8月25日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第33回事務局会議)」⇒「2016年7月28日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第32回事務局会議)」⇒「【資料3-1】汚染水対策(31.5MB)PDF」(http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images1/images2/d160728_06-j.pdf
(11)サンプリングによる監視|東京電力
(12)(11)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング」⇒「南放水口・排水路」
(13)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(14)"http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2016/images3/drainage_160823-j.pdf" target="_blank" title="2016年8月23日福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて(PDF 224KB)
(15)(6)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(16)2015年9月2日 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(PDF 3.53MB)
(17)2016年8月24日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 637KB)
(18)2016年08月23日福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】
(19)(11)中の「1.海水(港湾外近傍)」を8月28日に閲覧(http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2016/images3/seawater_map-j.pdf
(20)2016年8月24日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>(PDF 120KB)
(21)原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の解除 |報道発表資料|厚生労働省
(22)(6)中の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>」
(23)「安全な常磐もの届けたい」読売新聞-
(24)[PDF]地下貯水槽からの汚染水漏えい 及び 対応状況 ... - 東京電力
(25)(11)中の「地下貯水槽に関する分析結果」
(26)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(27)(11)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(28)(6)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(29)福島原子力事故に関する更新|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社
(30)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(31)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(32)(6)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(33)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(34)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(35)(34)中の「地鶏兄弟」(https://www.pref.fukushima.lg.jp/download/1/jidori6.pdf
(36)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(37)第14回川俣シャモまつりin川俣2016開催 - 川俣町公式ホームページ
(39)世界一長~い丸焼きに挑戦! 103羽成功、川俣シャモまつり:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(40)チラシ情報 | スーパーマーケットいちい
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  1. 2016/08/28(日) 19:41:42|
  2. -
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