福島第一原発汚染水の9月2週(9月5日から11日)の状況を纏めてました。
①排水路の法令違反の汚染排水は止まらず。
②港湾内からも法令違反の海水
③外洋からセシウム等の放射性物質
④地下貯水槽周辺の観測井戸の殆どで見つかる全ベータ
⑤地下水バイパス山側井戸のトリチウムが上昇中
⑥サブドレン1年、トリチウムの総排出量は約915億ベクレル
等が確認されました。事故から5年半ですが、福島第一からの汚染水漏れは先週に続き(1)続いています。
1.排水路の法令違反の汚染排水は止まらず
福島第一では今週も雨が降り続きました。

※(3)を集計
図―1 福島第一の降水量
この大雨で、福島第一原発内の放射性物質が大量に流されました。
福島第一原発構内には幾つもの排水路が走っています(3)。以下に今週観測された各排水路の放射性物質濃度を示します。]

※1(3)(5)を集計
※2 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
※3 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(6)
※4 赤丸(
●)はサンプリング地点
図-2 福島第一原発排水路の放射性物質濃度
放射性物質の法定限度は1リットル当たりで、セシウム137が90ベクレル、ストロンチウム90が30ベクレルです(4)。全ベータのおよそ半分がストロンチウム90なので(6)、全ベータでは60ベクレルになります。 以下にK排水路の汚染水濃度の推移を示します。

※1(3)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
図-3 福島第一K排水路の放射性物質濃度
図に示す通り、法定限度を超えた状態が継続しています。1リットル当たりで8月17日の全ベータ540ベクレルに始まり、今日(9月11日)まで25日間で20日間はK排水路からは法令違反の汚染排水が流れています。
2.港湾内からも法令違反の海水
排水路から汚染水が流れればその先の海洋汚染が心配です。以下に今週の港湾内の汚染状況を纏めます。

※1 (7)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は7月25日
※5 サブドレン排水口の位置は(9)による。
図―4 福島第一港湾内の放射性物質濃度
図に示す通り港湾内3地点で法定限度を超える汚染海水が見つかっています。以下に1~4号機取水口内北側、1号機取水口および1~4号機取水口内南側の全ベータ濃度の推移を示します。

※1(7)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
図-5 港湾内3地点の全ベータ濃度
図に示す通り、法定限度を超える法律違反の汚染海水が8月後半から見つかり続けています。
3.外洋からセシウム等の放射性物質
福島第一の港湾と海洋は繋がっています。港湾内に法令に違反する排水が流れ込み、港湾内の海水が汚染されれば、その海水は外洋に出ていきます。港湾内でブロックされる事などありません(8)。以下に「外洋」の汚染状況を示します。

※1 (5)(7)(9)(10)で作成
※2 数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―6 福島第一原発外洋の放射性物質濃度
図に示す通り、外洋からセシウム等の放射性物質が見つかっています。以下に2地点のセシウム濃度を示します。

※1(7)(10)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
図-7 外洋2地点のセシウム137濃度
図に示す通り今年(2016年)前半はセシウムが見つかる事はなかったのですが、突然に見つかるようになりました。事故から5年半が経過しましたが、外洋の汚染は継続しています。
4.地下貯水槽周辺の観測井戸の殆どで見つかる全ベータ
地下貯水槽は一時期、汚染水の保管に利用されていましたが、汚染水漏れををお越し使われなくなりました(11)。ただし、一時は高濃度の汚染水が貯められていたので、周囲に観測井戸を掘り地下水の汚染の有無を観測してます(12)。以下に今週の以下に地下貯水槽周囲の全ベータ濃度を示します。

※1(12)を集計
※2 位置は(11)による。
※3 NDは検出限界未満を示す
図-8 下貯水槽周囲の全ベータ濃度
図に示す通り、先週に続き(1)今週も殆どの観測孔(19本中17本)で全ベータが見つかっています。この中で最も気になるのがA11です。以下に推移を示します。
※2 NDは検出限界未満を示す

図に示すように乱高下していますが、全体として下がる気配がありません。この先が心配です。
5.地下水バイパス山側井戸のトリチウムが上昇中
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(13)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(14)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(15)。以下に放射性物質濃度を示します。

※1 (14)(15)にて作成。
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―10 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
全ベータ 5ベクレル
トリチウム 1500ベクレル
ですので(4)、排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。この中で気になったのはG-2井戸のトリチウム濃度です。以下に推移を示します。

※(14)を集計
図―11 G-1井戸のトリチウム濃度
突然に急上昇しています。この先が心配です。
6.サブドレン1年、トリチウムの総排出量は約915億ベクレル
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(16)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始まったので(17)1年です。東京電力はサブドレン廃水の放射性物質濃度も排出量も公表しているので(18)(19)、濃度×排出量でこの1年間のトリチウム排出量を求めてみました。

※(18)(19)を集計
図―12 サブドレンの累積トリチウム排出量
累積で915億ベクレルと1000億ベクレル寸前です。以下にサブドレン放流水のトリチウム濃度を示します。

※(18)を集計
図-13 サブドレン放流水のトリチウム濃度
図に示す通り8月下旬から上昇しています。この先が心配です。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
汚染水漏れが止まらい福島第一原発では福島の皆様は心配だと思います。
福島を代表する夏野菜にピーマンがあります(20)。福島県田村市は福島の主要なピーマン産地です。9月になりましたが、まだまだシーズンは続きます(21)。福島のピーマンは生食でも味わい良く、加熱すると柔らかくなり、独特のにおいも和らぐ風味がようそうです(20)。福島県は福島産ピーマンは「安全」だと主張いています(22)。でも福島県田村市のスーパーのチラシには福島産ピーマンはありません。

※(23)を引用
図―14 福島産ピーマンが無い福島県田村市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県田村市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(9月1週)―排水路から18日連続で法令違反の汚染排水が流れる―(2)
報道配布資料|東京電力(3)(2)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(4)
サンプリングによる監視|東京電力(5)(4)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング」⇒「南放水口・排水路」
(6)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)(2)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果
(8)
安倍首相「汚染水は完全にブロック」 IOC総会で :日本経済新聞(9)
2016年9月8日福島第一原子力発電所 地下水バイパス排水に関するサンプリング結果 (南放水口付近)(PDF 118KB)PDF (10)
2016年9月8日福島第一 サブドレン・地下水ドレン浄化水排水に関するサンプリング結果(PDF 7.43KB)(11)
[PDF]地下貯水槽からの汚染水漏えい 及び 対応状況 ... - 東京電力(12)(4)中の「地下貯水槽に関する分析結果」
(13)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(14)(4)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(15)(2)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(16)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力(17)
(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力(18)(2)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(19)
集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力(20)
夏 | ふくしまの野菜 | JA全農福島(21)
福島県JAたむら&田村市トップセールス/東京青果株式会社(22)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(23)
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- 2016/09/11(日) 19:48:17|
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