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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(9月4週)―港湾内、排水路、海岸で過去最高の汚染―

福島第一原発汚染水の9月4週(9月19日から25日)の状況を纏めてました。
 ①C排水路C-2-1地点で過去最高の全ベータ
 ②港湾内海水から過去最高のセシウム137
 ③港湾内の全ベータ上昇に同期して上昇する外洋の全ベータ
 ④地下水バイパス山側井戸のトリチウムが急上昇
 ⑤海岸付近の井戸から過去最高の全ベータ
C排水路、港湾内、海岸で「過去最高」(新記録)がでました。

1.C排水路C-2-1地点で過去最高の全ベータ
 福島第一原発構内には幾つもの排水路が走っています(3)。以下に今週観測された各排水路と付近のE-1井戸の放射性物質濃度を示します。
法定限度を超えて汚染された排水が流れる福島第一排水路
 ※1(4)(5)(6)を集計
 ※2 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
 ※3 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
 ※4 赤丸()はサンプリング地点
 図-1 福島第一原発排水路の放射性物質濃度

 これとは別にC排水路のC-2-1地点で放射性物質濃度を測定しています。以下に放射性物質濃度の推移を示します。

過去最高を記録したC排水路C-2-1地点の全ベータ濃度
 ※1(4)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
 図―2 C排水路C-2-1地点の全ベータ

 図に示す通りしばらくは検出限界未満(ND)だったのですが、9月中旬からは急上昇しています。そして9月22日に
 1リットル当たり 330ベクレル
の全ベータが見つかりました。過去最高です。これについて東京電力は
「前回公表までの最高値を超えているが、有意な変動ではない。」
としています(8)。
 図―1に示す様にC排水路に合流するB排水路の直ぐ山側(西側)にはE-1井戸があります。以下にE-1井戸の放射性物質濃度を示します。
突然に上昇したE-1井戸の全ベータ濃度
 ※1(4)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
 図―3 E-1地点の放射性物質濃度

 同じく9月中旬から急上昇しています。E-1地点の山側(西側)には図―1で示すように汚染水タンクがあります。汚染水タンクの寿命は5年と説明されていました(9)。事故から5年半が過ぎ、寿命を迎える汚染水タンクも出てくる頃です。
 以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。
法定限度を超えた汚染排水が度々流れるK排水路
 ※1(4)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
 図-4 福島第一K排水路の放射性物質濃度
 
 放射性物質の法定限度は1リットル当たりで、セシウム137が90ベクレル、ストロンチウム90が30ベクレルです(3)。全ベータのおよそ半分がストロンチウム90なので(7)、全ベータでは60ベクレルになります。図に示す様に法定限度を超え、法律違反の汚染排水が度々流ています。

2.港湾内海水から過去最高のセシウム137
 排水路から汚染水が流れればその先の海洋汚染が心配です。以下に今週の港湾内の汚染状況を纏めます。
 法定限度を超えた汚染海水が見つかる福島第一港湾内
 ※1 (10)を集計
  ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3 集計期間内の最大値
  ※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は8月15日
 図―5 福島第一港湾内の放射性物質濃度

 このうちの福島第一1~4号機取水口内北側と福島第一1号機取水口のセシウム137のそれぞれ1リットル当たりで74ベクレルと95ベクレルは過去最高です(11)。これについて東京電力は
「港湾内の2地点においてセシウム137が最近の変動から見るとやや高めの傾向を示していますが、これは過去の降雨時にも同様の傾向が見られており」
とコメントしています(12)。
 1項に記載したようにK とC排水路から法令違反の全ベータが流れ込んでいます。全ベータ濃度も気になります。以下に港湾内3地点の全ベータ濃度を示します。
法定限度を超えた海水が連続して見つかる福島第一港湾内
 ※1(10)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
 図-6 港湾内3地点の全ベータ濃度

 図に示す通り、法定限度を超える法律違反の汚染海水になっています。 

3.港湾内の全ベータ上昇に同期して上昇する外洋の全ベータ
 福島第一の港湾と海洋は繋がっています。港湾内に法令に違反する排水が流れ込み、港湾内の海水が汚染されれば、その海水は外洋に出ていきます。以下に「外洋」の汚染状況を示します。
事故から5年半以上が過ぎて、放射性物質が見つかる福島第一沖の外洋
  ※1 (5)(10)(13)で作成
  ※2  数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
 図―7 福島第一原発外洋の放射性物質濃度

 事故から5年半以上が経ちましたが、外洋からはトリチウム等の放射性物資が見つかっています。この中で気になったのがT-2地点の全ベータ濃度です。以下に推移を示します。
港湾内の濃度に同期しているようにも見える福島第一沖・外洋T-2地点の全ベータ濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
 図-8 T-2地点の全ベータ濃度

 2項に記載の図-6に示すように港湾内の全ベータは9月21日にピークになっています。図―8に示す様にT-2地点も9月21日がピークです。港湾から全ベータが流れ出し、外洋を汚染しています。ブロックはされていません(14)。 

4.地下水バイパス山側井戸のトリチウムが急上昇
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(15)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(6)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(16)。以下に放射性物質濃度を示します。
汚染地下水が見つかる地下水バイパスおよび山側井戸
 ※1 (6)(16)にて作成。
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―9 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(3)、排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。E-1井戸については1項で記載の通りですが、これを除き気になったのがG-1のトリチウム濃度です。以下に推移を示します。
突然に急上昇を始めたG-1井戸のトリチウム
 ※(13)を集計
 図―10 G-1井戸のトリチウム濃度

 図に示す通り、突然に急上昇しています。この先が心配です。

5.海岸付近の井戸から過去最高の全ベータ  以下に海岸付近の井戸の地下水の放射性物質濃度を示します。
規準を大きく超えた汚染地下水が見つかる福島第一の海岸
 ※1 (10)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―11 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

 図に示す様に事故から5年半が経過しましたが、法定限度や排水基準を大きく超えて汚染された地下水が見つかっています。この中でNo1井戸の全ベータの
 1リットル当たり 16,000ベクレル
は過去最高(新記録)です。以下に推移を示します。
突然に上昇を再開し過去最高を記録したNo1井戸の全ベータ
※1(10)を集計
 図―12 No1井戸の全ベータ濃度

 上昇したあと、しばらくは1リットル当たり12,000ベクレル程度で推移していたのですが、突然に上昇しだし過去最高を記録しました。この先が心配です。


<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 福島第一の海岸付近で地下水位が上昇し地表面より高くなった事についてNHKは
「港湾内の海水の分析では、放射性物質の濃度に、地下水があふれ出ていることを示すような大きな変化はないとい」
 と報じていました(18)。
放射性物質濃度が上がってないような誤印象を与えるNHK
 ※(18)をキャプチャー
 図ー13 「放射性物質の濃度に、地下水があふれ出ていることを示すような大きな変化はない」と報じるNHK

 この報道を見た人は、福島第一の港湾内の放射性物質濃度に大きな変化ないと誤解するはずです。実際は地下水があふれ出ていることによる大きな変化はありませんが、他の要因で大きく上昇していることは本文に記載の通りです。福島では受け手に誤った印象を与える情報が平気で発信されています。これでは福島の方は不安だと思います。
 福島を代表する夏野菜にトマトがあります。9月も末ですが、まだ楽しめます(19)。福島県会津地方は福島のトマトの産地です(19)(20)。会津のトマトの味は格別だそうです(20)。福島県は福島産トマトは「安全」だと主張しています(21)。でも、福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。
他県産はあっても福島産トマトが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
 ※(22)を引用
 図―13 福島産トマトが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も*の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(9月3週)―C排水路の全ベータが急上昇、法令違反に―
(2)報道配布資料|東京電力
(3)サンプリングによる監視|東京電力
(4)(2)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(5)(3)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング」⇒「南放水口・排水路」
(6)(3)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(7)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(8)(5)中の「(2016年9月)23日」(http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2016/images3/south_discharge_16092301-j.pdf
(9)タンク耐用年数、根拠なし 第一原発 | 東日本大震災 | 福島民報
(10)(2)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(11)2016年9月22日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 724KB)
(12)福島第一原子力発電所護岸付近の水位上昇について(続報2)|報道関係各位一斉メール|東京電力ホールディングス株式会社
(13)(3)中の「1.海水(港湾外近傍)」
(14)汚染水「完全にブロックされている」 菅官房長官【福島第一原発】
(15)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(16)(2)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(17)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(9月4週)―地下水ドレンがオーバーフロー―
(18)福島第一原発 地下水高い状態 - NHK福島県のニュース
(19)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(20)トマト | JA会津よつば
(21)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(22)アピタ会津若松店│「イイこと、プラス。」 アピタ・ピアゴ
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  1. 2016/09/25(日) 19:13:36|
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