めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

トラブルいっぱい福島原発(10月2週)―中古タンクの再利用で汚染水漏れ―

 東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、10月2週(10月2日から8日)もしっかりトラブルが起こっています。
 ①汚染水の増加が止まらず
 ②ALPSは事実上の機能停止
 ③中古タンクの再利用で汚染水漏れ
 ④サブドレン排水できず
 ⑤福島第一の2号機の温度計がまた故障
 ⑥賠償・除染で15兆円
 ⑦キュリオンが自動停止
トラブルマップ(10月2週)
 ※ リファレンスは本文による
 図ー1 福島第一原発トラブルマップ(10月2週)

1.汚染水の増加が止まらず
 福島第一では溶け落ちた核燃料(デブリ)が事故から5年7ヶ月を経ましたが、原子炉建屋に放置されています。タービン建屋には地下水が流入したり(3)、東京電力が4m盤とよぶ(4)、タービン1~4号機タービン建屋東側の海岸部分から、汚染水地下水を汲み上げ(5)、多くをタービン建屋に戻しています(7)。放置すると溢れてしまうので、これを汲みあげ汚染水タンクに保管しています。以下に汚染水量の推移を示します。
増え続ける福島第一汚染水
 ※(8)を集計
 図―2 福島第一の汚染水量

 図に示す通り、福島原発事故から4年7ヶ月を経て増え続け、100万トン寸前です。以下に1日当たりの増加量の推移を示します。
8月後半から加速した汚染水の増加
 ※1 増加量は(8)を集計
 ※2 降水量は(9)を集計
 図―3 福島第一の1日当たりの汚染水増加量

 多分、雨が降った為と思いますが(1)、8月後半から突然に増加量が増えています。これでは汚染水タンクの増設が汚染水増加に追い付いていかないはずです。以下にタービン建屋の推移を示します。
上昇するタービン建屋の水位
 ※(8)を集計
 図―4 タービン建屋の水位

 図に示す通り、タービン建屋の水位が汚染水が増えだした8月後半から上昇しています。増設が間に合わずタンクに収容できない汚染水はタービン建屋に放置されているようです。溢れだ出さないか心配です。
 以下に4m盤からタービン建屋に移送した汚染水量の推移をしめします。
8月後半から増えた4m盤からの汚染水移送量
 ※1 移送量は(7)を集計
 ※2 降水量は(9)を集計
 図―5 福島第一の1日当たりの汚染水増加量

 図に示す通り、ことらも8月後半から上昇しています。9月21日から1週間の平均の
 汚染水増加量    1日当たり971トン(8)
 4m盤からの移送量 1日当たり827トン(7)
で汚染水増加要因の大部分は、タービン建屋海側の4m盤から汲み上げてタービン建屋に送っている汚染水が増加の主流です。

2.ALPSは事実上の機能停止
 タービン建屋から汲み上げらた汚染水は、
  タービン建屋⇒貯蔵施設⇒SARRY⇒SR処理水⇒ALPS⇒処理水
で通常は運ばれています(3)(8)。SARRYはセシウムとストロンチウム90が荒どりされ(10)、ALPSでは他の放射性物質も取り除きますが、全ての放射性物質が除去できる訳ではありません(11)。以下に最終段の処理水の量を示します。
減少する処理水量
 ※(8)を集計
 図―6 「処理水」量とタンク容量の推移

 図に示す通り、今週は減っています。処理水は行き場がなので、ALPSが稼働すればどんどん増えて行かなくてはなりませんが、減っているので事実上の機能停止です。
 なぜこのような事が起こるかを東京電力の会見(12)や発表資料(13)や汚染水の動き(8)から総合的に判断すると、以下の通りになります。
 2014年以前のSARRYには、ストロンチウム90を取り除く機能は無く、セシウムが荒どりされるだけでした(10)。ALPSが動き出したのは2013年3月で(14)、それ以前は福島第一の汚染水はセシウムが荒取りされただけで最終段の汚染水タンクに保管されていました。この汚染水を「濃縮塩水」と呼ばれています(15)。その後にALPSが稼働し(14)、「濃縮塩水」からストロンチウム90を除去する設備もでき(15)、濃縮塩水の量は徐々に減っていきました(8)。ただしタンクから「濃縮塩水」を全て抜き取ることはできずタンクの底に残っています。これを取り除くには濃縮塩水タンクを解体するしかないようです(12)。東京電力は「濃縮塩水タンク」等を解体し、新たな汚染水タンクに置き換える計画を進めています(16)。以下に濃縮塩水タンクの容量の推移を示します。
減少する濃縮塩水タンク容量
 ※(8)を集計
 図―7 濃縮塩水タンク容量

 図に示すようにしばらくは減少することなく一定で、なかなか解体が進まなかったようですが、ここに来て減っているので解体が進んだと思っていました。以下にSR処理水量とタンク容量を示します。
増加するSR処理水の量とタンク容量
 ※(8)を集計
 図―8 SR処理水量とタンク容量

 こちらは増えています。新たに汚染水タンクを新設するなら、最終段の処理水タンクを増設する方が合理的ですが、増えたのは処理水タンクです。9月2日から10月7日までの増減を見ると
 濃縮塩水タンク容量 △16,900トン減
 SR処理水タンク容量 +15,800トン増
で、濃縮塩水タンク容量の減少とSR処理水タンクの増量を見るとほぼ同じです。濃縮塩水タンクの解体が進んだわけでもなく、SR処理水タンクの増設が進んだ訳でもありません。単に濃縮塩水タンクをSR処理水タンクに付け替えただけす。
 東京電力の日報(をみると「ALPS」は運手中になっています。ALPSでせっかくそれなりに放射性物質を取り除いた汚染水を濃い汚染水が残ったままの旧濃縮塩水タンクに送り込み、より汚染された水に戻しています。これを従前は「処理水」と呼んでいようですが、これではまずいと「SR処理水」に名称変更したようです。この結果、最終段の処理水が減りました。
 図―6に示す様に処理水のタンク容量は9月22日以降は全く増えていません。福島第一原発の汚染水タンクの増設は約一ヶ月半の間、とままったままです。

3.中古タンクの再利用で汚染水漏れ
 汚染水タンクに事故当初に急造された接合部をボルトで締めたフランジ型と溶接型のタンクがあります(19)。フランジ型タンクの寿命は5年とも言われているので(20)、事故から5年以上が経過しているのでそろそろ寿命です。
 東京電力の発表(13)(21)によると、古いフランジ型タンクが汚染水漏れを起こしました。10月6日午後0時15分頃、福島第一原子力発電所構内EタンクエリアのD5タンク(フランジ型)の上部から汚染水が漏れているのが見つかりました。以下に位置と周辺を示すます。
汚染水漏れを起こしたD5タンクとその周辺
 ※Google Mapと(13)で作成
 図―9 汚染す漏れEエリアD5タンクと周辺

 漏れた汚染水量は最大で32リットルで、1リットル当たりで
   セシウム134  44ベクレル
   セシウム137 260ベクレル
   全ベータ    59万ベクレル
の放射性物質が見つかったそうです(21)。会見によると(12)、濃縮塩水タンクにLALPSを通した処理水を注ぎ込んだタンクだそうです。中古の汚染水タンクを使い回し汚染水漏れをおこしたようです。
 東京電力がフランジタンクの位置を示した資料(16)を元に、フランジタンクをGoogle Mapで見ると明確な特徴があります。
フランジタンク群の外観
 ※Google Mapと(12)で作成
 図―10 福島第一フランジタンク(Eエリア)

 図に示す様に、天板に筋が入っている事と十字に並んでいることです。これを元に図―9で、Google Mapで確認されたフランジタンクを黄色の点線で囲ってみました。相当量が残っています。このうちどれだけ再利用されたは分かりませんが、2項の図―7、8からして相当量が再利用されていると推定できます。同じような事がまた起こりそうです。

4.サブドレン排水できず
 サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(5)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始りました(21)。東京電力はサブドレン廃水の排出元、排出日を公表していいます(22)。タンクはA~Gまで7つあり、これまで順にA、B、C...G、Aと排出してきました。ところが10月1日にタンクBから排水した後に(22)(23)、Cをパスし(24)、10月3日にタンクDの排水を実施しました(25)。会見の説明(26)にようるどタンクC排水は排水基準以下に浄化できず、排水が中止になったそうです。

5.福島第一の2号機の温度計がまた故障
 福島第一2号機の原子炉圧力容器内の温度計1台が故障したとの発表がありました。正常に機能すると東京電力が判定した温度計は41台中7台になりました(26)。8月にも故障が発表されておりいます(27)。以下に福島第一2号機の原子炉圧力容器内の温度計の台数の推移を示します。
減り続ける2号機・圧力容器内の正常な温度計の数
 ※1(26)(27)にて作成
 ※2 「監視に使用可」を「正常」それ以外を「異常」と記載
 図―11 福島第一2号機、原子炉圧力容器内の温度計の異常・正常の数

 図に示す通り2014年以降は年1台のペースの故障でしたが、今回は僅か2ヵ月で2台の故障です。廃炉まで30年とも40年とも言われてます(30)。廃炉工程の早い段階で温度計が全滅しそうです。
 以下に号機別の原子炉圧力容器内の温度計の正常の台数を示します。
  1号機 42台中26台が正常
  2号機 41台中7台が正常
  3号機 42台中41台が正常
で、2号機は1,3号機に比べ大幅に少なくなっています。2号機には1,3号機に無い「魔物」が住みついているようです。(=^・^=)は2号機の再臨界を疑っています(29)(30)(31)。

6.賠償・除染で15兆円
 大手電力会社で構成する電気事業連合会が、東京電力福島第1原発事故に伴う賠償と除染費用が計画より計約8兆円上回るとの試算をまとめた都の事です(32)。
費用の増大を報じる福島県の地方紙・福島民報
 ※(33)を引用
 図―12 賠償・除染費用が8兆円増加の報じる福島県の地方紙。福島民報

 現行の計画が7兆円なので(34)、合計で15兆円です。廃炉費用も大幅に増えそうです。東京電力ホールディングスの広瀬直己(なおみ)社長は「東電が(福島第一の廃炉)費用をまかなっていけるよう、制度的(な支援の)措置をつくってもらい、東電が債務超過になって倒れてしまう危険を取り除いてほしい」と言ったそうです(35)。どうみても東京電力が全てを負担できる金額ではないと思います。誰が負担するのですかね?(=^・^=)は嫌です。

7.キュリオンが自動停止
 汚染水のセシウムを吸着して集める装置にSARYYの他に、キュリオンがありますが10月8日午後2時53分、セシウム吸着装置(キュリオン)が自動停止しました。現時点では原因は不明だそうです(36)。


<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 福島県知事が福島第一原発を視察し
 「廃炉・汚染水対策はまだまだ途上にある。汚染水を止めることが事故から5年半を迎えた県民の願いだ」
と言ったそうです(36)。事故から5年7月過ぎて、汚染水が止まっていないとの認識のようです。これでは福島の皆様も不安だと思います。
 10月に入り福島県福島市ではリンゴ狩りが始まりました(37)。福島はリンゴのシーズンです。福島のリンゴは甘みが強く、密入りが良いと言われています(38)。福島県福島産リンゴは「安全」だと主張しています(39)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産リンゴはありません。
他県産はあっても福島産リンゴが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(40)を引用
 図―13 福島産リンゴが無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(10月1週)―福島第1・引き留め鉄構 40年間無点検―
(2)格納容器内部調査|東京電力
(3)原子炉の安定化|東京電力
(4)第46回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会中の「資料2-1:陸側遮水壁の状況[東京電力]【PDF:4MB】」(http://www.nsr.go.jp/data/000165035.pdf
(5)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(6)報道配布資料|東京電力
(7)(6)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(8)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(9)(6)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(10)めげ猫「タマ」の日記 SR処理水について
(11)福島第一原子力発電所水処理設備について(PDF 1.14MB)PDF(2015年1月15日)
(12)2016/10/06(木) 原子力定例記者会見
(13)"2016年10月6日福島第一原子力発電所 Eタンクエリア D-5タンク西側上部フランジ部からの水滴下について(PDF 652KB)
(14)多核種除去設備(ALPS)におけるホット試験の開始について|東京電力
(15)RO濃縮水処理設備について - 東京電力
(16)中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況」⇒「2016年9月29日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第34回事務局会議)」⇒「【資料3-1】汚染水対策(28.0MB)」(http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images1/images2/d160929_06-j.pdf
(17)福島原子力事故に関する更新|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社
(18)【震災から5年】「福島第一原発 汚染水対策」 たまり続ける処理水 | 東日本大震災 | 福島民報
(19)【震災から5年】「福島第一原発 汚染水対策」 たまり続ける処理水 | 東日本大震災 | 福島民報
(20)タンク耐用年数、根拠なし 第一原発 | 東日本大震災 | 福島民報
(21)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(22)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(23)福島第一原子力発電所の状況について(日報)2016年10月1日|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社
(24)福島第一原子力発電所の状況について(日報)2016年10月2日|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社
(25)2016年10月03日福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】
(26)2016/10/03(月) 原子力定例記者会見
(27)福島第一原子力発電所1~3号機における原子炉内温度計および原子炉格納容器内温度計の信頼性評価について(2016年10月提出)|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(28)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月1週)―3ヶ月連続でダストモニタ警報!原因は爆発で飛び散た核燃料?―
(29)めげ猫「タマ」の日記 再臨界について
(30)めげ猫「タマ」の日記 福島の下水汚泥から2カ所同時にヨウ素131、再臨界?
(31)めげ猫「タマ」の日記 福島第一、再臨界監視システムは機能するの?
(32)福島原発、賠償負担など8兆円増 電事連、国費を要望 - 共同通信 47NEWS
(33)福島民報を10月6日に閲覧
(34)特別事業計画の変更の認定について|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(35)東電支援の国民負担拡大も 廃炉・事故処理費の上限見えず-東京新聞-2016/10/05
(36)2016年10月08日福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後4時現在】
(37)廃炉・汚染水対策安全に 内堀知事第一原発視察し東電に要望 | 県内ニュース | 福島民報
(38)福島 りんご狩り特集 | 一般社団法人 福島市観光コンベンション協会公式ページ こらんしょふくしま
(39)特産品情報 | 地区別くらし情報 福島地区 | JAふくしま未来
(40)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(41)イオン福島店
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  1. 2016/10/09(日) 19:52:46|
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