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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一汚染水(10月2週)―海岸井戸で過去最高の汚染―

 福島第一原発汚染水の10月2週(10月2日から9日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、各所で汚染が見つかっています。
 ①C排水路から法律違反の全ベータ
 ②港湾口のストロンチウム90が上昇
 ③事故から5年7ヶ月、外洋からトリチウム等の放射性物質
 ④地下水バイパス山側井戸のトリチウムが急上昇
 ⑤海岸付近の井戸から過去最高の全ベータ
 ⑥地下水ドレン・中継タンクBの放射性物質濃度が上昇中

1.C排水路から法律違反の全ベータ
 福島第一原発構内には幾つもの排水路が走っています(4)。その中でC排水路近くの汚染水タンクから、10月6日に汚染水漏れが見つりました。漏れた汚染水からは1リットル当たり59万ベクレルの全ベータが見つかっています。東京電力は堰内に留まり外には漏れていないと言っていますが(5)(6)、やっぱり心配です。以下に排水路の汚染状況、汚染水漏れタンク位置そしてE-1井戸の位置を示します。
法律違反の汚染排水が流れるC排水路
 ※1(4)(7)を集計
 ※2 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
 ※3 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
 ※4 赤丸()はサンプリング地点
 ※5 汚染水漏れタンク位置は(6)による。
 図-1 福島第一原発排水路の放射性物質濃度

 ストロンチウム90の法定限度は1リットル当たり30ベクレルで(3)、全ベータの半分はストロンチウム90なので、全ベータの法定限度は1リットル当たり60ベクレルです。図に示す通り、C排水路からは法定限度の数倍の1リットル当たり400ベクレルの法律違反の全ベータに汚染された排水が流れました。
 以下にC排水路の全ベータ濃度と流量を示します。
度々法律違反の汚染排水が流れるようになったC排す路
 ※1(4)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す。
 図―2 C排水路の全ベータ濃度と流量

 図に示す通り9月後半から上昇しています。以下にE-1井戸の全ベータ濃度を示します。 
9月後半に突然に全ベータ濃度が上昇したE-1井戸
 ※1(8)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
 図―3 E-1地点の放射性物質濃度

 同じく9月中旬から急上昇しています。E-1井戸の山側(西側)には図―1で示すように汚染水タンクがあります。そのうち一つは汚染水漏れをおこしました。汚染水タンクの寿命は5年と説明されていました(9)。見つけられない汚染水漏れがあり、C排水路やE-1井戸を汚染が広がった可能性はないのでしょうか?
  これについて東京電力は新排水路を作り、C排水路の流量が低下した為に、降雨時の水が残留したためと発表しました(10)。以下に新設排水路と既存のBC排水路の位置を示します。
福島第一の排水路
 ※1(10)とGoole Mapで作成
 ※2 海側は既存の別の排水路を使用するが、新排排水路として記載
 図―4 新排水路と新排水路の流域

 図に示す様に新排水路の流域は、既存の排水路の流域の一部でしかありません。そんなに流用がへいるかは分かりません。図―2示すように(=^・^=)目には減っているようには見えません。流量の平均を取ると
 全ベータ濃度上昇前(9月 1日~14日) 毎分0.05立方メートル
 全ベータ濃度上昇後(9月15日~22日) 毎分0.16立方メートル
で、逆に増えています。東京電力は
「10月11日より、C排水路に設置されている側溝放射線モニタが適切に測定できる水量の通水(従来、降雨の無い日に流れていた程度)を再開する。」
と発表しています。目論見通り下がるのですかね?

2.港湾口のストロンチウム90が上昇
 排水路から汚染水が流れればその先の海洋汚染が心配です。以下に今週の港湾内の汚染状況を纏めます。 ※1 (11)を集計
ストロンチウム90が見つかる福島第一港湾内
  ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3 集計期間内の最大値
  ※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は8月22日
 図―5 福島第一港湾内の放射性物質濃度

 この中で気になるのが港湾口のストロンチウム90です。以下に推移を示します。
上昇する港湾口のストロンチウム90濃度
 ※1(10)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
 図―6 港湾口のストロンチウム90濃度

 図に示す通り先週に続き上昇しています。当然ながら外洋にも影響しているはずです。
 福島第一では港湾口にリアルタイムの放射線モニタを設置しています(11)。以下に今週の様子を示します。
突然に全ベータが見つかった港湾口リアルタイムモニタ
 ※(11)を10月10日にキャプチャー
 図―7 福島第一のリアルタイムモニタ

 図に示す通り突然に全ベータが出現しています。


3.事故から5年7ヶ月、外洋からトリチウム等の放射性物質
 福島第一の港湾と海洋は繋がっています。港湾内に法令に違反する排水が流れ込み、港湾内の海水が汚染されれば、その海水は外洋に出ていきます。以下に「外洋」の汚染状況を示します。
事故から5年7ヶ月過ぎても外洋から見つかる放射性物質
  ※1 (12)(13)で作成
  ※2  数値は1リットルまたは1キログラム当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
 図―8 福島第一原発外洋の放射性物質濃度

 事故から5年6ヶ月が経ちましたが、外洋からはトリチウム等の放射性物資が見つかっています。以下に5,6号機放水口付近の放射性物質濃度の推移を示します。 
トリチウムが最上昇した5,6号機放水口付近
 ※1(10)(13)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
 図―9 5,6号機放水口付近の放射性物質濃度

 図に示す通り一時は、トリチウムは検出限界未満(ND)の状態でしたが、最近は度々見つかるようになりました。

4.地下水バイパス山側井戸のトリチウムが急上昇
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(14)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(15)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(16)。以下に放射性物質濃度を示します。
排水基準を超えた汚染地下水が見つかる地下水バイパスと山側井戸
 ※1 (15)(16)にて作成。
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―10 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
  全ベータ  5ベクレル
  トリチウム 1500ベクレル
ですので(3)、排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。E-1井戸については1項で記載の通りですが、これを除き気になったのがG-2のトリチウム濃度です。以下に推移を示します。
突然に上昇したG-2井戸のトリチウム
 ※(15)を集計
 図―11 G-2井戸のトリチウム濃度

 図に示す通り、突然に急上昇しています。この先が心配です。

5.海岸付近の井戸から過去最高の全ベータ
 以下に海岸付近の井戸の地下水の放射性物質濃度を示します。
高濃度の汚染地下水が見つかる福島第一の海岸
 ※1 (12)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―12 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

 図に示す様に事故から5年7ヶ月が経過しましたが、法定限度や排水基準を大きく超えて汚染された地下水が見つかっています。この中で 1リットル当たりで
 No1井戸 全ベータ 16,000ベクレル
は過去タイ記録で
 No3-2井戸 全ベータ 3,600ベクレル
は過去最高(新記録)です。以下に3-2井戸の放射性物質濃度の推移を示します。
急上昇するNお3-2井戸の全ベータとトリチウム
 ※(12)を集計
 図-13 No3-2井戸の放射性物質濃度

 全ベータもトリチウムもしばらくは1リットル当たり1000ベクレル弱で安定したのですが、共に急に上昇し、全ベータは過去最高を記録しました。この先が心配です。

5.地下水ドレン・中継タンクBの放射性物質濃度が上昇中
 福島第一で海岸に水を通さない「壁」を作り海岸から海への汚染水の防止する「海側遮水壁」を完成させました(17)。それまでは「海」に流れていた汚染水が「海側遮水壁」の内側に溜まり放置すると溢れるので、これを汲みあげています(18)。これを「地下水ドレン」と名付けています。以下に地下水ドレンの汲みあげ部分の配置を示します。
地下水ドレンの配管とタンク
※(19)にて作成
 図-14 地下水ドレンの井戸と一時保管用のタンク

これを「地下水ドレン」と名付けています。トリチウムの排水基準は1リットル当たり1,500ベクレルで(2)、これを超えると海には流せません。東京電力はトリチウムを取り除くことはできないとしています(18)。以下に地下水ドレンから汲み上げた汚染水うち中継タンクBの放射性物質濃度を示します。
上昇する中継タンクBのトリチウムと全ベータ
 ※(19)(20)にて作成
 図―15 地下水ドレン中継タンクBの放射性物質濃度

 図に示す通りトリチウムが再上昇し排水基準を超えました。全ベータもじわじわと上昇しています。この先が心配です。



<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 明日(10月11日)で事故から5年7ヶ月になります。この間、福島第一原発は汚染水を海に垂れ流し、止まる気配がありません。これでは福島の皆様は不安だと思います。
 福島を代表する夏野菜にピーマンがあります(21)。10月ですがまだ楽しめます。福島産ピーマンの東京中央卸売市場への月別出荷量を示します。
8月がピークの福島のピーマンの出荷
 ※1(22)を集計
 ※2 2009年~2016年の平均、ただし9月以降は15年まで
 図―16 福島県のピーマンの出荷量(東京中央卸売市場)

 図に示す通り10月まで出荷が続きます。福島のピーマンは生食でも味わい良く、加熱すると柔らかくなり、独特のにおいも和らぎ風味の良い風味がよいしょうです(21)。福島県田村市は福島のピーマンの主要な産地です(23)。福島県は福島産ピーマンは「安全」だと主張しています(24)。でも、福島県田村市のスーパーのチラシには福島産ピーマンはありません。
他県産はあっても福島産ピーマンが無い福島県田村市のスーパーのチラシ
 ※(24)を引用
 図―17 福島産ピーマンが無い福島県田村市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県田村市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(10月1週)―排水路、海岸、外洋で過去最高の汚染―
(2)報道配布資料|東京電力
(3)サンプリングによる監視|東京電力
(4)(2)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(5)2016年10月07日福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】
(6)2016年10月6日福島第一原子力発電所 Eタンクエリア D-5タンク西側上部フランジ部からの水滴下について(PDF 652KB)
(7)(3)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング」⇒「南放水口・排水路」
(8)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(8)(3)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(9)タンク耐用年数、根拠なし 第一原発 | 東日本大震災 | 福島民報
(10)016年10月7日福島第一原子力発電所C排水路のモニタリング状況について(PDF 3.16MB)
(11)福島第一原子力発電所付近での海水放射線モニタ計測状況|東京電力
(12)(2)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(13)2016年10月6日福島第一 サブドレン・地下水ドレン浄化水排水に関するサンプリング結果(PDF 7.42KB)
(14)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(15)(3)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(16)(2)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(17)海側遮水壁|東京電力
(18)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(19)(2)中の「中継タンクの分析結果」
(20)X.地下水|東京電力中の「地下水ドレンポンド・中継タンク水質分析」⇒「分析計画名称 地下水ドレンポンド揚水井通常水質分析(H28年度分)」⇒「分析結果 CSV 」
(21)夏 | ふくしまの野菜 | JA全農福島
(22)東京都中央卸売市場-統計情報検索を各年についいて「野菜」⇒「果菜類」⇒「ピーマン」で検索
(23)福島県JAたむら&田村市トップセールス/東京青果株式会社
(24)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(25)ヨークベニマル/お店ガイド
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  1. 2016/10/10(月) 19:44:26|
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