めげ猫「タマ」の日記

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野岩鉄道30周年、未来は暗い

 野岩鉄道会津鬼怒川線がこの10月で30周年を迎えました。お祝いしたのですが、未来は暗そうです(1)。
 野岩鉄道会津鬼怒川線は栃木県日光市新藤原駅と福島県南会津町会津高原尾瀬口駅を結ぶ全長30.7kmの3セク鉄道です(2)。
汚染地帯をかすめる野岩鉄道
 ※1 路線位置は地図による
 ※2(3)の数値データを元に(4)に示す手法で10月1日時点に換算
 ※3 避難区域は(5)による
 図―1 野岩鉄道会津鬼怒川線および相互乗り入れ路線

 1986年10月9日に開業したので(2)、この今月(2016年10月)に30周年を迎えました。以下に拡大図を示します。
汚染地帯をかすめる野岩鉄道(拡大)
 ※1 路線位置は地図による
 ※2(3)の数値データを元に(4)に示す手法で10月1日時点に換算
 図―2 野岩鉄道会津鬼怒川線および接続路線

 図に示す通り、国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルトを超える(6)場所ををかすめています。栃木県内を走る鉄道としては最も汚染された場所を走る鉄道です。起点(新藤原)から6km先の川治湯元駅以北の沿線にはほとんど民家は無く、沿線の人口は希薄で、定期利用者は極度に少なく、利用客の大多数が観光・保養客など沿線外からの中距離を移動する定期外利用で占められています(2)。下り列車の時刻表を見ると(7)、野岩鉄道内で完結する列車はなく全てが東武鉄道から乗り入れ、多くが会津鉄道に直通しています。優等列車の会津マウントプレスはその先のJR只見線に乗り入れ、会津若松駅まで直通します(8)。主な機能は首都圏と福島県会津地方南部を結ぶ鉄道です。全9駅のうち福島県側にあるのは会津高原尾瀬口駅だけですが(2)、筆頭株主は栃木県でなく福島県です(9)。福島県側にとって重要な鉄道だと思います。
 野岩鉄道のHPでは同線が直通運転する会津鉄道沿線の観光地として芦ノ牧温泉、会津高原だいくらスキー場、会津田島祇園会館、駒止湿原を紹介しています(10)。これが同社を利用して行ってもらえる観光地でしょうか?以下に入り込み数を示します。
減少する福島側の観光客
 ※1(11)を集計
 ※2 会津高原だいくらスキー場は「スキー場」と、会津田島祇園会館は「祇園会館」と略す。
 図―3 野岩鉄道が紹介する会津鉄道沿線の観光地・入り込み数

 図に示す通り、原発事故後にいったんは減りましたがその後は回復しました。ただし2013年に福島県会津地方を舞台とした大河ドラマ(12)の放映終了後は減り続けています。合計すると
 事故前(2010年) 約45万人
 昨年(2015年)  約32万人
で、3割近い減少です。以下に2013年11月に対する2014年11月の放射線量の増減を示します。
放射線量が増える野岩鉄道と会津鉄道南部沿線
 ※1(2)および(13)を集計
 ※2 2014年11月―2013年11月で計算
 図―4 野岩鉄道および会津鉄道南部付近の放射線量の増減

 図に示す通り、野岩鉄道沿線や会津鉄道南部沿線では放射線量が増大した場所が広がっています。この辺りでは放射物質が降り注ぎます。野岩鉄道に乗って観光に出かけるなら、放射性物質に降られる覚悟が必要です。観光に行って食事をすれば「福島産」を食べる危険があります。福島産の安全性には疑問があります(14)。
 以下に野岩鉄道の駅がある福島県唯一の町である南会津町の人口の推移を示します。
減少する沿線人口
 ※(15)(16)で作成
 図―5 南会津町の人口(国勢調査)

 図に示すように少なくとも野岩鉄道が開通したころから減っています。野岩鉄道の沿線人口は減っています。
 福島県を代表する野菜にトマトがあります(17)。以下に福島県のトマトの生産量を示します。
南会津町がトップの福島のトマトの生産量
 ※(18)福島県のトマトの生産量
 図―7 福島県のトマト生産量

 図に示す通り南会津町は福島県最大のトマトの産地です。野岩鉄道沿線の特産品にトマトがあります。以下に2009年から16年の東京中央卸売市場への福島と北海道の出荷量を示します。
7から9月がピークの福島と北海道のトマトの生産量
 ※(19)を集計
 図―8 月別の東京中央卸売市場への出荷量

 福島も北海道も7~9月ピークです。以下に各年7,8月の福島産トマトの東京中央卸売市場での平均取引価格を示します
事故後に低迷する福島のトマト価格
 ※(19)を集計
 図―9 7,8月のトマトの東京中央卸売市場での平均取引価格

 図に示すように事故は福島産トマトと全国平均の価格差は殆どありませんでしたが、事故後は価格差が開いたままです。
 北海道は全国第二位のトマトの生産量ですが(20)、図―8に示す様に福島と出荷時期が一致しています。以下に7,8月の福島と北海道のトマトの中央卸売市場への出荷量をしめします。
事故後に増えた北海道、低迷した福島、東京中央卸売市場へのトマトの出荷量
 ※(19)を集計
 図―10 7,8月のトマトの東京中央卸売市場出荷量

 図に示す通り、事故前は福島の出荷量が北海道を上回っていました。事故後は福島のトマトの出荷量は過酷気味ですが北海道は大きく伸ばし、逆転しました。福島が低迷している間にライバル北海道は確実に成長しています。
 以上を纏めると
 ①減少する沿線観光客
 ②減少する沿線人口
 ③市場から敬遠され価格が下がり、ライバルが確り育つ沿線特産品
になります。これでは野岩鉄道に未来はありません。開業30周年をお祝いしたいのですが、未来は暗そうです。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 野岩鉄道には来年春から、浅草からの特急列車が乗り入れます(21)。少し便利になったとしても、放射性物質が降るかも知れない所にわざわざ出かける人は少ないと思います。だいたい、福島の皆様は事故から5年7月たった今日も不安の日々を過ごしているようです。
 図―8に示す様に福島のトマトのシーズンは10月まで続きます。福島のトマトは美味しいそうです(22)。福島県は福島産トマトは安全だと主張しています(23)。でも福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。
県外産はあっても福島産トマトが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
 図―11 福島産トマトが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)「野岩鉄道相互直通運転30周年記念乗車券」を発売します!
(2)野岩鉄道会津鬼怒川線 - Wikipedia
(3)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV)」
(4)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線
(5)区域見直し等について - 福島県ホームページ
(6)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(7)時刻表|首都圏と栃木・会津を結ぶ「ほっとスパ・ライン 会津鬼怒川線」野岩(やがん)鉄道株式会社
(8)AIZUマウントエクスプレス - Wikipedia
(9)野岩鉄道 - Wikipedia
(10)会津鉄道沿線|沿線ガイド|首都圏と栃木・会津を結ぶ「ほっとスパ・ライン 会津鬼怒川線」野岩(やがん)鉄道株式会社
(11)福島県観光ホームページ 統計資料一覧 - 福島県ホームページ
(12)八重の桜 - Wikipedia
(13)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成26年9月1日~11月7日測定) 平成27年02月13日 (KMZ, CSV)」
(14)めげ猫「タマ」の日記 福島産について
(15)南会津町 - Wikipedia
(16)平成27年国勢調査速報(福島県の人口・世帯数) - 福島県ホームページ
(17)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(18)作物統計調査1>市町村別データ>平成19年産市町村別データ>年次2007年
(19)東京都中央卸売市場-統計情報検索
(20)トマト生産量上位について:農林水産省
(21)情報センター|首都圏と栃木・会津を結ぶ「ほっとスパ・ライン 会津鬼怒川線」野岩(やがん)鉄道株式会社
(22)今年もおいしい、トマト!トマト!トマト! | ふくしま 新発売。
(23)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(24)平尼子店 | マルト - 店舗情報
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  1. 2016/10/11(火) 20:25:05|
  2. -
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