食品中の放射性物質の検査結果を厚生労働省は発表しています(1)。また、厚労省以外の発表もあります(2)。10月2週中の食品中の放射性セシウムの検査結果が発表になったので(3)、まとめてみました。他に報道もありあす(4)。お買い物やお食事の参考になればいいかなと思います。先週に続き今週もしっかりセシウム汚染食品が見つかっています(5)。牛肉を除く検査結果の概要は以下の通りです。
①検査数1,759件中22件の基準超え(全体の1.3%)
②平均は、1キログラム当たり8ベクレル、最大1、800ベクレル(福島県産イノシシ)。

※1 牛肉を除く
※2 単位については(6)を参照
図―1 食品中の放射性セシウム検査結果のまとめ(2016年10月2週)
色分けは以下の通りです。
赤マーケット(含む外食)から基準値(7)超えの食品が見つかった県
橙出荷制限対象外の地域・品目から基準値超えの食品が見つかった県
黄基準値超えの食品が見つかった県
今週の特徴を纏めると
①福島で570ベクレルの食事が出される
②福島産ヨーグルトからセシウム、福島県の検査は29件全数ND
③福島県北塩原村のナメコから過去最高のセシウム
④露地栽培は実質無検査の福島産キュウリ
等の特徴が読み取れます。
1.福島で570ベクレルの食事が出される
報道によると福島県田村市の食堂で、基準値の6倍近い1キログラム当たり570ベクレルの料理がだされたそうです(4)。

※(8)をキャプチャー
図―2 食堂で570(Bq/kg)の食事が出されたと報じる福島のローカルTV局(FCT)
食事が出されたのは福島県田村市の「とんこ」だそうです。

※(8)をキャプチャー
図―3 福島県田村市の「とんこ」で基準超の食事が出されたと報じる福島のローカルTV局(FCT)
なんでも自生しているキノコを食堂の方が採取し天ぷらにして出したそうです(4)。以下に食堂の位置や本記事で扱う市や村の位置を示します。

※1(9)の数値データを元に(10)に示す手法で10月1日時点に換算
※2 避難区域は(11)による
※3 会津地方の範囲は(12)による
※4 「とんこ」の位置は(13)よる
図―4 本記事で取り上げる場所や市や村
昨年1月には同じく田村市に本店を置くスーパーで、出荷制限中の大豆が販売されていました(14)。福島県田村市のサプライヤーの意識は低いようです。
意識が低いのは行政も同じようです。福島の直売所では福島産キノコが出荷制限にあっているので、岩手県産等のキノコを販売しているそうです(15)。

※(15)をキャプチャー
図―5 福島の直売所で岩手県産キノコが販売されていると報じる福島のローカルTV局(TUF)
厚生労働省の発表によると、市場で販売されてる岩手県産のサクラシメジ(野生キノコ)から1キログラム当たりで
セシウム134 16ベクレル
セシウム137 89ベクレル
が見つかったそうです(17)。(=^・^=)なりに足し算すると合計で105ベクレル、四捨五入すれば110ベクレルで基準値(7)を超えています。でも基準超とはされませんでした(3)。厚生労働省の発表では基準値と同じ100ベクレルとなっています。

※(16)を引用
図―6 16+89=100とする厚生労働省の発表
基準超を基準値以下と強弁しています。図に示す通り検査は10月4日に終わったのですが、発表は8日後の10月12日です。基準値のセシウム汚染食品がみつかったとしても
・基準値以下と強弁される。
・直ちに発表されず8日間は秘匿される。
これが行政の対応です。そして福島では図―5が示す様に基準超が見つかったキノコが販売されています。
先週の記事で基準値の20倍の1キログラム当たり2,000ベクレルの群馬県産ムラサキシメジ(自生キノコ)が市場流出した旨を書きました(5)。今週の発表には(3)は群馬県産自生キノコの追加検査の結果はありませんでした。10月中の厚生労働省の発表(18)では新たな「出荷制限」はありません。
セシウム汚染食品の市場流出が見つかっても追加の検査もされず、出荷制限も無く、酷い場合には「基準以下」と強弁され図-5に示す様に販売が続けられます。
2.福島産ヨーグルトからセシウム、福島県の検査は29件全数ND
名古屋市の検査で福島産ヨーグルトからセシウムが見つかりました(20)。福島県の検査結果が気にまります。以下に福島県と名古屋市が実施したヨーグルトの検査結果を示します。

※1(1)を集計
※2 日付けは製造日ないし購入日
※3 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
図―7 福島産ヨーグルトの福島県と名古屋市の検査結果
図に示す通り、福島県の検査では事故後の全ての検査で検出限界未満(ND)です。数を数えると29件です。福島の検査では見つからないセシウムが、名古屋市の検査で見つかっているので名古屋市が高くでるか福島が低く出るかです。
茨城産クロダイからセシウムが見つかりました(21)。以下に、宮城、福島、茨城産の今年度のクロダイの検査結果を示します。

※1(1)を集計
※2 日付けは捕獲日
※3 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
※4 2016年度につて10月12日発表分までを集計
図―8 クロダイの検査結果(2016年度)
図に示す通り、宮城や茨城でそこそこセシウムが見つかっていますが、福島県が検査した福島産グロダイは全てが検出限界未満(ND)です。数を数えると16件ありました。福島の海は茨城や宮城の海と繋がっています。汚染源がある福島が低くでるなどおかしな話です。
福島の検査は、宮城、茨城、名古屋より低くでる検査です。福島産は他所よりも低く出る検査で安全とされ出荷されます。そして、福島産ヨーグルトはセシウム入りです。牛乳や他の乳製品もセシウム入りdと推定されます。福島産牛乳や乳製品を飲んだり食べたりすると栄養素の他にセシウムも取り込みそうです。
3.福島県北塩原村のナメコから過去最高のセシウム
福島を代表する農林産物にナメコがあります。主な産地は福島県会津地方です。9月下旬くらいから本格シーズンです(22)。図―4に示す様に福島県北塩原村は会津地方の中では汚染が酷い場所です。北塩原村産ナメコから1キログラム当たり43ベクレルのセシウムが見つかりました(23)。以下に福島県北塩原村産ナメコのセシウム濃度の推移を示します。

※1(1)を集計
※2 日付けは採取日
※3 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
図―9 北塩原村産ナメコのセシウム濃度
図に示す通り、過去最高(新記録)です。
事故から5年7ヶ月以上が経過しましたが、福島産にはセシウム濃度が上昇し過去最高を記録するもにがあり、福島産の「安全」を担保するには度重なる検査が必要です。
4.露地栽培は実質無検査の福島産キュウリ
福島を代表する夏野菜にキュウリがあります(22)。以下に東京中央卸売市場への月平均の出荷量を示します。

※1(24)を集計
※2 2008年から16年の平均(16年は8月まで)
図―10 福島産キュウリの東京中央卸売市場への月平均の出荷量
図に示す様に7~9月がピークです。福島のキュウリの主産地は須賀川市、二本松市そして伊達市です(22)。図に示す通り3市とも国が除染を必要とする毎時0.23マイクロシーベルトを超えた(25)地域が広がっています。福島のキュウリは汚染された場所で栽培されています。以下にキュウリの主産地8福島県須賀川市、二本松市、伊達市)の合計の葬式数を示します。

※1(26)を集計
※2 震災犠牲者は(27)により関連死を含まず。
図-11 各年9月から1年間の伊達・二本松・須賀川3市の葬式(死者数)推移
図に示す通り、事故後に葬式が増えています。原発事故前と最近の1年を比較すると
原発事故前(2009年9月から10年8月)2,294人
最近の1年(2015年9月から16年8月)2,490人
で、8.5%増えています。偶然に起こる確率を計算したら0.5%なので偶然とは言えません。以下に偶然に起こる確率の計算結果を示します。
表―1 偶然に起こる確率の計算結果
※ 計算方法は(=^・^=)の過去の時事(28)による

なおキュウリの主産地でない福島県相馬地方の葬式は増えていません(29)。
汚染され葬式が増えた所で栽培される福島産キュウリは確り検査してもらわないと「安全」は担保されません。農作物の栽培には施設栽培とそれ以外の物があります。以下に福島県中通り産のモモの検査結果を示します。

※1(1)を集計
※2 日付けは検査日
図―12 福島県中通り産モモのセシウム含有量
図に示す通り施設栽培以外では6年連続でセシウムが見つかっていますが、施設栽培ではセシウムが見つかっていません。施設栽培はセシウムが低くです。福島のキュウリの主力は施設栽培でなく、セシウムが高く出る露地栽培です(30)。
以下に露地栽培以外の福島産キュウリの福島県の3市の検査数を示します。

※(1)を集計
図―13 福島産キュウリの主産地(施設栽培以外)の検査件数
主産地で、露地栽培の検査があったのは伊達市の1件のみです。二本松市産キュウリでは3年間検査がありません。これでは実質的に無検査と同じです。
でも福島県に検査能力が無い訳ではありません。以下にキュウリ主産地の施設栽培の検査件数を示します。

※(1)を集計
図―14 福島産キュウリの主産地(施設栽培)の検査件数
図に示す通りそこそこ検査が継続しています。福島産キュウリは施設栽培以外が主流なのに、殆ど検査されず、セシウム汚染リスクが低い施設栽培を中心に行われています。
福島産はセシウム汚染リスクが高い物を避けた検査で「安全」され出荷されます。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
・基準値を超えた料理が出される福島産
・他所より低くでる検査で安全とされる福島産
・事故から5年7ヶ月過ぎても過去最高を記録する福島産
・セシウム汚染リスクが高い物を避けた検査で安全とされ出荷される福島産
福島の皆様は心配だと思います。
福島は全国第4位のナシの産地です(32)。福島では10月9日においしい ふくしま いただきます!」キャンペーンを開催され、福島産ナシが配られたそうです(33)。福島はナシのシーズンです。福島のナシは大部分が福島市で生産されます(32)。福島のナシはサクサクとした歯ごたえとさわやかな甘味がすがすがしいそうです(34)。福島県は福島産ナシは「安全」だと主張しています(35)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産ナシは無しです。

※(36)を引用
図―15 福島産ナシが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
報道発表資料 |厚生労働省(2)
モニタリング検査結果【詳細】 - 福島県ホームページ(3)
食品中の放射性物質の検査結果について(第1002報) |報道発表資料|厚生労働省(4)
出荷停止の野生キノコ提供 田村の飲食店、福島県が破棄を指示:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet(5)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(10月1週)―2000ベクレルのセシウム汚染食品が市場流出―(6)
めげ猫「タマ」の日記 ベクレルとシーベルト(7)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(8)
ダイジェスト動画|ゴジてれ Chu!|福島中央テレビ中の「2016年10月12日(水)放送」
(9)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV)」
(10)
めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(11)
区域見直し等について - 福島県ホームページ(12)
会津 - Wikipedia(13)
とんこ食堂 - Google マップ(14)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(2015年1月)―出荷制限しても販売される福島産ー(15)
スタふくしま20161012 TUFchannel(16)(3)中の「3 国立医薬品食品衛生研究所の検査結果⇒
検査結果(PDF:35KB)」
(17)(15)中のNo1
(18)
報道発表資料 2016年10月 |厚生労働省(19)(3)中の「1 自治体の検査結果⇒
検査結果(PDF:1,098KB)(20)(19)中のNo6744
(21)(19)中のNo2275
(22)
ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ(23)(3)中の「2 緊急時モニタリング又は福島県の検査結果⇒
検査結果(PDF:172KB)のNo426」
(24)
東京都中央卸売市場-統計情報検索を「野菜⇒果菜類⇒きゅうり」で検索
(25)
国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について(26)
福島県の推計人口(平成28年9月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(27)
平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報(週1回更新) - 福島県ホームページ(28)
めげ猫「タマ」の日記 偶然に起こる確率の計算方法について(29)
めげ猫「タマ」の日記 福島安達の葬式は14.2%増(2015年9月から1年、対原発事故前)、相馬は減(30)
露地栽培と施設栽培とは? | さんりはま(31)
東京都 JA全農東京-月報 野菜情報−産地紹介−2014年5月(32)
ナシ - Wikipedia(33)
「おいしい ふくしま いただきます!」キャンペーンの開催について(10月9日) | ふくしま 新発売。(34)
特産品情報 | 地区別くらし情報 福島地区 | JAふくしま未来(35)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(36)
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