福島第一原発汚染水の10月4週(10月16日から23日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、各所で汚染が見つかっています。
①外洋2地点からトリチウム
②排水路から外洋へWHO基準を以上のセシウムが直接排出
③港湾口のマコガレイから1,280ベクレルのセシウム
④海岸井戸で過去最高の汚染、5週連続
⑤地下水ドレン・中継タンクAの放射性物質濃度は排水基準を超えたまま
1.外洋2地点からトリチウム
以下に福島第一原発沖外洋の放射性物質濃度を示します。

※1(4)(5)(6)(7)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
※4 集計期間内の最大値
図―1 福島第一原発外洋の放射性物質濃度
図に示す通り、福島第一起きの外洋からは今週も確りセシウム、トリチウム等の放射性物質が見つかっています。この中で最もきになったのはトリチウムです。5,6号機放水口北側と南放水口付近のトリチウム濃度の推移を示します。

※1(4)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
図―2 外洋2地点のトリチウム濃度の推移
図に示す通り一時は検出限界未満(ND)となったトリチウムが再び見つかるようになりました。
2.排水路から外洋へWHO基準を以上のセシウムが直接排出
福島第一原発構内には幾つもの排水路が走っています(9)。以下に排水路の汚染状況をしめします。

※1(9)を集計
※2 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
※3 数値は1リットル当たりのベクレル数
※4 赤丸(
●)はサンプリング地点
図-3 福島第一原発排水路の放射性物質濃度
図に示す通りA排水路は他の排水路と違い、外洋に直接流れています。A排水路のセシウム濃度(今週の最高値)は1キログラム当たりで
セシウム134 1.6ベクレル
セシウム137 12ベクレル
です(9)。WHO飲料水ガイドラインではセシウム134,137とも上限を1リットル当たり10ベクレルで規定しています(3)。規定と同等の汚染排水が外洋に直接垂れ流されています。以下にA排水路の放射性物質濃度の推移を示します。

※1(9)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
図―4 A排水路の放射性物質濃度
図に示す通り、これまでも度々WHO飲料水ガイドラインを超える汚染排水が外洋に直接に流れています。
3.港湾口のマコガレイから1,280ベクレルのセシウム
以下に今週の港湾内の汚染状況を纏めます。

※1 (4)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は9月12日
図―5 福島第一港湾内の放射性物質濃度
図に示す通り多くの地点でストロンチウム90が見つかっています。湾を経由しストロンチウム90は外洋に流出しているはずです。以下に1~4号機取水口内北側および南側のストロンチウム90濃度を示します。

※1(4)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
図―6 1~4号機取水口内北側および南側のストロンチウム90濃度
このところ上昇傾向です。
もっと気になるのが図―1に記した港湾口のマコガレイのセシウム濃度です。以下に推移を示します。

※1(10)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
図―7 港湾口・マコガレイのセシウム濃度
図に示す通りこのところ上昇傾向です。以下に港湾口のセシウム濃度を示します。

※1(4)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
図―8 港湾口のセシウム濃度
こちらも上昇傾向です。ただし一桁です。セシウムは魚では海水の数百倍に凝縮されるようです。
4.海岸井戸で過去最高の汚染、5週連続
以下に海岸付近の地下水の放射性物質汚染の状況を示します。

※1 (4)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は9月2日
図―9 海岸付近の地下水の放射性物質汚染の状況
ストロンチウム90の法定限度は1リットル当たり30ベクレルで(3)、全ベータの半分はストロンチウム90なので(8)、全ベータの法定限度が60ベクレルです。図に示す様に法定限度を大きく超える汚染地下水が見つかっています。このうち1リットル当たりの全ベータでNo1の18,000ベクレルは過去最高です。先週(1)、先々週(11)、3週前(12)、4週前(13)にも過去最高を更新しているので、5週連続で過去最高の汚染を更新しています。以下にNo1井戸の放射性物質濃度を示します。

※1(4)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
図―10 No1井戸の放射性物質濃度
図に示すように全ベータ濃度は今年に入り1リットル当たり12,000ないし13,000ベクレルで高い値ですが安定していました。ところが9月に入り再上昇し、過去最高を更新中です。この先が心配です。
5.地下水ドレン・中継タンクAの放射性物質濃度は排水基準を超えたまま
福島第一で海岸に水を通さない「壁」を作り海岸から海への汚染水の防止する「海側遮水壁」を完成させました(14)。それまでは「海」に流れていた汚染水が「海側遮水壁」の内側に溜まり放置すると溢れるので、これを汲みあげています(15)。これを「地下水ドレン」と名付けています。以下に地下水ドレンの汲みあげ部分の配置を示します。

※(16)にて作成
図-11 地下水ドレンの井戸と一時保管用のタンク
これを「地下水ドレン」と名付けています。トリチウムの排水基準は1リットル当たり1,500ベクレルで(2)、これを超えると海には流せません。東京電力はトリチウムを取り除くことはできないとしています(15)。以下に地下水ドレンから汲み上げた汚染水うち中継タンクAの放射性物質濃度を示します。

※(16)(17)にて作成
図―12 地下水ドレン中継タンクAの放射性物質濃度
図に示す通りトリチウムは排水基準を超えまたままです。全ベータ法定限度を超えたままです。この状態はこれからも継続しそうです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
事故から5年7ヶ月以上が経過しましたが、福島第一の汚染水漏れは収まる気配がありません。これでは福島の皆様は心配だと思いまます。
今年も福島県は福島産米のテレビCMを流し始めました。その中で福島産米の安全をPRしていました(18)。でも、福島県が福島産米の根拠としてる福島県産米の全数・全袋検査は(=^・^=)が調べた限りでは精度を担保するものがありません(19)。福島県福島市では地元の農協のキャンペーンクルーの皆さんが稲刈りをしたそうです(20)。福島市は新米の季節です。福島県福島市産米の全数・全袋検査数が約12万件になりました(21)。福島市の人口は約28万人なので市民が食べるには十分な量です(22)。福島市辺りのお米は粘りが強く食味に優れています。(23)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産米はありません。

※(24)を引用
図―13 福島産米が無い福島県福島市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(10月3週)―海岸井戸で過去最高の汚染、4週連続―(2)
報道配布資料|東京電力(3)
サンプリングによる監視|東京電力(4)(2)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(5)(3)中の「1.海水(港湾外近傍)」
(6)(3)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング」⇒「南放水口・排水路」
(7)
2016年10月18日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>(PDF 109KB) (8)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(9)(2)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(10)(2)中の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>」
(11)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(10月2週)―海岸井戸で過去最高の汚染―(12)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(10月1週)―排水路、海岸、外洋で過去最高の汚染―(13)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(9月4週)―港湾内、排水路、海岸で過去最高の汚染―(14)
海側遮水壁|東京電力(15)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力(16)(2)中の「中継タンクの分析結果」
(17)
X.地下水|東京電力中の「地下水ドレンポンド・中継タンク水質分析」⇒「分析計画名称 地下水ドレンポンド揚水井通常水質分析(H28年度分)」⇒「分析結果 CSV 」
(18)
TVCM ふくしまプライド。「お米」篇 | ふくしま 新発売。(19)
めげ猫「タマ」の日記 福島産米業務用に好評、TPP早期導入で駆除を!(20)
トピックス | JAふくしま未来(21)
ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報を10月23日に閲覧
(22)
市政情報 - 福島市ホームページ(23)
特産品情報 | 地区別くらし情報 福島地区 | JAふくしま未来(24)
イオン福島店
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- 2016/10/23(日) 19:40:38|
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