福島第一原発汚染水の10月5週(10月24日から30日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、各所で汚染が見つかっています。
①事故から5年7ヶ月、外洋からは相変わらずの放射性物質
②排水路から法律違反の汚染排水が海へ
③港湾内各所でWHOガイドラインを超えるセシウム137
④地下水バイパス山側井戸のトリチウムが急上昇
⑤地下水ドレン・中継タンクAの放射性物質濃度は排水基準を超えたまま
1.事故から5年7ヶ月、外洋からは相変わらずの放射性物質
以下に福島第一原発沖外洋の放射性物質濃度を示します。

※1(4)(5)(6)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
※4 集計期間内の最大値
図―1 福島第一原発外洋の放射性物質濃度
図に示す通り、事故から5年7ヶ月が過ぎましたが、福島第一起きの外洋からは今週も確り放射性物質が見つかっています。南放水口付近の全ベータの過去最高値は1リットル当たり16ベクレル(4)ですが、今週は同じく15ベクレルで、過去の実績から見て高い値です。以下に南放水口付近の放射性物質濃度の推移を示します。

※(4)にて作成
図―2 南放水口付近の放射線物質濃度
図に示すように下がる気配がありません。近々ではセシウムやトリチウムも見つかっています。事故から5年7ヶ月が経過しましたが、福島の海は汚染されたままです。
2.排水路から法律違反の汚染排水が海へ
福島第一原発構内には幾つもの排水路が走っています(8)。以下に排水路の汚染状況をしめします。

※1(8)を集計
※2 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
※3 数値は1リットル当たりのベクレル数
※4 赤丸(
●)はサンプリング地点
図-3 福島第一原発排水路の放射性物質濃度
ストロンチウム90の法定限度は1リットル当たり30ベクレルで(3)、全ベータの半分はストロンチウム90なので、全ベータの法定限度は1リットル当たり60ベクレルです。図に示す通り、K排水路からは法定限度を超えるの1リットル当たり73ベクレルの法律違反の全ベータに汚染された排水が流れました。以下に推移を示します。

※1(8)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す。
図―4 K排水路の放射性物質濃度
図に示す通り過去にも法定限度を超えた法律違反の汚染排水が幾度となく海に流れています。やがて外洋に出て福島の海を汚染し続けるはずです。
3.港湾内各所でWHOガイドラインを超えるセシウム137
以下に今週の港湾内の汚染状況を纏めます。

※1 (4)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は9月19日
図―5 福島第一港湾内の放射性物質濃度
図に示す通り多くの地点でストロンチウム90が見つかっています。湾を経由しストロンチウム90は外洋に流出しているはずです。
セシウム137のWHOのガイドラインは1リットル当たり10ベクレルです。以下に港湾内3地点のセシウム137濃度を示します。

※1(4)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す。
図―6 福島第一港湾内のセシウム137濃度
図に示す通り、今月(10月)初旬にWHOのガイドラインを下回ったのですが、今週末に再びこえました。最大は1~4号機取水口内南側で1リットル当たり17ベクレルです。
4.地下水バイパス山側井戸のトリチウムが急上昇
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(9)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(10)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(11)。以下に放射性物質濃度を示します。

※1 (10)(11)にて作成。
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―7 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
全ベータ 5ベクレル
トリチウム 1500ベクレル
ですので(3)、排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。この中で気になったのがE-10のトリチウム濃度です。以下に推移を示します。

※(10)を集計
図―8 E-10井戸のトリチウム濃度
図に示す通り、今週に入り突然の上昇を始めました。この先が心配です。
5.地下水ドレン・中継タンクAの放射性物質濃度は排水基準を超えたまま
福島第一で海岸に水を通さない「壁」を作り海岸から海への汚染水の防止する「海側遮水壁」を完成させました(12)。それまでは「海」に流れていた汚染水が「海側遮水壁」の内側に溜まり放置すると溢れるので、これを汲みあげています(13)。これを「地下水ドレン」と名付けています。以下に地下水ドレンの汲みあげ部分の配置を示します。

※(14)にて作成
図-9 地下水ドレンの井戸と一時保管用のタンク
これを「地下水ドレン」と名付けています。トリチウムの排水基準は1リットル当たり1,500ベクレルで(2)、これを超えると海には流せません。東京電力はトリチウムを取り除くことはできないとしています(13)。以下に地下水ドレンから汲み上げた汚染水うち中継タンクAの放射性物質濃度を示します。

※(14)(15)にて作成
図―10 地下水ドレン中継タンクAの放射性物質濃度
図に示す通りトリチウムは排水基準を超えまたままです。海に流す事が出来ません。このため海岸部(4m盤)から汲み上げた汚染水はタービン建屋に送られ、汚染水増加の要因になっています(16)。以下に海岸部(4m盤)かの汲み上げ量とタービン建屋に送った量を示します

※(16)を転載
図―11 海岸部(4m盤)からの汚染地下水の汲み上げ量とタービン建屋への移送量
図に示す通り汲み上げた汚染地下水の大部分はタービン建屋に送られ、新たな汚染水になっています。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
事故から5年7ヶ月以上が経過しましたが、福島第一の汚染水漏れは収まる気配がありません。これでは福島の皆様は心配だと思いまます。
今年も福島県は福島産米のテレビCMを流しています。その中で福島産米の安全をPRしていました(17)。でも、福島県が福島産米の根拠としてる福島県産米の全数・全袋検査は(=^・^=)が調べた限りでは精度を担保するものがありません(18)。福島県いわき市では温泉の旅館女将(おかみ)の皆さんがお米の収穫をしたそうです(19)。いわき市は新米の季節です。福島県いわき市には「Iwaki Laiki」なるブランド米があるそうです(20)。福島県いわき市産米の全数・全袋検査数は35万件を超えました(21)。同市の人口は約35万人なので(22)、市民が食べるには十分な量です。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産米はありません。

※(23)を引用
図―12 福島産米が無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(10月4週)―外洋2地点からトリチウム―(2)
報道配布資料|東京電力(3)
サンプリングによる監視|東京電力(4)(2)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(5)(3)中の「1.海水(港湾外近傍)」
(6)(3)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング」⇒「南放水口・排水路」
(7)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)(2)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(9)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(10)(3)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(11)(2)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(12)
海側遮水壁|東京電力(13)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力(14)(2)中の「中継タンクの分析結果」
(15)
X.地下水|東京電力中の「地下水ドレンポンド・中継タンク水質分析」⇒「分析計画名称 地下水ドレンポンド揚水井通常水質分析(H28年度分)」⇒「分析結果 CSV 」
(16)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(10月5週)―汚染水タンクが作れません―(17)
TVCM ふくしまプライド。「お米」篇 | ふくしま 新発売。(18)
めげ猫「タマ」の日記 福島産米業務用に好評、TPP早期導入で駆除を!(19)
(20)
いわき市産ブランド米「Iwaki Laiki」好評販売中 | いわき市 観光情報サイト(21)
ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報を10月31日に閲覧
(22)
トップページ - いわき市役所(23)
平尼子店 | マルト - 店舗情報
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- 2016/10/31(月) 19:56:52|
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