東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、11月4週(11月20日から26日)もしっかりトラブルが起こっています。
福島沖で地震が起きました(2)。

※(3)を11月23日に閲覧
図―1 福島の地震を報じる福島県の地方紙・福島民報
地震でいろいろとトラブルがあったようです。地震以外のトラブルもありました。
①福島第2で核燃料プールから水漏れ
②福島第一の海水放射線モニタが停止
③「凍土壁」は効果が見えず
1.福島第2で核燃料プールから汚染水漏れ
福島第2原発の核燃料プールの2~4号機で汚染水漏れがおきました。漏れた汚染水は最大で1リットル当たり1万8600ベクレルの放射性物質に汚染されていたそうです(4)。11月22日の東京電力の発表資料(5)にはない配管から漏れたようです。

※(5)(6)を元に作成
図―2 福島第二核燃料プール汚染水漏れルート
11月24日の東京電力の会見(6)を聞いていると、福島第2の核燃料プールには11月22日に公表した東京電力の資料(4)には無い、スキマサージタンクに通じる配管の上部に別の配管があるそうです。地震の震動で核燃料プールの水の揺れて、11月22日は公表いていないスキマサージタンクの上にある配管に溢れだしたようです。このため福島第2の3号機では、水位低下の警報が出て核燃料プールの冷却が停止しました(7)。このような現象をスロッシングと呼びますが(8)、2011年の地震では福島第一の核燃料プールから(9)、2007年の中越沖地震では柏崎刈羽から(10)スロッシングにより核燃料プールからの汚染水漏れを起こしています。東京電力の原子力発電所は全てでスロッシングにより「核燃料プール」からの汚染水漏れを起こしました。
今回、漏れた汚染水の放射性物質濃度は最大で1リットル当たり1万8600ベクレルですが、東京電力の原子力発電所の核燃料プールではこの程度の汚染は当たり前の様です。2007年の柏崎刈羽からの核燃料プールからの汚染水漏れの際には1リットル当たり4,100~27,000ベクレルの放射性物質で汚染されていました(10)。
核燃料プールはムキ出しです。

※(11)を引用
図―3 汚染水漏れを起こした福島第2の3号機核燃料プール
ちょっとした地震でまた汚染水漏れを起こしそうです。柏崎刈羽の汚染水漏れでは大変な被害がでました(12)。

※(13)を引用
図―4 煙もくもくの柏崎刈羽原子力発電所
2.福島第一の海水放射線モニタが停止
今回の地震では福島第2のダストモニタ(14)や第1の水処理設備の停止が(15)が公表されましたが、東京電力の公式発表(15)(16)に無い物を停止したようです。以下に港湾口の設置してある福島第一の海水放射線モニタの計測状況を示します。

※1(17)を引用
※2大き目の字は(=^・^=)の加筆
図-5 福島第一の海水放射線モニタの計測状況
図に示すように地震発生後に計測データが欠落しています。東京電力の11月22日の発表(15)(16)や、その後の会見(6)(18)を聞いていたのですが説明はありませんでした。だたし、当該箇所に
「2016年11月22日 午前6時30分より、設備の不具合によりデータが欠測しておりましたが、点検等が完了し、11月24日 午後1時30分に復旧しております。」
とだけ説明されています(17)。地震で止まったようです。でも地震の時こそ計測が必要です。揺れで汚染水タンクや設備から汚染水が漏れ「海」を汚染しているかもしれません。
以下に福島第一A排水路の放射性物質濃度を示します。

※(20)を集計
図―6 福島第一A排水路の放射性物質濃度
地震との関連は不明ですが、地震後に放射性物質濃度が上がっています。
3.「凍土壁」は効果が見えず
凍土壁は福島第一のタービンや原子炉建屋の回りを氷の壁で囲い地下水の流れを阻止し、汚染水の増加を抑止しようとするものです(21)。その第一段階として3月31日より海側の凍土壁の凍結を開始しています(22)。現在、海洋への汚染水流出を抑える為にタービン建屋の海側に海側遮水壁等の「壁」を作り海への汚染水の流れを阻止する試みがなされています。

※(21)を転載
図―7 サブドレン、凍土壁、地下水ドレン、海側遮水壁
放置すると溢れてしまうので、地下ドレンピット、ウエルポイント(23)あるいは、汲み上げ車両(パキュームカー)(24)で汲み上げています。これらの汲みあげは「4m盤」からの汲みあげと総称されています(23)。汚染水の増加を抑えるには海岸部(4m盤)からの汲みあげ量を減らす必要があります。東京電力は減らす対策として「凍土壁」に期待を寄せています(22)。凍結開始から半年が過ぎました。以下に海岸部から汲み上げた汚染水地下水とこのうちタービン建屋に送った量を示します。

※1(24)(25)にて作成
※2 汲上車両はバキュームカーのようなもの
図―8 海岸部(4m盤)からの汲みあげ量と移送量
図に示す通り凍結開始前の3月と11月を比較すると、汲み上げ量もタービン建屋に送った量も殆ど変りありません。
以下に福島第一の降水量の推移を示します。

※(20)を集計
図―9 福島第一の降水量
図ー8に示すように9、10月からは汲み上げ量も移送量も減っていいますが、図―9に示す様に8月後半から9月にかけて大量の雨が降りました。それから一ヶ月程度かけて雨の影響が少なくなり減ったと解されます。図―9に示すように雨がすくない時期が3月、梅雨明け直後(7月後半から8月前半)、11月とありますが、この時期の汲み上げ量を見ると概ね1日200トン、移送量は概ね1日100トンで効果が見えません。
流量は落差の平方根(√、√x
2=x)に比例します(25)。丁度、放物線を横にした関係になります。以下に流量と落差の関係を示します。

※1(26)にて作成
※2 流量・落差ともスケールは相対値
図―10 流量と落差
海側に流れる汚染地下水の「流量」を決めるには凍土壁の海側と地下水ドレンの水位差です。以下に両者の水位を示します。

※1(25)より作成
※2 凍土壁の海側と地下水ドレン共に複数井戸の平均水位
図―11 凍土壁の海側と地下水ドレンの平均水位
図―9との比較において凍土壁の海側と地下水ドレンの地下水位は雨が降ると上昇し、晴れると下がっていますが概ね凍土壁の海側の地下水位は2.6メートル程度、地下水ドレンは2mで水位産は0.6メートル程度で推移しています。東京電力の目論見は汲み上げ量で1日200トンを70トン(35%)に減らすことですが、図―10に示す様に流量を35%までに減らすには、落差は10%台にまで減らす必要があります。この半年間の経緯をみると当分は実現しそうにありません。
それでも凍土壁の効果によって流量が一日当たり350トンから100トンに減ったなんで「嘘」が流されています(27)。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
トラブル続きの福島原発、トラブルを「嘘」で誤魔化すマスコミ(27)では福島の皆様は不安だと思います。(=^・^=)事ですが、今日、買い物にいったらスーパーに福島産トマトが並んでいました。福島では南相馬市などにトマト工場があり(28)、年間を通じてトマトの出荷が可能なようです。福島県は福島産トマトは「安全」だと主張しています(29)。でも、福島県南相馬市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。

※(30)を引用
図―12 福島産トマトが無い福島県南相馬市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県南相馬市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(11月3週)―サブドレンから汚染水漏れ―(2)
福島や栃木などで震度5弱…17人が負傷 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)(3)
福島民報(4)
第2原発建屋に水たまり 福島県沖地震で、東電公表2日遅れ:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet(5)
福島第ニ原子力発電所3号機使用済燃料プール冷却浄化系ポンプの停止について|お知らせ|東京電力ホールディングス株式会社(6)
2016/11/24(木) 中長期ロードマップ進捗状況について(7)
<福島沖地震>福島第2 停止原因は水位低下河北新報-2016/11/24(8)
スロッシング - Wikipedia(9)
1号機使用済燃料プールに おけるスロッシング評価について(10)
柏崎刈羽原子力発電所における新潟県中越沖地震に伴う「原子炉施設故障等報告」の報告について|TEPCOニュース|東京電力(11)(5)中の「
3号機 使用済燃料プール(H27.3.20撮影) 」
(12)
柏崎刈羽原子力発電所 - Wikipedia(13)
博多っ子の元気通信:次々と明るみに出る柏崎刈羽原発の被害状況 - livedoor Blog(ブログ)(14)
福島第2原発のダストモニター1台が停止 - 西日本新聞(15)
2016年11月22日福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】 (16)
2016年11月22日福島第一原子力発電所の状況(記者会見資料)(PDF 20.6KB) "(17)
福島第一原子力発電所付近での海水放射線モニタ計測状況|東京電力(18)
2016/11/22(火) 2016年11月22日地震情報(福島第一・福島第二原子力発電所関連)における記者説明(19)
報道配布資料|東京電力(20)(19)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(21)
めげ猫「タマ」の日記 凍土壁が失敗した訳(22)
2016年3月31日 福島第一原子力発電所 陸側遮水壁の凍結運転開始についてPDF(23)
第47回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会中の「
資料3:陸側遮水壁(山側)の一部閉合[東京電力]【PDF:2MB】」
(24)(19)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(25)
中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2016年11月24日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第36回事務局会議)⇒
<【資料3-1】汚染水対策(40.8MB)/a>」
(26)水力発電所の出力と有効落差の関係(27)
めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘放送。福島第一の凍土壁で海岸からの汲み上げ量は100トンに減、実は倍(28)
あすびとトマト工場完成 南相馬復興アグリ 原町の農業再生へ | 東日本大震災 | 福島民報(29)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ中の「
やさい編 [PDFファイル/181KB] 」
(30)
イオンスーパーセンター | ネットチラシ中の「南相馬店」
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- 2016/11/26(土) 19:45:41|
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