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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

トラブルいっぱい福島原発(12月3週)―東電社員様も甲状腺癌―

東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、12月3週(12月11日から17日)もしっかりトラブルが起こっています。
①新設淡水化装置から汚染水漏れ
②窒素分離装置からは油漏れ
③新たに法令違反3件
④3号機燃料デブリ冷却停止、当直員は26分間気づかず
⑤東電社員様も甲状腺癌
⑥おかしな凍土壁PRビデオ
⑦空気漏れで、2号機原子炉格納容器(PCV)内部調査が遅れる
⑧東京電力の再建計画発表が一ヶ月ずれ込む
⑨多核種除去装置(ALPS)からも汚染水漏れ
⑩多核種除去装置(ALPS)が停止


福島第一トラブルマップ(12月3週)
 図―1 福島第一トラブルマップ(12月3週)

1.新設淡水化装置から汚染水漏れ
 福島第一原発ではタービン建屋から汲み上げた汚染水からセシウムとストロンチウム90を荒どりした後で、淡水化装置に送り、そこで汚染水に圧力を掛けある意味「濾過(ろか)」した水を原子炉に注入し、原子炉を冷却しています(2)。4号機の建屋内に新たな「淡水化装置」を新設し、今年7月5日より運用を開始しました(3)。
4号機に設置された淡水化装置の系統
 ※(3)にて作成
 図―2 タービン建屋から汲み上げた汚染水の流れ

 12月14日午前11時13分頃、4号機タービン建屋内に設置してある淡水化装置を、A系からB系に切替を行った際、B系の出口ラインから汚染水が漏れているのを東京電力社員様が見つけました。漏れた汚染水は1m×1m×1mmに広がり、B系を停止しました。そこで、A系を再起動。起動後に確認したらA系もジョイント部に、にじみが見つかりした運転を停止しました(4)。
 東京電力は漏れた汚染水がどの程度、放射性物質に汚染されていたは「漏えい水の表面線量率測定の結果は、バックグラウンド値(5μSv/h)と同等」としているだけで(4)、同装置で扱う汚染水の近々の放射性物汚染は1リットル当たりで以下の通りです。
 淡水化装置入口
  セシウム134       5.7ベクレル
  セシウム137     370ベクレル
  ストロンチウム90 9,800ベクレル
 SR処理水
  セシウム134      140ベクレル
  セシウム137      960ベクレル
  ストロンチウム90 21,000ベクレル
です(5)。

2.窒素分離装置からは油漏れ
 12月15日午前11時5分頃、運転中の窒素ガス分離装置(A)から、油が漏えいしていることを東電社員様が見つけました。漏れた油はは約2m×50cm広がっていたとのことです。こもため、午前11時19分に窒素ガス分離装置(A)を停止しました。
現場確認を行ったところ、漏れた油は滑油用ホースの接続部からと推定したとのことです。また、午前11時55分に消防署より「危険物の漏えい事象」と判断されたそうです(4)。

3.新たに法令違反3件
 福島第一発電所ではこれまでに労働安全衛生法第88条関連の設備に係る計画のを届けずに工事進めた法令違反14件と点検すべきもの点検しなかった法令違反1件が発覚していましますが、あらたに3件法令違反が発覚したと発表しました。
 ①車両整備場用エアータンクを2014年6月に設置したが、定期の自主検査を行っていなかった。
 ②4tユニック車を2015年11月に設置したが、定期の自主検査を行っていなかった。
 ③・汚泥処理設備のうち脱水機を2012年8月に設置したが、定期の自主検査を行っていなかった。
です(6)。これについて福島県の地方紙の福島民報は
「福島第一、第二両原発内の法令違反は計20件となり、東電の安全管理に対する姿勢のずさんさが改めて浮き彫りとなった。」
と報じています(7)。

4.3号機燃料デブリ冷却停止、当直員は26分間気づかず
 福島第一1~3号機内には事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)が放置されており、取り出しの目途は経っていないようです。「熱」を出し続けるので、冷やす必要がります。そこで東京電力は原子炉に水を流し込み冷やし続けています。ところが12月5日にデブリの冷却が停止した事は先週に報告しました(1)。その詳細が明らかになりました。当局員は「冷却」が停止したのを26分間、気づかなかったそうです。
 当日(12月5日)は水を注ぎデブリを「冷却」する装置の点検をしていました。
 10:02 下請けさんが注水ポンプ(B)の操作スイッチカバーに誤ってさわり、冷却が停止。下請けさんは「冷却停止」の警報が出ていることを確認。一方で当直員は設備点検による「警報」と誤認
 10:10 下請けんさは上司に連絡し、上司(下請けさん現場責任者)は、東京電力の工事監理員へ冷却(注水)停止の可能性を連絡。工事監理員は状況確認のため当該作業現場へ移動
 10:24 工事監理員は上司(設備保全箇所グループマネージャー)へ、注水停止の可能性を報告
 10:28 上司は注水の可能性を当直員に連絡
です(8)。結果、冷却停止から26分間、気づかなった事になります。


5.東電社員様も甲状腺癌
 チェルノブイリ原発事故後に明らかになった健康被害として、放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺がんがあります(4)。
福島県では、東京電力福島第一原発事故を踏まえ、子どもたち(事故当時18歳以下)の健康を長期に見守るために、甲状腺(超音波)検査を実施しています。当初の見込みは100万人に1,2名の想定でしたが、最新の結果を集計するとでは
  約30万人を検査して174名
の悪性ないし悪性の疑いの方が見つかっています。およそ1万に5、6人と当初の想定に比べ極めて高い割合です(9)。
どんどん増える福島の甲状腺がん
 ※(10)を集計
 図―3 どんどん増える福島の甲状腺癌

福島原発事故では事故直後にも多くに方が福島第一原発に残り事故処理に行っていました(11)。この方達が甲状腺癌を発症しないか否かは福島の子供達の甲状腺癌多発の原因究明の手がかりになると思います。
 報道によると福島第1原発の1、3号機の水素爆発に屋外で遭遇し、直後から2012年4月まで、第1原発原子炉の水位計や圧力計の確認や燃料ポンプの給油などを行っていた。被曝量は20年1カ月間で計149.6ミリシーベルトで、このうち福島原発事故後の緊急作業での被曝は139.12ミリシーベルトを被ばくし、健康診断をきっかけに、2015年4月に甲状腺がんと診断された東電社員様が甲状腺癌を発症し労災認定されたそうです(12)(13)。

6.おかしな凍土壁PRビデオ
  凍土壁は福島第一のタービンや原子炉建屋の回りを氷の壁で囲い地下水の流れを阻止し、汚染水の増加を抑止しようとするものです(14)。その第一段階として3月31日より海側の凍土壁の凍結を開始しています(15)。現在、海洋への汚染水流出を抑える為にタービン建屋の海側に海側遮水壁等の「壁」を作り海への汚染水の流れを阻止する試みがなされています。
凍土壁・海側遮水壁・サブドレンピット・地下水ドレンピット
 ※(14)を転載
 図―4 サブドレン、凍土壁、地下水ドレン、海側遮水壁

 放置すると溢れてしまうので、地下ドレンピット、ウエルポイント(17)あるいは、汲み上げ車両(パキュームカー)(17)で汲み上げています。これらの汲みあげは「4m盤」からの汲みあげと総称されています(17)。汚染水の増加を抑えるには海岸部(4m盤)からの汲みあげ量を減らす必要があります。東京電力は減らす対策として「凍土壁」に期待を寄せています(15)。ただし原子力規制委員会の議論を聞いていると(16)、効果に疑問の声が大勢です。流れる水は凍りません(18)。当然の事です。
 凍土壁(陸側遮水壁)について東京電力は確り機能してるとのPRビデオを公表しました(18)。
凍土壁内山側と海側で水位が同じとする東京電力の凍土壁PRビデオ
 ※(19)を引用
 図-5 東京電力は凍土壁PRビデオ

 図に示す通り、凍土壁によって凍土壁内側と凍土壁の外と海側の水位差が無くなっています。流量は水位差に依存するので(20)、水位差が無くなれば汚染地下水の流れが止まり、汚染水の増加は抑止できます。
 福島第一では観測井戸を掘り地下水位を監視してます(21)。そのうちGi-4、RW-30の配置を示します。
凍土壁内側の水位観測点位置
 ※(21)にて作成
 図―6 福島第一地下水位観測井戸の配置

 図に示す通りGi-4とRW-30は共に凍土壁の内側にあります。ただしGi-4は山側にRW-30は海側です。図ー5に示す通りならGi-4とRW-30の水位差が無くなり、同じ水位になっているはずです。以下に水位を示します。
 水位がついたままの山側(Gi-4)と海側(RW-30)
※(21)にて作成
 図―7 Gi-4とRW-30の地下水位

 図に示す通り水位差が残っており、Gi-4からRW-30に地下水が流れ続けています。RW-30に流れ込んだ地下水は行き場がないので凍土壁の隙間を通り海に漏れ出しているはずです。
 東京電力は海岸から汲み上げた汚染地下水のうち、タービン建屋に送った量を発表しています。以下に推移を示します。
梅雨明け後と比べ減っていない海岸からタービン建屋への汚染地下水移送量
 ※(19)を集計
 図―8 海岸部からタービン建屋への移送量

 梅雨明け後の7月末に比べて今週も減っている様子がありません。凍結開始から8ヶ月以上が過ぎましたが凍土壁の効果は見えません。

7.空気漏れで、2号機原子炉格納容器(PCV)内部調査が遅れる
 東京電力は2号機のデブリ取り出しの前段階として、2号機格納容器のX-6ペネと呼ばれる部分に、穴を明けそこから観察用ロボットを投入して中を観察しようとしています(22)。会見(23)を聞いていると「穴」を開けるロボットの設置が終わったようです。
格納容器穴あけロボット
 ※(22)を引用・加筆
 図―9 2号機原子炉格納容器(PCV)内部調査用ロボット

 会見(23)によれば設置が終わった後で点検したら、起こらないと想定していた「空気漏れ」が見つかり、対策の為に作業がいったん止まるようです。

8.東京電力の再建計画発表が一ヶ月ずれ込む
 先週、経済産業省は福島第一原発事故の後始末(廃炉、除染、中間貯蔵施設)などに21.5兆円は必要である旨を発表しました(24)。このためでしょうが、報道による(25)、東京電力ホールディングスの再建計画の改定時期が、当初予定の年明けから来年2月以降にずれ込む見通しになったことが12月15日、分かったそうです。
 急に21,5兆かかると言われ、その費用をどのように捻出するのかの議論を纏めるのはそう簡単ではなさそうです。
 
9.多核種除去装置(ALPS)からも汚染水漏れ
 多核種除去装置(ALPS)はタービン建屋から汲み上げた汚染水の最終段の汚染水処理装置で(26)、多核種除去設備(ALPS)、増設多核種除去設備、高性能多核種除去設備などがあります(4)。最終段の設備ですが、全ての放射性物質を取り除く事はできず(26)、この装置を通しても「汚染水」は「汚染止」であり、汚染水タンクに保管し続ける事になります(26)。
12月17日午前10時17分頃、停止中の高性能多核種処理設備で水溜りが見つかりました。その後の調査を含め、見つかった水溜りや水溜り跡はは以下の3か所です。
 ①タンクの出口配管下部、約10㎝×20㎝に広がる水溜り
 ②サンプポンプ出口配管下部
  約10㎝×20㎝に広がる水溜り
  約約10㎝×5㎝)と水溜まり跡
また、床上部のサンプポンプ出口配管に設置した2つの弁の接続部に「にじみ」が見つかり、配管内に溜まった処理中の汚染水が漏れたと推定されるそうです(27)。
 東京電力の発表を見る限り、水溜り跡があり汚染水漏れを起こした高性能多核種処理設備は停止中だったので、相当前から汚染水漏れを起こしていたが、点検されず発見されなかった可能性があると思います。取りあえず第一報です。来週に詳しい事がお伝えできると思います。

10.ALPS停止
 福島第一では日々汚染水が増え続けています。放置すると溢れるので、これを汲みあげ汚染水処理設備を通したあと汚染水タンクに保管しています。
増え続ける福島第一汚染水
 ※(28)を集計
 図―10 増え続ける福島第一原発汚染水

 東京電力の発表を(=^・^=)なりに集計すると約101万トンです。増える汚染水に合わせ汚染水タンクを作り続けなくてはならないのですが、タンクの増設が間に合わない場合は汚染水処理を止めることになります。12月17日に最終段の多核種除去設備(ALPS)(増設多核種除去設備、高性能多核種除去設備を含む)が停止しました(27)。
 汚染水の増加に汚染水タンクの新設が追い付かれたようです。
 

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 トラブル続きの福島原発、福島の皆様は不安だと思います。福島県郡山市で有馬朗人日本アイソトープ協会長が
 「原子力推進につながるとの反対意見などを背景に、放射線教育が国内の中学校で昭和52年から約30年間、行われなかったと指摘。その結果、東京電力福島第一原発事故の際、放射能・放射線に対する必要以上の恐怖心を招き、県産農水産物の不買運動につながったと説明した」
との講演をしたそうです(29)。事故から5年9ヶ月以上が経ち福島の皆様は放射線について沢山の知識を得たと思います。反応がきになります。
 もうすぐクリますますです。イチゴケーキを楽しみにしている方もおおいと思います。福島県もイチゴ生産は盛んだそうです(30)。福島のイチゴを試食した安倍出戻り総理は「おいしいイチゴも食べさせていただきました。」と感想を述べています(31)。福島では今シーズンのイチゴの収穫が始まりました(32)。福島県会津若松市でもまもなくイチゴ狩りが始まります(33)。福島県は福島産イチゴは「安全」だと主張しています(34)。でも、福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。
他県産はあっても福島産イチゴが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
 ※(35)を引用
 図―11 福島産イチゴが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県会津若松市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(12月2週)―デブリの冷却が止まる―
(2)原子炉の安定化|東京電力
(3)中長期ロードマップ|東京電力通の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2016年9月29日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第34回事務局会議)⇒【資料2】中長期ロードマップの進捗状況(概要版)(9.39MB)
(4)2016年12月15日 福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】
(5)2016年11月15日水処理設備の放射能濃度測定結果(PDF 9.98KB)
(6)2016年12月14日福島第一原子力発電所 労働安全衛生法第88条以外の調査結果について(PDF 27.3KB)
(7)新たに法令違反3件 第一原発 東電、点検実施せず | 県内ニュース | 福島民報
(8)2016年12月16日3号機CST原子炉注水ポンプ(B)の停止について(PDF 253KB)
(9)めげ猫「タマ」の日記 福島甲状腺、新規発症者率、被ばく線量1mSv未満は0.013%、1mSv以上は0.045%
(10)「県民健康調査」検討委員会 - 福島県ホームページ
(11)フクシマ50 - Wikipedia
(12)東京新聞:福島事故被ばくの東電社員 甲状腺がんで労災初認定:社会(TOKYO Web)
(13)福島第1で被ばく労災認定:主要:福島民友新聞社 みんゆうNet
(14)めげ猫「タマ」の日記 凍土壁が失敗した訳
(15)2016年3月31日 福島第一原子力発電所 陸側遮水壁の凍結運転開始についてPDF
(16)第47回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(17)(16)中の「資料3:陸側遮水壁(山側)の一部閉合[東京電力]【PDF:2MB】
(18)0℃でも凍らない水
(19)報道配布資料|東京電力中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(20)水力発電所の出力と有効落差の関係
(21)2016年12月15日陸側遮水壁の状況(第二段階)(PDF 7.81MB)
(22)中長期ロードマップ|東京電力通の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2016年11月24日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第36回事務局会議)⇒【資料3-3】燃料デブリ取り出し準備(3.25MB)PDF
(23)2016/12/15(木) 原子力定例記者会見
(24)東京電力改革・1F問題委員会(第6回)‐配布資料(METI/経済産業省)中の「参考資料(PDF形式:783KB)
(25)東電再建計画改定、2月以降に | 国内外ニュース | 福島民報
(26)汚染水の浄化処理|東京電力
(27)2016年12月17日福島一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】
(28)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(29)放射線教育 在り方議論 郡山で国際シンポ開幕 | 県内ニュース | 福島民報
(30)福島県オリジナル品種「ふくはる香」をお見逃し無く! | ふくしま 新発売。
(31)平成28年12月10日 福島県下訪問 | 平成28年 | 総理の一日 | 総理大臣 | 首相官邸ホームページ
(32)クリスマスおいしく彩る イチゴ収穫本格化:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(33)フルーツランド北会津
(34)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(35)イオン福島店
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  1. 2016/12/17(土) 19:45:53|
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