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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島リンゴ価格、3年連続で価格差拡大(10,11月、対全国平均)

 東京中央卸売市場の11月中の取引価格が発表になったとので(1)、10,11月の福島産リンゴの全国平均の価格差(福島産価格―全国平均価格)を見ると、1キログラム当たりで
 2013年 △73円安
 2014年 △74円安
 2015年 △88円安
 2016年 △97円安
で、3年連続で価格差が拡大しています。これは消費者の福島産に対する正しい理解が進んだ結果であり、当然の事です。
 リンゴの出荷量は年間約66万トンでミカンについで2位で、モモの約11万トンのおよそ6倍です(2)。この時期になるとミカンかリンゴかま迷うかたも多いとおもいます。福島県の果物出荷量を見ると
 モモ   27,100トン
 リンゴ  23,500トン 
 日本ナシ 18,300トン 
で、モモに次ぎ第二位ですが(3)、出荷量はそれ程には変らず果樹王国の福島(4)、にとっては大事な果物です。価格が気になります。以下に福島産リンゴの東京中央卸売市場への月別の出荷量を示します。
11月がピークの福島のリンゴ出荷
 ※1(1)を集計
 ※2 2008年から16年の平均、ただし16年は11月まで
 図―1 福島産リンゴの月平均の出荷量

図に示す通り10月から出荷が本格化し、11月が出荷のピークです。そこで10,11月の東京卸売市場でのリンゴ価格を調べてみました。
全国平均に比べ安値が続く福島の10,11月のリンゴ価格
 ※(1)を集計
 図―2 10,11月のリンゴの取引価格(東京中央卸売市場)

 図に示す通り福島産リンゴは事故前から、全国平均に比べ安く取引されていましたが、事故後は価格差が拡大しますます安くなっています。以下に全国平均との価格差(福島産―全国平均)を示します。
価格差が拡大する福島産リンゴ
 ※1(1)を集計
 ※2 各年10,11月の東京中央卸売市場
 ※3(福島産価格―全国平均価格)で計算
 図―3 福島産リンゴの全国平均との価格差

 図に示す通り、福島産リンゴの価格差は事故後に拡大しています。特に2014年から3年連続で拡大しています。以下に1キログラム当たりの価格を示します。
 2013年 △73円安(福島産191円、全国平均265円)
 2014年 △74円安(福島産180円、全国平均254円)
 2015年 △88円安(福島産195円、全国平均283円)
 2016年 △97円安(福島産226円、全国平均323円)
これは消費者が福島産について正しく理解するようになった結果であり当然の事です。
 以下に福島産リンゴの生産量を示します。
福島・伊達市で半分上を占める福島のリンゴ生産
 ※(5)を集計
 図―4 福島産リンゴの市町村別の生産量

 図に示す通り1位の福島市、2位の伊達市で福島産リンゴの半分以上を生産しています。共に福島県県北地方(福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町)に属します。福島県県北地方は福島産果物の出荷額の77.3%を占めています(6)。福島は果樹王国といっても、福島県内どこでも果物が採れるのでなく県北地方が中心です。以下に福島県県北地方の位置を示します。
事故から5年9ヶ月過ぎて汚染が広がる福島県県北地方と相馬地方
 ※1 (6)のデータを(7)に示す手法で12月1日に換算
 ※2 避難区域は(8)による
 ※3 県北地方の範囲は(6)、相馬地方の範囲は(9)による。
 図-5 福島県県北地方と相馬地方

 図に示し通り1部は今も避難地域になっており、その他の地域も国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルトを超えた(10)地域が広がっています。福島産リンゴは汚染された地域で栽培されています。
 以下に福島県県北地方産リンゴの検査結果を示します。
6年連続でセシウムが見つかる福島産リンゴ
 ※1(11)を集計
 ※2 日付けは収穫日
 ※3 NDは検出限界未満(見つからい事)を示す
 図―6 福島産リンゴの検査結果

 図に示す通り事故後6年間セシウム入りです。
 以下に福島県県北地方の農水業生産額を示します。
事故後も生産を維持した福島県県北地方の農水産業
 ※(12)を集計
 図―7 福島県県北地方の農水業生産額

 風評被害が叫ばれていますが(13)、福島県県北地方の農業生産額は2013年にはある程度回復し、それ程には落ち込んでいません。農業生産は事故後も確り続けられています。
 以下に福島県県北地方の各年3月から10月の葬式(死者数)を示します。
事故後に増えたままの福島県県北地方の葬式
 ※1(14)を集計
 ※2 震災犠牲者は(15)により死者・行方不明者を含み関連死を含まず。
 図―8 福島県県北地方の葬式(死者)数

 図に示すように事故後に増えています。事故前と事故後を比較すると
 事故前年(2010年3月~10月) 3,677人
 事故6年目(2016年3月~10月)3,655人
で、約9%増えています。このような事が偶然に起こる確率を計算したら、0.03%で、偶然を主張するのは無理です。
 図-5に示す様に福島県相馬地方も一部が避難区域になっており、避難区域外も県北地方と同様にそこそこ汚染されています。以下に相馬地方の全村避難の飯舘村(8)を除く農水産業の生産額を示します。
事故後に激減した福島県相馬地方の農水産業生産額
 ※1(12)を集計
 ※2 全村避難の飯舘村(8)を除く
 図―9 福島県相馬地方(飯舘村を除く)の農水業生産額

 図に示す通り、農水産業を合わせて100億円程度ありましたが事故後は40億円程度に激減しています。
 以下に福島県相馬地方の各年3月から10月の葬式(死者数)を示します。
葬式が増えていない福島・相馬
 ※1(14)集計
 ※2 震災犠牲者は(15)により、死者・行方不明者を含み関連死を含まず
 ※3 飯舘村を含まず
 図―10 福島相馬地方(飯舘村を除く)の葬式数

図に示す通り、震災によって大変な犠牲者がでましたが、その後、葬式は増えていません。事故前と6年目の今年を比較すると
 事故前(2010年1-10月)1,162人
 6年目(2016年1-10月)1,143人
で、少し減っていますが統計的な差あるとまでは言えません。
 事故後の福島では県北地方も相馬地方もそこ汚染されました。それでも県北地方では農業を守り、6年連続で特産のリンゴ(4)はセシウム入りで、葬式が増えました。一方で、相馬地方は農水産業の生産額は激減しましたが、葬式は増えませんでした。このような事実があれば、福島産リンゴが換え控えられ価格が低迷するのは当然の事です。福島産リンゴと全国平均の価格差が拡大しているのは消費者の正しい理解が進んだ結果であり当然の事です。
 福島県県北地方の特産品にはリンゴの他にキュウリ(伊達市、二本松市)、モモ、日本ナシ(共に福島市、伊達市、伊達郡)(17)、イチゴ(伊達市、福島市)(18)があります。 
 9月、10月は福島産と群馬産が同時に市場に出て競合する時期です(19)。以下に各年9、10月の東京中央卸売市場のキュウリの平均取引価格を示します。
群馬・宮崎は値上がりしても値上がりしない福島産キュウリ
 ※(19)を集計
 図―11 各年9、10月のキュウリ平均取引価格(東京中央卸売市場)

 昨年までは群馬産と福島産の価格差それ程ありませんでしたが、今年(2016年)は価格差が開きました。
 モモの生産量は山梨が第一位、福島が二位です。7.8月が福島のモモのシーズンです(20)。7.8月のモモの取引価格を以下に示します。
原発事故後に拡大した福島産と山梨産のモモの価格差
 ※(20)を転載
 図―12 東京中央卸売市場のモモの取引価格

 福島産モモは事故前から山梨産より安く取引され市場の評価はそれ程には高くありませんでしが、事故後は価格差が拡大しています。
 福島のナシは8月から10月がシーズンで特に9月がピークです(21)。以下に8,9月のナシの平均価格の推移を示します。
原発事故後に全国平均との価格差が拡大した福島産ナシ
 ※1(21)を転載
 ※2 「全国」は全国平均
 図―13 ナシの東京中央卸売り市場取引価格(8,9月平均)

 図に示すように福島産ナシは事故前から、全国平均より安かったのですが事故後に価格差が拡大しています。
 各年3月のイチゴ価格を東京卸売市場の取引価格を示します。
2年連続して全国平均を下回った3月の福島産イチゴ価格
 ※(18)を集計
 図―14 各年2月のイチゴの取引価格(東京卸売市場)

 2014年にはいったんは全国平均を超えましたが2015、16年と全国平均を下回っています。
 リンゴと同様に福島県県北地方の特産品であるキュウリ、モモ、ナシ、イチゴの価格も低迷しています。これもまたリンゴと同様に消費者の正しい理解が進んだ結果であり当然の事です。
 以下に県北地方に葬式(死者数)の偶然に起こる確率の計算結果を示します。

 表―1 偶然に起こる確率の計算結果
 ※ 計算方法は(21)よる。
有意差検定表
 
<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 以下に福島産リンゴの11月の東京中央卸売市場への出荷量の推移を示します。
事故後に増えた福島産リンゴの東京中央卸売市場への出荷量
 ※(1)を集計
 図―15 福島産リンゴの東京中央卸売市場への出荷量(各年11月)

 図に示すように事故前は200トン台でした、事故後は300トン台に増えています。福島のリンゴは全国生産に占める割合はそれ程高くは事は本文の通りです。概ね地産地消をターゲットした生産だと思います。事故で福島で売れなくなったリンゴを県外の市場に出荷している気がします。
 もうすぐクリスマスです。イチゴケーキを楽しみにしている方も多いともいます。福島県もイチゴ生産は盛んだそうです(22)。福島県相馬市ではイチゴの直売所がオープンしました(23)。福島はイチゴののシーズンに入りました。福島のイチゴは美味しいようです(24)。福島県は福島産イチゴは「安全」だと主張しています(25)。でも、福島県相馬市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。
他県産はあっても福島産イチゴが無い福島県相馬市のスーパーのチラシ
 ※(26)を引用
 図―16 福島産イチゴが無い福島県相馬市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県相馬市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。



―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)東京都中央卸売市場-統計情報検索果物⇒りんご類で検索
(2)出荷量の多い果物
(3)福島県の果物ランキング
(4)福島県くだもの消費拡大委員会ホームページ
(5)作物統計調査>市町村別データ>平成18年産市町村別データ>年次>2006年中の「10 果樹 ⇒福島県⇒Excel」
(6)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV)」
(7)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線
(8)区域見直し等について - 福島県ホームページ
(9)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(10)相馬地方とは | 相馬広域観光案内
(11)報道発表資料 |厚生労働省
(12)福島県市町村民経済計算 報告書 - 福島県ホームページ
(13)福島県風評・風化対策強化戦略について - 福島県ホームページ
(14)福島県の推計人口(平成28年11月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(15)平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報(週1回更新) - 福島県ホームページ
(16)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(17)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(18)めげ猫「タマ」の日記 福島のイチゴ価格は2年連続で全国平均以下、当然です。
(19)めげ猫「タマ」の日記 群馬は値上がり、福島変わらず9,10月のキュウリ価格(対前年)
(20)めげ猫「タマ」の日記 福島値下がり、山梨値上がり7,8月のモモ価格、当然の結果です。
(21)めげ猫「タマ」の日記 偶然に起こる確率の計算方法について
(22)福島県オリジナル品種「ふくはる香」をお見逃し無く! | ふくしま 新発売。
(23)赤く甘~くイチゴ育つ 相馬の和田観光苺組合 今季の直売開始 | 県内ニュース | 福島民報
(24)福島 いちご狩り特集 | 一般社団法人 福島市観光コンベンション協会公式ページ こらんしょふくしま
(25)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(26)Webチラシ情報 | フレスコキクチ中の「相馬店」
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  1. 2016/12/22(木) 19:51:02|
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