福島第一原発汚染水の12月4週(12月19日から25日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、高濃度の放射性物質が見つかっています。
①事故から5年9ヶ月以上、外洋からはトリチウム等の放射性物質
②排水路からWHOガイドラインを超える汚染排水が海へ
③港湾内各所で見つかるストロンチウム90
④地下水バイパス山側井戸のトリチウムが上昇中
⑤海岸付近の井戸からは過去最高のトリチウム
⑥サブドレン排水のトリチウム濃度は上昇中
事故から5年9ヶ月以上が経過しましたが、福島第一原発から海洋への汚染水漏れは止まる気配がありません。
1.事故から5年9ヶ月以上、外洋からはトリチウム等の放射性物質
以下に福島第一の外洋の汚染状況を纏めます。

※1(4)(5)(6)にて作成
※2 数値は1リットル当たりまたは1キログラム当たりのベクレル数
※3 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
※4 集計期間内の最大値
図―1 福島第一原発の放射性物質濃度
図に示す通り、事故から5年9ヶ月以上が過ぎましたが、福島第一起きの外洋からは今週トリチウム等の放射性物質が見つかっています。さらにはT-2地点の全ベータ1リットル当たり17ベクレルは過去タイです。以下に推移を示します。

※(6)にて作成
図―2 福島第一沖外洋T-2地点の全ベータ濃度
この地点の全ベータ値は今年9月15日から現室限界値(どこまで低い値が見つかられるか)を下げた測定がなされて、トレンドが見れるようになりました。図に示す通り乱高下をしていますが、ピーク値は上昇している気がします。この先が心配です。
2.排水路からWHOガイドラインを超える汚染排水が海へ
福島第一原発構内には幾つもの排水路が走っています(8)。以下に排水路の汚染状況をしめします。

※1(6)(8)を集計
※2 値は1リットル当たりで集計期間の最高値
※3 数値は1リットル当たりのベクレル数
※4 赤丸(
●)はサンプリング地点
図-3 福島第一原発排水路の放射性物質濃度
1リットル当たりでストロンチウム90のWHOガイドラインは10ベクレルです(3)。全ベータの半分はストロンチウム90なので(7)、全ベータのガイドラインは20ベクレルです。今週の測定では図に示すようにC排水路からWHOのガイドラインを超えた汚染排水が福島の海に流れています。
以下にC排水路の放射性物質濃度の推移を示します。

※1(6)(8)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからい事)を示す。
図―4 C排水路の放射性物質濃度
図に示すとおり11月以降でも、C排水路からはWHOのガイドラインを以上の汚染排水が度々見つかっています。事故から5年9ヶ月以上が過ぎましたが、排水路から福島の海へ汚染排水が流れ続けています。
3.港湾内各所で見つかるストロンチウム90
以下に今週の港湾内の汚染状況を纏めます。

※1 (4)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 SR90はストロンチウム90を示し、採取日は11月14日
図―5 福島第一港湾内の放射性物質濃度
図に示す通り多くの地点でストロンチウム90が見つかっています。この中で気になるのが港湾口の全ベータです。以下に推移をしめします。

※1(8)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す。
図―6 港湾口の全ベータ濃度
12月に入り全ベータが見つかることはありませんでしたが、先週、今週は突然に見つかるようになりました。全ベータはストロンチウム90に密接に関連しており(7)、ストロンチウム90による海洋汚染が心配されます
4.地下水バイパス山側井戸のトリチウムが上昇中
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(9)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(10)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(11)。以下に放射性物質濃度を示します。

※1 (10)(11)にて作成。
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―7 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
地下水バイパスやサブドレンの排水基準は1リットル当たりで
全ベータ 5ベクレル
トリチウム 1500ベクレル
ですので(3)、排水基準を超えた放射性物質が見つかっています。この中で気になったのがE-4のトリチウム濃度です。以下に推移を示します。

※(12)を集計
図―8 E-4井戸のトリチウム濃度
まだ濃度は低いのですが上昇傾向を示しています。この先が心配です
5.海岸付近の井戸からは過去最高のトリチウム
以下に海岸付近の地下水の放射性物質汚染の状況を示します。

※1 (4)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―9 海岸付近の地下水の放射性物質汚染の状況
図に示す様に法定限度を大きく超える汚染地下水が見つかっています。この中でNo1井戸のトリチウム濃度の1リットル当たり1,100ベクレルは過去最高です(12)。以下に推移を示します。

※1(4)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す
図―8 No1-9井戸の放射性物質濃度
どんどん上昇しています。やがては福島の海に流れ出し汚すことになります。
6.サブドレン排水のトリチウム濃度は上昇中
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から汚染地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(13)。サブドレンの運用は2015年9月3日から始り(14)、13日より排水を開始しました(15)。以下にサブドレン排水のトリチウム濃度を示します。

※(15)を集計
図―9 サブドレン排水のトリチウム濃度
図に示す通りこのところ上昇しています。
サブドレン排水には海岸から汲み上げた汚染地下水も混じっています(16)。東京電力は1部はサブドレン排水に混ぜすタービン建屋に送っているとしてます(17)。海岸から汲み上げた汚染地下水はA,B,Cの3つの中継タンクに集められます。以下に位置を示します。

※(18)にて作成
図-10 地下水ドレンの井戸と一時保管用のタンク
ただし全てを送っているわけでなく中継タンクBの汚染地下水は殆どがサブドレン排水に混ぜられ福島の海に流されます(17)。以下に中継タンクBの放射性物質濃度を示します。

※(19)にて作成
図―11 地下水ドレン中継タンクBの放射性物質濃度
図に示す通り中継タンクBで上昇傾向を示しています。トリチウムについて見れば図―9に示すサブドレンと傾向が一致しています。これからも海岸からは排水基準を超えたトリチウムに汚染された地下水が汲み上げら、サブドレン排水に混ぜて流されることによって福島の海を汚し続けます。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
もうすぐお正月、お雑煮を楽しみしている方もいると思います。福島のお雑煮では鶏肉を使うそうです(20)。福島県は福島産鶏肉は「安全」だと主張しています(21)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産鶏肉はありません。

※(22)を引用
図―12 福島産鶏肉が無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水(12月3週)―外洋からストロンチウム90等の放射性物質―(2)
報道配布資料|東京電力(3)
サンプリングによる監視|東京電力(4)(2)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(5)(3)中の「1.海水(港湾外近傍)」
(6)(3)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング」⇒「南放水口・排水路」
(7)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)(2)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(9)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(10)(3)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(11)(2)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果
(12)
2016年12月22日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 592KB)(13)
(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力(14)
集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力(15)(2)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果」
(16)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力(17)(2)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(18)(2)中の「中継タンクの分析結果」
(19)
X.地下水|東京電力中の「地下水ドレンポンド・中継タンク水質分析」⇒「分析計画名称 地下水ドレンポンド揚水井通常水質分析(H28年度分)」⇒「分析結果 CSV 」
(20)
福島風雑煮のレシピ・作り方 | 切り餅 【AJINOMOTO PARK】(21)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(22)
平尼子店 | マルト - 店舗情報
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- 2016/12/26(月) 19:44:09|
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