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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

トラブルいっぱい福島原発(1月4週)―3号機の核燃料プールからの使用済み核燃料取り出しは「半年」遅れ―

 東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、1月4週(1月22日から28日)もしっかりトラブルが起こっています。
 ①汚染水ポンプ室で雨漏り
 ②福島第一2号機の変圧器から油漏れ
 ③二号機の格納容器内部観察は2日遅れ
 ④凍土壁の効果は限定的
 ⑤設計寿命を過ぎた汚染水タンクを使っています。
 ⑥3号機の核燃料プールからの使用済み核燃料取り出しは「半年」遅れ

福島第一トラブルマップ(1月4週)
 ※位置は(3)等のよる。
 図―1 福島第一トラブルマップ(1月4週)

1.汚染水ポンプ室で雨漏り
 福島第一では20日、31日と雨が降りました。降水量は
  1月20日 19mm
  1月21日  4mm
  1月22日  0mm
です(4)。
 1月22日午前8時46分頃、福島第一原子力発電所構内G4タンクエリア付近にあるポンプ室で、数カ所の水溜まりが見つかりました。水溜まり近くの汚染水配管からの漏れがく、水溜まりの水をふき取って測定したても特に高い放射量ではなかったので、ケーブル貫通部等から雨水が浸入してでいきた水溜りと東京電力は判断したそうです(5)。福島第一の汚染水ポンプ室で雨漏りが起きたようです。

2.福島第一2号機の変圧器から油漏れ
 1月26日午前6時15分頃、2号機主変圧器の絶縁油が漏れ取り付けてあるビニール袋に溜まっているのが見つかりました。油は約3~5平方メートルに広がり、漏れた量は約10リットルとのこです。消防に通報したそうです(6)。

3.2号機格納容器の観察は2日以上の遅れ
 福島第一2号機では格納容器に横に空いてる孔(ペネ)からカメラを入れれて内部を観察する計画がなされています(7)。1月23日の会見(8)では、資料を作り翌日(1月24日)から内部の観察を始める(9)と大々的に喧伝しました。ところが寒さで周りのゴムが固くなり「穴」に引っかかり、内部監察用の装置が入らなくなりました(10)。そこで慌てて、「穴」の温める設備を設置して、1月26日に2日遅れの実施となりました(11)。
急きょつくられた穴を温める設備
 ※(12)を引用
 図―2 急遽設置された「穴」を温める設備

 この装置の設置で下請けさんは余計な被ばくをしたと思います。
 以下に内部の様子を示しします。
撮影装置の直ぐ側の映像
 ※(13)を引用
 図―3 撮影装置の直ぐ側の映像

 図に示す通り、装置の近くはそれなりに見えています。以下に2m先を撮影した映像を示します。
2m先が見えない福島第一2号機格納容器内
 ※(13)を引用
 図―4 撮影装置から約2mの映像

 図に示す通り2m先は良く見えません。今後、観測を強化しても(7)、それ程には広い範囲は見えず限定的な調査になりそうです。そして被覆が溶け落ちたケーブルが撮影されました。
格納容器内の被服が溶け落ちたケーブル
 ※(13)を引用
 図―5 2号機格納容器内で見つかった被覆が溶け落ちたケーブル

爆発しなかった2号機(14)ですらこのありさまですから、3号機はもっと酷い気がします。視界は2mも無いので今後に自走式のロボットを入れる計画ですが(7)、見える範囲は限定的で溶け落ちたであろう核燃料(デブリ)の様子などは分からないと思います。

4.凍土壁の効果は限定的
 凍土壁は福島第一のタービンや原子炉建屋の回りを氷の壁で囲い地下水の流れを阻止し、汚染水の増加を抑止しようとするものです(15)。その第一段階として3月31日より海側の凍土壁の凍結を開始しています(16)。現在、海洋への汚染水流出を抑える為にタービン建屋の海側に海側遮水壁等の「壁」を作り海への汚染水の流れを阻止する試みがなされています。
凍土壁・海側遮水壁・サブドレンピット・地下水ドレンピット
 ※(15)を転載
 図―6 サブドレン、凍土壁、地下水ドレン、海側遮水壁

 これについて東京電力は1月26日の会見で(15)で、以下の図を発表しました。
凍土壁の効果を主張する東京電力
 ※(3)を引用・加筆
 図―7 「凍土壁」は効果があったとする東京電力

 図に示す通り、昨年(2016年)1月の海岸部からの汲み上げ量は1日当たり363トンだったものが、今年(2017年)1月には1日当たり138トンまで減ったので「効果」があったと説明しました。でもこの図をよく見ると、2月から10月が抜けています。以下に2月から10月も入れた図を示します。
昨年8月に大幅に増えた福島第一海岸からの地下水くみ上げ量
 ※(18)より作成
 図―8 福島第一の海岸部からの汲み上げ量

 図に示す通り昨年8,9月に大幅に増えていますが、図―7では隠されています。以下に福島第一の月平均の降水量をしめします。
8,9月に多かった昨年の福島第一降水量
 ※1(19)を集計
 ※2 2017年1月は26日まで
 図―9 福島第一の降水量

 図に示す通り8,9月の降水量が多くなっています。その後に雨が降らなくり、減っています。昨年1月と今年1月を比較して海岸部からの汲みあげ量は減っていますが、降水量も減っています。
 2016年1月 1日当たり2.9mm
 2017年1月 1日当たり1.8mm
で4割近く減っています。結局は梅雨や秋の台風シーズンなどの雨の多い時期を経ないと評価はできません。
 凍土壁は図―6に示すように海側だけでなく山側もあります。こちらは全ての凍結が始まっていません(18)。1月27日に原子力規制員会第50回特定原子力施設監視・評価検討会が開かれ、この中で山側の凍土壁の完全凍結が審議されました(17)。中継映像(20)をみていると原子力規制委の見解は、海側凍土壁によって当初は海側からの汚染地下水の汲み上げ量が当初の目論みでは1日当たり70トンだったのが140トンにしか減っていない事に触れ、凍土壁の効果は限定的で山側を完全凍結しても安全上の問題は生じないので、全面凍結を認めるようです。

5.設計寿命を過ぎた汚染水タンクを使っています。
 福島第一のタービン建屋から汲み上げた汚染水は汚染水タンクに貯められています。汚染水タンクにはフランジ型と溶接型があります(21)(22)。フランジ型のタンクは寿命が5年とも言われていますので(23)、事故から5年以上経て、寿命を迎えています。東京電力はフランジ型タンクを解体し溶接型タンクに置き換えるリプレース工事をすると発表しています(21)。
 原子力規制員会第50回特定原子力施設監視・評価検討会(17)で、古いフランジ型タンクの使用状況が明らかになりまいた。2011年8月と11月から使われている図―1に示すH9とH9西エリアにあるRO処理水タンクは今も使われてうなす(24)。寿命を5ヶ月超えた汚染水タンクが福島第一では使われています。
今も使われている古びた汚染水タンク
 ※ Google Mapで作成
 図―10  寿命を過ぎても使われ続けるH9、H9西の汚染水タンク

6.3号機の核燃料プールからの使用済み核燃料取り出しは「半年」遅れ
 福島第一原発1~3号機には溶け落ちた原子炉内にあった核燃料の他に使用済み核燃料プールに合計で1,573本の核燃料があります(25)。事故から6年近く放置されています。このうち3号機燃料については、ほぼ1年後の2018年3月までには核燃料プールの取り出しをする計画でした(26)。東京電力はこれを2018年10月以降になると発表しました(27)。2011年12月に策定された最初の廃炉計画では2015年3月までのは取り出しを開始する計画でした(28)ので、3年半遅れです。
 福島第一の廃炉工程は示されていますが期限が近付くと見直され、先延ばしされるようです。4年後の2021年には溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しを始めるとしていますが(26)、期限が近付けば先延ばしになりそうです。30年~40年で廃炉を完了するとしていますが(26)、これも怪しいと思います。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 トラブル続きの福島第一原発では福島の皆様は心配だと思います。
 福島県はイチゴ栽培が盛んだそうです(29)。福島県郡山市でもイチゴ狩りが楽しめます。郡山市のイチゴは美味しいようです(30)。福島県郡山市はイチゴの季節です。福島県は福島産イチゴは「安全」だと主張しています(31)。でも、福島県郡山市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。
他県産はあっても福島産イチゴが無い福島県郡山市のスーパーのチラシ
 ※(32)を引用
 図―11 福島産イチゴが無い福島県郡山市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県郡山市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(1月3週)―汚染水タンク増設できず―
(2)中長期ロードマップ|東京電力
(3)(2)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2017年1月26日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第38回事務局会議)⇒【資料2】中長期ロードマップの進捗状況(概要版)(8.63MB)
(4)2017年1月26日福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて(PDF 325KB)
(5)2017年01月22日福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】
(6)2017年01月26日 福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】
(7)(2)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2017年1月26日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第38回事務局会議)⇒【資料3-3】燃料デブリ取り出し準備(2.81MB)
(8)2017/1/23(月) 原子力定例記者会見
(9)2017年1月23日2号機原子炉格納容器内部調査(A2調査)計画について(PDF 1.49MB
(10)"2017年1月25日2号機格納容器内部調査作業中断に関する原因と対策(PDF 508KB)
(11)2017年1月26日2号機原子炉格納容器内部調査における格納容器貫通部(X-6ペネトレーション)内の事前調査の実施結果について(PDF 2.51MB)
(12)東京電力ホールディングス 写真・動画集| 福島第一原子力発電所2号機格納容器内部調査作業中断に関する原因と対策
(13)東京電力ホールディングス 写真・動画集| 2号機原子炉格納容器内部調査における格納容器貫通部(X-6ペネトレーション)内の事前調査の実施結果について
(13)めげ猫「タマ」の日記 凍土壁が失敗した訳
(14)福島第一原子力発電所事故 - Wikipedia
(15)2016年3月31日 福島第一原子力発電所 陸側遮水壁の凍結運転開始についてPDF
(16)2017/1/26(木) 中長期ロードマップ進捗状況について
(17)第50回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(18)(16)中の「資料2:地下水流入対策の現状[東京電力]【PDF:3MB】
(19)報道配布資料|東京電力中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて 」
(20)第50回特定原子力施設監視・評価検討会(平成29年01月27日) NRAJapan
(21)(2)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2016年10月27日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第35回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(22.7MB)
(22)原子炉の安定化|東京電力
(23)タンク耐用年数、根拠なし 第一原発 | 東日本大震災 | 福島民報
(24)資料5:フランジ型タンク内のSr処理水に関するリスク低減対策について[東京電力]【PDF:1MB】
(25)福島第一・第二原子力発電所の燃料貯蔵量 - 福島県ホームページ
(26)(2)中の「2015年6月12日(廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議第2回)⇒(資料1)中長期ロードマップ改訂案について(133KB)PDF
(27)(2)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2017年1月26日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第38回事務局会議)⇒【資料3-2】使用済燃料プール対策(13.5MB)
(28)東京電力福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ|TEPCOニュース|東京電力
(29)甘酸っぱい幸福感!赤くてかわいい、イチゴ! | ふくしま 新発売。
(30)郡山いちご園 |福島県郡山市日和田町 いちご狩り
(31)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(32)ヨークベニマル/お店ガイド
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  1. 2017/01/28(土) 19:42:07|
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