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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

伊達市A地区の除染の効果は3分の1、計画は半分

 福島県の地方紙福島民報は福島県伊達市A地区での年間被ばく線量を2012年7月から1年間で1.59ミリシーベルト、2016年7月から1年間で0.57ミリシーベルト報じました(1)。環境省の発表を見ると(2)、伊達市の除染は2012年9月から始まり2013年中にはほぼ終えています。除染等の無く放射線量が半減期でしか下がらないとしたら、2016年1月から1年間の被ばく線量は0.86ミリシーベルトです。当初の計画では「除染」で放射線量は半減するはずでした(3)。だとすると2016年7月からの被ばく線量は0.57でなく0.43ミリシーベルトのはずです。除染の効果は当初計画の「半分」でなく3分の1です。
 福島県伊達市は福島県内陸北部にある市です。福島を代表する農作物であるモモやキュウリの産地です(4)。
事故から7年目も汚染されたままの福島県伊達市
 ※1(5)の数値データを元に(6)に示す手法で8月1日時点に換算
 ※2 避難区域は(7)による
 図-1 福島県伊達市

 除染は終りましたが(2)、図に示す通り事故から7年目の今も国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルトを超える(8)地域が広がっています。福島のモモやキュウリは汚染された産地で作られています。
 福島県伊達市では事故後に除染が行われました(2)。同市は市内を汚染の度合いによってA,B,Cの3地区に分け除染を進めました。その中で最も汚染が酷いのがA地区です(9)。同市はA地区では除染によって放射線量が半分以下になると説明していました(3)。
除染で半減すると主張された伊達市の被ばく量
 ※(3)を引用
 図―2 除染で放射線量が半減するとした福島県伊達市資料

以下に福島県伊達市の住宅除染の進行状況を示します。
2013年がピークの伊達市の除染
 ※(2)を集計
 図―3 福島県伊達市の除染の進行状況

 図に示すように2012年9月位から同市の除染が始まり、2013年末にはほぼ完了しています。放射線は半減期で減っていきます(10)。2012年時点の放射線量から半減期で計算される放射線量と実際の放射線量を比較すれば除染の効果を求めることができます。
 1mm四方に1ベクレル(Bq)の放射性物質があるとすると、放射線量は1時間当たりで
 セシウム134 ― 5.4マイクロシーベルト(μSv)
 セシウム137 ― 2.1マイクロシーベルト(μSv)
の放射線量になります(9)。
 以下に以下に2014年7月から翌年18年6月までのセシウム137に対するセシウム134の割合を示します。
一定してういるセシウム137と134の割合
 ※(11)を集計
 図-3 セシウム137に対する134の割合

 図に示すように同時期ならセシウム137に対する134の割合は一定です。放射性物質が半分になるまでの時間を「半減期」と呼びますが、セシウム134の半減期は2年でセシウム137は30年です(10)。セシウム134は6年で8分1(12.5%)(0.5(6÷2))まで低下しますが、セシウム137は87%(0.5(6÷30)×100)が残ったままです。
 セシウム134とセシウム137の割合が分かれば、これを元にセシウム134由来と137由来の放射線量を知ることできます。
 セシウム137と134の割合をa:b
 放射線量をR
とすればセシウム137由来の放射線量R137
 R137=R×(2.1a)÷(2.1a+5.4b)
セシウム134由来の放射線量R134
 R134=R×(5.4b)÷(2.1a+5.4b)
になります。これに半減期による変化、セシウム134は半減期が2年(10)なので1年で71%(0.51÷2×100)、セシウム137は半減期30年(10)なので1年で97.7%(0.51÷30×100)を乗じれば各年のセシウム134や137由来の放射線量を求める事ができます。以下に伊達市A地区の結果を示します。
半減期道理にしか下がらなくなった伊達市C地区の被ばく量
 ※1 実績は(1)による。
 ※2 凡例中半減期は2015、16年7月から1年間の被ばく線量を元に過去に遡り放射線量を半減期から計算
 ※3 凡例中2012年基準は2012年7月からの1年間の被ばく線量を元に半減期で計算
 図―4 半減期で計算される被ばく線量と実際の被ばく線量の比較(福島県伊達市C地区)

 図に示すように除染が積極的に行われた2012年から13年にかけては半減期から計算される以上に放射縁量は低下しました。一方で除染がほぼ完了した2013年以降は半減期で計算されてる程度でしか被ばく線量は低下していません。ここから除染の効果を
 現在の被ばく線量÷2012年の放射線量から半減期で計算される被ばく線量
で評価できます。図に示す様に半減期から計算される被ばく線量は年0.86ミリシーベルトで、実際の被ばく線量は0.57ミリシーベルトです。除染で放射線量は66.3%(0.57÷0.86×100)に低下しました。すなわち除染の効果は当初見積もりの半分でなく、おおよそ3分の1の33.7%です。
 図―4に示す様に除染が終った2014年以降は半減期で計算される程度しか下がりません。今、福島に残っている放射線セシウムの大部分はセシウム137です。セシウム137は既に述べた通り毎年2.3%でしか減りません。福島県伊達市はこれからも放射性物質に汚染され続けます。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 福島原発事故後に除染で被ばくが半減するとか(3)、仮置き場は3年で撤去するとかりましたが(12)、結局は遵守できませんでした。福島第一の廃炉まで30~40年とか(13)、中間貯蔵施設撤去まで30年(14)とかの数字もありますが本当にできるのでしょうか?福島の皆様は不安だと思いまます。
 福島を代表する夏野菜にピーマンがあります(15)。8月は出荷のピークです(16)。福島のピーマンは美味しいそうです(17)。福島県は福島産ピーマンを「安全」だと主張しています(18)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産ピーマンはありません。
他県産はあっても福島産ピーマンが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(19)を引用
 図―5 福島産ピーマンが無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様を見習い「福島産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)年間線量0.57ミリシーベルトに低下 市発表 | 県内ニュース | 福島民報
(2)福島県 伊達市|除染実施区域(市町村除染)の概要・進捗|除染情報サイト:福島県・環境省
(3)[PDF]福島県伊達市の除染と3年目の課題
(4)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(5)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV)」
(6)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線
(7)避難区域見直し等について - 福島県ホームページ
(8)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(9)放射線教育副読本 放射線を正しく知ろう - 福島県伊達市ホームページ
(10)半減期 - Wikipedia
(11)報道発表資料 |厚生労働省
(12)「仮置き場契約」期間延長要請へ 迫られる地権者との協議(福島民友ニュース)
(13)原発廃炉、30年の難路 稼働40年超4原発5基 時間かけ被曝リスク抑制/廃棄物、処分場所なく :日本経済新聞
(14)中間貯蔵施設に係わるこれまでの動き|中間貯蔵施設情報サイト:環境省
(15)夏 | ふくしまの野菜 | JA全農福島
(16)福島県の旬(出回り時期) 野菜編
(17)福島県JAたむらの野菜!|小松菜農家 hideのブログ
(18)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ中の「やさい編 [PDFファイル/178KB]
(19)イオン福島店
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  1. 2017/08/30(水) 19:51:18|
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