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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

双葉町復興拠点、住む人いるの?

 福島県双葉町が国に申請していた「特定復興再生拠点区域復興再生計画」が9月15日に安倍出戻り総理から認定を受けました。同計画では町内の避難指示解除準備区域とJR双葉駅周辺の一部区域について、平成31年度末頃までの先行的な避難指示解除準を目指して取り組むとしています(1)。でも避難指示解除準は津波浸水域になっており、住居地はJR双葉駅周辺の一部区域にならざるを得ません。
 福島県双葉町は福島県沿岸部中部にある町で、福島第一5,6号機があります。先の事故では放射性物質が飛散し町中が汚染されました。事故から6年半以上が経過しましたが今も全域が避難区域です。
事故から6年半経て汚染されたままの福島
 ※1(3)の数値データを元に(4)に示す手法で9月1日時点に換算
 ※2 避難区域は(5)による
 図-1 双葉町と周辺市町村

 事故から6年半が経過しましたが、図に示す通り国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルトを超えた(6)地域が広がっています。
 双葉町は福島第一原発が立地しており(2)、汚染が酷く今も全町が避難区域です。それでも双葉町は「特定復興再生拠点区域復興再生計画」を申請し、9月15日に安倍出戻り総理から認定を受けました。以下に概要を示します。
年20mSvは被ばくししそうな福島県双葉町の復興拠点
 ※1 (2)より作成
 ※2(3)の数値データを元に(4)に示す手法で(6)に示された手法に従い9月1日より1年間の被ばく線量に換算
 ※3 避難区域の区分は(5)による
 ※4 津波浸水区域は(7)による
 ※ 新市街地ゾーンは「新市街地」と、耕作再開モデルゾーンは「耕作再開」と略す。
 図―2 双葉町の「特定復興再生拠点区域復興再生計画」

 同計画では町内の避難指示解除準備区域とJR双葉駅周辺の一部区域について、平成31年度末頃までの先行的な避難指示解除準を目指して取り組むとしています(1)。
 同計画では復興拠点を幾つかに分けています。
 ①帰還する町民や新たな町民の受け皿となる住宅団地の整備する新市街地ゾーン(約0.6km
 ②帰還住民のみならず新住民も加えたコミュニティーの再生・創出を図るまちなか再生ゾーン(約2.1km
 ③中間貯蔵施設等により住居を失った住民等の住宅・農地その他失われた都市機能の代替機能の確保を図る新産業創出ゾーン(約0.55km
 ④整備中の共同墓地周辺において従来の農地を再生することで、墓参した住民に周辺の山林と合わせ古き良き双葉町の風景を感じてもらうことを目指す再生可能エネルギー活用・農業再生ゾーン(約0.9km
 ⑤双葉町の玄関口となる道路の修景という観点を踏まえながら、花きの栽培その他営農再開に向けた取組み等を段階的に推進する耕作再開モデルゾーン(約1.4km
 2年半先の2020年3月末までに常磐道の双葉ICの供用開始と常磐線双葉駅の再開を前提に、避難指示解除準備区域及びJR双葉駅周辺の一部区域については平成31年度末(2020年3月末)頃までの避難指示解除を目指すとしています(1)。図に示す通り「避難指示解除準備区域」は津波震災域と重なっており、ここに人が住む施設は作れません。町の西側は福島全域で出た除染廃棄物を集め保管する「中間貯蔵施設」です(8)。この側に住みたい人はいないと思います。双葉ICと双葉駅は共に双葉町の玄関口ですが、双葉IC方が放射線量が高くなっています。最初に新市街地ゾーンが整備され、ここと双葉ICを繋ぐ耕作再開モデルゾーンが整備されそうです。ここの放射線量について双葉町は
「自然減衰等により5mSv/年以下まで空間線量が低下しているJR双葉駅周辺をはじめ、区域内のほとんどのエリアが空間線量20mSv/年を下回っている。」
と説明していますが図―2に示す様に年間で5ミリシーベルトを超えています。高いどころでは年間20ミリシーベルトの場所もあります。
 4年半後の2022年春頃に復興拠点全域の避難指示解除し、さらに5年後(今から9年半後)には

・居住人口 約2,000人(うち帰還者約1,400人)
・昼間人口 約5,000人(避難指示解除準備区域を含む)
を目指すとしています。根拠は意向調査です(1)。
 以下に意向調査の結果を示します。
帰還するは200世帯ほどの双葉町の意向調査結果
 ※(9)を集計
 ※ 調査は「世帯」単位で実施
 図―3 双葉町意向調査結果

 図に示す通り、帰還すると答えた方は最新の調査で218世帯、帰還について判断がつかないと答えた方が370世帯で合計で590世帯です(10)。双葉町は人口6,113人で世帯数2,305世帯で(11)1世帯あたりは2.65人(6,113÷2,305)です。これを掛け合わせれば1,565人になり、双葉町が見込む帰還者1,400人を少し超えます。双葉町の計画は帰還するか判断できない方の大部分は将来は帰還する前提で作られています。
 双葉町は4,055人の町民が福島県内の他の市町村に避難しているとしています(12)。一方で福島県は936人としています(13)。福島県の集計では仮設や見做し仮設などの仮の住居に住まわれている方を集計対象し、持ち家や災害公営住宅等の恒久的な住居に移られた方は避難者として集計していません。持ち家や災害公営住宅等の恒久的な住居に移られた方が避難指示が解除されたからと言って、双葉町に戻るとは思えず936人が現時点で見込める最大限の人数です。ただこれからももっと減って行きます。2年半後に避難指示が部分的に解除されたとしてどれだけの方が戻るかは不明です。
 北隣の浪江町では今年の3月末に避難指示が部分的に解除されました。以下に浪江町の居住者数を示します。
200人にも満たない浪江町の帰還者
 ※1 帰還者数は(14)による。
 ※2 (15)に掲載の居住者数がら帰還者数を減じ、新規居住者数を算出
 ※3 各月の月末
 ※4 8月末の居住者数が未発表のため、新規居住者数は7月末まで
 図―4 浪江町の居住者数

 図に示す通りあまり帰還が進んでいません。8月末までに帰還したのは浪江町からの全避難者20,722人中の167人で、0.81%です。双葉町はもっと厳しいと思います。避難指示を解除して住む人がいるのでしょうか。


<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 福島県双葉町の「特定復興再生拠点区域復興再生計画」を見ていると、まったく実効性が無い計画です。これは福島が厳しい状況に直面している事を示しています。福島の皆様は不安だと思います。
 福島県いわき市に双葉町から避難されている小学生の皆さんが稲刈り体験をしたそうです(16)。福島県いわき市はお米の季節です。同市のお米は「Iwaki Laiki」なるブランド米です(17)。福島県は福島産米は全量・全袋検査実施しており「安全」だと主張しています(18)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産米はありません。
他県産はあっても福島産米が無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
 ※(19)を引用
 図―5 福島産米が無い福島県いわき市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様を見習い「福島産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)双葉町復興ポータルサイト
(2)双葉町 - Wikipedia
(3)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV)」
(4)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線
(5)避難区域見直し等について - 福島県ホームページ
(6)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(7)双葉町津波浸水地域のマップ(PDF形式:253KB)
(8)中間貯蔵施設について|除染で取り除いた土壌等の管理|除染情報サイト:環境省
(9)双葉町復興ポータルサイト
(10)平成28年度「住民意向調査」調査結果の公表について| 双葉町公式ホームページ
(11)ホーム| 双葉町公式ホームページ
(12)避難状況(平成27年9月1日現在)| 双葉町公式ホームページ
(13)平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報(週1回更新) - 福島県ホームページ
(14)町民の避難状況 - 震災・原発事故からの復興 - 浪江町ホームページ
(15)広報なみえ - 浪江町ホームページ
(16)双葉町立双葉南北小(双葉南小・双葉北小)
(17)いわき市産ブランド米「Iwaki Laiki」好評販売中 | いわき市 観光情報サイト
(18)全量全袋検査に関するよくある質問 - 福島県ホームページ
(19)イオンいわき店
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  1. 2017/09/23(土) 19:42:33|
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