fc2ブログ

めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一廃炉工程変更、汚染水増加量は現状維持

 福島第一原子力発電所の新しい廃炉工程が発表されました(2)。それによると2020年内に汚染水発生量を150m/日程度に抑制を実現するとあります。現状は153m/日程度なので現状維持です。
 福島第一原子力発電所の廃炉工程は「中長期ロードマップ」としてまとめられています(1)。9月26日に見直しが発表されました(2)。
新規の廃炉計画を報じる福島民友
 ※(3)を引用
 図―1 「中長期ロードマップ」改定を報じる福島県の地方紙・福島民友

 福島第一原発では原子炉・タービン建屋に地下水等が流れ込み溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れ汚染されることで生じる汚染水が日々増え続けています。その量は107万トンに達しています(4)。以下に福島第一の作業員数を示します。
多くの人員が割かれている福島第一の汚染水対策
 ※1(4)より作成
 ※2 年度内に1回でも現場に従事する人数
 ※3 2015,16年度は実績、17,18,19年度は予想
 ※4 「使用済み核燃料プールからの燃料取り出し」は燃料取り出しと略す
 ※5 「その他」は構内インフラ整備、労働環境改善等
 図-2 福島第一の作業者人数

 図に示す様に汚染水対策に割かれる人数が多くなっています。汚染水対策は福島第一の廃炉の主要なテーマです。
 汚染水の増加を抑える方策として原子炉やタービン建屋を氷の壁で囲む「凍土壁」や原子炉タービン建屋の側の井戸から地下水を汲みあげ建屋内への流入を抑止するサブドレンが実施されています(5)(6)。以下に構造を示します。
凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン
 ※(5)(6)にて作成
 図―3 凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン

 凍土壁は2017年8月22日から完全凍結が開始されました(7)。サブドレンは強化工事が進められています(8)。 断面の模式図は以下の通りです。
凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン(断面
 ※(5)(6)(9)にて作成
 図―4 凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン(断面)

 サブドレンの強化の為に掘った井戸に地下が逆流し、地下水位がタービン建屋の水位より低くなり、あわや漏れ出しそうにもなりまそた(10)。東京電力の説明の通りなら、これらが効果をあげれば福島第一の汚染水増加量は大幅に抑えられ、下請けさんの負担軽減になると思います。
 改定された中長期ロードマップ(廃炉計画)では2020年内に汚染水発生量を1日当たり150m程度に抑制するとしています(2)。汚染水の増加は地下水がタービン建屋に流れ込だり、海に汚染水が流れ出るのを阻止するために海岸から地下水を組みあげタービン建屋に送り込む事により増えるものがあります(11)。これまでの実績が気になります。以下に示します。
1日当たり150トン程度で推移している福島第一の汚染水増加量
 ※(11)を集計
 図―5 福島第一汚染水増加量

 3月30日の週以降の実績をみると、概ね1日当たり150トン前後で推移しています。3月30日から9月21日までの平均を取ると
 タービン建屋等への地下水流入量(図中凡例は「建屋流入」)     1日当たり130.0トン
 海岸から汲み上げタービン建屋に送った量(図中凡例は「移送で流入」)1日当たり 22.8トン
で、合計で152.8トンです。概ね達成しています。
 以下に福島第一原発近くのアメダス観測点の「浪江」の月別の降水量を示します。
冬に向かって減って行く浪江の降水量
 ※(12)を集計
 図―6 「浪江」の月平均の降水量

 図に示す様にこれから10月から3月にかけて減って行きます。福島第一への水の供給も減ります。汚染水の増加も抑えられます。現状は目標より2.8トン多い1日当たり152.8トンですが、今後は確実に減っていくので、2017年度を通せば目標は達成されます。
 でも達成されないものがあります。改定前の目標は
  2016年度中に「建屋流入量を1日当たり100m日未満に抑制」
でした(13)。これは期限から半年を過ぎた今も達成されていません。そしてこの目標を反故にして現状の実績である汚染水発生量を1日当たり150m3程度に抑制するに変更しています(2)。
 これについて福島県の地方紙の福島民友は新規目標と報じています。
汚染水増加量1日150トンは新規目標と報じる福島民友
 ※(3)を引用
 図―7 「汚染水発生量を1日当たり150m3程度に抑制する」は新規目標と報じる福島民友

 フェイクニュースです。1日当たり100トンが実現できなかったので、これを改定し現行の実績を目標値にしただけです。
 

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 安倍出戻り内閣は「凍土壁」に345億円の税金を使いました(14)。でも効果は無いとみているようです。税金の無駄使いです。でもだれも責任を取りません。このような無責任な方が総理をしていては福島の皆様は不安だと思います。
 福島県いわき市産米の全量・全袋検査数が約4万件に達しました(15)。福島県いわき市は新米の季節です。同市のお米は「Iwaki Laiki」と呼ばれるブランド米だそうです(16)。福島県は福島産米は全量全袋検査で安全が担保されていると主張しています。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産米はありません。
他県産はあっても福島産米は無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
 ※(17)を引用
 図―8 福島産米が無い福島県いわき市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様を見習い「福島産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)中長期ロードマップ|東京電力
(2)(1)中の「福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」
(3)福島民友新聞社 みんゆうNet -福島県のニュース・スポーツ-
(4)(2)中の「(資料2)東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ(案)(1.00MB)PDF
(5)陸側遮水壁|東京電力
(6)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(7)2017年8月22日福島第一原子力発電所 陸側遮水壁第三段階開始について(PDF 786KB)
(8)(2)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2016年10月27日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第35回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(22.7MB)PDF
(9)第54回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会中の「資料1-1:建屋滞留水処理の進捗状況について[東京電力]【PDF:5MB】
(10)(2)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2017年8月31日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第45回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(16.5MB)
(11)報道配布資料|東京電力中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(12)気象庁|過去の気象データ検索
(13)(1)中の「2015年6月12日(第2回廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議)(資料1)中長期ロードマップ改訂案について(133KB)
(14)福島原発:凍土壁 遮水効果はっきりせず - 毎日新聞
(15)ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報
(16)いわき市産ブランド米「Iwaki Laiki」好評販売中 | いわき市 観光情報サイト
(17)全量全袋検査に関するよくある質問 - 福島県ホームページ
(18)イトーヨーカドー 平店
スポンサーサイト



  1. 2017/09/28(木) 19:45:46|
  2. -
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<若い女性が逃げて行く、事故7年目前半の福島 | ホーム | 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(9月4週)―福島産クリから基準超のセシウム、出荷制限はありません―>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/tb.php/2296-687fe746
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)