九州や中国地方など西日本の14生活協同組合でつくるグリーンコープ連合がホームページに掲載している東日本大震災の復興応援企画に、被災3県のうち福島県の商品のみが掲載しません(2)。これについて福島県の地方紙・福島民友は9月30日付の社説で
「除外の背景に東京電力福島第1原発事故に伴う県産品への誤解と偏見があるとすれば遺憾」
と批判しています(3)。そのためでしょうか?グリーンコープは
「商品を開発・配置する際、『つながり』がないものを開発・配置するということをしてきていません。」
との反論を掲載しました(4)。もっともな反論です。
2011年3月11日に震災と原子力災害を東日本太平洋岸を襲いました(5)。この中で被害のおおきかった岩手、宮城、福島を安倍出戻り総理はまとめて「被災3県」とよんでいるようです(6)。以下に示します。

※ (7)の数値データを元に(8)に示す手法で9月1日時点に換算
図―1 被災3県
図に示す様に福島は他の2県と大きく異なります。福島では国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルトを超えた(9)エリアが事故から6年半を経て広がっています。福島も震災た津波が襲いいましたが、内陸(例えば飯舘村、葛尾村、川俣町山木屋)でも避難指示がだされ(10)、津波よりも原子力災害が大きく影響しています。岩手、宮城の災害は震災ですが、福島の災害は原子力災害が主因です。安倍出戻り総理はこれを「被災3県」と一つに扱っていますが(6)、災害の内容が違うので異なった扱いは当然です。
このような事由でしょうか? 今年8月7日からグリーンコープ連合は東日本大震災の復興応援企画で、被災3県のうち福島県を外し、岩手県、宮城県のみの商品を載せました(2)。

※(a)全体 (b)□部拡大
図―2 災3県のうち福島県を外し、岩手県、宮城県のみの商品を掲載したグリーンコープ連合のパンフレット
これについて福島県の地方紙・福島民友は9月30日付の社説で
「除外の背景に東京電力福島第1原発事故に伴う(福島)県産品への誤解と偏見があるとすれば遺憾」
「本県は農林水産物の放射性物質検査を実施しており、市場には国の基準を下回ったものだけが流通している」
と論じていました(3)。すでに述べた通り災害の質が異なる以上は福島を別扱いすることは当然です。当該社説の「市場には国の基準を下回ったものだけが流通している」などはデマです。以下に事故直後に福島産牛肉の検査結果を示します。

※1(11)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す
※3 日付は牛さんがお肉になった日
図―3 福島産牛肉の検査結果
図に示す通り福島県の検査では見つからないのに「消費地」の検査では基準を超えるセシウムに汚染された牛肉が見つかりました。いわゆる「稲わら牛」問題です(12)。あれから6年が経過しましたが、汚染された牛肉が福島県の検査をすり抜け消費地の流通したか説明を(=^・^=)は知りません。当然ながら今も福島産汚染食品が流通するリスクは残っています。2016年11月には基準値の2.5倍の1キログラム当たり250ベクレルのセシウムに汚染されたクリタケ(キノコ)が福島で流通していました(13)。先月には福島県いわき市産クリから基準値を超える1キログラム当たり110ベクレルのセシウムが見つかりましたが(14)、福島県は
「平成29年9月19日にいわき市で採取したクリについては、110Bq/kg検出されましたが、<略>出荷自粛要請は、当該生産者のみとなっています。 」
としているので(15)、基準超が見つかったいわき市産クリはその後も流通します。
福島民友は
「市場には国の基準を下回ったものだけが流通している」
とのデマを使わないと、グリーンコープの行為は不当であると主張できません。
一方で、グリーンコープも反論を載せています(4)。そこでは
「グリーンコープが取り扱う食べもの(商品)は圧倒的に九州産が多く、それ以東の地域の産物はとても少ないことになっています。<略>グリーンコープはこれまで、商品を開発・配置する際、『つながり』がないものを開発・配置するということをしてきていません。」
と説明しています。論理に矛盾することなくきわめて正当な意見です。そして
「東日本大震災の復興支援として出来ることに取り組んでいます。」
と説明しています。福島では「東日本大震災」より「福島原発事故」の影響が大きい以上は対象から外すのは当然です。福島の被害については事故の加害者である東京電力(16)が一義的に責任を負うべきです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
これまでの判決を見ると裁判所によって温度差はありますが、福島原発事故に対する東京電力の加害責任は概ね認定されています(16)。東京電力は福島原発事故の加害者です。安倍出戻り総理はそれを「風評被害」と言い換え責任を曖昧にしようとしています。疑惑隠しの為に解散を強行しました。これを「国難突破解散」と呼んでいます(17)。「国難」があるとすれば彼の「お友達ファースト」(18)政治の結果だと思います。このような方が総理では福島の皆様は不安だと思います。
福島を代表する夏野菜にピーマンがあります(18)。10月ですがまだ楽しめます(19)。福島県田村市はピーマンの主要な産地です。同市産ピーマンは美味しいそうです(20)。福島県は福島産ピーマンは「安全」だと主張しています(21)。でも、福島県田村市のスーパーのチラシには福島産ピーマンはありません。

※(22)を引用
図―4 福島産ピーマンが無い福島県田村市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県田村市の皆様を見習い「福島産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
東日本大震災 グリーンコープの支援活動(2)(1)中の「
復興応援商品・利用して応援しよう。」
(3)
【9月30日付社説】復興応援企画/誤解と偏見解かねばならぬ:社説:福島民友新聞社 みんゆうNet(4)
グリーンコープ(5)
東日本大震災 - Wikipedia(6)
安倍総理、被災3県を訪問 | 首相官邸ホームページ(7)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV)」
(8)
めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(9)
国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について(10)
避難区域見直し等について - 福島県ホームページ(11)
報道発表資料 |厚生労働省(12)
福島の肉用牛に出荷制限 政府、移動も禁止 :日本経済新聞(13)
食品中の放射性物質の検査結果について(第1007報) |報道発表資料|厚生労働省中の「3 国立医薬品食品衛生研究所の検査結果⇒
検査結果(PDF:38KB) のNo1」
(14)
食品中の放射性物質の検査結果について(第1052報) |報道発表資料|厚生労働省(15)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(9月4週)―福島産クリから基準超のセシウム、出荷制限はありません―(16)
安倍首相:「風評被害払拭を応援」 福島の牧場で激励 - 毎日新聞(17)
「国難突破」か「自己保身」か=解散名称めぐり与野党【17衆院選】:時事ドットコム(18)
ハッシュタグ #お友達ファースト(19)
夏 | ふくしまの野菜 | JA全農福島(20)
福島県の旬(出回り時期) 野菜編(21)
福島県JAたむら&田村市トップセールス/東京青果株式会社(22)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ中の「
やさい編 [PDFファイル/179KB]」
(23)
ヨークベニマル/お店ガイド
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- 2017/10/06(金) 19:54:27|
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