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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島甲状腺検査について

 福島県県民健康管理調査検討委員会が明日(10月23日)に開かれます(1)。そこで甲状腺検査を中心に経緯を纏めたいと思います。
 1986年のチェルノブイリ原発事故で明らかになった健康被害として、放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺がんがあります(2)。以下に罹患率の推移をしめします。
1990年位から増えたチェルノブイリの甲状腺癌
 ※1(2)にて作成
 ※2 年齢は発症時の年齢
 ※3 チェルノブイリ原発事故は1986年
 図―1 チェルノブイリ原発事故での甲状腺癌発生率

 図に示す様に事故後数年で急な増加がみられます。事故時すでに小児であったグループは甲状腺がんの発生率が高く、男児で4,810人中7人(約0.15%)、女児は4,910人中24人(約0.5%)と、女児に多いことがわかります。一方、事故時に妊娠中、事故後に妊娠したグループでは甲状腺がんの発生はほとんどみられていません(2)。
 当然ながら福島でも心配されます。福島県は事故後に 福島県民の被ばく線量の評価を行うとともに、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、もって、将来にわたる県民の健康の維持、増進を図ることを目的とし、「県民健康調査」を実施しています。これを受けてでしょうか?子どもたちの健康を長期的に見守ることを目的として、2011年3月11日時点で概ね18歳以下の福島県民を対象に、甲状腺(超音波)検査を実施しています(3)。
 以下に検査の流れを示します。
福島・甲状腺検査の流れ
 ※(5)を元に作成
 図―2 甲状腺検査の流れ

 甲状腺を超音波で検査し、甲状腺癌につながりそうな異常(大きな結節やのう胞)が見つからなければA判定とされ、これで検査は終りです。異常が見つかった場合は二次検査を実施します。。二次検査では、詳細な超音波検査、血液検査及び尿検査を行います。さらに必要に応じて穿刺吸引細胞診を実施します。ここで「悪性の疑い」とされると診療を勧められるようです(5)。
 甲状腺検査は2011年から13年にかけて実施された1順目の検査(先行検査)(5)、2014年から15年にかけて実施された2順目の検査(本格検査1回目)(6)、2016年から17年にかけて実施中の3順目の検査(本格調査2回目)がこれまでに実施されています(7)。
 検査は年度毎に地域を分けて実施されています。
事故から6年半以上が過ぎて汚染されたままの福島
 ※1(8)の数値データを元に(9)に示す手法で10月1日時点に換算
 ※2 避難区域は(10)による
 ※3 区分は(5)による。
 ※4 原資料(5)は「平成」で記載されているが、西暦に変更
 図-3 福島甲状せん・1順目(先行調査)の区分

  図に示す通り、概ね
 2011年度は避難区域や特定避難勧奨地点が設定された13市町村
 2012年度は避難区域外で、汚染が比較的酷そうな所
 2013年度は2011,12年以外の残り(汚染が少なそうな所)
 でしょうか?
 甲状腺癌患者は当初は100万人対して1,2名の見込みでした(11)。しかし想定を超えて増えていきました。以下に推移を示します。
どんどん増えて190人になった福島甲状腺の悪性ないし悪性の疑いの方
 ※(12)を集計
 図―4 どんどん増える福島の甲状腺癌

 最新の発表(5)(6)(7)を集計すると対象約30万人に対し190人の方が悪性ないし悪性の疑いとされています。おおよそ1万人6人、100万人に対し600人です。当初想定の200倍です。これについて これについて福島原発事故の為とも(13)、そうでないとも主張があります(14)。現時点の公式見解は
「事故当時5 歳以下からの発見はないこと、地域別の発見率に大きな差がないことから、総合的に判断して、放射線の影響とは考えにくいと評価する。」
です(15)。
 図―1に示す様にチェルノブイリで子供の甲状腺癌が見つかりようになったのは事故から3年以上を経た1990年以降です。だとすと1順目の検査でなく、事故4年目から始まった2順目の検査(本格調査)が重要です。福島甲状腺が放射線の影響を受けていないと仮定すれば、以下の事が起こるはずです。
 ①地域差が無い
  図―3に示す様に同じ福島での汚染の程度に差があります。放射線影響でないなら、汚染が酷い地域とそうでない地域に差は出ないはずです。福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの高村昇氏は1順目の検査結果で地域差が無い旨の寄稿文を福島県の地方紙・福島民報に寄稿しています(16)。でも図―1に示す様にチェルノブイリでは事故から3年から甲状腺癌罹患者ないし疑いの方(以下罹患者と略します)が見つかっているので、1順目の検査で差が無いのは当たり前です。2順目以降で差があるか見るべきです。
 ②被ばく線量分布に差は出ない
  福島県県民健康管理調査では、事故から4ヶ月間の被ばく線量を集計しています。放射線に影響でないなら、罹患者の被ばく線量分布と全体の被ばく線量分布に差は出ないはずです。逆に放射線に影響なら現れる可能性があります。
 ③1,2順目で罹患者の被ばく線量分布に差が無い
  図―1に示す様にチェルノブイリでは甲状腺癌が見つかりだしたのは事故から3年以上です。事故から3年以内に行われた1順目の検査は放射線の影響が出ず、2順目以降に現れると思われます。もし放射線の影響がなければ1順目、2順目の罹患者の被ばく線量分布に差は出ませんが、放射線の影響があれば差が現れます。
 ④安定ヨウ素剤を服用した三春町で罹患者が出るか?
  安定ヨウ素剤は放射線による甲状腺癌の予防に効果があるかもしれないと言われています(17)。先の事故では福島県三春町は安定ヨウ素剤の服用を指示しました(18)。もし安定ヨウ素の効果が出れば、2順目以降の検査では三春町からは罹患者が見つからない可能性が高くなります。ただし2仁目以降の受検者は3000人弱で、罹患者が見つからないとしも統計的な差があるとは言えません。だたし傍証になり得ると思います。
 ⑤事故当時5 歳以下からの発見はない
  今の所の公式見解は「事故当時5 歳以下からの発見はない」事も放射線影響ではないと根拠になっています。事故当時5 歳以下からどの程度見つかるか、見つからないかも視点です。事故当時5歳以下のお子さんは今は7歳から11歳になっているはずです。先行調査では検査時に7歳から11歳になっている方のうち3人から罹患者が見つかっています。この数値との比較になると思いますが、人数が少なく統計的な差が出てくるとは思えません。だただし、事故当時5歳以下のお子さんから罹患者が見つかれば一定の傍証になると思います。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 明日には結果が発表になります。本文に記載の内容で順次解析を進めて行くつもりです。ただし、(=^・^=)1匹で細々とやっているブログですので、全ての項目に回答を出すには数日が必要と思います。解析が終わったら順次記事にしていきたいと思います。
 甲状腺に限らず福島が安全か否かについては色々な議論があると思います。(=^・^=)は怪しげな物は手にしない主義です。だから「買わない」「食べない」「出かけない」の「フクシマ3原則」を決めています。でもこれって(=^・^=)だけではないようです。
 福島県会津若松市では今、リンゴ狩りが楽しめます(19)。福島県会津若松市はリンゴの季節です。福島のリンゴは美味しいそうです(20)。福島県は福島産リンゴは「安全」だと主張しています(21)。でも、福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産リンゴはありません。
他県産はあっても福島産リンゴが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
 ※(21)を引用
 図―5 福島産リンゴが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)第28回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成29年10月23日)の開催について - 福島県ホームページ
(2)放射線被曝とがんとの関連性3 | トピックス | 日本臨床検査薬協会
(3)県民健康調査について - 福島県ホームページ
(4)第27回「県民健康調査」検討委員会及び第7回「甲状腺検査評価部会」 の資料について(平成29年6月5日開催) - 福島県ホームページ 
(5)(4)中の「資料2-1 県民健康調査「甲状腺検査(先行検査)結果概要【平成28年度追補版】  [PDFファイル/1.19MB]
(6)(4)中の資料2-2 県民健康調査「甲状腺検査【本格検査(検査2回目)】結果概要 [PDFファイル/1MB]
(7)(4)中の「資料2-3 県民健康調査「甲状腺検査【本格検査(検査3回目)】実施状況 [PDFファイル/998KB]
(8)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成28年9月14日~11月18日測定) 平成29年02月13日 (KMZ, CSV)」
(9)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(2016年)
(10)区域見直し等について - 福島県ホームページ
(11)第3回「県民健康調査」検討委員会(平成23年7月24日開催) - 福島県ホームページ中の「当日配布資料 」
(12)「県民健康調査」検討委員会 - 福島県ホームページ
(13)「福島の子供の甲状腺がん発症率は20~50倍」 津田敏秀氏ら論文で指摘
(14)福島県における小児甲状腺超音波検査について
(15)県民健康調査における中間取りまとめ - 福島県ホームページ
(16)放射線 放射性物質 Q&A 甲状腺がん 浜通りの割合高い? | 東日本大震災 | 福島民報
(17)安定ヨウ素剤の配布・服用に当たって | 原子力規制委員会
(18)【ヨウ素剤配布】国指示前に避難拡大 いわき、三春 独自決断 | 東日本大震災 | 福島民報
(19)フルーツランド北会津
(20)蜜たっぷり福島県の美味なるリンゴ(ふじ)! | ふくしま 新発売。
(21)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(22)アピタ会津若松店│「イイこと、プラス。」 アピタ・ピアゴ
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  1. 2017/10/22(日) 21:12:19|
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