食品中の放射性物質の検査結果を厚生労働省は発表しています(1)。また、厚労省以外の発表もあります(2)。11月2週中の食品中の放射性セシウムの検査結果が発表になったので(3)、まとめてみました。お買い物のの参考になればいいかなと思います。先週に続き今週もしっかりセシウム汚染食品が見つかっています(4)。牛肉を除く検査結果の概要は以下の通りです。
①検査数1,150件中10件の基準超え
②平均は、1キログラム当たり5ベクレル、最大480ベクレル(福島県産ヤマメ)。

※1 牛肉を除く
※2 単位については(5)を参照
※3 山梨県産は全て野生キノコ
図―1 食品中の放射性セシウム検査結果のまとめ(2017年11月2週)
色分けは以下の通りです。
赤マーケットから基準値(6)超えの食品が見つかった県
橙出荷制限対象外の地域・品目から基準値超えの食品が見つかった県
黄基準値超えの食品が見つかった県
事故から7年近くが経過しましたが、セシウム汚染食品が見つかり続けています。今週のデータを解析すると
・福島産米の測定誤差は1キログラム当たり70ベクレル以上
・福島産ブドウからセシウム、福島県の検査は大部分がND
・主力の露地栽培は検査されない福島産キュウリ
・福島・喜多方市産ナメコから52(Bq/kg)のセシウム歴代2位
等の特徴が認められ、福島産の「安全」は担保されません。
1.福島産米の測定誤差は1キログラム当たり70ベクレル以上
EUは福島県産米の輸入規制を解除しました(7)。

※(8)をキャプチャー
図―2 EUの福島産米輸入規制解除を報じる福島のローカルTV局(FTV)
本当に福島産米の「安全」が担保されるか(=^・^=)なりに調べて見ることにしました。安倍出戻り内閣は福島産米は「全量全袋検査」で安全が「担保」されていると主張しています(10)。

※1(10)を引用
※2 縦横比はいじってます。
図―3 福島産米は全袋検査で安全が担保されていると主張する安倍出戻り内閣
福島産米の全量全袋検査は2段階になっています。1段目は袋ごとに簡易検査装置で検査し、一定の値(スクリーニングレベル)以下なら「安全」とされそのまま出荷されます。スクリーニングをレベルを超えると事故前から行われている「詳細検査」に回されます。そこで基準値の1キログラム当たり100ベクレル以下であれば「安全」され出荷されます(10)(11)。一段目の「簡易検査」は「食品中の放射性セシウムスクリーニング法(PDF:283KB) 」に準拠するように定められています(11)。これによれば
①スクリーニングレベル:基準値の1/2以上(1キログラム当たり50ベクレル)
②測定下限値:1キログラム当たり25ベクレル(基準値の1/4以下)
と定められています(12)。農林水産省が海外向けに作成した資料では、スクリーニングレベルは1キログラム当たり50ベクレルとされています(13)。

※(13)を引用
図―4 福島産米全量全袋検査のスクリーニングレベルを50(Bq/kg)と説明する安倍出戻り内閣
ところが、福島県がYouTubeにアップしている検査映像を見ると実際は1キログラム当たり76ベクレルで実施されています。

※(14)を引用
図―5 スクリーニングレベル76(Bq/kg)で運用される福島産米全量全袋検査
安倍出戻り内閣は実際は1キログラム当たり76ベクレルで運用されているスクリーニングレベルを50ベクレルと世界に向かって「嘘」を言い放っています。世界に向かって「嘘」を言い放つなら「国民」に向かっても「嘘」を言ってもおかしくないと思います。
福島産米に導入された簡易検査は事故後に導入された検査です。当然ながら事故前よりある「詳細検査」との比較データが明示され精度が担保されなければ、たとえこの検査で「合格」になったとしても「安全」は担保されません。福島県の担当課の広報を見ると「仕様」ついては説明されていますが、簡易検査装置が「仕様」通りできてきる事を示すデータの広報はありません(15)。ますます測定誤差が気になります。
1キログラム当たり6ベクレルのセシウムが見つかったとの福島産米の「詳細検査」結果が発表になりました(17)。「詳細検査」ですので、1段目の簡易検査ではスクリーニングレベルの1キログラム当たり76ベクレルを超えていたはずです。すると測定誤差は70ベクレル(76-6)になります。簡易検査では1キログラム当たり76ベクレル未満は安全され出荷されりので、誤差を加え基準値の1.5倍近い1キログラム当たり145ベクレルを超えるセシウムで汚染された福島産米も「安全」とされ市場に出荷される可能性があります。このような検査で福島産米の「安全」は担保できません。
福島産は根拠が無い検査で安全され出荷されます。
2.福島産ブドウからセシウム、福島県の検査は大部分がND
札幌市の検査で福島産ブドウからセシウムが見つかったと発表がありました(19)。福島県の検査が気になります。以下に2013年以降の検査結果を示します。

※1(1)を集計
※2 日付けは検査日
※3 凡例は検査先
図―6 福島産ブドウの検査結果
図に示す通り福島県外の検査ではそこそこセシウムが見つかっていますが、福島県外の検査では殆ど見つかっていません。福島産ブドウの2013年以降の検査数、セシウム発見数を加数えると
福島県外検査 検査 7件中3件でセシウム発見
福島県検査 検査228件中4件でセシウム発見
です。福島県外の検査ではそこそこセシウムが見つかっているのに、福島県の検査では殆ど見つかっていません。このような事が偶然に起こる確率を計算したら10億分の1でした。同じ福島産ブドウを検査しているのに検査結果が合いません。以下に偶然に起こる確率の計算結果を示します。
表―1 偶然に起こる確率の計算結果
※計算方法(20)による

おかしいのはブドウの検査だけではありません。福島県いわき市は福島県沿岸部南部にある市で、南側を茨城県に接しています(図―8参照)。茨城県産スズキからセシウムが見つかったと発表がありました(21)。いわき市からみてさらに先にかる千葉産からも見つかったと発表がありました(22)。福島県いわき市産が気になります。以下に検査結果を示します。

※1(1)を集計
※2 日付けは捕獲日
※3 淡水を除く
※4 福島県いわき市産の検査は全て福島県
図―7 スズキの検査結果
図に示すように茨城や千葉産スズキからはそこそこセシウムが見つかっているのに、福島県が検査を実施した福島県いわき市産からは見つかっていません。汚染源は福島県いわき市の方が近いのにおかしな話です。
厚生労働省の発表(1)によれば、ブドウやスズキ等の福島産農水産物を検査しているのは福島県農林水産部に所属する福島県農業総合センター(23)です。中立性に疑問があります。
福島産は他所よりも低くでる検査で安全とされ出荷されます。
3.主力の露地栽培は検査されない福島産キュウリ
福島を代表する農作物にキュウリがあります。伊達市、二本松市、須賀川市などのが主要な産地です(24)。

※1(25)のデータを元に(26)に示す方法で
※2 避難区域は(27)による。
※3 相馬地方の範囲は(28)による。
図―8 福島のキュウリ産地と相馬地方・いわき市
図に示す様に福島のキュウリ産地は国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルトを超えた(29)地域が広がっています。以下に葬式数を示します。

※1(30)を集計
※2 震災犠牲者は(31)による。
図―9 福島・キュウリ産地(伊達、二本松、須賀川市)の葬式(死者)数
図に示しように福島のキュウリ産地では葬式(死者)数が増えています。
近々の1年(2016年10月~17年9月) 2,294人
事故前1年(2009年10月~10年9月) 2,557人
で11.5%増えています。このような事が偶然に起こる確率を計算したら0.02%でした。以下に偶然に起こる確率の計算結果を示します。
表―1 偶然に起こる確率の計算結果
※ 計算方法は(=^・^=)の過去の記事(20)による。

一方でキュウリの主要産地ではない飯舘村を除く相馬地方の葬式数は
近々の1年(2016年10月~17年9月) 1,459人
事故前1年(2009年10月~10年9月) 1,390人
で、少し増えていますが統計的な差はありません。飯舘村は避難地域になり今年3月末に避難指示が解除されたばかりで(27)、ほとんどの住民が今も村外に避難したまま(32)なので集計対象から除外しました。
福島のキュウリは汚染され葬式が増えた場所で作られています。確り検査して欲しいと思います。
福島のキュウリのシーズンは10月までです(33)。11月に入りシーズンも終わったので今年の検査を纏めてみました。農作物の栽培には露地栽培と施設栽培があります(34)。以下に福島県産ナメコの検査結果を示します。

※1(1)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
※3 日付けは収穫日
図―10 福島県産ナメコの検査結果
図に示す通り露地栽培で高いセシウムが見つかっています。露地栽培は施設栽培に比べセシウムに汚染され易い傾向があるようです。福島のキュウリの主力は露地栽培です。そこで施設栽培以外の検査数を集計してみました。

※(1)を集計
図―11 キュウリ主要産地の検査数(施設栽培以外)
図に示す様に大幅に減らされています。以下に施設栽培の検査数を示します。

※(1)を集計
図―12 キュウリ主要産地の検査数(施設栽培)
図に示す様に減ってはいますが「施設栽培以外』ほどには減っていません。福島のキュウリは主力で汚染が出やすい施設栽培以外を避けた検査で安全とされ出荷されています。
福島産は汚染リスクが高い物を避けた検査で「安全」とされ出荷されます。
4.福島・喜多方市産ナメコから52(Bq/kg)のセシウム歴代2位
福島県喜多方市産のナメコから1キログラム当たり52ベクレルのセシウムが見つかったと発表がありました(35)。以下に推移を示します。

※1(1)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
※3 日付けは収穫日
図―13 福島県喜多方市産ナメコの検査結果
図に示す様に突然に上昇し、歴代2位の記録です。事故から7年近くが経過しましたが、福島産はセシウム濃度が上昇する物があります。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
・根拠が無い検査で安全される福島産
・他所より低くでる検査で安全とされる福島産
・セシウム汚染が酷いリスクが高い物を避けた検査で安全とされる福島産
・セシウム濃度が上昇する事もある福島産
。(=^・^=)は不安なので「買わない」「食べない」「出かけない」のフクシマ3原則を決めています。でもこれって(=^・^=)だけではないようです。
福島県会津若松市では柿の収穫が最盛期となりました(36)。同市辺りの柿はとても食味がよく、毎年皇室へも献上されています(37)。同市は同市産柿は安全だと主張しています(38)。でも福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産柿はありません。

※(39)を引用
図―14 福島産柿が無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
報道発表資料 |厚生労働省(2)
モニタリング検査結果【詳細】 - 福島県ホームページ(3)
食品中の放射性物質の検査結果について(第1059報) |報道発表資料|厚生労働省(4)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(11月1週)―福島・金山町産とちもち57(Bq/kg)のセシウム、過去最高―(5)
めげ猫「タマ」の日記 ベクレルとシーベルト(6)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(7)
EU、福島米輸入規制を来月解除 | 国内外ニュース | 福島民報(8)
ローカルTime FNN被災地発...(9)
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応:農林水産省(10)(9)中の「1.日本語版(全体版)(PDF:3,631KB)⇒
分割版1(PDF:1,453KB)」
(11)
全量全袋検査 - Wikipedia(12)
食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について |報道発表資料|厚生労働省(13)(9)中の「2.英語版(全体版)(PDF:4,500KB) (平成29年1月24日更新)⇒
分割版1(PDF:1,680KB)(14)
福島県産米の全量全袋検査風景 - YouTube(15)
水田畑作課 - 福島県ホームページ(16)(3)中の「2 緊急時モニタリング又は福島県の検査結果⇒
検査結果(PDF:956KB) 」
(17)(16)中のNo10
(18)(3)中の「1 自治体の検査結果⇒
検査結果(PDF:10,125KB)」
(19)(18)No4034
(20)
めげ猫「タマ」の日記 偶然に起こる確率の計算方法について(21)(18)中のNo11、12
(22)(18)中のNo2297、2292、2293
(23)
農林水産部 - 福島県ホームページ(24)
ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ(25)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV)」
(26)
めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(27)
避難区域見直し等について - 福島県ホームページ(28)
構成市町村 | 相馬地方広域市町村圏組合(29)
国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について(30)
福島県の推計人口(平成29年10月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(31)
平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報(週1回更新) - 福島県ホームページ(32)
平成29年10月1日現在の村民の避難状況について - 飯舘村ホームページ(33)
福島県の旬(出回り時期) 野菜編(34)
露地栽培と施設栽培とは? | さんりはま(35)(16)中のNo31
(36)
深まる秋!たわわに実る「身不知柿」 会津若松で収穫が最盛期:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet(37)
みしらず柿 | JA会津よつば(38)
会津若松市産農産物の販売促進チラシについて | 会津若松市(39)
ヨークベニマル/お店ガイド
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テーマ:どうでもいい報告 - ジャンル:日記
- 2017/11/15(水) 19:48:37|
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| コメント:4
タマさんと異なりスクリーニングを通った米は全て104.99Bq/kg以下だと認識しており、この点は福島県に確認しました。
ご存知と思いますが104.99なのは有効数字の3桁目を四捨五入する扱いだからです。
タマさんの引用の動画で「11Bq/kg未満」との表示が出ますが、福島県からのメールでの説明ではこれは参考値だそうです。
スクリーニングは基準値を超える米を排除するだけのためのものですから、参考値と呼ぶのもおこがましい無意味な数字だと思います。
福島県は福島県の立場を前提として、スクリーニングを通った米は全て「104.99Bq/kg以下」と表示するべきです。
- 2018/10/03(水) 17:35:32 |
- URL |
- めぐ #ubvJVqnE
- [ 編集 ]
めぐ様
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、実際の運用は100(Bq/kg)以下でなく105(Bq/kg)未満の流通を認めています。(6)中の「「食品中の放射性物質に係る基準値の設定に関するQ&A について」(平成24年7月5日)(PDF,別ウィンドウで開く) [413KB]」(
https://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/120412_2.pdf)の「食品区分や検査に関するQ&A」の46に
「検査結果は、有効数字2桁で記載してください。基準値は、セシウム134 とセシウム137 の濃度の合計値として定められているので、両核種それぞれの値を3桁目まで求めて、これを合計した上で3桁目を四捨五入し、有効数字2桁とします。例えば、セシウム134 が44.9 ベクレル/kg、セシウム137 が60.0 ベクレル/kg だった場合、合計
した値は104.9 ベクレル/kg となるので、3桁目を四捨五入し、放射性セシウムの検査結果は100ベクレル/kg となります。」
なんて記述があります。基準値は実質は105(Bq/kg)で、いささか不自然です。
ただし、本文に記載の通り福島県の怪しげな検査も心配です。
- 2018/10/03(水) 19:52:10 |
- URL |
- mekenekotama #-
- [ 編集 ]
めげ猫さんのブログを参考にして、ずいぶんお世話になっています
ツイッターを追放されたのが3月で、やっとブログも軌道に乗り始めました
私は2011年度より、食品の放射能検査を行っています。
2013年度よりは、測定精度がキロあたり1ベクレル程度と極めて精密なシンメトリックス社製、IFKR-ZIPというガンマ線測定器を入手し、すでに千件を超す測定経験を積みました
放射線取扱主任者など5種類の放射線資格も保有しています
自分の経験知識から福島県の米穀検査を見ますと、30Kの米袋を、ベルトコンベアに載せて、わずか5秒で通過させながら、シンチレータ測定器で測定し、K40さえゼロ表示されるような、デタラメというしかない福島県の検査を信用する方がいるとは本当に驚きです。
はっきり申し上げますが、福島県の方式では、精度はキロ50ベクレル程度、100ベクレルを基準にして前後50ベクレルもの誤差が出る杜撰極まりないデタラメなものです。
シンチレータ測定器の原理を知っている者からすれば、お笑い測定というしかありません。
これは検査ではありません、アリバイ証明なのです。
疑問があれば、詳しく報告しましょう。ブログで記事にしても構いませんよ。
- 2018/10/12(金) 18:01:16 |
- URL |
- tokaiama #w06niyY6
- [ 編集 ]