原子力規制委員会は放射線量を面的に測定した航空機モニタリング結果を発表しました(2)。2017年2月にも同様の結果を発表しているので(3)、比較したら概ね「半減期」で計算される放射線量分しか下がっていません。福島の放射線は「半減期」でしか下がりません。福島の放射線の主因はセシウム137であり、セシウム137の半減期は30年です()。半分になるには30年近くかかります。
以下に2017年11月時点の航空機モニタリング結果の数値データより作成した福島の放射線量分布を示します。

※(2)を集計
図-1 福島の放射線量分布(2017年11月16日時点)
国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルトを超える(5)の場所が広く広がっています。今後が気になります。以下に2016年11月時点の航空機モニタリング結果と半減期から計算される放射線量を示します。

※1(3)の数値データより計算
※2 計算方法は(6)による。
図-2 半減期から計算される放射線量
図-1と図ー2を比べるとそれほど大きな差はありません。福島の放射線は半減期でしか下がりません。
以下にセシウム137に対するセシウム134の割合を示します。

※(7)を集計
図-3 セシウム137に対するセシウム134の割合
福島原発事故直後の2011年4月時点ではほぼ同じでしたが、半減期が早いセシウム134は減っていくのですが、半減期が30年と長いセシウム137(4)は無くならずしつこく残った結果、セシウム137に対するセシウム134の割合は13%程度まで低下しました。いま、福島の放射線の主因はなかかか減らないセシウム137です。これからは福島の放射線は以前のようには下がりません。
1ミリ四方に1ベクレルのセシウム134があると放射線量は毎時5.4マイクロシーベルト、セシウム137では毎時2.1マイクロシーベルトです(8)(9)。1ミリ四方にセシウム134が0.128ベクレル、137が1ベクレルあるとする時の放射線量は1時間当たりで
セシウム134由来 0.65マイクロシーベルト(0.128×5.4)
セシウム137由来 2.1マイクロシーベルト(1×2.1)
合計 2.75マイクロシーベルト
2016年11月時点で放射線量の76%(2.1÷2.75×100)がセシウム137由来で半減期は30年なので(3)、半分になるのに30年かかります。残りの30%はセシウム134由来です。2年で半分になりますが量はセシウム137に比べ少なく量です。両者を合計すれば今後の放射線量が見込めます。

※半減期等から計算
図-4 今後の放射線量
なかなか減りません。いまの半分になるのは2030年頃です。
2020年7月24日は東京オリンピックが開幕します(10)。その時の放射線量を示します。

※(2)から半減期(4)を考慮して作成
図-5 東京オリンピックの頃の福島
オリンピックが開かれる頃になっても除染が必要な地域が広く広がっています。除染は今月で終わりです(11)。福島の放射線はこれからは自然に下がるのを待つしかありません。オリンピックのサッカー日本代表は福島で合宿するそうです(12)。大丈夫ですかね?
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
京都地裁は3月15日に原発事故による自主避難の合理性を認め、国と東電に対し原告110人に総額約1億1000万円を支払うよう命ました(13)。

※(14)
図―6 京都地裁が自主避難の合理性認定と報じる福島県の地方紙・福島民報
低線量被爆でも避けることに一定の合理性があるようです。事故から7年以上が過ぎましたが、福島の皆様の66%が放射性物質に「不安」を感じているようです(15)。
今、最も話題をようでいる果物は「イチゴ」だと思います(16)。福島ではイチゴ栽培がおこなわれています(17)。福島県相馬市では今、イチゴ狩りが楽しめます。同市はイチゴのシーズンです。同市のイチゴは美味しいそうです(18)。福島県は福島産イチゴは「安全」だと主張しています(19)。でも、福島県相馬市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。

※(20)を引用
図―7 福島産イチゴが無い福島県相馬市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県相馬市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会(2)(1)中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成29年9月9日~11月16日測定) 平成30年02月20日 (KMZ, CSV)」
(3)(1)中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成28年9月14日~11月18日測定) 平成29年02月13日 (KMZ, CSV)」
(4)
半減期 - Wikipedia(5)
国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について(6)
めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(7)
報道発表資料 |厚生労働省(8)
空間線量率の計算(9)
めげ猫「タマ」の日記 ベクレルとシーベルト(10)
2020年夏季オリンピック - Wikipedia(11)
福島原発事故:帰還困難区域外除染、月内に完了 環境相 - 毎日新聞(12)
【スライド動画】動きだすJヴィレッジ 18年夏再開へ工事進む:福島民友新聞社 みんゆうNet(13)
自主避難の合理性認定 京都地裁 国と東電に賠償命令 原発事故集団訴訟 | 県内ニュース | 福島民報(14)
福島民報を3月16日に閲覧
(15)
(東日本大震災7年)放射性物質「不安」66% 福島県民、共同世論調査:朝日新聞デジタル(16)
カー娘、もぐもぐタイム再び 日本のイチゴもおいしいよ 全農が9品種を提供/スポーツ/デイリースポーツ online(17)
苺(イチゴ) | 一般社団法人福島市公設地方卸売市場協会(18)
和田観光苺組合 – 和田観光苺組合でイチゴ狩り(19)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(20)
Webチラシ情報 | フレスコキクチ
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- 2018/03/16(金) 19:52:20|
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