めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一凍土壁は水位差あるので効果と経産省、遮水はできていません

 経済産業省資源エネルギー庁は4月10日、東京電力福島第1原発の汚染水対策の一つで、建屋周辺の地盤を凍らせる「凍土壁」によって生じた水位差を報道陣に公開し、「凍土壁の遮水性能が目に見える形で表れた。」と話したそうです(1)。「遮水」とは
「水が漏れないようにさえぎること」
であり、凍土壁では内側に水が漏れないようにすることです(2)。「凍土壁」では凍土壁内側に「水」が流れ込まないようにすることです。凍土壁の内側に流れ込んだ水の量を見ると凍土壁内への水の流入量を東電発表(4)から見積もると
 2017年3月 1日当たり平均で778トン
 2018年3月 1日当たり平均で659トン
で、凍土壁をすり抜け内側に流入する水の量は15%しか減っていません。凍土壁による止水はできていません。経済産業省は「嘘」を平気でつきます。
 福島第一では地下水が山から流れて来て、原子炉やタービン建屋に流入しています。あるいは海までに達しています。汚染されれば海に流せないので、これを汲みあげ浄化装置を通した後で海に流しています。ただし全ての放射性物質が浄化できる訳ではありません。東京電力はトリチウムは浄化できないとしています(5)。浄化しても排水基準(6)を満たさない汚染地下水は、タービン建屋に送っています(8)。
 地下水がタービン建屋に流れ込んだり、海岸の井戸からタービン建屋に送り込んだ地下水で汚染水は増えていきます。
どんどん増える福島第一汚染水
 ※(9)を集計
 図―1 どんどん増える福島第一汚染水

 最新の発表(10)を集計すると総量で約112万トンに達します。以下にタービン建屋から汲み上げた直後のセシウム137の濃度をします。
1リットル当たり1億ベクレル程度のセシウムを含む福島第一汚染水
 ※(11)を集計
 図―2 タービン建屋から汲み上げた直後の汚染水のセシウム137濃度

 概ね1リットル当たりで1億ベクレルを下回る程度でしょうか?法定限度は1リットル当たり90ベクレルですので、100万倍の高濃度です。このままでは海には流せないので、汚染水タンクを作り続け保管しています(13)。 そのうちに汚染水タンクの増設が困難になる日が来そうです。汚染水の増加を抑えることは近々の課題です。
 汚染水の増加を抑える対策の柱として原子炉やタービン建屋を氷の壁で囲む「凍土壁」が作られました。以下に構造を示します。
凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン
 ※(5)(14)にて作成
 図―4 凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン

 断面の模式図は以下の通りです。
凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン(断面
 ※(5)(14)にて作成
 図―5 凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン(断面)

 氷の壁で地下水の流れを阻止し、タービン建屋に流れ込む地下水や海岸にまで達する地下水を減らす計画です(14)。当初の予定では2015年3月位から運用を始める予定でしたが(15)、完全凍結が始まったのは2017年8月22日からです(16)。ほぼ2年半の遅れです。
 凍土壁の周りはいくつかの井戸があります。東京電力は凍土壁を挟んだ二つの井戸の間の地下水位の差、すなわち水位差があればその間は凍土壁によって水が流れにくくなったとしています。
 東京電力が山4-①と呼ぶ部分には凍土壁外側にCo-7D、内側にRW17と呼ぶ井戸があります。以以下に地下水位を示します
凍土壁の内・外でついた水位差
 ※(4)にて作成
 図―6 山4-②の地下水位

 東京電力は凍土壁を挟んだ二つの井戸(図―6のCo-7DとRW16)に水位に差(水位差)があることを上げ、凍土壁に遮水効果があったと主張しています(4)。さらに経済産業省資源エネルギー庁は4月10日に、4号機の南側にあり、凍土壁を挟んで10メートルほど離れた位置に同じ深さで掘られた二つの穴(井戸)を報道陣に公開したそうです。穴(井戸)はいずれも直径約1メートル、深さ約2メートル。壁の外側の穴には水がたまり、泥状の土が見えた。一方、内側の穴には乾燥してさらさらとした土があったそうです。これについて経済産業省の方は「凍土壁の遮水性能が目に見える形で表れた。住民にも理解してもらえるように、今後も分かりやすい形で説明していく」と話したそうです。
「遮水」とは
「水が漏れないようにさえぎること。特に、汚水などが外部に染み出すのを防ぐこと。」
であり(2)、凍土壁では内側に水が漏れないようにすることです。水位差がついても遮水できない例はあります。一番わかりやすいのがダム式水力発電所です。以下に断面を示します。
水位差はあっても水の流れは遮らないダム式水力発電所
 ※(17)にて作成
 図―7 ダム式水力発電所

 図に示すようにダム式水力発電所ではダムによって水位差が生じます。福島にはダム式を含め、多くの水力発電所があります(18)。でも福島の川(特に阿賀野川水系)に水が流れなくった話は知りません。ダム式の場合には図―9に示す取水口とそれに続く導水路に水が流れます。水位が上昇するとあらたな水の流れ(ダム式水力発電所の場合は取水口とそれに続く導水路)ができます。また、水位が高くなると水圧が高くなります(19)。そなれば凍土壁がふさぎ損ねた水路の流量が増します。結局は水位差では凍土壁の「遮水効果」はわかりません。
 壁の効果を認定しました(1)(2)。
 図―4に示す様に福島第一は西側が山で東側が海です。陸側(西側)から順に凍土壁・サブドレン・建屋・サブドレン・凍土壁・ウエルポイント・地下水ドレン・海側遮水壁です。このうち凍土壁と海側遮水壁は水の流れを遮ることを意図し設けられました(5)(14)。サブドレンは地下水を汲み上げる井戸です。図-4,5に示しように凍土壁の内側になり、ここで汲み上げらる水は全量が凍土壁をすり抜けて流れ込んだ水です。
 サブドレンでの汲みあげに失敗した地下水は建屋に流れ込むか、海に向かって流れて行きます。ウエルポイント、地下水ドレンは海側に流れた地下水を汲み上げる井戸です。
 すなわち、サブドレン汲み上げ量、原子炉建屋への流入量、ウエルポイント、地下水ドレンの汲み上げ量の合計が「凍土壁」では阻止できずに流れ込んだ「水」の総量です。以下に推移を示します。
あまり減らない凍土壁内への流入量
 ※1(4)を集計
 ※2 サブドレンはサブドレン汲み上げ量、流入は建屋流入量、海岸部はウエルポイント、地下水ドレンの合計汲み上げ量
 図-8 「凍土壁」で阻止できなかった「水」の量

 図に示すように凍土壁で阻止できなかった「水」の量はあまり減っていません。凍土壁は2017年8月に「完全凍結」がはじっまたので、近々2ヵ月と完全凍結開始間前の同月との流量を比較してみました。
 2017年3月 1日当たり平均で778トン
 2018年3月 1日当たり平均で659トン
で、凍土壁をすり抜け内側に流入する水の量は15%しか減っていません。凍土壁による止水はできていません。
 3月7日に経済産業省で「汚染水処理対策委員会(第21回)」が開かれました。ここで東京電力は凍土壁が効果があったとのプレゼンを行ったようです(20)(21)。
凍土壁の効果を主張する東電プレゼン資料
 ※(17)を引用
 図―9 凍土壁が効果があったとする東京電力プレゼン資料

 資料によれば(22)、凍土壁が遮水効果を発揮し山側から流れて来た地下水は凍土壁で遮られ凍土壁の脇を通って海に流れていくような図です。凍土壁が効果を上げるには、水位差が生じ水位差によって「水」が迂回しないと、凍土壁内への流入が抑えられないことを明示しています。水位差によって凍土壁内へ通じる新たな水路ができたり、塞げなかった水路の流量が増えたのでは効果がありません。
 凍土壁の最終目的は原子炉やタービン建屋に流れ込む「水」の量を減らすことです。 安倍出戻り内閣は2016年度中に福島第一での「建屋流入量」を1日当たり100トン未満にすると主張していました(19)。以下に2017年度分の「建屋流入量」の推移を示します。
建屋流入量が1日100トンを超えたままの福島第一
 ※(8)を集計
 図―10 福島第一原発の建屋流入量の水位

 2017年度分を(=^・^=)なりに集計すると、
  1日当たり 145トン
で達成できていません。さらには2018年3月は
  1日当たり 167トン
でさらにひどくなっています。


<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
  農林水産大臣は安倍出戻り総理の元秘書官が「本件は首相案件」との発言が記載されている文書を公表しました(22)。今は経済産業省に出戻った当該秘書官(当時)は会った記憶がないと言っています(23)。文書記録の個人の記憶では文書に重きがあるには明らかです。
 凍土壁には「国費」が使われています(24)。効果がなければ安倍出戻り内閣の失政になります。
 ・止水効果が無い凍土壁
 ・計画通りに減らせなかった「建屋流入量」
については本文に書いた通りです。それでも凍土壁の効果を主張しています。ここでも「嘘」をついています。経済産業省の役人は「嘘」を生業にしています。彼等が「風評被害」を主張しても(25)、福島の皆様は信用しないと思います。
 福島県が力を入れている畜産物に牛肉があります(26)。福島の牛肉は美味しいそうです(27)。福島県は福島産牛肉は「安全」だと主張しています(28)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産牛肉はありません。
他県産はあっても福島産牛肉が無い福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(29)を引用
 図―11 福島産牛肉が無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)福島民友ニュース 凍土壁、内外で「水位差」 資源エネ庁、第1原発の汚染水対策
(2)遮水(シャスイ)とは - コトバンク
(3)中長期ロードマップ|東京電力
(4)(3)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2018年3月29日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第52回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(26.6MB)
(5)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(6)サンプリングによる監視|東京電力
(7)報道配布資料|東京電力
(8)(7)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(9)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社ちゅの「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(10)2018年04月09日 東京電力ホールディングス株式会社 福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第348報)
(11)(7)中の「水処理設備の放射能濃度測定結果」
(12)第56回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(13)(11)中の「資料6:フランジ型タンクに関するリスク低減策の進捗[東京電力]【PDF:2MB】
(12)第56回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(13)(11)中の「資料6:フランジ型タンクに関するリスク低減策の進捗[東京電力]【PDF:2MB】
(14)陸側遮水壁|東京電力
(15)2014年3月12日 凍土式遮水壁の計画及び進捗状況について(資源エネルギー庁)
(16)2017年8月22日福島第一原子力発電所 陸側遮水壁第三段階開始について(PDF 786KB)
(17)水力発電wiki
(18)水力発電所ギャラリー 福島県 - 水力ドットコム
(19)水圧 わかりやすい高校物理の部屋
(20)汚染水処理対策委員会(第21回)(METI/経済産業省)
(21)福島第1の凍土壁「汚染水半減」、経産省の有識者会合  :日本経済新聞
(22)「首相案件」発言を公表=農水相が加計面会文書-柳瀬氏「分かりません」:時事ドットコム
(23)柳瀬唯夫元秘書官の否定コメント全文毎日新聞
(24)凍土壁、頼りなさ露呈 福島第一、遠い廃炉:朝日新聞デジタル
(25)風評に立ち向かう - 経済産業省・資源エネルhttp://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/santi/1009/santi1.htmlギー庁
(26)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(27)福島牛販売促進協議会
(28)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(29)イオン福島店 | お買物情報やお得なチラシなど
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  1. 2018/04/14(土) 19:42:11|
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